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糸井 賢一の記事一覧

憧れを諦めない不屈の心!欲しいクルマを手に入れた人たちに共通する特徴は?
旧車の売買と鑑定市場2023.10.25

憧れを諦めない不屈の心!欲しいクルマを手に入れた人たちに共通する特徴は?

私的な話になりますが、私、30年ほどライターと作家業で食っておりまして。 自動車に関わるライティングのご依頼をいただけるようになったのは、ここ5年ほど。 それまでは、主にゲームやゴルフといったジャンルで活動をしていました。 ライター仕事の多くは取材記事、うち半分くらいがインタビュー主体の記事でしょうか。 詳しく数えたことはないのですが、これまでに100人を超える方々にインタビューをお願いしました。 自動車関連の取材はもちろんですが、他ジャンルの取材でもクルマにまつわる話題が出てくることは多く、旧車やクラシックカー、ハイパフォーマンスカー、デザインが気に入ったという大衆車などなど。 愛車にこだわりをもった方がたくさんいらっしゃいましたね。 今回はこれまで取材してきた方々のなかから、念願の1台を購入した方に共通する特徴や考え方をまとめてみました。 ■特徴1:「自分には無理」と考えない 「自分には無理」とか「自分にはできない」って考えません。 というか、そういうネガティブな発想を“思いつかない”といった方が正しいのかもしれません。 とある雑誌の「著名人に質問するコーナー」を執筆したときのこと。 事前に編集部より預かったハガキから質問をまとめ、インタビューに臨みました。 いくつかあった「●●ができなくて、落ち込みます。自分には才能がないのでしょうか」といった旨の質問に対し、逆に著名人さんから「ねぇ、ライターさん。多くの人って、そういう考え方をするの?」との質問を受ける事態に。 この著名人さん、苦労や挫折を知らないわけではありません。 幾度かのやり取りから、問題に対して「無理」とか「できない」とは考えず、「今、できないだけ。クリアするにはどうするか」を自然に考え、過程や苦労を楽しみながら取り組んできたことがうかがえました。 ちなみに先の取材でも「多くの人がどう考えるの分かって勉強になったよ」と、ポジティブに受け取られていたのが印象的でした。 ■特徴2:人に頼ることをためらわない 何かに取り組むにあたって、遊びに誘うかのように人に連絡を入れる。 人が人を呼び、自然と多くの人が集まり、取り組みごとを一気に成し遂げてしまう。 インタビューではそんなエピソードを多くうかがいました。 「無理」って言わない人たちの集まりですから、困難が立ちはだかっても悲観することなく、知恵や力を出し合って乗り越えてしまうんですね。 また、大勢いれば誰かがその道のプロと繋がりを持っているもの。 声をかけられたプロも楽しげな雰囲気にひかれて仲間に入る。 このポジティブな輪のなかだと、悲観的な人や現状に引き留める人は居づらさを感じ、出て行ってしまうのでしょう。 よく「相手の都合を考えろ」との言葉を聞きますが、インタビュー先さんはどのようなときでもためらいなく(失礼じゃない範囲で)連絡を入れていました。 さすがに「いつでも電話するんですか?」とは聞けなかったのですが、考え方は「電話に出るかでないかは相手の判断。こちらが判断することじゃない」といった感じでした。 ■特徴3:お金にこだわるよりワクワクを優先 ちょうど大きな一歩を踏み出すインタビュー先を取材したときのこと。 これまでの稼いだ資産を全部注ぎ込んでの事業展開プロジェクト。 聞けば、賃料を節約するため、それまでの住まいを退去。 ご自身は安アパートに引越され、奥様は(ちゃんと同意の上で)ご実家に帰したとのこと。 もちろん展開が失敗する可能性もあるでしょう。 それまでの収入でも生涯、お金に困ることはなかったはず。 どうして展開に踏み出したのかをうかがったところ、「失敗しても殺されるわけじゃないし、お金が無くなるだけ。今はすごくワクワクしているしやらない理由はないよ。もし無一文になっても、また最初からはじめればいいじゃない。(最初からやり直すなら)まったく違う仕事をはじめようかな、それも面白そうだしね」との返答をいただきました。 たとえ今回、事業や展開に失敗しても、この人は本当に言葉の通り、再起を図ることができるのだろう。 そう思わせるインタビューでした。 ■大切なのは欲しいクルマを「買えない」と思わないこと “念願の一台を購入した方は”は「自分には無理」と考えず、人に頼ることをためらわず、お金にこだわるよりワクワクを優先する。 私もどちらかといえばネガティブでぼっちな人間なので、これらの実践が難しいのは分かります。 けれど、安心して下さい。 (当時は自分のために)実践するコツも聞いてあります。 なりたい自分になるためのコツは、心に上官を持つことだそう。 現実の軍隊は分かりませんが、心の上官から出された命令に「いいえ」ということは禁じられています。 ただ、命令を実行に移すための要望は認められています。 上官殿!エランのスプリントが欲しいであります! 「エランを買ったら、貴様の毎日はワクワクするのか?」 もちろんです、上官殿! 「よろしい、ならば買うがいい」 えっ?ですが、買うためのお金がありませんし、維持するお金もありませんっ! 「バカもんっ! 無理などというなっ!」 サー、イェッサー! 「金が無いなら、金を稼ぐための手段を考えろ」 それこそ無理無理っ!いくらかかると思っているんですかっ!? 「無理というなというのが、分からんのかっ!」 サ、サー、イェッサー! 「大金というならば、その額に見合うだけ頭を使わんかっ!ただ悩むだけでは時間の浪費だ、先達や書に学べっ!知識が無ければ知恵はでぬっ!」 サー、イェッサー! 「いいか、決して楽をしようと思うな。算段がついたら、先達に相談しろ。人に聞かれるのを嫌がる算段など、妄想や詐欺と同義語だ!」 サー、イェッサー! 「よろしい、半年で算段を付けろ」 はっ、半年って……。 「これまで、どれだけ諦めてきたっ!期限を決めねば、お前は動かんだろうがっ!」 サー、イェッサー!心が痛いですっ! 「それと週一で俺を呼び出せ、そうしないとお前は怠けるっ!」 サー、イェッサー! 「先達や仲間にも隠すことなく語れ、苦労を楽しむために必須なことだ!」 サー、イェッサー!恥ずかしながら、仲間は「やめろ」、「いい年齢して夢を見るな」、「現実を見ろ」とばかり……。 「それはそいつの生き方だ、否定はするな。だからこそ必要なのは先達だ、同じ土俵に経っている仲間だ。勉強と平行して先達と仲間を探せ、いいなっ!」 サー、イェッサー! 「人生は短いぞ、急げっ!」 サー、イェッサー! …いやいや、自分で書いててなんですが、これはかなりの覚悟が必要ッスね。 こういったことを、息を吸うように実践できるようになる日なんて、果たしてくるのやら……。 「面倒と思う前に頭と手足を動かさんかっ!動かねばワクワクする気持ちなど湧くわけがないっ!」 サー、イェッサー! [ライター・糸井 賢一 / 画像・AdobeStock]

