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旧車の再生と維持

78プラドの年間維持費を解説!税金・保険料・車検費用を詳しく紹介
旧車の再生と維持 2022.12.01

78プラドの年間維持費を解説!税金・保険料・車検費用を詳しく紹介

ランドクルーザープラドといえば、ランドクルーザーシリーズのライトデューティー用に開発・発売されたモデルです。プラドの中でも1990年4月~1996年5月に発売された78プラドが現在クラシックランクルとして人気を集めています。「クラシックランクルはランニングコストが高くて維持できないかもしれない」と心配の方も多いですよね。そこでこの記事ではランクル78プラドにかかる維持費について解説いたします。 ランクル78プラド維持費の内訳 78プラドの維持費について、5項目に分けて解説します。 燃料代 78プラドには排気量3Lのディーゼルエンジンが搭載されています。燃料の軽油はガソリンより安価ですが、気になる燃費はどれほどなのか見ていきましょう。 MT:8.5~10km/リットルAT:6.5~7km/リットル 大きな車体を考えたらMTモデルの燃費はよくもないけど悪くもないといったところでしょうか。ATモデルの燃費は、なかなかの大食いというイメージです。燃料代が安い軽油でも空タンクから満タンにした際、スタンドの料金メーターを見て驚くかもしれません。 78プラドはエンジン回転数のレッドゾーンが4,400rpm~と低めです。高速道路走行時はレッドゾーン近くまで回転数が上がってしまうため燃費が落ちてしまいます。高速道路の利用頻度が高い方は注意しましょう。 ここからは金額をシミュレーションします。 ここからは金額をシミュレーションします。 78プラドの年間の燃料代は、約24万8,400円です。内訳と条件は以下のとおりです。 燃費:7km/L月間走行:1,000km燃料代:144.9円/L*消費ガソリン量:142.8L1ヶ月あたりの燃料代:約20,700円1年間あたりの燃料代:約24万8,400円 *2024年11月9日時点の全国平均の軽油価格 自動車税(種別割) 2024年11月現在、新車登録が2019年10月1日以後の排気量2.5L~3L未満(自家用)の自動車税(種別割)は5万円/年です。 78プラドはディーゼル車で、なおかつ車齢が11年を超える可能性が非常に高いため、5万8,600円/年かかります。 任意保険料 ここからは78プラドにかかる保険料を、等級別、走行距離別にシュミレーションして紹介します。 等級別の任意保険料の違い 等級と年齢別に保険料をシミュレーションしました。結果は以下のとおりです。 <条件>運転免許証の色:ブルー使用目的:通勤・通学運転者:本人限定主な使用地:東京都走行距離:1万km超〜1万2,000km以下 8等級(25歳)約6万6,000円15等級(35歳)約4万3,000円20等級(45歳)約3万5,000円 年齢が若いほど、保険料は2倍近くも高くなります。また、1990年代発売の古いクルマであるために、いずれの等級でも車両保険は付帯できませんでした。万が一事故を起こしてしまうと修理代金の負担が大きくなる可能性が高いです。 走行距離別の任意保険料の違い 走行距離の差も、保険料の金額に影響する場合があります。そこで、走行距離別に保険料をシミュレーションしました。結果は以下のとおりです。 <条件>運転免許証の色:ブルー使用目的:通勤・通学運転者:本人限定主な使用地:東京都年齢:35歳等級:15等級 ※()内は使用目的 3,000km超〜5,000km以下(日常・レジャー):約2万9,000円5,000km超〜7,000km以下(日常・レジャー):約3万1,000円7,000km超〜1万km以下(通勤・通学):約3万6,000円1万km超〜1万2,000km以下(通勤・通学):約4万3,000円1万2,000km超〜1万5,000km以下(業務):約5万4,000円 やはり走行距離が長いほど保険料は高くなります。通勤や通学、仕事でクルマを使用する場合には負担額に注意しておきましょう。 車検代 ここからは78プラドの車検費用をディーラー、民間車検のそれぞれでいくらかかるかを紹介します。なお、車検の内容や店舗や工場によって増減するため、目安としてお考えください。 ディーラー車検の場合 自賠責保険:1万7,650円(24ヶ月)自動車重量税:3万7,800円(24ヶ月)※初年度登録から18年経過で算出印紙代:1,800円車検料:10万円合計:15万7,250円 民間車検の場合 自賠責保険:1万7,650円(24ヶ月)自動車重量税:3万7,800円(24ヶ月)※初度登録年月から18年経過で算出印紙代:1,800円車検料:5万円合計:10万7,250円※指定工場の場合 民間車検のほうが安いですが、それでも11万円近くかかります。78プラドは発売から30年近く経過するクルマのため、重量税の負担がどうしても大きくなってしまいます。2年に一度の車検に向けて、計画的に費用を用意しておく必要があるでしょう。 メンテナンス費用 最後にメンテナンス費用を見ていきましょう。78プラドのメンテナンスには以下の費用がかかります。 ・洗車代・ワイパーゴム交換代・ウォッシャー液交換代・冷却水補充代・エアコンフィルター交換代・ヘッドライト交換代・エンジンオイル交換代・オイルフィルター交換代・ブレーキオイル交換代・エアクリーナー交換代 1年間でこれらの費用が発生します。5万円ほどを見込んでおけばよいでしょう。タイヤ交換が発生する場合は大きなタイヤが必要なため、+10万以上かかるケースもあります。 78プラド年間維持費はいくら? 維持費の内訳を見てきましたが、合計でいくらぐらいになるのでしょうか。合計額を見ていきましょう。 燃料代:約24万8,400円自動車税(種別割):5万8,600円任意保険料:約2万9,000〜約6万6,000円車検代:5万3,625〜7万8,625円(2年ごとにかかる費用の半額分)メンテナンス費:5万円合計:約43万9,625円〜50万1,625円 月額では約3万6,600円〜4万1,800円かかります。燃料代と車検費用がウェイトを大きく占めています。また、車齢11年超のディーゼル車のため、自動車税(種別割)の負担にも留意しましょう。ローンで購入した場合は、さらに月々の返済が発生します。 【番外編】78プラド ナローボディならを4ナンバー登録できる! 78プラドには、ワイドボディとナローボディの2つのボディタイプが存在します。小さいナローボディであれば、小型貨物車として4ナンバー登録が可能です。 4ナンバー車の条件は、全長4.7m、全幅1.7m、全高2.0m以内であることです。なおかつ、ディーゼルエンジン以外は排気量が2,000cc以下でなければなりません。78プラドの場合、ナローボディだと全長が4,585mm、全幅が1,690 mm、全高が1,890mmであり、エンジンがディーゼルのため、仕様変更が必要であるものの基本的には条件をクリアしています。 78プラドを4ナンバー登録した場合の年間維持費は以下のとおりです。 燃料代:約24万8,400円自動車税(種別割):1万7,600円 ※初度登録年月から11年経過で算出任意保険料:約2万9,000〜約6万6,000円車検代:8万4,300〜13万3,350円メンテナンス費:5万円合計:約42万9,300円〜51万5,350円 自動車税(種別割)は初度登録年月から11年経過している場合、1万7,600円かかります。3ナンバー登録時よりも大幅に安い税額です。 車検時にかかる自賠責保険料は、4ナンバーの場合1万2,850円/年です。重量税については、4ナンバーの場合は車輌総重量をもとに算出されます。車輌重量1,900kg +定員5名(4ナンバーの場合)+最大積載量350kgとして、車輌総重量は2,525kgです。初年度登録年月から18年以上経過していると仮定して、3t以下に区分されて1万8,900円。結果、車検費用は8万3,350〜13万3,350円かかります。 自動車税(種別割)や重量税が安いことから費用を抑えられると思われがちですが、車検を1年ごとに受けなければならないため、3ナンバー登録時と負担はあまり変わりません。また、4ナンバー登録する際には仕様変更や構造変更手続きが必要なため、その分の工賃や手間を把握したうえで判断しましょう。 78プラドの維持費が高いと思った時の対処法 旧車の維持には現代のクルマと比較するとお金がかかるものです。特に78プラドのような大排気量で大型の車種は自動車税(種別割)、重量税がかさむために費用がかかります。さらに、古いクルマのため故障が増え修理費用など別途発生する可能性があります。 もし、78プラドの維持費が高いと思ったら手放すことを検討してみてはいかがでしょうか。一昔前は10年落ち10万km以上走行したクルマは価値がないといわれていました。しかし、昨今の旧車ブームにより高く売却できるかもしれません。売却を検討の際には、買取専門業者に問い合わせてみましょう。 78プラドから乗り換えるのにおすすめなクルマ ここからは、78プラドからの乗り換え候補としておすすめのクルマを3車種紹介します。 150プラド 150プラドは、ランドクルーザープラドの系譜として78プラドの後継車種にあたります。高年式で維持費が安く、ディーゼルモデルも選択可能なため、78プラドよりも費用負担は抑えられます。 78プラドより近代的なフォルムでキャラクターは異なりますが、「次は快適性が高いクルマがよい」と考えているユーザーにおすすめのモデルです。 ジムニー(JB64型) ジムニーは、クロスカントリーモデルとして78プラドと同じ感覚の乗り味が楽しめる1台です。2018年発売の高年式かつ軽自動車のため、維持費の安さが大きなメリットです。 釣りやアウトドアを趣味にしており、走破性を重視するユーザーに適しています。 200系ハイエース 200系ハイエースは、発売から20年以上のロングライフモデルです。78プラドとはボディタイプが異なりますが、ディーゼルエンジンや4WDが選択できるため、基本的な使い勝手は共通している部分があります。 78プラドをカスタムし、4ナンバー登録しているユーザーであれば同じ商用車として抵抗なく乗り換えられるでしょう。また、現行車のため選択肢の自由度が高い点も魅力です。 ※2024年11月時点のデータです

