バブルが生んだ夢の軽スポーツ!アメリカにも影響を与えた平成のABCトリオ

目次
1.マツダ オートザム AZ-1 2.ホンダ ビート 3.スズキ カプチーノ 4.当時の日本だからできた突き抜けたコンセプト 5.まとめ

日本がバブル経済真っ只中だった1990年代初頭、自動車業界もユニークな車が多く登場しました。その中でも記憶に残るのが、車名の頭文字をとって「ABCトリオ」と呼ばれていた軽スポーツカー、マツダ AZ-1、ホンダ ビート、スズキ カプチーノの3台でしょう。

今回はバブル時代に強烈な個性を残し、海外でも人気となっているABCトリオの魅力を解説していきます。

マツダ オートザム AZ-1

1992年9月にマツダオートザム店より発売されたAZ-1は、軽自動車で唯一のガルウイングドアを採用。ドアが上に開いていくさまはABCトリオの中でも特に異質であるとともに強い魅力でもあり、現在でも根強いファンが多く存在します。

ボディ外装にFRPを使用することで車両重量はわずか720kgに抑え、エンジンはスズキ アルトワークスのDOHCターボであるF6A型をミッドシップレイアウトである運転席後方に搭載。車体の軽さとガルウイングの奇抜さを売りにし、当時は149.8万円(税抜)で販売されました。

2021年7月の原稿執筆現在、マツダ AZ-1の市場相場は大手中古車サイトで消費税込みの車体価格が158~348万円。旧車王での買取価格は全グレード50~200万円となっており、購入、買取ともにAZ-1はABCトリオの中でも最も高値で取引されています。

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ホンダ ビート

量産車としては初の試みであるミッドシップフルオープンモノコック構造を採用し、1991年5月に発売されたホンダ ビート。軽オープンの軽量ボディながら、新機軸のモノコックフレームは高い剛性を発揮し、まさにスポーツ走行に適した車です。

ABCトリオの中では唯一のターボ未搭載車ではありますが、ミッドシップに搭載された高回転型エンジン(E07A型)の最高出力は自主規制いっぱいの64ps。レブリミットまで回しきって楽しむホンダらしい走りを提供してくれました。その他にも、4輪ディスクブレーキの採用やSRSエアバッグ、サイドインパクトバーなど軽自動車では初となる装備も多く搭載し、発売時の新車価格は当時の価値としては割高な138.8万円(税抜)という設定でした。

ビートの中古車相場は、2021年7月の執筆時点で28~240万円で取引されており、旧車王での買取額は~150万円です。価格はそこまで高値ではなく、流通台数も120台ほど。オープンカーのため雨漏れなどの心配はあるものの、ABCトリオの中では手に入れやすい存在です。

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スズキ カプチーノ

1991年10月に発売されたスズキ カプチーノは、他のABCトリオとは違い、はっきりとしたロングノーズ・ショートデッキのフォルムが特徴的。DOHCターボエンジン(F6A型)を縦置きに搭載したFRレイアウトを採用したことで、ノーズの長いFRスポーツらしいシルエットを演出しています。

他にもオープンカー特有の収納ルーフは、そのときの気分によってフルオープン、タルガトップ、Tバー、クローズの4つから選択でき、運転が楽しくなるユニークなギミックを搭載。また、アルミボディによる軽量化や、4輪ダブルウィッシュボーンサスの採用など、走行面でも手を抜かず、当時は145.8万円(税抜)で販売されました。

そんなカプチーノの中古車相場は、2021年7月の執筆時点で39~289万円と上下幅が大きく、旧車王での買取り相場はベースグレードが~100万円、特別仕様車の「リミテッド」が~130万円となっています。

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当時の日本だからできた突き抜けたコンセプト

個性豊かなABCトリオは30年経過した現在でも高い人気を保ち、その需要は海外にまで及んでいます。どの車種にも共通することは、オープンカーの軽自動車であり、エンジンを限界まで回し、軽い車体を振り回すように運転できる楽しい車だということです。

日本のバブル経済による潤沢な資金から生み出したこの3車種は、造形だけ見ても今では考えられないほど斬新。軽自動車にあまり馴染みがないアメリカでは、ホビーカーとして多くのファンを生み出しました。

制度の恩恵もあり、アメリカでは大人気

このABCトリオがアメリカで人気なのは、スポーツカーならではの運動性や、アグレッシブなスタイリングだけでなく、25年ルールの影響もあるでしょう。

製造から25年経過した日本車は、アメリカ国内の保安基準(FMVSS)による縛りを受けることなく輸入可能になるため、ABCトリオはこういったルールの影響もあり北米での人気が高いのです。しかし、現在は輸入するにも車本体の在庫台数が減少しており、生産台数が4500台ほどと少ないAZ-1は特に希少性が高く、値段も上昇傾向にあります。

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まとめ

バブル時代の遊び心ある軽オープンカーとして、国内外問わず幅広い人気を持つ平成ABCトリオ。車をただ目的地に向かうだけの道具ではなく、生活の彩を豊かにする存在として、日本のみの企画である軽自動車のオープンカーはなくてはならない存在です。

ただし、ホンダ S660が2022年3月の製造販売終了を前に、現在新車で買える軽オープンカーはダイハツ コペンのみ。合理的な価値観が支持されるこのご時世では、室内荷室ともに窮屈なABCトリオのような車は絶対的な販売台数が見込めません。

しかし、海外まで浸透している軽オープン熱は未だ衰えることはなく、ファンの間ではこれからも需要は尽きないことでしょう。人気に比例して在庫も減ってくるので、ABCトリオを楽しむならば、今がベストのタイミングなのかもしれません。

[ライター/増田真吾]

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