S15のカーエアコン用コンプレッサーの交換と、カーエアコンにまつわる思い出
旧車の再生と維持2023.08.17

S15のカーエアコン用コンプレッサーの交換と、カーエアコンにまつわる思い出

クルマに乗るのに、カーエアコンが必須な時期になりました。 1990年、東京都の猛暑日は2日間でしたが、昨年(2022年)は16日と、実に8倍! 一昔前はカーエアコンレス車に乗って「カーエアコンなんて軟弱なやつが使うもの」と、うそぶく方もいらっしゃいましたが、今や自殺行為以外の何物でもない時代となってしまいました。 と、こんなことを書いていた矢先の出来事。 この酷暑の中、すべての窓を全開にした8代目グロリア(Y31)とすれ違いましてね。 おそらくカーエアコンが効かないか、まったく動かないのでしょう。 運転席と助手席には、大学生とおぼしきお兄さんたち。 いや、若さってなんでもアリだなぁ。 いわゆるVIP系のドレスアップをされていない、ノーマル状態で綺麗なグロリア。 中古車の価格には疎いのですが、カーエアコンが不動であっても、決して安くはないと思います。 もっと快適で乗りやすい中古車もあった中での選択。 その素敵な笑顔からも、お兄さんが旧車ライフに踏み出し、グロリアを楽しんでらっしゃることがうかがえます。 納車、おめでとうございます。 くれぐれも熱中症にはご注意ください。 ■夏本番、コンプレッサーまわりの総取っ換え待ったなし! ここ数年、冷房の効きが悪くなった、愛車のS15。 外気が35度を超えると、吹き出し口から“ちょっとだけ涼しい”程度の冷風しか出ず、車内温度が下がらないという症状が出ていまして。 高速道路で渋滞にはまった際、助手席に座る妻を熱中症に陥らせたりもしました。 「さすがに、これはまずい」と、行きつけの自動車整備工場に持ち込んだところ、フロンガスは入っており、カーエアコン自体に異常はなし。 「コンプレッサーが弱くなっているほか、周辺の装備も劣化している。またエンジンルーム内が想定以上の暑さになり、効きが悪くなっているのではないか」との結論に。 そして「修理するなら、コンプレッサーまわりの総取っ換えがお勧め。多分、コンプレッサーだけ交換しても、すぐ周辺に異常が出る」とのこと。 まぁ、そうですよね。 コンプレッサーだけ交換して、勢いが復活!  けれど弱いからこそ、バランスが取れていた周辺の装備(コンデンサーやエパボレーターなど)もあって、大きな負荷がかかれば一気に問題が吹き出るでしょう。 コンプレッサーまわりをまとめて交換となると、10万円を超える出費。 けれど猛暑日に達しなければ、まだそこそこ冷房が効いているのが悩ましいところ……。 いやいや、今年の暑さはこれからが本番。 熱中症や事故を防ぐためにも、交換しないわけにはいかないでしょう。 来年になったら、車検でお金がかかるわけですし。 昨今の暑さを想定したパーツに替わるのですから、きっと格段に冷房の効きが良くなる……のでは、ないでしょうか。 一般的にカーエアコンの寿命は10年ほどといわれており、頻繁に使用することで長く調子が維持できるそうです。 S15のカーエアコンは無交換で24年目ですから、かなりの“当たり”を引いたことになります。 こちらをご覧のみなさんは、これから年式が10年以上の古いクルマを購入されるのだと思います。 現車確認の際、カーエアコンまわりが交換してあるかを確認し、無交換だったら乗り出し前に交換してしまうのも手ではないでしょうか。 乗り出した後の不安や苦労の種は、ひとつでも潰しておきたいですからね。 ■夏は旧車の程度や素性を知る良い季節 日本車で最初にカークーラーを装備したのは、初代トヨペットクラウンで1957年。 カーエアコンを装備したのは、2代目トヨペットクラウン(マイナーチェンジ後)で1965年。 オートエアコンを装備したのは、トヨタセンチュリーで1971年だそう。 私が免許証を取得した頃(1990年頃)は、ほとんどの新車にカーエアコンが標準装備されるようになった時代。 子供の頃にはありふれていた三角窓、手動式の車内への空気導入口、後部座席の窓がわずかに外に開く機構は、すっかりと姿を消していました。 けれど当時のカーエアコンは効率が悪く、まだまだエンジンのパワーを食う代物でした。 今やカーエアコンやエンジンの進化、制御の高度化により、カーエアコンがエンジンパワーに与える影響はほとんどありませんが、当時やそれ以前は影響がとても大きいものでした。 特にAT車は排気量が1500~1600ccあっても、フル乗車すると勾配のきつい上り坂で、徐々に速度が落ちてしまいました。 あわててカーエアコンを切ってアクセルベタ踏みし、エンジンを唸らせて登ったのも、懐かしい思い出です。 当時はまだMT車の需要が大きかったのですが(MT27.5%:AT72.5%)、選ぶ理由に「カーエアコンの影響を受けにくい(低いギアで走ることにより、速度低下といった影響を最低限に抑えられる)」というのも、あったかもしれません。 程度の良い個体が多いことや球数の多さもあり、旧車を購入するにあたってAT車を検討されている方も多いと思います。 カーエアコンの影響は思いのほか大きく、特に夏場は大排気量車ではないかぎり、オーバードライブボタンやセカンドレンジを駆使してパワーの低下をフォローする必要が出てきます。 現代のクルマのようにDレンジオンリーで走行というわけにはいかず、必然的にトルクコンバーターやトランスミッションの程度も、重要になってきます。 日本の夏は、クルマにとって過酷な環境。 旧車は試乗が難しいと思いますが、可能ならばカーエアコンを入れて急勾配な上り坂に挑むことで、そのクルマの程度や素性、クセがある程度わかりますよ。 [画像・糸井 賢一,AdobeStock / ライター・糸井 賢一]

