2025年の夏も想像以上に暑い日が続いています。しかも、信じられないほどの暑さが。
東京では8月27日までに10日連続の猛暑日を記録したそうです。
路上では熱中症で救急搬送をする救急車のサイレンが鳴り響き、大汗をかきながら路上を歩く方々を目にする日々です。こんなときにはどうすえばいいか?考えました。
暑いときには逆療法、暑いからこそ辛いカレーや熱いうどんを食べて汗をかく。クルマでもそれは可能です。ただオーバーヒートやパーコレーションの話では、暑さの前に不安が立ってしまいます。ですので、別のお話をしたく思います。
この世の中には知らなくてもいいこと、知っても意味のないことがあります。ええ、世の中の大多数の人たちから「どうでもいいよ」といわれるようなことです。しかし、たまにふとこれはどうなのだろう?と思ったことはありませんか。そう、これはそうした素朴な疑問、あなたが知らなくても一向にかまわない世界のお話です。
スポーツカーは多くの場合、2座しかなかったりするものがあります。いわゆる「2シーター」モデルです。その理由はエンジンが後部にあったり、重量配分の都合上、後部座席を持たないためです。
ですが、世の中にはそれではいけない、そうしたクルマでも4人は乗れなくては!と、後部座席を一生懸命(無理やり?)設計して組み込むという努力をメーカーがしてきました。
あくまでも一説によれば・・・ですが、ポルシェ944(924)とマツダ サバンナRX-7(SA22、FC3S)はまったく逆の理由から後部座席を設置することを考え、非常に似たスタイルに至ったという面白い話を学生時分に」伺ったことがあります。2座でもいいのだけれど4座で作りたい944、2座で作りたいのだけれど法規制や販売を考え、やむおえず後部座席を作ったサバンナRX-7。それでも両車は似てしまう。なんだか不思議なお話です。
そんな数多の2ドアスポーツカーが後部座席を持ち、それは果たして本当に使い物になるのだろうか?決して長身ではありませんが、脂肪分たっぷりの私(きもだ)が実際に乗り試してまいりました。
■アルピーヌA610
フランスを代表するスポーツカーA310から続くRRモデルの最終型。ポルシェ911と同じレイアウトながら、座ってみると思いのほかヘッドクリアランスが取れています。そのため、長身の方でなければそれなりにドライブも可能そうです。ただし、エンジンの熱はそれなりに籠るので夏場はお勧めいたしません。
また、乗り込んだだけではそれほど狭さは感じられません。むしろサイドサポートはしっかりとホールド感すらありします。車高の低さゆえか、さすがにヘッドクリアランスはお世辞にも期待できませんが、それでも十分にドライブに耐えるようにも感じられます。
それでは前席の背もたれを起こして実際の運転状況に合わせてみましょう。思ったよりは圧迫感はありませんが、やはり足元が狭い。座面が低いためやや体育座りのような姿勢からさらに足を開き、シートを間に入り込ませないとなりません。もし後席に女性を乗せるのであれば、美しい姿勢のためにはヨガのインストラクターのようになるかもしれません。
■ポルシェ911(996モデル)
やはりRRレイアウトのためお世辞にも余裕があるとはいえません。シートの硬さもクッションがあまりなく、非常に硬めです。何より前述のアルピーヌ A610に比べてもヘッドクリアランスがないため、大人は短距離で限界でしょう。しかし、人によってはこれで親子4人でテントとタープまで装備してキャンプにも行く方も。乗り手の気合い次第ではいろいろなことができるかもしれません。
早速乗り込んでみますが、既に先ほどのアルピーヌ A610と同じように足元は厳しさが隠せません。シートを起こすのが不安になってきました。
シートを起こすともう後席部分は一杯いっぱい。にじむ汗でデフロスターを作動させても曇りそうな狭さです。前席のヘッドレストは目の前に迫り、後部やヘッドクリアランスはほぼ皆無といえるでしょう。
■スバル ヴィヴィオT-Top(タルガトップ)
最後のご紹介はスバルのヴィヴィオ タルガトップです。前述の2台に比べはるかに車高は高く、安心感がありそうです。しかし油断してはいけません。これはあくまでも後部座席に人を乗せて快適にドライブが可能かどうかを検証するために行っているのです。
それが証拠にこの後部座席の画像をご覧ください。もうすでに不安しかない狭さです。
では実際にご着席いただきましょう。今回は筆者ではなく、現地にいた似たような体格のお2人に入っていただきました。既にこの時点でも「ミッチミチ」です。リアウィンドウセクションを起こしたら接合部から色々染みだしてきそうな感じさえあります。
このクルマではここまでは序の口。ここまで小さいクルマですから、やはりフル乗車したらどうなるかを見てみたいと思うのが人情です。で、乗っていただきました。
なんというせまっ苦しい、もとい暑っ苦しい絵面でしょうか。さすがにリアウィンドウと屋根を着けてくれとお願いはできませんでした。恐ろしい画像です。
ここまで読まれた読者の皆様、エアコンなんて切って窓を開けてください。たぶん清々しい空気と涼しい風が感じられるはずです。
■まとめ:狭くても、暑くても、リアシートはあった方がいい
この夏、日本各地で40度を越える気温を観測しました。この狭く暑そうな図を見て、その後の開放感溢れる世界を見ればとても涼しく感じられるのではないでしょうか。
今回この無茶な企画で手伝ってくれた方々、とても楽しそうにご協力をいただけました。
狭くても暑くてもみんながそこにいて、クルマをドライブすることができればそれだけで楽しくなると思うのです。
夏場でも楽しくドライブをいたしましょう。ただし、後席に人を乗せるときは車種によっては5~6㎞以内にとどめておく方が無難かもしれません。
[画像・ライター / きもだこよし]