旧車で雪道を走行する際は、現代の車以上に対策を立てておくことが重要です。雪道は車にとって大きな負担になるため、十分な対策のないまま運転すると不具合のみならず事故にもつながりかねません。
一方で、乗ってこその車という観点で考えると、雪だからといって過度に心配をしてガレージに眠らせておくのはもったいないともいえます。
雪という特別な景色のなかで眺める旧車は、普段とは違って格別なものです。そこで、大切にしている旧車を守りつつも、雪道のドライブを楽しむための対策を詳しく紹介します。
旧車に特別な雪道対策が必要な理由
路面が滑りやすく気温の低い雪道は、通常の走行環境とは大きく異なります。特に設計の古い旧車では、現代の車以上に影響を受けることも少なくありません。
まずは、旧車で雪道対策をすべき理由を、4つの観点でみていきましょう。
車体の傷みが進行しやすい
一見きれいに見える雪ですが、大気中の多くの不純物を含んでいます。さらに、雨と違って車体に降り積もり、溶けるまで車体に付着し続けるため不純物の影響を受けやすいのです。
雪が降ると、とても車体が汚れるというのは実体験で実感している方も多いと思います。塗膜やゴムや樹脂パーツが劣化して弱い状態になっている旧車だと、酸性の不純物の影響で一気に傷みが進みかねません。
さらに雪道で旧車の大きな敵になるのが、凍結防止のために道路上にまかれている融雪剤です。融雪剤として使用されている塩化カルシウムは、車体に付着するとサビを進行させます。
設計が古いため雪で性能が低下しがち
車種にもよりますが、現代に比べて車体の基本設計が古い旧車で雪道を走ると、十分な走行安定性が得られないケースもあります。
前後重量配分やサスペンション、ブレーキといったクルマの安定性に直結する各部の性能が低いため、雪道だと挙動が不安定になりがちです。
また、気温低下によるエンジンへの影響も、旧車のほうがより顕著に出ます。エンジンは、ある程度の熱をもった状態で使用されることを前提に設計されているためです。雪が降る低温下では、エンジン本来の性能を発揮し切れません。
特に、設計が古く長年の使用でエンジン各部の摩耗や劣化が進んでいる旧車では、通常使用の温度から離れるほど性能の低下を招きやすいといえます。
電子デバイスがあまりない
年式にもよりますが、旧車には安定した走行をアシストしてくれる電子デバイスがあまり装備されていません。走行が不安定になりがちな雪道では、トラクションコントロールや横滑り防止装置、ABSといった電子制御の有無が安全性に直結します。
路面との摩擦が低くなるため、丁寧にアクセル操作をしないと車輪が空転してしまいますし、いつもどおりのブレーキングだとすぐにロックしてしまって危険です。旧車で雪道を走る際には、車輌状況を的確に掴んで繊細な操作が求められます。
事故や故障をすると補修部品が入手しにくい
修理の際の補修部品が入手しにくい点も、旧車オーナーが雪道を走るうえで意識しておくべきポイントです。滑りやすい路面では、どうしても事故のリスクが高まります。また、安全運転をしていても、もらい事故に遭わないとも限りません。
また、いつもとは違う温度環境での走行のため、思わぬ故障が発生することもあります。特に、弱いバッテリーを始めとする電気系統、ゴムや樹脂パーツは低温に弱い部分です。
絶対に押さえておきたい旧車の雪道対策
旧車で雪道を走行する際は、不調や故障、事故につながるリスクを最小限に抑えることが重要です。長年の使用によって各部の劣化は避けられないため、車に大きな負担のかかる雪道で無理をすると思わぬトラブルにつながりかねません。
雪道を走行するにあたって、必ず準備しておくべき対策を詳しく紹介します。
スタッドレスタイヤを履く
旧車に限ったことではありませんが、雪道を走行する際は最低限スタッドレスタイヤは装着しておきましょう。特に設計の古い旧車では、わずかな雪でも不安定になるおそれがあります。
また、スタッドレスタイヤを使用する際は、製造からの経過年数も重要なポイントです。ゴムが硬化して柔軟性を失うと、雪道でのグリップ性能が著しく低下します。十分にタイヤの溝が残っていても、3~5年を目安に交換してください。
チェーンを用意しておく
旧車で雪道を走る際は、チェーンも用意しておくことをおすすめします。スタッドレスタイヤは、雪上に水分がないと十分に能力を発揮できません。ABSやトラクションコントロールといった電子デバイスの備わっていない旧車では、現行車よりもさらに限界は低くなります。
水分のあまりない新雪や完全な凍結路を走行する際には、チェーンがないと危険です。また、2018年に導入された「チェーン規制」区間では、そもそもスタッドレスタイヤを履いていてもチェーンを装着しなければ法律上走行できません。
可能ならブレードごとワイパーを交換