二代目ジムニー(JA22)の維持費は高い?内訳といくらかかるかを解説
旧車の再生と維持 2022.11.30

二代目ジムニー(JA22)の維持費は高い?内訳といくらかかるかを解説

ジムニーといえば、軽自動車規格の本格クロカンとして世界的に人気を誇るスズキを代表する車種です。特に二代目のJA22はエンジンがSOHCから高回転まで回るDOHCになり、日常域での使い勝手が良さから多くのユーザーから支持を得ています。一般的な軽自動車とは比較にならない悪路走破性を誇るジムニーですが、維持費はどのようになっているのでしょうか。性能に応じて維持費も高くなるのか気になるところですよね。この記事では、そんな二代目ジムニー(JA22)の維持費について解説いたします。 ジムニーの特徴 ジムニーの特徴は軽量、コンパクトかつシンプルで頑丈な車体です。強度と耐久性を高めるためラダーフレームを採用し、サスペンションは前後とも固定軸という硬派な仕様となっています。 また、カスタムパーツが多く存在し、オーナーこだわりの一台に仕上げられることも魅力の一つです。オフロードコースに持ち込まれるジムニーは、原型と大きく異なる特殊な改造が施されているものも見かけます。 ジムニー(JA22)維持費の内訳 ここから、ジムニーの維持費について5項目に分け解説します。 ガソリン代 ジムニー(JA22)の燃費はカタログ記載の数値の10・15モード燃費で15.8km/リットルです。しかし、これはあくまでもカタログ上の数値。実燃費は、下記が目安です。MT:10~15km/リットルAT:9~10km/リットル MTモデルは燃費を伸ばせますが、ATモデルは現代の大型セダン級の悪さになります。 仮にジムニー(JA22)のATを通勤で使用し月間1,000km走行した場合、ガソリンは100リットル使用(*1)し、ガソリン代は16,270円(*2) かかります。この条件で1年間走行した場合のガソリン代の総額は、195,240円(*2) です。*1 燃費は10km/リットルで算出*2 2022年11月27日のレギュラーガソリン1リットル当たりの平均価格162.7円で算出 自動車税 2022年11月現在、2015年4月1日以後に最初の新規検査を受けた軽自動車(自家用)の自動車税は10,800円/年です。ジムニー(JA22)の場合はいかがでしょうか。最初の新規検査から13年を経過した軽自動車の場合、12,900円/年かかります。ジムニー(JA22)の場合、1998年のモデルが最終型になるため増額された税金が適用されるでしょう。貨物登録されているモデルであれば6,000円かかります。 任意保険 ジムニー(JA22)の任意保険について大手のネット型保険で見積もりをしました。 <条件>年齢:30歳等級:6E使用目的:通勤・通学運転者:本人限定 <補償内容>対人賠償(1名につき):無制限対物賠償(1事故につき):無制限対物超過特約(相手自動車1台につき50万円まで):あり人身傷害:あり(車内のみ補償)人身傷害(保険金額/1名につき):3,000万円入院諸費用特約:なし 上記内容でシミュレーションしたところ、総額が約6万円/年でした。車両保険については付帯していません。古い車には車両保険を付帯できないケースが多いです。 車検 クルマを維持するうえで、一般的に最も財布にダメージを与えるといわれるのが車検代です。自家用登録の軽自動車を新車で購入した場合は初回が3年後、2回目以降は2年ごとの車検が義務付けられています。貨物登録の場合は1年ごとに車検を受けなければなりません。それでは、どれくらいの費用がかかるのか具体的に見ていきましょう。 <ディーラー車検の場合>自賠責保険:19,730円(24か月)自動車重量税:8,800円(24か月)※初年度登録から18年経過で算出印紙代:1,100円車検料:80,000円合計:109,630円※車検料は内容、整備工場などにより費用は増減します ここで注目するポイントは重量税です。軽自動車の場合、重量税は6,600円ですが、初年度から18年経過した車両に対しては増額されてしまいます。また、古いクルマの場合は車検時に部品交換などの整備が発生する可能性が高く、車検代が一般的に高くなるケースが多いです。そのため10万円以上はかかることを覚悟しておきましょう。 メンテナンス費用 最後にメンテナンス費用を見ていきましょう。ジムニー(JA22)の場合、本格的なオフロード走行をしている方も多いと思いますが、ここでは一般的なメンテナンス費用について言及します。メンテナンスについては下記の費用がかかってきます。・洗車代・ワイパーゴム交換代・ウォッシャー液交換代・冷却水補充代・エアコンフィルター交換代・ヘッドライト交換代・エンジンオイル交換代・オイルフィルター交換代・ブレーキオイル交換代・エアクリーナー交換代 1年間でこれらの費用が発生します。5万円ほどを見込んでおけば良いでしょう。タイヤ交換が発生する場合は+10万ほどかかるケースもあります。 ジムニー(JA22)年間維持費はいくら? 維持費の内訳を見てきましたが、合計でいくらぐらいになるのでしょうか。合計額を見ていきましょう。 <自家用車登録のジムニー(JA22)年間維持費>ガソリン代:195,240円自動車税:12,900円任意保険:60,000円車検:54,815円(2年ごとにかかる費用の半額分)メンテナンス費:50,000円合計:372,955円 月額では31,000円ほどかかる計算になります。軽自動車は維持費が安いと言われますが、旧車のジムニー(JA22)の場合は話が変わってきます。特に通勤で使用する場合は燃費の悪さによりガソリン代のウェイトが大きく占めるでしょう。現行型のスズキ「アルト」はカタログ燃費で27.7km/リットルです。なんとジムニー(JA22)の約3倍ほど走る計算になります。 ジムニー(JA22)の維持費が高いと思った時の対処法 旧車の維持には現代のクルマと比較するとお金がかかるものです。さらに、故障が増え修理費用など別途発生する可能性があります。もし、ジムニー(JA22)の維持費が高いと思ったら手放すことを検討してみてはいかがでしょうか。一昔前は10年落ち10万km以上走行したクルマは価値がないと言われていました。しかし、現在は空前の旧車ブームです。高く売却できる可能性があります。  

初めて工具を手にした旧車オーナー必読!次に揃えるべきモノとは?
旧車の再生と維持 2022.11.21

初めて工具を手にした旧車オーナー必読!次に揃えるべきモノとは?

