旧車と名車が甦るメディア
査定を依頼する(無料)

28年ワンオーナー、4人家族の中に トヨタ RAV4 L Ⅴ(1995)

目次
1.■子供のころからずっと一緒。家族とともに歩む28年

愛されるクルマとはなんだろう───。

オーナーによって接し方はさまざまだ。

空調付きのインナーガレージで日々眺め、週末のドライブを楽しむ人。

はたまたSNSで写真を日々アップロードする人。

生涯でも大きな買い物といえるクルマだからこそ、天塩にかけて愛でたくなる気持ちも大きくなることだろう。

先日、筆者は15年落ちのファミリーカーを購入した。

手元に来たら一度しっかり洗車をしたくなる筆者なのだが、購入したクルマのシートレールの隙間から年代ものの“アイカツ”カードが出てきた。

他にもヘアピンや小さなお菓子のパッケージなどなど、「小さな子どもと家族」の痕跡が至るところから発掘され、そのクルマが家族の愛のなかで存在していたことに思いを馳せた。

▲94年に発売された初代トヨタ・RAV4。1年後に追加された5ドア版がRAV4 Ⅴ(ファイブ)だ

同じ公道を走るクルマといえど、スーパーカーとファミリーカーでは住む世界が違う…のかもしれないが、それぞれの人と機械の関係性。

過ごした時間から来る思い入れや感情にはそれぞれのストーリーがあるはずだ。

今回紹介するクルマも、20年以上前は街中でよくすれ違ったファミリーカーだ。

しかし、今になってみれば年に何回すれ違うだろうか、といった具合。

それもワンオーナーカーともなれば、その個体と重ねた経験の数々は計り知れない。

オーナーと家族の物語。そんな視点で紐解いてみようと思う。

reasons_to_choose_qshaoh

contact_button

reasons_to_choose_qshaoh

contact_button

■子供のころからずっと一緒。家族とともに歩む28年

「自分が2歳の頃我が家にやってきたんです。父がこのクルマの前に乗ってたCAアコードとの別れが非常に寂しかったことすらいまだに覚えていますね〜!」

笑ってそう話すのは平久江さん、今年30歳になる温和な青年だ。

普段ならそのクルマのオーナーさんにスポットを当てるが、このクルマの持ち主は彼のお父様である。

1994年に登場したトヨタ・RAV4。

それから1年遅れの1995年に追加で登場するのが5ドア版のRAV4” L”と”J” Ⅴ(ファイブ)だ。

平久江少年が2歳だった頃やってきたRAV4だったが、本来はSUVタイプのクルマが欲しかったわけではなかったという。

「天井のライナーが落ちてきたCAアコードに憤りを覚えた父は、当時別のクルマをオーダーしにトヨタのカローラ店へと足を運んだそうです。そこでディーラーの方におすすめされたのがRAV4 L Vでした。当時はまだ発売前だったこともあり、RAV4にはまったく興味のなかった父でしたが”家族4人で乗るならば…”と、購入を決めたらしいですね」

ショールームにあったRAV4も平久江家と同じライトアクアメタリックオパールだったそう。

シルバーやダークブルーといった個体が多かったRAV4だが、なぜこの色を選んだのであろうか。

▲ボデーカラーはライトアクアメタリックオパール。RAV4 Ⅴの専用色だ

「父が石などに興味があり、色の名称と見た目の雰囲気に一目惚れしたそうです。まだRAV4を街中でよく見かけた当時から珍しい色で、同じ色の個体とすれ違うと家族でちょっとした話題になっていたのが思い出深いです」

まさに新車オーダーならではのエピソードだ。注文時からのこだわりは他にも続く。

「ディーラーの方から新車時にしかつけられない装備がありますよ!といわれ、メーカーオプションでさまざまなものが取り付けられています。今となっては珍しい装備ではあるのですが、ほとんど使用しているのを見たことがないムーンルーフなど…本当に必要だったのか?と思ってしまったりしています(笑)」