耐久レースで知る、エンジントラブル防止の基本はスパークプラグの交換
旧車の再生と維持2023.05.15

耐久レースで知る、エンジントラブル防止の基本はスパークプラグの交換

■寒い日のエンジントラブル。原因はプラグかぶり 少し前、冷え込んだ日のこと。 所用で早朝に出かけるべく、愛車S15のエンジンをかけようしたところ、「キュ、ガッガッガッ!」と、セルは回るものの始動しない。 大丈夫です、こういったアクシデントにはもう慣れました。 いや、慣れちゃダメだろ! 何度か始動を試みるも、症状は改善せず。 くすぶっている感じはあるので、ガソリンはエンジンまで届いている……あっ、プラグかぶりか。 あまりに久しぶりだったので忘れていましたが、これはプラグかぶりの典型的な症状。 クラッチとアクセルをベタ踏みし、一呼吸。 キーをひねって、そのまま戻さない! キュ、ガッガッガッ、ボッ! ガガッ、ボッ、ボッ。 かかれ! かかれ! キーを戻すな! ごめんよバッテリー、もってくれ! ボッ、ボボッ、ボッ、ボッ……。 かかれぇっ! ボボボッ、ドゥン! かかったぁ! アイドリングに元気はありませんが、かかってしまえばこっちのもの。 5分ほど様子をみましたが問題はなさそうなので、出発することができました。 ■プラグかぶりの対処は、強引にエンジンをかけること 今のクルマは電子制御がよくできているので、プラグかぶりを経験したことがない人も多いと思います。 プラグかぶりのプラグは、おなじみスパークプラグのこと。 プラグかぶりは、なんらかの理由でシリンダーに送られたガソリンが燃焼せず、スパークプラグの電極を濡らしてしまった状況のこと。 プラグかぶりを起こした電極(スパークプラグ)は思うように火花をちらせず、結果、エンジンはひどくかかりづらくなります。 一番、手っ取り早い対処法は先ほど私がやったように、アクセルを踏み込んだままセルを回し続けてシリンダーに空気を送り、火花がちりやすい環境を作って強引に始動させること。 エンジンがかかってしまえば電極も乾燥し、調子も戻ります。 それでも始動しないならプラグかぶりではなく、オイルかぶりやスパークプラグ自体に問題が出ているかもしれません。 スパークプラグはそう高価なものでもないので、交換しちゃうのも手です。 「一度、プラグかぶりをおこしたスパークプラグは、もう元には戻らない」という話もあります。 厳密にはそう(スパークプラグの性能が落ちる)なのかもしれませんが、四輪で街乗りが中心の場合は、そこまで気にしなくてもいいと思います。 エンジンが冷え切る寒い日は、いくぶんかプラグかぶりがおこりやすくなります。 これから旧車に乗られるならば、対処法を覚えておいても損はありません。 ■四輪ならば、スパークプラグの熱価は適正が最良 旧車を購入したらリフレッシュとして、スパークプラグは交換すべきパーツのひとつ。 ただ、どれでもいいから交換すればいいものではありません。 スパークプラグは燃焼によって受けた熱を処理する度合を示した「熱価」があります。 熱価の数値が高いほど耐熱性が高く、低いほど火花をちらしやすい特性を持っています。 適正の熱価は車種やグレードによって異なり、デンソーやNGKといった、スパークプラグを扱うメーカーの公式サイトで調べることができます。 「高回転で走行することが多いから」と、適正よりも高い熱価のスパークプラグに交換する方もいらっしゃいます。 実際、スパークプラグメーカーも、乗り方にあわせた熱価を推奨しています。個人的には、それは1万回転以上で長く走行し続ける二輪を想定しての話で、四輪ならば適正な熱価のスパークプラグが、もっともエンジンの性能を引き出すと考えています。 そんな考えに至ったのは、過去の経験から。 ■耐久レースで学んだ、普及品の性能の高さ! もう20年以上、過去の話になりますが、原付で耐久レースに出ていたことがあるんですよ。その耐久レースはレギュレーションにより「エンジンはノーマル状態であること」が義務付けられていました。 初参加の際はスパークプラグにレーシングプラグを奢り、「半日以上、高回転で走行するのだから」と、熱価も高いものを選択。 ところが実際にレースが始まると、練習走行のときよりもパワーが出ず、タイムも遅い。 排気音も元気がない。 当初は「原因はセッティングのミス」と推測し、どうすれば調子が戻るのかと、チーム全員で頭を抱えました。 あれこれと手直しするも、調子は戻らない。 「この際、全部を練習走行時に戻そう」と、スパークプラグもかぶっていたわけではないのですが、純正で使用される製品に戻します。 すると、とたんに排気音が勇ましく響きだしたじゃないですか!  実際にパワーやタイムも戻り、調子の良いまま完走することができました。 交換したスパークプラグに問題はなし。 電極に焼けすぎの兆候もありません。 耐久レースなので回転数は6000回転前後をキープ。 この回転数は、日頃から「高回転で走行する」という四輪と同程度じゃないでしょうか。 スパークプラグは普及品でも十分に性能は高く、色々と余裕のある四輪ならば、適正の熱価こそが一番、性能を引き出してくれると学んだ経験でした。 話はプラグかぶりに戻りますが、元気で適正な熱価のスパークプラグはプラグかぶりを予防し、対処の際もエンジンが始動しやすくなります。 リフレッシュの際はもちろんですが、「エンジンの調子が悪いな」と感じたら、交換してはいかがでしょう。 [画像/Adobe Stock、ライター・撮影/糸井賢一]

最新モデルを運転したら、愛車S15シルビアへの愛情がより深まった話
旧車の愛好家たち2023.03.31

最新モデルを運転したら、愛車S15シルビアへの愛情がより深まった話

■S15が恋しくなった原因はGR86? 少し前にGR86をお借りし、丸一日、乗り回してきました。 軽量、高性能、低重心を追求したというGR86。 旧モデルの発展型というより、NDロードスターをクローズドボディ&4座にしたような、カッチリとした乗り心地。 本当によくできていて、高速走行時はもちろん、ゆっくり走っていても楽しい。 久しぶりに「ずっと走っていたいな」と思った一台です。 ■筆者が望むクルマに望む条件 ・MT・後輪駆動・車重が1,3t以下・4座・メーターがアナログ GR86はメーターこそ液晶ですが、それ以外はクリアしています。 今のご時世に、本当にありがたいクルマです。 「これは買い替えの最有力候補か?」 なんて、ひとりごとをつぶやきながら運転していたのですが、帰りの道でどうにも寂しい。 乗り出したときはあんなに気分が高揚していたのに、今はS15が恋しくてしょうがない。 GR86とS15とは設計に20年以上の差があります。 走行性能に快適性能と、すべての要素で一回りも二回りも違い、GR86が劣っているところなんて、ただのひとつもないでしょう。 それなのに、なんでS15が恋しくなるのか? 帰宅してから数日間、ずっとその理由を考え続け、自分なりに納得のできる答えにたどり着きました。 ■寂しさの正体は右足に伝わる情報の違いか? 決してGR86を否定するつもりはないのですが、乗った直後からアクセルの軽さが気になっていました。 踏み込む量ではなく、踏む力に対して加速が鋭すぎる、あるいはレスポンスが良すぎる、といえば伝わるでしょうか。 慣れの問題と思い、実際、すぐに思った通りの加減速ができるようになったのですが、最後までその軽さを気持ちよく感じることはありませんでした。 アクセルに関して、GR86とS15(NA)は機構が別物。 S15(NA)はアクセルペダルからエンジン(スロットルバルブ)まで、物理的に繋がる機械式スロットル。 対してGR86はアクセルを踏んだ量をセンサーで計測し、エンジンで再現される電子制御式スロットル。 思えば電子制御式スロットルのクルマを、(たまに乗ることがあっても)所有したことがありません。 競技車両では機械式スロットルと電子制御式スロットルの優位性が比較されたりしますが、そういった次元の話ではありません。 踏力を押し返すリターンスプリングの感触とかワイヤーの重みとか、右足に伝わるアナログな情報をいつも感じていた。 それがGR86では感じられず、寂しかったんだと思います。 いや、自分でも重箱の隅を突く、難癖のようなことをいってると分かってるんですよ。 でも思いの外、機械式スロットルは私にとって身体に染みこんだ、大切なクルマとの対話装備だったようです。 ■手に入れて23年。改めて愛車の魅力に気づく 購入から23年を経て、あらためてS15(NA)の魅力を見つけることができるなんて、クルマって奥が深ぇなぁ。 電子制御式スロットルを採用することで部品点数を少なくでき、必要なスペースも小さくてすむ。 ATとの相性が良く、踏み間違いの抑制といった安全装備には必須な機能ため、現在の主流になっているそう。 そう遠くない将来、機械式スロットルを採用したクルマは姿を消してしまうのでしょうね。 自分が望むクルマの条件に「機械式スロットル」が入り、ますます選べる幅が狭くなりました。 機会をみて、運転中に機械式スロットルがどう動き、どんな反応が右足に伝わるのかを勉強しておきます。 きっとアクセルを操作するたびに頭の中で作動イメージが再現され、より運転が楽しくなることでしょう! [ライター・撮影/糸井賢一]