前回、初めて工具を購入する旧車オーナーのために、簡単ではあるがアドバイスとなるであろう記事を担当した。 今回はその続編として、晴れて旧車オーナーとなったら、次にいったい何を揃えれば良いのか、具体的な内容にまとめてみた。 ▲おちゃらけた内容の筆者のYouTube動画も、すべて事前にサービスマニュアルやパーツリストなどで下調べをしたうえで作業をおこなっている(私クマダはYouTubeでポンコツ再生動画を公開しております。ぜひ動画もご覧になってください。チャンネル登録お待ちしております。動画はこちらです→ https://t.co/jshezU8Be0) ■工具以外にもこれだけは揃えておきたい 晴れて旧車オーナーになって、少しでも自分自身でクルマに手を入れてみたいと思ったら、まずは参考となる資料を用意するべきであろう。 DIY派の旧車オーナーに筆者が入手を強くおすすめしたいのが、「自身の愛車のサービスマニュアル」と「パーツリスト」だ。 ▲筆者所有のサービスマニュアルやパーツリスト、社外アフターマーケット品のパーツカタログなど。余談だが、海外のパーツカタログ類は資料性が高く、参考となるものが多い。英語というハードルがあるが、国産旧車でも海外輸出されていた車両であれば、洋書で探すという手段が存在する 旧車は、日常的に行われる基本的なメンテナンスなどにおいても、現代のクルマでは当たり前となっている方法とは異なる場合が多い。 例えば基本中の基本、エンジンオイルを例に挙げてみよう。 たかがエンジンオイルと思われるかもしれないが、今日一般的に入手できるオイルが使用できるのか、もしくは旧車用と呼ばれる特殊な粘度のオイルを用意しなければいけないのか、サービスマニュアルがなければ判断すらできない。 タイヤひとつとっても、ホイールナットの締付トルクはおろか、規定の空気圧すら分からないなど、手探りで作業する場面が容易に想像できる。 DIY初心者にとっては、とても心許ないものであろう。 また、旧車は修理などパーツ交換が必要な際に、あらかじめそのパーツが入手できるか否か作業を行う前に探りを入れておかなければならない。 パーツの供給状況によっては、その作業を断念せざるを得ないことがあるからだ。 パーツリストは部品検索のための必須ツールだ。 部品番号がわからないと発注はおろか、パーツ探しすらままならない。 正直なところ、これらは当時モノとなるため、車種によっては入手困難なケースもある。 しかし、ネットオークションなどを駆使して何としてでも手に入れてほしい。 サービスマニュアルとパーツリストは旧車オーナーにとって、たいへん重要な参考資料であり、いわば旧車維持の道しるべともいえるからだ。 ■現代車では用いられることがない、旧車ならではのツール。タイミングライトとシックネスゲージ ▲シックネスゲージを使用して実際にタペット調整をする。決してむずかしい作業ではない。ある年代より旧いクルマでは必須メンテナンスだ(画像は空冷ワーゲンの水平対向4気筒エンジン リアルタイムで旧車に接してきた世代のオーナーにとっては当たり前のことであっても、若いオーナーにとってみれば「なにそれ?」といったことは多々あるだろう。 旧車といえども、比較的に現代車に近い感覚で乗れる1990年代以降のネオクラッシックカーであっても、平成生まれのオーナーにとっては生まれる以前に造られた、あるいは同世代のクルマだ。 筆者はいわゆるアラフォー世代の「おっさん」である。 その「おっさん」が免許を取ってクルマをいじり始めた20年前であっても、実際に当時で「旧車」と呼ばれたクルマに触れないかぎり、出会うことはないであろう基本的なメンテナンスが存在した。 代表的なものをいくつか挙げてみれば、「タペットクリアランス調整」「ポイントギャップ調整」「点火時期調整」あたりだろうか。 具体的内容については話が長くなるのでここでは割愛するが、これらは、よくいわれるエンジン完調のための基本「良い圧縮・良い火花・良い混合気」すべてに関連する。 旧車を絶好調に走らせるための必須メンテナンスだ。 ここで必要となるのが、タイミングライトやシックネスゲージである。 さすがにこれらはホームセンターの店頭はおろか、工具店でも在庫として店頭に置いてある店舗が非常に少なくなったように感じる。 これらはネット通販であれば安価に入手できるが、筆者の経験ではタイミングライトの安価品は高い確率で早くに故障する。 シックネスゲージについては高額ではないので、精度を信頼できる日本製を選んでほしい。 デジタル化された現代のクルマでは、これらの部分は「メンテナスフリー」というより、「ノンタッチ」となっている。 これらは当時、車検点検の際には必ず行われる身近なメンテナンスであったと聞く。 車種によっては、取扱説明書に作業方法が記載されるほどであったという。 これらはDIY派の旧車オーナーには、オイル交換・スパークプラグ交換の次に、ぜひ実践してほしい基本メンテナンスだ。 この部分を普段から触れているオーナーは、早い段階で一見判りづらい完調であるクルマ、そうで無いクルマの判別が感覚的に身についてくることであろう。 ▲「画像④」:YouTube動画内で登場したタイミングライト。40年以上前のナショナル製。(#11 完成 / スズキ カプチーノのへたったエンジンをリカバリーせよ)より。動画はこちらです→ https://youtu.be/1Fx3xMNmNxM  ■DIY派の旧車オーナーは、ぜひグリースにもこだわってほしい 自身でメンテナンスを行うと、グリスアップを行う場面が増えてくるはずだ。 グリスアップはメンテナンスの基本中の基本といっても過言ではないだろう。 オイルと同じくメカニズムを潤滑保護するために必須の油脂、グリース。 各種オイルにこだわりを持つ旧車オーナーは多いが、グリースもオイルと同様、目的に応じてさまざまな種類が存在する。 ここに一般的な自動車整備に使用されるグリースの代表的なものを挙げるとしよう。 ●リチウム石けん系グリース マルチパーパスグリースという名で広く一般的に使用される。 マルチパーパス(万能)というが、これを鵜呑みにしてどこにでも使用してはいけない。 ●カルシウム石けん系グリース 通称シャーシグリースとも呼ばれる。 主にジャバラチューブに入っていて、下回り各所のグリースニップルにガンで充填することが多い。 耐水性もあり安価だが、耐熱性は期待できない。 ●二硫化モリブデングリース マルチパーパスグリースに二硫化モリブデンを配合し、耐摩耗性・耐荷重性を持たせた黒いグリース。 トライブシャフトなど、等速ジョイントのブーツ内部などに使用される。 ここまでは、液状の「ベースオイル」を、半固体の「グリース」にするための「増ちょう剤」にリチウムやカルシウムを使用した「石けん系」のグリースである。 以下は増ちょう剤に石けんを使用しない「非石けん系」グリースの代表的なものを紹介する。 ●ウレアグリース マルチパーパスグリースとほぼ同じ用途で使用されるが、やや耐水性・耐熱性が高い。 密封されたシールドベアリング内部など製品に使われることが多い。 筆者はクルマよりもバイクの整備によく使われるイメージを持っている。 前述の3種類の石けん系グリースは、ほぼ鉱物油ベースといって間違いない。 しかし、この非石けん系のウレアグリースに関しては、製品ごとにベースオイルが異なる場合が多い。 購入する場合には、耐ゴム性能の観点から購入時の確認は必要と思われる。 ●ポリグリコール系グリース 「ラバーグリース」や「ブレーキグリース」の名称で店頭に並ぶ合成油ベースのグリースだ。 ブレーキ内部のピストンシールやカップラバーなど、ゴムを傷めずに潤滑する。 ●シリコーン系グリース 耐熱かつ耐寒、幅広い温度帯で使用可能。 さらに耐水性も抜群な白いグリースだ。 ただし金属同士の摺動面や力のかかる部分には使用できない。 主にプラスチックやゴムに使用される。 高額ではあるが、幅広い用途に使用できる。 その他、特定の使用用途に応じたグリースも多々存在する。 ここで、前述した汎用グリースでは代用できない例を二つ挙げてみよう。 ●ブレーキパッドグリース 主にブレーキパッドとシムなどキャリパー周辺や、ドラムブレーキのライニングとバックプレートの接触部分などに使用する。 他のグリースで代用すると雨などの水分に流されてしまい、ブレーキ鳴きの原因の一つとなる。 耐水性をもつことから、シリコーン系グリースでも代用できるという意見もある。 しかし、筆者はグリースの固さ、すなわち「ちょう度」によると考える。 相手は重要保安部品のブレーキだ。 ここは専用品を使用するべきであろう。 ●クラッチスプライングリース クラッチ交換時に使用するグリースである。 乾燥しにくい性質を持たせることで、グリースがクラッチ摩擦材などのダストを含むことで固くペースト状になることを防ぎつつも、周囲に飛び散りにくいという特長を持つ。 このグリースについては、オートマ車全盛の今日において使用頻度が低いためか、修理の際に別のグリースで代用され時間の経過とともにグリースが粘着する。 クラッチペダルが極端に重くなったり、グリースが周辺に飛び散るなどしてジャダー発生の原因となっている例がある。 細かい部分ではあるが、安易なグリース選びができない一例だ。 他にも挙げられるものはあるが、一般的なクルマのメンテナンスに使用されるものは、おおよそこれぐらいであろうか。 お分かりいただけたと思うが、クレ5-56にマルチパーパスグリースだけがあれば良いわけではないのだ。 確かに広範囲に使用できるグリースは存在するが、筆者の知る限り、どこにでも使える万能なグリースは存在しない。 使用する用途を間違って使用した場合、良かれと思って使用した高額なグリースが、外側のラバーブーツをボロボロにしてしまったという例もある。 これでは本末転倒だ。 まさに「間違いだらけのグリース選び」ではなかろうか? 良かれと思って行ったメンテナンスが、トラブルの原因となる。 潤滑系ケミカルは、どうしてもインターネット広告に流され、高額なものを購入しがちだ。 グリースなどのケミカルは、まずは先述のサービスマニュアルをもとに選択してほしい。 購入の際にはパッケージの裏書きと照らし合わせれば、どれが正しい選択であるか判るはずだ。 幸いなことにこれらは決して高額なものではない。 比較的安価である。 荷姿の問題で少し多めに購入することになったら仲間内でシェアすればよい。 まずは目的に必要なものを用意して、ツールボックスにストックするべきである。 くれぐれも「都市伝説」に騙されてはいけない。 ▲筆者使用のエンジンオイル(主に旧車用)。クルマ用のオイルやケミカルは数多く存在するが、これら油脂類も信頼できる資料をもとに正しい選択をしたい ■まずは自分のペースに合わせて、できることからはじめよう 今回は、サービスマニュアルとパーツリストの入手のススメから話を展開した。 相手は古い機械モノである。 一筋縄でいくとは考えないほうが良い。 DIYの前にまずは情報収集だ。 作業の事前準備はたとえ、その道のプロであっても必要不可欠である。 筆者の経験上、腕の良いメカニックであるほど、この点についてはとても真剣かつ用意周到であると感じる。 森羅万象ともいえる筆者の師匠(熟練の整備工)はサービスマニュアルの内容が脳内にインプットされており、最新情報にも常にアンテナを張っている。 旧車のみならず、DIY初心者の方は今回の記事を読んで「いきなりプロ相手の修理書かよ!?」と思われるかもしれないが、これは修理の具体的かつ、王道である内容である。 これから自身で愛車に手を入れようという方には、ぜひ正しい方法を覚えていただきたい。 ここまで聞くと、難しく感じてしまうかもしれないが、現代のクルマとは異なり、旧車にはオーナーが手を入れられる余地が数多くある。 クルマを構成する部品点数も、必要な工具も現代車に比べればはるかに少ない。 肩ひじ張ることはないのだ。 これなら自分でもできるという部分からはじめればよい。 繰り返しとなるが、そのために道しるべとなるのが「サービスマニュアル」と「パーツリスト」である。 自分のクルマだ。 やりたいようにやればいい。 納得できるところまでやればいい。 そして、何度でもやり直せばいいのだ。 自身の手を汚し、絶好調になったクルマに乗る瞬間は、何事にも代えられない素晴らしい体験である。 こればかりがお金で買えるものではない。 一度経験すると病みつきになる。 まさにプライスレスだ。 プロ顔負けのプライベーターが存在する理由はここにある。 「千里の道も一歩から」「先ず隗よりはじめよ」。 いずれの言葉も、まずはできることからはじめようという意味だ。 ・・・閑話休題。 今後も旧車を維持するにあたって、より実践的な工具の選択方法やケミカルについても案内していこうと思う。 ※前回の記事 ■車整備歴20余年の経験者が思う、旧車オーナーが初めて工具を購入する際の注意点とは? https://www.qsha-oh.com/historia/article/maintenance-tools/ [YouTube]BEARMAN's チャンネルhttps://www.youtube.com/channel/UCTSqWZgEnLSfT8Lvl923p1g [ライター・撮影/クマダトシロー]