▲「父が使っているのは数回ほど」というムーンルーフは工場出荷時のオプション。息子氏は便利でよくチルトアップして利用するようだ

ときどき中古車市場で流通するレアなオプションが装備されている旧型の中古車たちにも、注文時にはこんなエピソードがあったのかもしれない。

ただ、それらの話を30年近く経過した今、実際の愛車を前に伺えるのはこういったメディアの前にでも出てこない限りかなり稀有なことではないだろうか。

ところで、平久江家ではなぜ28年もの間、RAV4は愛され続けたのだろうか。

「単純にこのクルマであらゆることに不足しないからなんです。我が家の車庫事情が5ナンバーサイズまでというのもありますが、家族4人で乗車して荷物を積んでも窮屈さを感じません。免許を取得してからは僕もよくこのクルマを使わせてもらっているのですが、このサイズ感は自分でも気に入っています。今のRAV4もすっごくカッコいいと思っています!」

▲インテリアもトヨタらしい質実剛健なデザインだが、それまでのクロカン系車種の無骨なデザインではなく、同社のセダンなどからも遠くない上質なものだ

最近では街中で走っていると、後方についた現行のRAV4ユーザーが驚きの顔で「これがRAV4?」と話しているかのようなシーンとも何度か遭遇することもあったとか。

確かにラギットに進化した近年のRAV4とはキャラクター自体も異なっているように感じるが、タウンユースもアウトドアユースも気軽、かつアクティブに一台でこなせる姿は過去から現代まで続くキャラクターといえよう。

車体の全長は4105mm、全幅は現行のトヨタ・ライズと同じで1695mmの5ナンバーサイズだ。

ラウンディッシュなボデーの造形は抑揚があり、当時のトヨタデザインらしい艶やかさも魅力だ。

販売店チャンネル違いで販売されたRAV4の”J”と”L”。

Jは当時のオート店向けでLはカローラ店向け。

Lのグリルは格子状になっているのが特徴のひとつだ。

▲3S-FEはタフな名機だ。スポーツカーなどにも搭載されているが、イプサムなど海外でも評価が高い

エンジンは名機3S-FE。

2リッター、135psは必要にして十分。

何よりその高い耐久性は、海外に中古車として輸出されていった同エンジン搭載車が今でもかなりの台数走り回っていることを考えると自ずと頷けてしまう。

メーカーでの装着オプション以外にカスタムされた点は少なく、ナンバープレートも新車当時のまま。

猫可愛がりされているガレージ保管の車両ともまた趣が異なり、28年間のありのままの姿が逞しく見える。

例えば、車内の携帯電話の充電器やクッション類すらもこのクルマの歴史を物語る痕跡だ。

少年時代の平久江氏とはどんな思い出を紡いできたのだろう。

「自分の子供時代はキャンプや潮干狩りに連れていってもらった記憶がありますね。そういった思い出補正的に特別な感情があります。今は自分もクルマが大好きで、自動車にまつわるイベントを開催する側にもなったほどです。そのうえで感じるのは、新車から長い間一台のクルマを感じられることはなんて恵まれた環境なんだろうと思っていますね」

▲カンガルーバーはオプション。フォグランプガードがアウトドアライクなデザインは現代にも通ずるものだ

生涯、何台のクルマに気持ちを揺すぶられることだろう。

そのクルマと生活を共にして思い出が作れたならば愛車家としてはこの上ない。

そしてこのRAV4も平久江さんにとって格別な存在であることだろう。

今後、このクルマとどんな風に時を過ごしていきたいか最後に伺ってみることにした。

「今は所有者である父親が免許を返納するまで、なんとか無事な状態で生き残って欲しいと思っています(笑)。ここまできたらRAV4は手放さないつもりでいて、ある意味責任といいますか、できるだけ長く所有できればと思っていますね!」

クルマと家族の物語。幼い頃より共に暮らし育ち、育てられてきた存在。

大きくなった平久江さんはRAV4のシフトノブを握り西へ東へと今日も行く。

愛されるクルマとはなんだろう───。

その答えはやはり千差万別であるのだが、少なくとも平久江家のRAV4はそこかしこにエピソードが宿る。

そんなクルマはやはり”愛車”と呼ばれるのに相応しい気がしたのだ。[ライター・撮影/TUNA]

 

画像1 画像2 画像3 画像4 画像5 画像6 画像7 画像8 画像9
画像ギャラリー(全9枚)を見る
この記事に誤りや気になる点がありましたら、お手数ですが、こちらのフォームからお知らせください。ご協力ありがとうございます。

この記事をシェアする

旧車王マガジンは
旧車王
が運営しています

旧車王は、「買取は10年以上の旧車だけ」というコンセプトのもと、旧車・クラシックカーに特化して25年、 累積15,000台以上を買取させていただいております。改造車から希少車まで、適正価格を見極めて買取させていただきます。弊社所属の鑑定士が最短当日で全国無料出張査定いたします。ご契約後の買取額の減額や不当なキャンセル料を請求する二重査定は一切ありません。特別なそして価値ある希少車の買取こそ、確かなノウハウと実績を持つ旧車王にお任せください!