昨年の維持費は53万円。所有歴23年のS15シルビアを妻はどう思うのか聞いてみた
旧車の再生と維持2023.03.15

昨年の維持費は53万円。所有歴23年のS15シルビアを妻はどう思うのか聞いてみた

昨年末、11度目の車検を終えた愛車のS15。 実はその数日後にエンジンが始動せず、年末の帰省がはたせなかったのですが……それはまた別の話。 今回の車検にかかった費用は、およそ23万円。 大きな修理やパーツの交換は行わず、消耗品の交換が中心です。 昨年を通してS15の維持費(所有していることで、支払の生じた費用)は、およそ53万円。 1ヶ月に、およそ44,000円。 今年は車検がないので、ずいぶんと楽にはなるはずです。 そりゃね、これほどのお金がかかっているとなると、配偶者の理解は必要不可欠。 クルマにかけるお金が、夫婦間の諍いの理由になるって話もよく聞きますし。 聞くのが怖くはありましたが、これも機会です。 今回は妻に「私がS15を維持しているのをどう思っているか」を聞いてみました。 ■妻もまた、助手席でカーライフの苦楽をともにしてきた 交際当初、すでに私はS15を所有していました。 当時の妻の言動から「(私がS15に対して)特別な思い入れは持っておらず、古くなったら乗り換えるだろう」と、思っていたようです。 結婚から3年でS15の所有年数が10年を越え、それでも私が乗り続けているのを見て「日産車が好きで、乗り換えないのは後継となるクルマ(S16以降)が出ないからだろう」と、考えていたそう。 さて、問題はそこから。 一緒に出かける直前になってエンジンが始動しない。 走行中にエンジンが停止し、ヒヤリとさせられる。 出先でクルマが動かなくなり、レッカー到着まで途方に暮れる。 夏場にエアコンが故障し、熱中症を起こす等々……。 この10年間、普通なら「さっさと買い換えろ」と詰められてもおかしくない事態に、幾度も妻を巻き込みました。くわえて少なくない経済的な負担をかけ続けています。 文字にすると、自分の妻ながら本当によく認めてくれているよね。 やっぱり聞かない方がいいかな。藪の中の蛇を突きたくないなぁ……。 ■日頃から家事とか、自分のやれることをやっておくことが、旧車を維持する秘訣? 単刀直入に聞くけど、S15を買い換えて欲しいって思ってる? 「いや、買い換えてもお金がかかるし、そうは思ってないよ。最近のクルマはフワフワしてフラフラするから苦手だし」 妻の母(私からみて義母)はスポーツカーが好きで、かつてはホンダのS600、新しいところだとコペンといった、ハイカラなカーライフを送ってこられた方。 その影響でしょう。妻もがっしりしたサスペンションに低重心のクルマの方が、乗っていて安心するそうです。 でも、クルマが新しい方がトラブル知らずで安心して乗れるよ。 「別に心配しながらクルマ(S15)に乗ってないよ。止まったら、止まっただし、故障があったら都度、直しているし」 理解と懐の深さに涙が出そう。 維持になにかとお金がかかることはどう思う? 「こちらも送り迎えとかしてもらってるからね、そこまで負い目を感じなくていいよ。さっきもいったけど、今のクルマって高いからね。同じくらいかかるんだったら、好きなクルマに乗ってなよ」 正確には「今のクルマが高い」じゃなく「日本の賃金が安い」だと思うのですが、今は口にしないでおきます。 「旦那、お酒も飲まないしタバコも吸わないじゃない。お金を使っているのクルマくらいでしょ。家事もやってくれてるし、そこで趣味を取り上げちゃうほど鬼じゃないよ」 ありがたいお言葉。 やっぱり日頃から家事とか自分のやれることをやっておくことが、こっちの無理を聞いてもらう秘訣な気がします。 「けどギリギリのラインだからね。出費どうこうよりも、旦那は頑張って収入をあげること。安い仕事を引き受けると、高いお仕事が逃げていくよ。なにより、高いお金を払ってくれるところに悪いでしょ! あとねぇ……」 あー、うー。やっぱりお説教の流れですか……。 私の収入はともかく、あらためて妻の理解あってこそ、S15を維持できているのだと知ることができました。 今後も理解を得続けられるように努め、クルマが原因で不仲になることだけは起こさないよう、気をつけたいと思います。 旧車オーナーだけでなく、縁の下の力持ちである配偶者に話を聞くのも、面白そうですよね。 もしお話を聞かせてもらえる方がいらっしゃったら、編集部までご連絡をお願いします。 後々、もめごとにならないよう、ちゃんと夫婦間で同意しておいてくださいね! [ライター・撮影/糸井賢一]