車のリコールが発表される前に修理した場合は返金されるのか?リコールの流れや注意点を解説
旧車の再生と維持 2022.10.31

車のリコールが発表される前に修理した場合は返金されるのか?リコールの流れや注意点を解説

車のリコールは、車の設計や製造過程に原因があり、道路運送車両の保安基準に適合しなくなる恐れや適合しない場合に出されます。リコールが出されたらどのような手順で修理を進めるのでしょうか。また、費用を支払って修理した後にリコールとなった場合の費用負担はどのようになるのでしょうか。今回は、車のリコールについて紹介します。 車のリコールとは 車のリコールとは、車の設計または製作の過程に原因があり、道路運送車両の保安基準に適合しない、または適合しない可能性がある場合に、メーカーが国土交通省に届け出て保安基準に適合するよう修理する制度です。 リコールは、メーカーの責任となるため、ユーザーが修理費用を負担することはありません。リコール対象になった場合には、速やかに修理を受けましょう。 リコール対象車になった場合の流れ ここからは、リコールの対象になったときの流れを紹介します。 1.ディーラーから連絡が来る リコールの対象になるとディーラーから手紙やハガキ、電話などで連絡が来ます。連絡がきたら入庫予約をしましょう。 また、リコールの修理は購入したディーラーだけでなく、他の正規ディーラーやメーカーから認証を受けている整備工場などで受けることができます。 2.ディーラーへ入庫する 入庫予定日になったらディーラーへ車を持ち込み修理を受けます。リコール内容によっては、数日間にわたり車を預けなければならないこともあるため、リコールの修理に要する日数や代車の手配なども忘れずに行いましょう。 3.リコール作業が完了する リコールの作業が完了したら車を引き取ります。リコールはメーカーが行う無償修理であるため、修理費の準備をする必要はありません。 車のリコールが出る前に修理した場合は条件付きで返金される 費用を支払って修理した部分が後にリコール対象となった場合、修理代金の返還等が行われることがあります。返還等の際には、領収書や修理明細書などの書類が必要になることもあります。返還等の手続きや必要書類などは、メーカーによって異なるため販売店などで確認してください。 車のリコールを理由に車体の返金はできない リコールは、あくまでも対象となる部品にのみ適応されます。そのため、車両本体の返金や交換はできません。 リコールの対象になると、車を売るときの価値が下がるのではないかと心配する方もいるでしょう。しかし、リコール対象となった車でも買取には影響がありません。 車のリコールに期限はない リコールの修理に期限はありません。そのため、何らかの事情によってすぐに修理を受けられなくても焦る必要はありません。 ただし、リコールは不具合が起きないよう事前に修理する制度であるため、早めに修理を受けることをおすすめします。 リコールを放置して事故が起きた場合はドライバーの責任 リコールの通知を受けていたのにもかかわらず、放置して不具合が起きたり事故を起こしてしまったりすると、ドライバーの責任になる場合があります。メーカーが届け出たリコールは、ユーザーが受けなければならない修理です。そのため、リコールの対象になったら速やかに修理を受けましょう。

車整備歴20余年の経験者が思う、旧車オーナーが初めて工具を購入する際の注意点とは?
旧車の再生と維持 2022.10.24

車整備歴20余年の経験者が思う、旧車オーナーが初めて工具を購入する際の注意点とは?