劣化したワイパーを使用していると、雪の降る低温下では十分に窓を拭けないこともあります。十分な性能が発揮できないと、降雪時の視界確保ができず危険です。
また、ワイパーゴムを窓に押し付けるワイパーブレードが劣化していると、同様に十分な拭き取り性能を発揮できないおそれがあります。
旧車の場合は部品の調達が困難なケースもありますが、可能な限りワイパーゴムとブレードを合わせて新品に交換しておきましょう。自分の車種に合うモデルがあれば、雪用のワイパーを購入するのもおすすめです。
ヘッドライトを明るいものに変更
夜間に雪道を運転する可能性のある際は、ヘッドライトの交換も検討してください。多くの旧車で使用されるハロゲンランプは、時間の経過とともに明るさが失われていきます。雪によって光が乱反射や吸収をされてしまうと、いつも以上に暗く感じるため注意が必要です。
また、レンズ部分の劣化によっても光量が不足するため、可能な限り汚れやくすみを取り除くこともヘッドライトの明るさ確保につながります。さらに万全を期すのであれば、HIDやLEDといったハロゲンランプ以外の選択肢も検討してください。
十分な暖機運転をする
設計の古い旧車のエンジンでは、冷間時のオイルの循環に時間がかかるものも少なくありません。特に雪が降るほど寒い環境ではオイルの粘度が高くなるため、より時間がかかることもあります。
中でもキャブレター車は、低温時には燃料が十分に気化しません。ある程度エンジンを暖めて、アイドリングが安定してから走行を開始してください。
環境への影響もあるため過度に長い暖気は不要ですが、走行開始後もしばらくはエンジンに負荷をかけないことが重要です。しっかりと暖まっていない状態で急に高回転を使用すると、エンジンに大きな負荷がかかってしまいます。
暖気不足だけですぐに故障することはあまりないとはいえ、ダメージの蓄積によって致命傷を引き起こしかねません。寒い環境で運転する際は、いつも以上にエンジンをいたわる意識が大切です。
融雪剤(塩化カルシウム)は旧車の天敵
雪や凍結によるスリップの防止に大きな力を発揮する融雪剤ですが、旧車に大きなダメージを与える要因でもあります。また、実際に降雪していなくても融雪剤が使用されるケースもあるため、すべての旧車オーナーは融雪剤に対する対応が必要です。
融雪剤が車にダメージを与える理由と対策についてみていきましょう。
金属に付着するとサビが進行する
塩化カルシウムによってサビが進行しやすい理由は、強い吸湿性で水分を含んだまま乾きにくいためです。サビは、水と酸素が鉄に付着することで発生します。融雪剤によって長時間水分が鉄に付着し続けるため、一気にサビが進行するのです。
融雪剤によるダメージは旧車に限ったことではありませんが、経年劣化によって塗膜が弱くなっている旧車の場合はより顕著に影響が出ます。特に下回りやマフラー、ボルト・ナット類は被害を受けやすい箇所です。劣化した塗膜の隙間に入り込むと、腐食が進んでしまいます。
冬が来る前に塗装の状態をチェックしておく
冬が到来する前に、塗装に剥がれや傷みがないか入念に確認しておくことをおすすめします。冬になると、事故防止の目的で雪や凍結がなくても融雪剤が撒かれるケースが多くなるためです。たとえ雪道を走らなくても、融雪剤がボディに付着するとサビが進行します。
ボディ表面はもちろんですが、融雪剤が付着しやすい下回りも可能な限り塗装状態を確認してください。塗装が剥がれている場合は、シャーシブラックや防錆スプレーを塗布して保護しておきましょう。
雪道走行後は下回りを中心に洗車をする
雪道を走った後は、できるだけ早く洗車することが大切です。融雪剤が付着すると、わずか数日でもサビが進行するケースもあります。
特に下回り・ホイールハウス内、マフラー周辺は念入りに洗い流してください。寒い時期の洗車は億劫になりがちですが、大切な旧車を守るために雪道走行後は速やかに洗車をしましょう。
また、どうしても手洗い洗車が難しい場合は、洗車機の下回りメニューの活用でも構いません。少しでも車に付着する融雪剤を落として、サビの進行を食い止めることが重要です。また、洗車後は念入りな拭き上げをして、十分に乾燥させてください。
ポイントさえ押さえれば旧車でも冬を楽しめる(まとめ)
設計が新しく、さまざまな装備の整った現代の車に比べると、旧車が雪道に弱いのは事実です。
一方で、旧車の時代にも当然雪はあったため、しっかりとした準備やケアをすれば雪道でも問題なく走行できます。
冬景色のなかを疾走する愛車は、いつもとはまた違った雰囲気で魅力的です。雪道対策をしっかりと施して、ぜひ雪道のドライブを楽しんでください。
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