本家カーナビより使える!? 旧車でナビアプリの利用はアリかナシか
旧車の魅力と知識2023.02.24

本家カーナビより使える!? 旧車でナビアプリの利用はアリかナシか

昨年、愛車S15で使用していたカーナビが壊れまして。 購入したのが2004年。3~4年おきにデータを更新しながら18年間の使用なので、よく働いてくれたと思います。 仕事柄、初見の地に出向くことが多いので、なんらかのナビゲーションシステムは必須。 当初はネットオークションで中古の同一機種を落札し、配線はそのままに本体だけ交換しようと考えていたのですが、これが思いのほか高価なこと。 ちょっと足せば、新品のポータブルカーナビが買えちゃう額。 「なら、スマートフォンのナビアプリを使ってみよう。不都合があったら、あらためてカーナビを買えばいいし」 そんな顛末があってカーナビを外し、現在、ナビアプリを利用しています。 旧車を所有し、「車内の雰囲気を壊さないため、カーナビは取り付けたくない。 けれどナビは使いたい。 スマートフォンのナビアプリはどうなんだ?」と、考えている方は、意外に多いようです。 今回は実体験に基づいたカーナビとナビアプリの違いを記してみたいと思います。 ■ダッシュボード設置型のカーナビは取り外しが大変! 中古品を落札する案はなくなったので、まずはカーナビの取り外しから。 壊れたカーナビはダッシュボード上に両面テープで土台を固定するタイプ。 簡単に取り除けるかと思ったら、実際はかなり面倒な作業でした。 土台を引っ張るものの(貼り付けから20年近くを経ているにもかかわらず)両面テープはびくともせず、ダッシュボードの表皮が浮き上がってしまう事態に。 いやいや、強力過ぎだろ! 本来ならドライヤーで温めて剥がすのがいいのでしょうが、非コンセント型のドライヤーを所有していません。 接着はがし剤を使用しますが、正直なところ効果はなし。 結局、力で少しだけ浮かべて土台とダッシュボードのすき間を作り、慎重にカッターで切って剥がす方法を取りました。 土台は取れたのですが、ダッシュボード上に両面テープが残ってしまったので、時間をかけてチマチマと剥がします。 信号待ち中にもチマチマ。渋滞にはまって停車中にもチマチマ。車内で妻を待っている間にもチマチマ。チマチマチマチマ……。 3日ほどで剥がし終えたのですが、どうしてもノリは除去しきれませんでした。 ダッシュボードの色あせもあって、両面テープが貼ってあった場所がクッキリと分かる状態に。 個人的にはカーナビの取り付け位置は、視線移動の少ないダッシュボード上がベストだとは思います。 思いますが、旧車を綺麗な状態で維持したいのなら、カーオーディオスペースを活用するDINタイプにすべきだなと感じました。 ■ナビアプリの使用感に問題なし。ただ、トンネル内では位置を示してくれず さて、近場のホームセンターでスマートフォンスタンドを購入し、ダッシュボード上に両面テープで取り付け。 今度は範囲も狭いですし、両面テープもチープなので、不要になった際、そこまで苦労せずに剥がせるでしょう。多分……。 ちなみにスマートフォンを吸盤等でフロントウィンドウに貼り付けるのは道交法違反にあたるので注意が必要です。 そういった製品が販売されているのは、小売店や個人が合法である国から輸入し、日本の道交法を確認していないから、ではないでしょうか。 選択したナビアプリは、無料の『yahoo! カーナビ』。 選んだ理由は、基本の地図データにゼンリンを使用しているところ。 不満が出たら、有料版の『ゼンリンのいつもNAVI』に変えればいいかなと。 かつての廉価モデルスマートフォンだと性能や機能が足りず、ナビアプリが正常に動作しないこともあったそうです。 ですが、いまどきのスマートフォンなら廉価モデルでも問題なく作動します。 実際、私のスマートフォンも3年前の廉価モデルですが、一点を除いて動作に問題はでていません。 この一点については、のちほど記します。 使用してみた感じ(それまで使用していたカーナビが古くてシンプルなのもあって)特に不満はありませんでした。カーナビと比べると誤差は大きく、また位置ズレも頻繁に発生していますが、走行しているうちに補正してくれますし、慣れの範疇だと考えています。 データ通信量も思っていたほどではなく、月に2~3回、使うくらいなら、2~3Gの契約でも事足りるのではないでしょうか。 そして問題点。 クルマから車速信号を取ることのできないスマートフォンだから仕方がないのですが、トンネル内では自車の位置を拾ってくれません。 アプリの表示は、地下道やトンネルの入り口付近で停止している状態です。 分岐のある高速道路だった場合、致命的な間違いに繋がります。 ただ『yahoo! カーナビ』、本来ならばスマートフォンのジャイロ機能に対応し、地下道やトンネルでも現在地を表示できるそう。 これは私のスマートフォンの問題なのかもしれません。 ハイエンドモデルやミドルレンジモデルのスマートフォンで、リリースからしばらく時間が経っているモデルなら、アプリも対応しているのではないでしょうか。 ■事前に所有するスマートフォンとナビアプリとの相性を確認 スマートフォンのナビアプリ。個人的には十分にカーナビの代わりになると感じています。 不足な点は多々ありますが、不足をオーナーの知恵と経験で補うのは、旧車に乗られる皆さんの得意技でしょうし。 ダッシュボードに両面テープや吸盤用のシールを貼りたくない。 あるいは美観からダッシュボード上にスマートフォンスタンドを設置したくないのなら、取り付けに工夫が必要になると思います。 念のためスマートフォンスタンドを購入する前に、所有されるスマートフォンにジャイロ機能があるか、ないか。くわえてトンネル内で案内してくれるかを調べておくと失敗せずに済みます。 当面、ナビアプリを利用するつもりです。 今後、スマートフォンを買い替えてトンネル内の案内に変化が出たら、またお伝えしたいと思います。 [ライター・カメラ/糸井賢一]  

まさに「主治医」な存在。引っ越しから始まった自動車整備工場探しの日々
旧車の再生と維持2023.02.10

まさに「主治医」な存在。引っ越しから始まった自動車整備工場探しの日々

当たり前をしっかりと実行してくれるお店のありがたさ! 祝、S15型シルビアお迎え23周年! というわけで先日、11度目の車検を受けてきました。 現在、メンテナンスや車検、修理でお世話になっている自動車整備工場(以下、整備工場)は、私が都内に越してきてからのお付き合いになります。 料金は良心的、スタッフは経験豊富という、願ってもないお店。 この店舗とのご縁がなかったら、S15型シルビアを維持できていなかったかもしれません。 今回は今までにお付き合いしてきた整備工場の遍歴と、そこで学んだ事柄をお話ししたいと思います。 ■実はとってもすごい、ディーラーの「おもてなし」営業 S15型シルビアは新車購入だったので、最初のかかりつけ整備工場はディーラーになります。 前愛車のS14型シルビアから10年以上、面倒をみてもらっていました。 当時はディーラーのみとのお付き合いだったので、「整備工場のサービスはディーラーレベルが基準」と思っていました。 今にして思えば、とんでもない勘違い。 連絡をせず訪れたにも関わらず、整備でも車検でも受け入れ、その場で代車まで出してくれる。 調子が悪くなればメカニックが出張し、事故を起こせば積載車で迎えにきてくれる。 信じられないくらいの至れり尽くせり、すごいよディーラーのおもてなし! ただまぁ、今はお世話になっていませんし、そうなった理由だってもちろん、あります。 詳しくはのちほど記しますが、新車を早いサイクルで乗り換えるスタイルなら、そのままお付き合いを続けるのが正解なのではないでしょうか。 ■「信頼していた」は甘え。客も自身で確認を行わないと 都内へ越してきて最初にお世話になったのは、人当たりのいいお兄さんが店長を務める、開店したての整備工場。 車検こそお世話になっていませんが、オイル交換といったメンテナンスとさまざまなパーツの交換をお願いしていました。 この頃は、実家近くのディーラーにもまだ顔を出しており、たまたま12ヶ月点検と帰省が重なっていたので持ち込んだところ、驚愕の事実が発覚。 先の整備工場で交換したパーツの固定に結束バンドが使用されており、そもそも取り付けの位置がおかしい。 そのおかげかブレーキホースはタイヤと接触していた痕があり、かなり危険な状態だった。その他、諸々……。 Oh……。あの店長、悪意でやったのではなく、頼まれれば何でも引き受けちゃう人で、純粋に経験不足から取り付け方がよく分からないまま対処していたのではと、今では推測しています。 取り付けに問題のあったパーツは純正品、もしくは関連子会社の製品。 ディーラーでも対処できるということなので、正常な状態にして欲しいと依頼。 かかった料金は勉強代として身銭を切りました。 この件から学んだのは「どんな些細なメンテナンスであっても、作業内容を説明してくれる整備工場を選ぶ」ということと、「ちゃんと自分でも作業後を確認する」ということ。 ちなみに上記の件からかれこれ10年以上経っていますが、整備工場は今もしっかりと営業しています。 きっと店長も経験を積まれ、当時の若気の至りを恥ずかしく思って……いてくれたら、いいなぁ。 ■ディーラーのおもてなしは、そこで新車を購入するからこそ享受できるもの S15型シルビアを購入してから15~6年経った頃、リアの足回りから異音がするようになりました。 実家から現在の住まいまで、クルマで4時間近くの距離。 交通費も片道で4000円近くかかり、必要なガソリン代を考えると、そうポンポンと行き来できるものではありません。 そこで今回は住まい近くのディーラーへと足を運び、診てもらいました。 出てきた見積もりは、ハブ回り交換で6桁弱。金額はともかく、地元のディーラーではあったメカニックによる「どのパーツに異変があり、どうやって修理するか」といった説明はなし。 受付のお姉さんに見積もり書を渡されて「はい、終わり」という対応に「歓迎されてなさ」を感じながら、お店をあとにします。 いや、まぁ、塩対応はしかたのないもの。 ディーラーは新車の販売ありきで、整備や修理は購入者に向けたアフターサービス&再び購入してもらうための投資。 よそで購入し、しかも販売を終了して10年以上経つ厄介なクルマを持ち込まれたら、そりゃ困るよね。 新車を買う気のなさも、ありありと伝わっていたでしょうし。 客がお店を選べるように、お店だって客を選べます。 ディーラーでの対応を“やんわりとした拒否”と受け取り、あらためて主治医を探すことにしました。 近所を見てまわったところ数件、旧車を受け入れている整備工場を見かけたのですが、さて、どこに持ち込むか……。 ■口コミを信じて訪れたお店は、紛れもなく“整備士”が腕をふるうお店でした ふと近隣の旧車サークルのメンバーさんが、ブログにて勧めていた車整備工場があったのを思い出します。 記憶に残っていたのも、なにかの縁。まずはこちらの整備工場に診てもらうことにしました。 この頃は「訪問前にまず連絡」という基本的なマナーすら知らなかったため、突然の訪問。 応対してくれたのは店長で、忙しいにも関わらず嫌な顔ひとつせずにS15型シルビアを診てくれ、出てきた見積もりは先のディーラーの半額ほど。 半額!? もちろん安いのは嬉しいけど、そこまで差があると、ちょっと怖いというか……。 聞けばハブ回り全部を交換する必要はなく、異常が出ている箇所だけを交換するから、この金額に収まるのだそう。 かつて旧車やヒストリックカーのレストアも手がけるディーラーを取材したとき、「今のディーラーはアッセンブリー交換士しかいない。 ちゃんとした整備士を育てるためにレストアをはじめた」という所長のコメントを思い出し、妙に合点がいったものでした。 店長の説明に納得し、正式に修理をお願い。 スケジュールが一杯の上、代車の空きもないということで、入庫は1週間先となりました。 整備工場の忙しさとともに、ディーラーの体制がどれほどすごいか、そしてディーラー慣れした自身のおごりを理解したものです。 修理が終わって引き取りに向かった際、写真付きで作業内容の説明を受け、整備士の「きちんとした仕事」がどういうものかを、客の立場で教わります。 不満どころか感謝しかないお店です。 その後も引き続き、整備や車検をお願いし、6~7年を経た今では「乗り続ける限りS15型シルビアの面倒をみるから、最後は引き取らせて」との冗談をもらう程度の付き合いになりました。 部品の供給終了や価格の高騰により、修理が出来なくなる日もくるとは思いますが、少なくとも私が諦めるまではS15型シルビアに乗り続けることができそうです。 お金持ちならいざ知らず、いち庶民の私たちが旧車を維持するには、良心的で旧車の整備に慣れた整備工場の存在が必要不可欠。 これから旧車を購入される方は、まめに先達に聞くなどして情報を集めることをお勧めします。 [画像・AdobeStock、ライター・撮影/糸井賢一]