旧車オーナーにとって、クルマへの愛情が深くなれば深くなるほど、自身の愛車のメンテナンスに興味を持つことはないであろうか? 詳しい知識はなくとも、できる部分は自身の手でやってみたいと考えているオーナーは決して少なくないと思う。 クルマのメンテナンスを行うためには当然工具が必要なる。 クルマのみならず、機械いじりなど一度も行ったことがないオーナーにとっては、数ある工具の中からどれを選べば良いのか、まったくもって見当もつかないだろう。 今回は、ポンコツ愛好家の私・クマダが、かれこれ20余年の経験を持って、メンテナンスデビューしたいビギナー(初心者)に向けて、なるべく簡単にアドバイスをしたいと思う。 ▲ 雑然とした筆者のツールチェストの内部。安価なショボ工(しょぼい工具)から高額なスナップ・オンまで幅広いラインアップ!?※私クマダはYouTubeでポンコツ再生動画を公開しております。ぜひ動画もご覧ください。チャンネル登録お待ちしております! https://t.co/jshezU8Be0) ■ホームセンターで販売されている工具が、必ずしもクルマの整備に向いているとは限らない ▲すでに購入から20数年が経過したPBボーマンのドライバー。 良い工具は長持ちするうえ、使い込めば使い込むほど愛着がわき、やがて一生モノとなる。 ご存じの通り、昨今DIYがブームとなっている。 ホームセンターの工具コーナーの品揃えも本格的なものとなりつつあるようだ もはや、プロ志向の品揃えとなっているといっても過言ではないことだろう。 おそらく多くのビギナーが、自身で最初に手にする工具をこのホームセンターで検討されると思うが、購入については少し踏みとどまっていただきたい。 それはなぜか? 私クマダは経験上、ホームセンターで販売されている工具が、必ずしもクルマの整備に向いているとは限らないと考えているからだ。 そもそもホームセンターで販売されている工具は、自動車整備のみならず、建築や工業機械など、その他の用途も含めた目的で製造されたものが多い。 これらはたいがいにして肉厚で強固、かつ重量があるため、クルマのエンジンルーム内など、細かく入り組んだ部分での作業がしづらかったりする。 また、くれぐれも多数の工具が一つのケースに入った一見お得そうなツールセットなるものにはくれぐれも注意してほしい。 安価品は全体的に繊細さに欠ける印象のものが多いが、印象のみならず、実際に精度も悪かったりする。 そもそもしっかりと対象物にかみ合わないのだ。 例えば、錆びてただでさえ緩みづらくなっている旧車のボルトやナットに大きなトルクをかけて使用した場合、いとも簡単に頭をなめてしまう可能性がある。 これは作業をする者の腕がいいとか悪いとかの問題ではない。 場合によっては、大きなトルクをかけて使用した際に突然破損し、ケガの原因になることすらあるのだ(筆者は経験済み)。 ■クルマの工具はやはり専門店がおススメ!工具を実際に手に取って選ぼう ▲ 新卒でディーラーの整備士になったが、支給工具は最低限のもので、当然満足のいくものではなかった。先輩に借りるわけにもいかないので、毎月毎月少しずつ工具を買い足していった。これらは20年経った今もしっかり使えている。 それでは、いったいどこで工具を購入すればよいのか? それはやはり、自動車整備用の工具を専門に取り扱った店舗一択となるであろう。 ネットではなく店舗で購入するメリットは、実際に工具を手に取り感触を確かめられる点である。 また忘れてはいけないのが、工具店での経験を積んだスタッフからの直接のアドバイスはたいへん貴重だ。 こういったリアルな体験はネットショッピングではまず不可能といっていいだろう。 ぜひ店舗に直接足を運んで工具を自分自身で選んでほしい。 例を挙げると、早回しに必要なラチェットハンドルひとつとっても種類はさまざまだ。 ハンドルの太さや長さ、そして重さ、ラチェットの歯数や空転時の軽さ、ソケットツールのクイックリリースボタンの有無や押しやすさ・・・。 さらにはクロームの仕上げ方法による握ったときの滑り具合などなど、チェックポイントは多数ある。 そして何よりも、高価なブランド工具と、同機能の安価な工具との違いもここで確かめるといいかもしれない。 なお、最初から数多くの工具を購入する必要はない。 まずはじめに揃えておきたい工具の具体的な内容は次の項で述べるが、使用頻度の高い基本的な工具はしっかりとしたブランド・品質のもので購入したい。 あとは、追々、自身の作業内容やレベルに応じて買い足しすることをおススメする。 必要性を感じてから工具を買い足すことで、無駄なく工具を揃えられるのと同時に、いま手元にある工具の使い方に工夫を凝らすことで、メンテナンスの腕の向上にもつながることであろう。 工具があることにありがたみを感じる瞬間でもある。 ■ビギナーが最初に選ぶべき基本的な工具を、具体的に挙げてみる ▲ 文中に挙げた最低限の基本的な工具。これらを車載工具として携行できるとさらに頼もしい。 筆者が、メンテナンスのビギナーがとりあえず最初に揃えると良いと思う工具は以下の通りだ。 ●コンビネーションレンチ(片側がスパナ、もう片側がメガネレンチになった工具)●3/8sqソケットレンチとラチェットハンドル(8/10/12/13/14/17/19mm)●欲をいえば、1/4sqのソケットレンチとラチェットハンドル(8/10/12/13mm)●エクステンションバー(3/8sq・1/4sqともに長さで2~3種類)●プラスドライバー(1/2/3号)●マイナスドライバー(3/4/5号)●長めのヘックス(六角)棒レンチ(片側がボール型になっているものが良い)●ノズルプライヤー(ラジオペンチ)●カッティングプライヤー(ニッパー)●ウォーターポンププライヤー●1/2sq スピンナーハンドル などなど・・・ とはいえ、ビギナーにとってこれらを最初からそれなりのブランドの工具で購入するとなると、予算のことなど、とても勇気が必要になるだろう。 ただ安心してほしい。 ここ十数年で状況はとても良い方向に好転していからだ。 旧来の工具専門店というと、敷居が高く、その道のプロでないと入りづらそうな雰囲気の店が多かった。 しかし昨今では、プロのみならず、個人のユーザー向けに全国展開をしている工具店が複数存在している。 アストロプロダクツや、ストレート、ファクトリーギアなどである。 インターネットで検索すれば、きっとあなたの身近な場所に店舗が見つかるはずだ。 とりあえずこういった工具店では、ショップのオリジナルブランドではあるが、安価でありながらも、品質的にはなんとか及第点となる工具セットが販売されている。 筆者の本音は、それなりに名の通ったメーカーの工具で揃えていただきたいが、セットの内容を吟味したうえで、これらを購入するのも選択肢のひとつだと思う。 これらの工具セットは、コンパクトで仕上げの良いツールボックスに入って販売されていることが多いので、後々ステップアップした後も車載工具として使用することもできる。 ■スナップ・オンだけが工具ではない。さまざまな工具を手に取り吟味して選ぼう ▲「安くて良いもの」は存在しない。しかし、「安い割にはまぁまぁ良いもの」は間違いなく存在する。ただ、それを見極めるのが難しい・・・。 熟練したメカニックの中には、スナップ・オンをはじめとするブランド工具以外は認めないといった風潮があることも事実だ。 彼らはボルト一本を締める行為一つに強い責任感を持ち、情熱を燃やしている。 先述の通り、安価な工具は精度が悪く、ボルトやナットの角に傷を入れることが多い。 当然の意見であろう。 ただ「ブランド工具」といっても、自動車整備の世界には様々な工具メーカーが存在し、各々個性的な特徴を持ち合わせている。 例えば、高額なブランド工具の代表格、米国メーカーのスナップ・オンのレンチはミラーツールとよばれるクロームメッキ仕上げが特徴で、その美しい外観から使用せずに収集するコレクターが存在する。 しかし反対に欧州では手に持っても滑りにくいザラザラとした梨地仕上げのレンチが好まれる。 ハゼットや、スタビレーの柔軟にしなるレンチがこれに該当する。 PBボーマンのドライバーは、オイルまみれの手で握っても不思議とすべらないグリップをもつ。 国産メーカーでは、定番中の定番であるKTC(京都機械工具)、とても精度の高いソケットツールに定評があるコーケン(山下工業研究所)が挙げられる。 また、機械工具の武骨なイメージだったが、ここ数年で自動車整備向けの工具に力を入れてきたTONE(筆者はラチェットギアレンチや、ストレートメガネレンチを愛用)などなど・・・。 いくつか工具メーカーを挙げたが、これらは、どこのOEMで生産されたか分からない各工具専門店のオリジナルブランド品に比べれば、倍くらいの値段がする。 しかし、これらの製品は、スナップ・オンに比べればとてもリーズナブルだ。 仕様の用途や頻度も含め検討するとよい。 なお、ちゃんとした工具は壊れにくい。 それこそ、良い工具を選べば一生モノとなる。 しかし、工具の世界には「安くて良いもの」は存在しない。 やはり「良いものは高い」のだ。 ただ、「安い割にはまぁまぁ良いもの」は間違いなく存在する。 前述したとおり、工具は手に取ってよく吟味したうえで選んでいただきたい。 納得のいく工具選びを繰り返せば、あなたもいつかエキスパートになれることだろう。 今回は、初めての工具選びについてかんたんに執筆させていただいたが、機会があれば、旧車を維持するにあたって、より実践的な工具の選択方法やケミカルについても案内していこうと思う。 次回を期待して待っていてほしい。 [YouTube]BEARMAN's チャンネルhttps://www.youtube.com/channel/UCTSqWZgEnLSfT8Lvl923p1g [ライター・撮影/クマダトシロー]

