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アジアのネオクラシックセダンを振り返る。~台湾・日産編~

目次
1.■日本から近い国、異なるニーズと仕様 2.■現地にフィットしてデラックスになっていくセダンたち 3.■大幅なアップデートが施される独自仕様

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■日本から近い国、異なるニーズと仕様

どんなに世界中でSUVやMPVがファミリーカーの覇権を握る時代が来ようとも、旧車ファンにとってはファミリーカー、オーナーカーとしてのセダンの存在を忘れることは、なかなかできないのではないだろうか。

クルマがやっと一家に一台になったころ、所有することに憧れ続けてきたオーナーの眼差しを叶えるかのごとく、非常に威厳の高いデザインが数多く採用された。

特にアジア地域では、パールホワイトやブラックのボディカラーにボンネットマスコット、大きなメッキのグリルに本革シートなどなど...。

そんな装備を3BOXのセダンが纏えば、パーソナルな高級車像が出来上がってくる。

90年代の序盤ごろ、アジアの多くの地域ではまだまだRV車=商用車やクロカンからの派生モデルといった認識が抜けきらず、ユーザーの趣向は全高のさほど高くないセダンやハードトップモデルを好んでいる流れが多かった。

メーカーもその流れを汲み、バジェットカーからハイエンドまで、ラインナップの多くに細やかなニーズを取り込んだモデルが存在している。

日本のメーカーからは特に、日本国内や米国で生産されているモデルを、ほぼそのまま持ち込んだような車種も多く存在している。

だがよく見ると、装備差は現地法人のリサーチの力を発揮してか、さまざまな差異を見ることができて面白い。

 前回の記事(https://www.qsha-oh.com/historia/article/taiwan-asian-three-box-sedan-classics/)でも紹介したが、台湾での日本メーカーと現地法人がもたらしたラインナップはとても興味深く、そのすべてを洗い出すにはかなり大変で奥深い。

今回もほんの一部ではあるが、90年代から00年代の日産車について着目していこうと思う。

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■現地にフィットしてデラックスになっていくセダンたち

台湾における日産自動車は、現地法人である「裕隆(ユーロン)日産汽車股份有限公司」といい、そのスタートは1959年からと、歴史あるものだ。

日産車のノックダウン製造や輸入・販売を長らくおこなっていた裕隆だが、1986年からは当時ノックダウン生産をしていたスタンザFXをベースとした、オリジナルモデル“飛羚101”を発表した。

▲80年代の裕隆汽車 勝利

90年代の裕隆は台湾のトヨタと同じく、日本のオリジナルモデルをベースとしながらも独自に開発され、生産されていたケースと、日本やその他の国から輸入されていたケースの2つがある。

例えば日産の末っ子モデルだったマーチには、台湾独自の需要を狙い、幅広く世界中で売られていたなかでも唯一セダンモデルを有していた。

1994年から販売が開始され、後部を300ミリ延長したボディにオリジナルデザインのリアランプが取り付けられる。

▲なんと前期・後期で2種類のデザインが存在する

ベースとなるマーチのハッチバックと同じように、数多くの特別仕様車やボディカラーが存在し、バリエーションは数多あるようだ。

一つ上のクラスにはセントラ(日本名:サニー)が存在する。

90年代の日産 セントラは、北米仕様のB13型と仕様が似ており、ラグジュアリーというよりはシンプル&スポーティーな仕立てとなっている。

対して次期型のB14型はどちらかというと高級志向。

木目パネルや本革シートが装備されるほか、リアランプの造形などは同社のシーマなどを想起させるような構成となっており、日本や北米とは大きく異なる仕様だ。

外観のうえで日本仕様との差異が大きいのは、B15型のセントラだ。

日本のブルーバード・シルフィをベースとしたモデルへとバトンタッチしており、日本国内でも1.8Lエンジンの搭載や本革シートが装備される“小さな高級車”的な立ち位置だったB15型。

前期型はほぼ同一の外観を持つが、後期型では日本、そしてほかの国々とも異なるフロントフェイスへと一新。

より若々しい性格の高級車像を手に入れている。

B15型のセントラでとても印象的だったのは、街中ですれ違うサンルーフ装着車の多さ。

温暖なお国柄もあるのかもしれないが、コンパクトセダンでも快適性を忘れず“イイクルマ”であることを楽しんでいるようで素晴らしいと感じた。

U13型のブルーバードは、名称すらも米国と同一のアルティマを名乗っている。

当時放映されていたCMも米国のレクサス LS400を髣髴させる内容で、それまでのブルーバードが持っていたスポーティーセダン的な像だけではなく、輸入車らしいクオリティを強調するものとなっている。

街中ですれ違ったアルティマが日本のブルーバードと少し印象が異なるように感じられるのは、きっとサイドマーカーだけではないはずだ。

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■大幅なアップデートが施される独自仕様

日本ではセドリックやシーマ、プレジデントなどといった、ショーファードリブンの取り揃えが数多くあった90年代~00年代の日産。

だが、台湾でトップを飾る車種でY30セドリックの立ち位置を後継したのはY32型のセフィーロだった。

当時、韓国でもルノーサムスンがセフィーロをベースとして販売していたSM5。

韓国におけるモータリゼーションのなかでもそれらは高級車であることをしっかりと印象づけていたが、台湾仕様のセフィーロの豪華さには敵わないのではないかと思う。

台湾のセフィーロは、最上級グレードの名前こそセドリック等と同一の“ブロアム VIP”が冠されるが、その名に恥じない高級装備が奢られる。

後期型は大型のフロントグリルにオリジナルデザインのバンパーを装備。

A33型にモデルチェンジすると、ナビシステムやリアのマッサージ付き電動リクライニング本革シート、フリップダウンモニターまで盛られていた。

ドアサンシェードにリアのエアコン吹き出し口などなど……セドリックどころか、シーマを飛び越えてしまいそうなほどのショーファーカーに仕上がっていたのだ。

そんな台湾だから、街中を歩いていると沢山の3BOXとすれ違うこととなり、セダンが欲しくて欲しくてむずむずしてくる(笑)。

ギラついたボディにはバシっとコーティングが乗り、堂々とした構え(もちろんオーナーの手入れにもよるが...)。

メルセデスもBMWももちろん最高ではあるのだが、“日本のセダン”が輝いて見えたあの道を、筆者は推しまくりたいと感じたのだった。

ちなみに、当記事の写真を撮影したのは2018年ごろで、少し前の時代になる。

今でも現地のSNSを見ると、今回紹介したような車種が取引されているのを見ることができる。

しかし、そのバリエーションは年々減っていっていることもまた事実だ。

日本よりも古いクルマを数多く見かけていた台湾だが、環境対応車などの台数も増えている昨今、これらのクルマを街中で見かける回数はますます少なくなっていくことだろう。

そんなクルマたちを助けるために、ガス検をとって日本へ輸入...といきたいところだが、台湾の場合は欧米とルールが異なり、輸入へのハードルはかなり高いと聞いたことがある。

まずはそれらの存在を目に焼き付けるために、もう一度台湾行きのチケット購入を検討する時期が近づいているのかも...しれない。

筆者の異国の地におけるネオ・クラシックカー探訪は、まだしばらくやめられなさそうにない。

[ライター・撮影 / TUNA]

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