旧車やヒストリックカーを購入後、大きな出費を防ぐためにまずリフレッシュを
旧車の再生と維持2023.01.30

旧車やヒストリックカーを購入後、大きな出費を防ぐためにまずリフレッシュを

こちら旧車ヒストリアで何枚もの画像を掲げているので、ご存じかも知れませんが、愛車のS15は、いわゆるライトチューン仕様。 独身の頃は月イチくらいでサーキットに足を運び、「キャッキャ!」と楽しんでいました。 根っからの恐がり、かつ臆病者なので、タイムは絶望的に遅かったんですけどね。 そんな経緯から、「愛車を手に入れたらチューニングしたい!」、「自分好みにモデファイしたいっ!」って気持ち、よーく分かります。 余談ですけどNAのSR20なら、マフラー交換よりもEXマニホールドの交換をお勧めします。 正直、マフラー交換による違いは、ほとんど体感できませんが、EXマニホールドを交換すると、アクセルレスポンスの向上がよく分かります。 もう楽しくてしかたがありません。 自分で言うのもなんですが、私のような「愛車をネコ可愛がる」派ですら、多少の改造を施しています。 旧車であっても大半のスポーツモデルは、多かれ少なかれ手が加えられているのではないでしょうか。 完全リフレッシュをウリにしているショップでない限り、旧車(中古車)は基本、現状渡し。 購入を果たしたら、チューニングやモデファイを後回しにし、まずはリフレッシュを施す必要があります。 ■「リフレッシュ終了」時点から旧車ライフのスタート地点に リフレッシュとは、劣化したパーツを交換し、可能な限り新車にコンディションを近づける作業です。 オイル交換やベルト交換から始まり、ブレーキパッドやブレーキローターなどの消耗品の交換。 ブッシュやマウントなどのゴム製品の交換。 排気音が大きいようならマフラーの交換。 ショックアブソーバーからオイル漏れがあったり車高が落ちてタイヤに偏摩耗が出ているようならサスキットの交換。 大規模なものになるとエンジンやトランスミッションのオーバーホール等々、施す項目は山ほどあります。 どの程度の作業が必要になるかは購入した旧車のコンディションと、かけられる予算次第。 理想的なのは、旧車やヒストリックカーに強い自動車整備工場と相談して進めること。 リフレッシュが終わり、アライメント調整といった最適化が終了したら、そこが旧車ライフのスタート地点になります。 なんて偉そうなこといってますが、私のS15も、そろそろエンジンのオーバーホールを考えなければならない頃合い。 頑張ってお金を貯めないとねー。 ■念願のヒストリックカーを購入。楽しいカーライフを送るハズだったのに 私の親しい友人が、ちょうど今回のテーマにピッタリの体験をしていました。 友人が購入したのは、旧車よりもヒストリックカーに近い年式のクルマ。 有名な専門店で購入し、ボディはピカピカ、エンジンもブロックにパフがけが施され、新車のように綺麗なクルマでした。 レストアも終了しているとのことで、友人はさっそくモデファイに着手。 ボディにオールペンを施し、シートもボディカラーにあわせて張り替えるなど、自身が思い描いたクルマを作り上げます。 ただ、オーバーホール済みというエンジンはとても不調で、度々、出先で不動になってはレッカーを呼び、専門店に担ぎ込まれて入院。 所有していた期間のほとんどは修理で入庫中、しかも修理費用はしっかり請求されて自腹という有様でした。 当初、全面的に専門店を信用していた友人でしたが、次第に不信感が募り、その車種を専門に扱う自動車整備工場に持ち込みます。 ザッと診てもらったところ、エンジンはオーバーホールこそ行われているものの組み立てに異常があり、それは「何度、入庫しても原因が分からない」といったものではないこと。 他にも専用のブッシュが使用されるべき箇所に汎用のプラスチックパーツが使用されるなど、高かった価格に見合わないレストアが施されていたのが分かりました。 自動車整備工場から修理と、最低限の正常化にかかる費用の見積もりをだされますが、精神的に疲れていた友人はクルマを売却。 クルマ趣味から降りてしまいました……。 もちろん一番、疑問に思うのは専門店の態度ですが、もし最初のモデファイにかけた費用をリフレッシュやコンディションの確認にまわしていたら、別のカーライフが送れたと思います。 ■古いクルマを手に入れたら、信頼できる自動車整備工場で診てもらうべき この顛末を横から見ていて学んだのは「旧車やヒストリックカーを購入したら、ショップが専門店であっても、念のために信頼できる自動車整備工場に診てもらった方がいい」ということ。 ショールームには何台もの綺麗なクルマが並んでおり、同行した私も「経験豊富な専門店なら問題ない」と思ってしまったことを反省しなくてはなりません。 繰り返しになりますが、念願だった旧車の購入を果たしたら、思い描いた理想に向かってチューニングやモデファイを進めたくなるものだと思います。 けど、そこはまだスタート地点の前。 まずは本来の性能に戻すことを最優先に、リフレッシュを進めましょう。 それが結局、将来の大きな出費を防ぐ保険になりますから。 [画像・AdobeStock、ライター・撮影/糸井賢一]  