車にダニが発生する原因は?健康への被害や対策についても解説
旧車の再生と維持 2022.10.12

車にダニが発生する原因は?健康への被害や対策についても解説

車にダニが発生する原因についてご存知の方は少ないのではないでしょうか。ダニといえば寝具に多く生息するというイメージを持つ方が多いでしょう。しかし、寝具よりも車の方がダニが多く発生するケースもあり、健康への被害も気になるところです。今回は車にダニが発生する原因や健康への影響、車のダニ対策について解説します。車のダニの発生に不安を持つ人は参考にしてください。 車にダニが発生する原因 車にダニが発生する原因は、「人のフケや髪の毛」「食べかす」「花粉」などです。これらはダニにとって格好のエサとなり、温度(20〜30℃)や湿度(70%以上)の条件を満たすことで大繁殖する可能性があります。 ダニはどこにでも生息しています。新車であっても衣服やペットに付着して入り込むので、侵入を完全に防ぐことは難しいでしょう。繁殖すると健康被害をもたらす可能性が高いため、普段から対策が必要です。 車のダニによる健康への影響 車のダニによる健康への影響は、ぜんそくやアトピーなどのアレルギーや刺されることによるかゆみです。車の中で特に発生しやすいのは以下の3種類のダニで、それぞれに特徴が異なります。 ・チリダニ………0.2〜0.5㎜の大きさで乳白色。生きている間は人に被害を与えません。死骸やフンがぜんそくやアトピーなどのアレルギー症状の原因となります。 ・ツメダニ………0.3〜1㎜の大きさで薄黄からオレンジ色。チリダニをエサとして侵入し、人の柔らかい皮膚部分を刺して強いかゆみを引き起こします。 ・タカラダニ………1〜2.7㎜の大きさで赤色。コンクリートに生息して花粉をエサにします。人に健康被害は与えませんが、その見た目から不快な気分になる方もいます。 それでは、車に発生するダニによる健康への影響について詳しく解説します。 吸い込むことによるアレルギー反応 「ダニの死骸」「フン」「抜け殻」などを吸い込むことでアレルギー反応が起きる場合があります。これらはダニアレルゲンと呼ばれ、許容量を超えて接触や吸引するとアレルギーやぜんそくを引き起こします。一度発症すると症状が数年も続く場合もあるため、単なるダニアレルギーと思って油断してはいけません。 刺されることによる患部の腫れ 主にツメダニが皮膚を指すことで腫れを引き起こします。また、強いかゆみも現れますが、かきむしると水ぶくれが起きたり周囲に広がったりするため、なるべくかかないようにしましょう。症状は7〜10日程度も続くため、生活に支障をきたす恐れもあります。なるべく早く皮膚科を受診して、適切な治療を受けてください。 車のダニが発生しやすい箇所 車のダニが発生しやすい箇所は、エサがあり湿度が高く暗い場所です。座席シートやフロアマットの下、エアコンが最も繁殖しやすい場所といえます。 ・座席シート………人の体温でシートが蒸れやすく、付着している皮脂や髪の毛などがダニのエサになります。光が当たる表面よりも内部に潜みやすい。 ・フロアマットの下………ダニのエサである人の髪の毛や食べかすが溜まりやすい。 ・エアコン………カーエアコンの内部にエバポレーターという装置があり、結露により湿気が溜まりやすい。 車のダニ対策 続いて、車のダニ対策について解説します。車のダニ対策に不安を持つ人は参考にしてください。 こまめに掃除する こまめに掃除することでダニのエサを除去します。エサがなくなるとダニも減り、死骸やフンの除去もできるのでアレルギー対策としても有効です。吸引力の高いハンディクリーナーで定期的に掃除するだけで高い効果があります。 空気を入れ換える ダニは湿度の高い場所を好むため、湿度を下げる(55%以下ならダニの大半は死滅する)必要があります。窓を開けて空気を入れ換えることが効果的で、梅雨や害虫の侵入が気になる時期は車用の除湿剤を使用するのもおすすめです。 ダニ対策グッズを使う ダニ対策グッズを使うことも効果的です。ダニ用の殺虫剤や予防スプレー、捕獲シートなど専用のグッズが市販されており、カー用品店やネットショッピングで気軽に購入できます。ただし、家庭用の燻煙薬は車で使用すると殺虫成分が残留し、人体への悪影響が懸念されるので控えましょう。

旧車のエンジンがかからない原因は?よくある不具合や対処法についても解説
旧車の再生と維持 2022.10.05

旧車のエンジンがかからない原因は?よくある不具合や対処法についても解説

旧車のエンジンがかからない場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。これまでに旧車のエンジンがかからなかったことがない場合でも、知識として持っておくと万一の際に焦らずに対処できるでしょう。今回は旧車のエンジンがかからない場合の原因や対処法について解説します。旧車を所有している方や購入を検討中の方は参考にしてください。 旧車のエンジンがかからない場合に考えられる原因 旧車のエンジンがかからない場合に考えられる原因はさまざまです。代表的な原因について解説します。 セルモーターの不具合 セルモーターは、エンジンを始動するための重要なパーツです。平均的な寿命は10〜15万km程度で、エンジンの始動やアイドリングストップを過度に繰り返すと寿命が縮まるので注意しましょう。バッテリーが上がっていないのにセルモーターが作動しなければ、セルモーターが原因である可能性が高いといえます。 ヒューズの断線が原因 ヒューズは、電気系統に過度な電流が流れないように断線する仕組みになっています。電装品に限らず、エンジンを始動するためのヒューズが断線しているとエンジンはかかりません。旧車の場合はすぐに手に入らない可能性もあるので、予備のヒューズをストックしておくようにしましょう。 オルタネーターの不具合 オルタネーターとは、発電機の役割を果たしているパーツです。オルタネーターが故障すると、電気が作れずにバッテリーの充電ができなくなります。バッテリーを交換したのにすぐに上がってしまう場合は、オルタネーターが原因の可能性が高いでしょう。平均的な寿命は20〜30万kmのため、中古車であっても走行距離が短ければ関係がないと思うかもしれません。しかし、中古車を購入する時点でオルタネーターが古いものに交換されていることもあるので、購入時にチェックが必要です。 エンジンのかぶり 旧車でもキャブレターを採用しているエンジンは、始動時に「かぶる」という現象が起きることがあります。この「かぶる」という現象は、燃料が必要以上に供給されることでプラグが濡れてしまう状態です。ひどい状態になるとプラグの交換や乾燥が必要となり、エンジンの再始動に大きな労力がかかることになります。電子制御燃料噴射装置式の車でも、アクセルペダルを踏んだままセルモーターを回すと同様のかぶりが起こる可能性があるので注意しましょう。 エンジン自体の故障 エンジンは耐久性の高いパーツです。ただし、オイルの交換や燃焼による減少対策を怠るとエンジンに大きな負荷がかかり故障します。エンジンオイルは潤滑、冷却、密閉、洗浄、防錆という5つの役割を果たしているので、最悪の場合はエンジン自体の交換が必要になるケースもあると考えましょう。 電圧不足が原因 電圧不足でもエンジンがかからない場合があります。いわゆる電圧降下(ドロップ)という現象で、電気を送る線の不具合で電圧が末端になるに従って低くなりエンジントラブルが生じることです。他にもヒューズが錆びていたり、バッテリーやオルタネーターの寿命や不調が原因となることもあるので、定期的な電圧チェックは欠かさないようにしましょう。 社外パーツが原因 旧車のパーツは確保が難しい場合が多く、不具合が生じた際に適応する社外パーツに取り換えられていることがあります。しかし、適合するとはいっても純正や推奨パーツとは異なるものを代替えとしているケースもあり、突然の不具合に見舞われてエンジンがかからなくなることもあるので注意が必要です。 旧車のエンジンがかからない場合の対処法 続いて、旧車のエンジンがかからない場合の対処法について解説します。 セルモーターの不具合 セルモーターに不具合が起きている場合は交換が必要です。新品のセルモーターへ交換すると3~5万円程度の費用がかかります。旧車はすぐにセルモーターを確保できないこともあるので、始動音に違和感を感じたらすぐに業者へ相談するとよいでしょう。 ヒューズの断線 断線したヒューズを自力で元に戻すことは難しいため、通常は交換が必要です。ヒューズの断線に早く気づけるように、サビがないかなどのチェックをこまめに行いましょう。カー用品店などに在庫のない品番もあるので、普段からストックしておき車に積んでおくことをおすすめします。 オルタネーターの不具合 オルタネーターの不具合は交換修理が必要となります。一般的な中古車店で購入した旧車の場合は、純正のオルタネーターかどうかの見分けもつかないので信頼できる専門店で購入する方が安心といえます。交換費用は5~10万円程度かかり、部品がなければ調達できるまでエンジンをかけることはできません。 エンジンのかぶり キャブレター式の場合はチョークの調整に失敗したり、チョークレバーの戻し忘れが原因のことが大半といえます。特に寒い日は始動時にチョーク調整に細心の注意を払う必要があるので、マニュアル通りの始動を心がけるようにしましょう。旧車はマニュアルが備わっていないことも多く、専門店で購入する場合は納車時に説明してもらえるのでしっかりと理解しておく必要があります。 エンジン自体の故障 エンジンの故障については、経年劣化するパーツの定期的な交換や日常的な点検をしっかりと行うことで回避できるケースも多いでしょう。特に重要なのがオイルやラジエターの水が正常に循環するかどうかなので、汚れやレベルゲージ、ラバーホース類の破れがないかなどに注意しましょう。 中古車で購入する場合、専門店でレストアされてエンジンの分解洗浄が行われている車はひとまず安心できるといえるでしょう。しかし、一般的な中古車販売店で現状渡しの車を購入した場合は、旧車に詳しい修理工場で細部まで点検してもらうことをおすすめします。エンジンの交換となると数十万~数百万円の費用負担が発生し、乗せ換え用のエンジンがなければ廃車することになるかもしれません。 電圧不足が原因の場合の対処法 電圧不足でエンジンがかからないケースが旧車では非常に多いといえます。まず、日常的な予防策として過度に電装品を取り付けないようにし、電圧のチェックをこまめに行うようにしましょう。電圧チェックについては市販されているオルタネーターチェッカーやクランプメーター、車内で電圧を確認できるシガーソケット用やバッテリーに直接接続できる電圧計もあるので導入を検討されてみてはいかがでしょうか。 電圧不足によりエンジンがかからない場合の対処法は、原因を究明して必要に応じてパーツ交換することです。リレー回路や配線に問題がある場合は、専門店に修理依頼して交換してもらうようにしましょう。テスターで原因箇所がみつかっても代替パーツを要することもあるので専門家に任せる方が無難といえます。 社外パーツが原因 社外パーツが原因でエンジンがかからない場合も、多くはパーツを交換することで不具合が解消します。ただし、納車後の不要なトラブルや走行時のリスクを考えると、やはり専門店で車を購入してアフターケアをお願いした方がいいでしょう。専門店によっては車に使われている社外パーツの箇所や特性を理解しており、交換用パーツもストックしているケースがあるので万一の際も安心です。 旧車のエンジンがかからなくなる場合は買い換えるべき? 旧車のエンジンがかからなくなった場合でも、比較的簡単な処置で直るケースがあります。重要なのは「エンジンがかからなくなったのか原因を知ること」「どの程度の費用負担が必要なのかを確認すること」「再発しないように直せるのか確認すること」の3つです。 修理費用や維持費の面で買い換えを検討することもあるかと思います。しかし、旧車のエンジンがかからなくなるというのは年式を考えれば当然のことでもあり、原因や解決策を理解した上で総合的に判断するのがいいでしょう。まずは専門店に相談することをおすすめします。