すぐ査定依頼が可能!

Web査定申込はこちら

まずは車について気軽に相談したい

LINEで売却相談する

関連する記事

2025年5月に2代目RAV4が25年ルール解禁!今後値上がりする?

2025年5月に2代目RAV4が25年ルール解禁!今後値上がりする?

旧車の売買と鑑定市場 2025.04.11
鳥のフンで車の塗装が剥がれ場合の対応ガイド!予防策まで解説

鳥のフンで車の塗装が剥がれ場合の対応ガイド!予防策まで解説

旧車の魅力と知識 2025.12.19
車のノッキング音は危険?修理の必要性や予防法について解説

車のノッキング音は危険?修理の必要性や予防法について解説

旧車の魅力と知識 2025.12.19
人生の半分の時間をともにした愛車「2000年式トヨタ チェイサー ツアラーV(JZX100型)」との出会い。そして別れを考える

人生の半分の時間をともにした愛車「2000年式トヨタ チェイサー ツアラーV(JZX100型)」との出会い。そして別れを考える

旧車の愛好家たち 2025.12.05
クルマのドアからの雨漏り放置は事故につながる?原因と対処法を解説

クルマのドアからの雨漏り放置は事故につながる?原因と対処法を解説

旧車の魅力と知識 2025.12.04
キューブが25年ルール解禁!今後値上がりする?

キューブが25年ルール解禁!今後値上がりする?

旧車の売買と鑑定市場 2025.12.03
車の事故修理は保険と自費どちらが得?保険料・等級への影響を解説

車の事故修理は保険と自費どちらが得?保険料・等級への影響を解説

旧車の魅力と知識 2025.12.02
2025年1月にサニー(B15型)が25年ルール解禁!今後値上がりする?

2025年1月にサニー(B15型)が25年ルール解禁!今後値上がりする?

旧車の売買と鑑定市場 2025.11.26

記事ランキング

1
キューブが25年ルール解禁!今後値上がりする?

キューブが25年ルール解禁!今後値上がりする?

旧車の売買と鑑定市場 2025.12.03
2
MT車(マニュアル車)の運転方法とは?発進・停止・ギアチェンジ・坂道発進のコツを解説

MT車(マニュアル車)の運転方法とは?発進・停止・ギアチェンジ・坂道発進のコツを解説

旧車の魅力と知識 2024.04.19
3
マイナ免許証に変わって感じるデメリットとは?従来にはないメリットも

マイナ免許証に変わって感じるデメリットとは?従来にはないメリットも

旧車の魅力と知識 2025.03.25
4
固着したネジでも諦めないで!回らないネジの緩め方アラカルト

固着したネジでも諦めないで!回らないネジの緩め方アラカルト

旧車の再生と維持 2023.09.12
5
車のアンダーカバーが壊れた!修理費用はどのくらい?

車のアンダーカバーが壊れた!修理費用はどのくらい?

旧車の再生と維持 2023.10.18
6
クルマの名義変更の費用はいくら?自分で手続きする場合&代行料も解説

クルマの名義変更の費用はいくら?自分で手続きする場合&代行料も解説

旧車の魅力と知識 2022.09.12
7
車庫証明は本人じゃなくても取得できる!代理人による手続き方法を紹介

車庫証明は本人じゃなくても取得できる!代理人による手続き方法を紹介

旧車の売買と鑑定市場 2023.03.31
8
【13年・18年経過】自動車税種別割・重量税の早見表|乗り換えた方がよい理由も紹介

【13年・18年経過】自動車税種別割・重量税の早見表|乗り換えた方がよい理由も紹介

旧車の売買と鑑定市場 2024.07.29

カテゴリ一覧

# 旧車の魅力と知識 # 旧車の売買と鑑定市場 # 旧車の再生と維持 # 旧車のイベント # 旧車の愛好家たち