安心料500円!?「ブレーキペダルストッパーラバー」は旧車乗り必須アイテム
旧車の再生と維持2022.12.21

安心料500円!?「ブレーキペダルストッパーラバー」は旧車乗り必須アイテム

購入から23年をむかえた愛車のS15。 3度目の車検をこえた辺りから、さまざまなパーツが寿命をむかえはじめます。 ベルトなどの経済的な負担の少ないパーツは定期的な交換を、コンプレッサーやオルタネーターといった、おいそれと交換できないパーツは日頃から気を配りつつ、整備工場に行く機会があったら確認をしてもらっていました。 それでも予想もしていなかったパーツが不意に寿命をむかえ、立ち往生を強いられることがあるもので……。 突如、発生したバッテリーあがり。その原因は? 所用にS15で出かけて、現地のコインパーキングに駐車。 3時間かからないくらいでクルマに戻り、「さぁ、帰ろう」とキーをひねったところ……。 キュッ、キュッ……。 セルの動きが弱々しく、エンジンがかかる気配はなし。 この症状は、バッテリーあがり? そういえばドアロックを(キーレスエントリーは壊れているので、手動で)解錠した際、助手席側の解錠音が、いつもと違っていた気も。 でも、3時間前までは普通に走っていたのに、いきなりバッテリーがあがる? 半年前に交換したばかりよ? コインパーキングで原因を考えていても、当たり前ですが状況は変わりません。 ひとまずJAFに救援を依頼。支払っていてよかった年会費。 日が傾いた頃、山ほどの工具を満載した、頼もしき青い車両が到着します。 このとき、S15はセルすら動かないありさまでした。 レスキューサービスのお兄さんに事情を説明すると「これくらいの年代のクルマは多いんですよね」と、即座に原因を特定。 あおむけになって運転席の足下に潜り込み、なにやら作業をはじめます。 結論からいうと、バッテリーあがりの原因はオルタネーターやバッテリーのトラブルではなく、ましてや室内灯の点灯しっぱなしでもない。 ブレーキペダルの根元近くについていている『ブレーキペダルストッパーラバー』が寿命で破砕。 ブレーキランプのスイッチが入りっぱなし(ブレーキランプが点灯しっぱなし)になったため、起こったものでした。 硬貨を用いた応急処置(このとき、「応急処置が外れたときのために」と、運転席にあおむけで潜らされるスパルタレッスンがあったことを記しておきます)ののち、ジャンプスタートでエンジン始動。しばらく様子をみてから、路上でのエンジン停止に怯えつつ帰宅の途につきます。 翌朝、あらためて車内を確認すると、フロアマットの上に黒いプラスティックの破片が落ちていました。 主治医の整備工場に行き、パーツを取り寄せ後に修理。 バッテリーあがりの原因は、レスキューサービスのお兄さんがいっていたとおりでした。 修理代はブレーキペダルストッパーラバー代と周辺の点検込みで3000円。 ブレーキペダルストッパーラバー自体の金額は500円くらいです。 車種やモデルによっては備わっていないパーツかもしれませんが、もし旧車を購入するのなら、保険としてブレーキペダルストッパーラバー(もしくは、それに相当するパーツ)を交換しておくことを、強くオススメします。 わずか1円玉ほどの小さなパーツですが、壊れるとたいそうな騒ぎになります。 今後のバッテリーあがり対策にバッテリージャンプスターターを購入! バッテリーあがり騒動から数日後。 その日もS15で出かけようとしたところ……。 今度はセルがウンともスンともいわねぇ! 再び発生のバッテリーあがり。 件の日にバッテリーを完全放電させたから、お亡くなりになったのか!? とりあえずバッテリーあがり問題は後回しにして、公共の交通機関を使って出先に急行します。 その帰り道、バスの中で「これまでバッテリー回りに問題が起こらなかったのが幸運だったのだ。今後は、急なバッテリートラブルは発生するものとして対策を講じよう」と心に決めます。 ちなみに今回のバッテリーあがりは、整備工場で見てもらったものの原因は不明。現在、半年ほど経っていますが、再発はしていません。 バッテリーあがり対策として考えたのは 1:予備バッテリーを購入する2:バッテリー充電器を購入する3:バッテリージャンプスターターを購入する の、3案。 最終的には持ち歩きも容易で、出先でのバッテリートラブルにも対応できる「3:バッテリージャンプスターターを購入する」を選択。 ネットであれこれと比較し、コスパ的に妥当な商品を購入しました。 とはいえ、バッテリーあがり対策といえば1と2が当たり前だった時代のおっさんです。 手元に届いたバッテリージャンプスターターの小ささもあって、その性能には懐疑的でした。 説明書に従って充電し、S15のバッテリーに接続。 「ギリ、エンジンがかかる程度のものだろう」と、弱いセルの動きを想像してキーをひねると……。 「キュッ、ズォン!」 即、始動! バッテリーは空っぽだったにもかかわらず、フル充電時のようなセルの動き!  なにコレ、すごくね!? 最近の小型充電池の高性能さを、あらためて見せつけられ、その場で「バッテリーあがりにはバッテリージャンプスターター派」への転向をはたします。 夏場の高温を考えると車内に放置できない、月に一回、充電が必要といったところが面倒ですが、バッテリーあがりの不安が大きくやわらいだのですから、買って正解だったと思っています。 ブースターケーブルもトランクから下ろせますし。 最中は気が気ではありませんでしたが、終わってみれば勉強になったバッテリーあがり騒動。 私の知る限り、旧車や中古車購入後にすべきこととして「ブレーキペダルストッパーラバーの交換をしろ」と記されているガイドはなかったので、あらためてオススメしておきます。 いくらバッテリーを新品に交換しても、ブレーキランプストッパーラバーが外れるだけでバッテリーはあがり、出先の駐車場で立ち往生を強いられます。 旧車に限らず、バッテリートラブルは起こるもの JAFの「ロードサービス出動理由」ランキングでも、バッテリートラブルは1位(2021年)と発表されています。 バッテリージャンプスターターをクルマに乗せておくことで、完全ではありませんが対策になります。 ブースターケーブルによるジャンプとは違って、他車の補助なく再始動できるのも強みですね。 S15に乗り続けていれば、また予想もつかなかったパーツや装備が寿命をむかえて、右往左往するのでしょうね。 不安半分・楽しみ半分の心構えで、乗り切って行きたいと思います。 [ライター・カメラ/糸井賢一]