雪国で車が錆びやすい理由は?サビの除去や車を錆びさせない方法についても解説
旧車の再生と維持 2022.09.30

雪国で車が錆びやすい理由は?サビの除去や車を錆びさせない方法についても解説

雪国で使用されている車が錆びやすいのをご存知の方も多いでしょう。今回はなぜ雪国では車が錆びやすいのか、サビの除去方法や錆びさせない方法について解説します。雪国への転居を予定している方やウィンターレジャーで車を運転する方は参考にしてください。 雪国で車が錆びやすい理由 雪国で車が錆びやすい理由は、融雪剤(凍結防止剤)が道路に散布されているからです。道路で使用されている融雪剤は塩化ナトリウムや塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどが主に使用されています。この融雪剤が車の金属パーツ、特に下回り部分にサビや腐食を発生させる塩害の原因といえるでしょう。 融雪剤は雪を融かすために道路に撒かれます。この融雪剤による雪解け水が道路に溜まり、走行した車のボディに塩分が付着し停滞することでサビが発生するのです。融雪剤が付着したまま放置されている車は、知らない間に下回り部分にサビが発生して広がるので対策が必須といえます。 サビは一度発生すると広がり、車の寿命を縮めます。また、塩化カルシウムは水に溶けると発熱し車の塗装面にシミを発生させる原因となるので、車の外観にダメージを負う可能性も考慮しなければなりません。中古車として売却するときの査定にも影響するので注意が必要です。 雪国特有の理由によるサビの除去方法 雪国特有の理由によるサビの除去方法は、サンドペーパーで削るかサビ取りクリームを使用します。サビが小さい場合はサビ取りクリームだけでも除去が可能です。しかし、面積が大きくなるとサンドペーパーで削り落としてサビ取りクリームを併用する必要があります。サビがきれいに取れたらタッチペンやスプレーで再塗装して傷を保護しましょう。 サビは一度発生すると広がるので早めの処置が必要です。毎回業者に施工を依頼するのはコスト的にも難しいのでDIYによるサビの除去方法となり、仕上がり的にはあまり良い方法とはいえません。しかし、放置しておくと確実に車の寿命を縮め、最悪の場合は重要なパーツに穴が開き走行時の大きなトラブルに発展する可能性もあるので必ず対策しましょう。 雪国で車を錆びさせない方法 雪国で車を錆びさせない方法は、こまめに車の下回りを中心に洗浄することです。コイン洗車場やガソリンスタンドの洗車機で「下部洗浄」のオプションを利用したり、家庭で高圧洗浄機を用いて融雪剤の塩分を洗い流すことを意識しましょう。融雪剤が含まれた雪解け水は雨や道路清掃車(散水車)が洗い流すまで残るため、春先まではこまめに洗浄することをおすすめします。 雪国に住む人が新車購入時に利用することの多い塩害ガード(アンダーコート)も有効です。防錆塗装という本格的なサビ予防サービスで、車を手放す際のリセールバリューにも影響します。DIYで車用の防錆スプレーを使うことは、車をリフトアップして下部全体に塗布漏れがないように行うという点であまり現実的ではありません。雪国に長期滞在や定住する方にはアンダーコートがおすすめといえるでしょう。 車検ごとに行うシャーシブラックの施工で十分と思う方も多いかもしれません。しかし、シャーシブラックは塗膜が薄く剝がれやすいので、塩害とは無縁の地域で小傷からのサビを抑制するレベルといえます。アンダーコートは厚い塗膜となるため防錆効果が大幅に向上します。ただし、アンダーコートも車の下回りを擦ると塗膜が剥がれるので定期的な点検や塗り直しは必要です。 また、ホイールについても融雪剤の影響を受けやすく、表面に腐食やサビが発生するだけではなくセンターハブ部分のサビに発展する可能性もあります。洗浄時にはホイールのセンターハブや同じく錆びやすいディスクブレーキ部分も念入りに洗浄しましょう。スタッドレスタイヤ用に塩害対策塗装が施されたアルミホイールを装着することもおすすめです。

キャブ車における点火タイミングって何? 点火タイミングについて徹底解説します。
旧車の再生と維持 2022.09.29

キャブ車における点火タイミングって何? 点火タイミングについて徹底解説します。

キャブ車における点火タイミングとは、スパークプラグに電気火花を発生させ、混合気に火をつけるタイミングのことです。一般的にクランク角度で表します。さらに点火タイミングはエンジン回転数とスロットルバルブ開度の2つの要因によって調整されます。今回は4気筒エンジンをベースにキャブ車の点火タイミングについて解説します。 キャブ車の接点式点火タイミングとは 接点式点火装置における点火タイミングとは、配電器であるディストリビューター内で行われます。ディストリビューターは以下で構成されています。 ・イグニションコイルの一次電流を断続して二次コイルに高電圧発生させる断続部・イグニションコイルの二次電圧を点火順序に従ってスパークプラグに配電する配電部・エンジンの回転速度や付加に応じて点火時期を最適に調整する進角部・ディストリビューターを駆動させる駆動部まず点火を行う断続部です。回転する金属カム、ブレーカー・アーム(可動部)ポイント・サポート(固定部)、ブレーカー・プレートで構成されています。金属カムがブレーカー・アームのヒール部を開閉する時の回転角度と接点(コンタクト・ポイント)のすき間が重要になります。 回転角度はドエルアングルと呼ばれ、一次電流の流れている時間を左右します。この角度が適切でないと二次電圧に影響します。 ドエルアングルが小さいと高速回転時に一時電流の立ち上がりが遅くなり、二次電圧が低下します。逆にドエルアングルが大きいとポイントが閉じている時間が長くなり、一次電流が大きくなってエンジンの高速回転時の二次電圧は上がりますが、低速回転時にはポイントに火花発生して一次電流の遮断が悪くなり二次電圧が低下します。 つまりドエルアングルが小さいと高速回転域では力がなく、ドエルアングルが大きいとアイドル回転時や低速回転域で馬力不足になります。 接点(コンタクト・ポイント)のギャップが重要で、一般的に0.4mm〜0.5mmの間隙で調整します。ギャップが広いと一次電流の通電時間が短く、二次電圧が低くなり、ギャップが狭いとポイント間で火花が発生し、低回転時に一次電流の切れが悪くなって二次電圧が低下します。ドエルアングルと接点のギャップと同じようなフィーリングがでますが、原因は異なります。 キャブ車の点火タイミングに必要な作業手順 まず車の状態を調べる必要があります。 ①入庫時に点火タイミングを調べる できればドエルアングルテスターを用いてドエルアングルも調べます。点検方法ではタイミングライトを使用します。進角度がどのくらい進んでいるのか、遅れているのか確認します。メーカーの設定基準から外れている場合は調整が必要です。 ②燃料のオクタン価が正しいか確認する ハイオク仕様のエンジンにレギュラーガソリンが供給されていないか確認します。オクタン価が低い場合、正しい点火タイミングに調整してもノッキングあるいはデトネーション(異常燃焼)の原因となりエンジンの破損に繋がります。 ③ポイントのすき間を測定する ポイントは遮断と通電を繰り返していく過程で焼損し、消耗してゆくので調整前に必ず隙間を測定します。長年使用していると表面が焼損し、通電不良となります。  キャブ車の点火タイミングの調整が必要な理由 ディストリビューター内にあるブレーカー・ポイントが消耗するため、走行距離や負荷に応じて調整する必要があります。ブレーカー・ポイントが消耗する箇所は2つです。1つは電気を遮断・通電するポイントが焼損するため消耗します。 もう1つはブレーカー・ポイントを開閉するブレーカー・アームにあるヒールと呼ばれる部分です。ヒールは駆動部である金属カムと接しているため摩耗してゆき、ブレーカー・アームの開き方が小さくなります。ポイントの開く隙間が小さくなることで一次電流の立ち上がりが遅くなり二次電圧の立ち上がりが悪くなるため、緩やかにエンジンの調子が悪くなってゆきます。 キャブ車の点火タイミングの調整方法 ①ブレーカー・ポイントのギャップを調整する エンジンが停止している状態でクランクを工具で回転させ、1番気筒の点火時期に合わせます。接点(コンタクト・ポイント)のすき間を測定し、ブレーカー・アームを固定しているネジをゆるめて0.4mm〜0.5mmに隙間を調整します。 ②ディストリビューターを組み立て、タイミングを測定する エンジンを始動してタイミングライトを用いてアイドル回転の進角度がサービスデータの規定値にあるか目視します。エンジンの回転数を上げ、進角が変化するか確認します。 ブレーカー・ポイントを新品に交換した際はブレーカー・アームのヒール部が初期摩耗するので15km〜20kmほど走った後、もう一度ブレーカー・ポイントのギャップを点検する。 ③ブレーカー・ポイントのギャップが適正でも進角が合わない場合はディストリビューター本体の取り付け角度を調整する ギャップが適正かつ進角装置がきちんと働いている場合は、ディストリビューター本体を固定しているネジを緩めアイドル回転数での規定範囲に調整します。 キャブ車の点火タイミングのメンテナンスを怠るとどうなる? 前述した通り、徐々に点火タイミングは狂ってきます。ポイントの焼損とブレーカー・アームのヒール部の摩耗によりイグニションコイルの一次電流の立ち上がりが悪くなり、二次電圧の出力が低くなります。スパークプラグへの供給電圧が低くなるため、良い電気火花が飛ばなくなりプラグ先端がくすぶる原因になります。さらに放置しておくと失火という事になります。

車の色は変えられる?車の色を変える方法とメリット・デメリットを解説
旧車の再生と維持 2022.09.26

車の色は変えられる?車の色を変える方法とメリット・デメリットを解説

長く乗り続けている車に飽きてしまったり経年劣化による退色が気になったりした場合は、車の色を変えてみるのも方法の1つです。色を変えることで、退色や傷、汚れのない綺麗なボディへと改善できます。また、車の雰囲気も変わるため、新鮮な気持ちで車に乗れるようになるでしょう。本記事では車の色を変える方法とそのメリット・デメリット、注意点などについて詳しく解説します。 車の色を変える方法 車の色を変える方法には、業者に依頼する方法と、DIYとして自分で塗り替える方法があります。業者に依頼する場合は、依頼先によって費用や仕上がりが異なります。それぞれ詳しく解説します。 ディーラーに依頼する 車の塗装はどこのディーラーでも引き受けてくれます。ただし自社工場ではなく、外注されるケースがほとんどでしょう。外注先は各ディーラーが連携している近隣の板金塗装業者になることが多いです。技術レベルは仕上がりにも影響するので、ディーラーに外注先の技術レベルについて、十分に確認するとよいでしょう。 板金塗装業者に依頼する 実際に塗装する業者と直接話せる点で安心できます。ただし、値段や技術レベルはピンキリのため、依頼先は慎重に選びましょう。知人に良い業者を紹介してもらったり、ネットの口コミを参考にしたりしてみてください。 DIYする 車の塗装はDIYでも行えます。スプレー缶タイプの塗料を使うのが良いでしょう。ただし、費用は低く抑えられますが手間はかかります。また、塗装を綺麗に仕上げるためには、下地処理、マスキング、重ね塗り、耐水ペーパーでの磨き作業、クリア塗料の重ね塗りなど複数の工程が必要です。粘り強く作業できる方以外は、避けた方が無難でしょう。 車の色を変える際にかかる費用の目安 車の色を変えるための費用は、車のボディサイズ、塗装の種類によって異なります。最も安価な単色ソリッド塗装の平均相場は以下が目安です。 ・軽自動車やコンパクトカー:15~20万円程度 ・ワンボックスカーや大型のSUV:25万円程度 メタリック塗装、マイカ塗装、パール塗装といった塗料になれば、値段も高くなります。複数の業者から見積もりを入手して検討しましょう。 車の色を変えるのにかかる期間の目安 車の塗装はまず、塗装しない部分のマスキングや部品の取り外し作業、塗料の密着をよくするための磨き作業、そして複数回の重ね塗りを行います。期間は概ね3週間から1ヶ月程度かかるものだと考えておきましょう。作業中に代車を貸してくれる業者もあります。事前によく確認しましょう。 車の色を変える際の注意点 車の色を変えることによって、退色による劣化やキズなども綺麗になる反面、期待通りの仕上がりにならないかもしれません。さらに査定額に影響するなどのデメリットが生じる場合もあります。 業者の技術次第で仕上がりが異なる 塗装は下地処理が丁寧にできているか?均一な厚みで重ね塗りができているか?など、業者の技術によって仕上がりに差が生じてきます。依頼する業者が十分な技術と実績を備えているのかについて事前に十分に確認しましょう。 塗装の種類によって仕上がりが異なる 自動車車用の塗料には、複数の種類があります。最も安価なソリッド塗装からきらめきがあるメタリック塗装、マイカ塗装、真珠のようなきらめきがあるパール塗装などが知られています。さらに見る角度によって色が変化するマギューラ塗装、透き通った輝きがあるキャンディ塗装、コーティング効果のあるクリア塗装などもあります。 単純に色のイメージだけでなく、光沢やきらめきなどの違いについても、サンプルなどで十分に確認しましょう。 売却時の査定に悪影響が及ぶ場合がある 色を変えた車の場合、売却時の査定額に悪影響が及ぶ場合があります。塗装は一般的に、車の製造時の品質が高く、塗り替えによる品質は製造時のレベルに及ばないことが多いからです。さらに人気のない色にしてしまうと、需要がなくて買い手がつかない場合もあります。 フルラッピングで車の色を一時的に変える方法もある ここまでは車の色を変えるために塗装する方法をお伝えしてきましたが、フルラッピングという方法もあります。車全体を、色付きのフィルムで覆ってしまう方法です。フィルムを剥がせば元の塗装色になるので、売却時の査定への影響もありません。ただし耐久年数が2~3年程度と短く、塗装よりも割高になる場合もあります。洗車機の高回転ブラシでキズついたり破れてしまったり、高圧洗浄で剥がれてしまうかもしれません。ご自身の目的にあった方法を選びましょう。

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