クルマには「それぞれの時代が反映された魅力と楽しさがある」と思う
旧車の魅力と知識2022.11.25

クルマには「それぞれの時代が反映された魅力と楽しさがある」と思う

皆さーん! 大好きな愛車の、あるいは欲しい旧車のどこが好きー!? 僕はねー、格好いいとこと、身軽なとこと、適度にゆるいとこと、なにより乗ってて楽しいとこー! いや、ここのところ「旧車は不便を受け入れて乗るものよ」など、ネガティブな発言を続けてしまったので、ここらでポジティブな内容をお送りしたいなと。 というわけで、今回は実際に所有し、数年間、乗り続けたクルマの好きなとこ語りです。 いずれも現愛車S15以前のクルマなので、旧車とみなしても問題ないかと。 ■加速とアクセルレスポンスは、現行車にもひけを取らない3代目プレリュード 免許証を取得後、お仕事の先輩から5万円で購入した、記念すべき最初のクルマである3代目プレリュード。 デートカーとしてあまりに有名ですが、助手席に母親以外の女性を乗せたことはありません。 あとクルマに詳しい方からは、挨拶のように「後輪を曲げてみせて」と話しかけられました。 グレードは廉価の2リッターSOHCモデル。 このSOHC、本気でナメちゃいけません。 1トンちょっとしかない車重もあって、加速とアクセルレスポンスは鋭いことこの上なし。 雨の日に荒っぽい発進をすると、たちまちタイヤは空転します。 このプレリュードに乗ったおかげで「クルマのエンジンはSOHCで十分。むしろエンジンフィールの気持ちよさを売りにするならSOHCが最良だ」という信念が生まれました。 「エンジンのホンダ」の真価と、のちにホンダ車の主流がFFである理由を気付かせてくれた一台でした。 ■運転が楽しいクルマの最高峰! 2代目マーチ 親から譲ってもらった2代目マーチ。 今でも十分に通用する完成されたデザインとインテリアで、累計100万台も売れた、(当時の)日産の救世主。 グレードは廉価の1リッター、ウインドウレギュレーターハンドルくるくるモデル。 個人的に、これまで乗ってきたクルマの中で、1、2位を争うほど運転と操作が楽しかったクルマです。 ちゃんと操作すればMTもスコスコと入るし、1トンを切る車重により出足も良好。 当時のコンパクトカーは上り坂や高速で息をつくものでしたが、MTのおかげで、どんな場面でもパワー不足を感じたことはありません。 道を選ぶことなくキュンキュン走ってくれました。 軽すぎてカーブを曲がっている最中、真横に飛ぶこともあったけど、それもまた楽しかったなぁ(まだ親が乗ることもあったので、急ぎ、タイヤを格上ブランドものに交換しました)。 楽しく運転や操作、高回転まできっちりと回し、適切な回転数で走行することを学ばせてくれた、僕にとって教官的なクルマ。 もし駐車場とかの住居環境が許すなら、今からでも再購入したい一台です。 ■クルマいじりや正しい運転を学ぶのに最適だった古典的FR、6代目シルビア はじめて新車で購入した6代目シルビア。 通称“ツリ目”でグレードはNAエンジンのQ‘sモデル。 シルビアは素人でも色々と手を加えられる、シンプルな古典的FR。 クルマいじりための教本が山ほど売られていました。 くわえてネットオークションの普及により、地方であっても手軽にパーツが購入できるようになった時代。 私も実家の庭の一角を占有し、様々なパーツを付け替えては遊んでいました。 交換したパーツの効果を知るには、正しい運転や操縦の知識が必要と、運転の教本も読みあさっては、試行錯誤をしたころでもあります。 ドライバーとクルマは対話をしながら操作するもので、特にFRはドライバーが我を押し通すと、たやすく関係が破綻すること。 振り返ってプレリュードやマーチが持っていた、ドライバーの技量を受け止めるFFならではの懐の広さを知ることもできました。 S14は移動だけでなく、クルマの知識、クルマいじることによる変化、正しい運転や操作を行うことで、気持ちのいい手応えが返ってくることなど、基礎を学ぶための教材として大いに活躍してくれました。 ■長く乗り続けることで嬉しいことが増えた7代目シルビア 最後に現愛車である7代目シルビア。 グレードはNAエンジンのSpec_Sモデル。 S14よりボディサイズがちょっと小さくなっただけで、ずっと運転しやすくなったことを最初に感じました。 事実、S14のバンパーの四隅には、無数の小傷を作っちゃってましたし。 さっきも記しましたが基本的にはS14と一緒なので、大きな衝撃はなかったのですが、乗っているうちに「乗りやすくなった」ことを実感。 また短期間ですがS13Q‘sを所有していた経験も生きて、“熟成を重ねる意味”を知ることができましたね。 ただ、いいとこばかりではなく、バブル崩壊の影響なのでしょう。 いたるところにコストカット跡があることも分かっちゃったわけですが……。 あと、S15を目にする機会が少なくなったこともあってか、お子さんに「あ、シルビアだ」って指さされることが増えました。 またシルビア系のオーナー間の連帯感も強くなり、すれ違うときに挨拶しあうことも多くなりましたね。 これは地味に嬉しく、楽しい変化です。 ■その時代のクルマならではの魅力が見つけられる 興味はもちろん仕事柄もあり、最新車種を運転する機会もあります。 最新車種は完成度の高さと多くの新しい技術により、さまざまな衝撃や「欲しいな」という意欲を抱かせてくれます。 けれど自身のS15に戻ると「まだまだ、これでいいじゃん。いや、“これが”いいじゃん!」と、あらためてこの時代のクルマが持つ楽しさを再確認させてくれるんですね。 プレリュードから始まりS15まで、それぞれのクルマが持っていた魅力は、クルマを取り巻く環境的な問題により、もう再現できないものだと思っています。 楽しい思い出とともに、それぞれの魅力を知ることができたのは、とてもいい経験でした。 こちらをごらんの皆さんの好きなクルマや欲しいクルマは、必ず、そのクルマだけが持つ魅力や所有することで得られる楽しさ、そして生産された時代の香り秘めています。 それを色濃く感じられるのは、実際に購入を果たしたオーナーだけです。 この記事が、購入を迷うあなたの背を押す力になれば、幸いです。 [画像/日産・ホンダ ライター・カメラ/糸井賢一]

これからもS15と過ごすため、今、一番、腐心している悲しい現実
旧車の愛好家たち2022.07.14

これからもS15と過ごすため、今、一番、腐心している悲しい現実

こんにちは、ライターの糸井賢一です。『旧車王ヒストリア』では初の記事になりますが、よろしくお願いします。 ■20年前のクルマは現行車か?旧車か? はじめての原稿執筆にあたり、まだ旧車王ヒストリアに関して右も左も分からない身。 編集長の松村さんに「どのような記事を書いたらいいか?」と相談したところ、 「所有されるシルビアについて書かれてはどうか。例えばコンディション維持にかかるコストの変化とか」とのアドバイスをいただきました。いやいや、シルビアといってもS15ですよ。 シルビアの最終モデルで、旧車にはほど遠い現役の車種じゃないですか! そう自分では思っていたのですが、購入から22年を経ているということは、今の若い人から見れば自身が生まれた頃に発売されたクルマ。 僕が成人を迎えた頃、1970年のクルマをどう見ていたか。 思い返すと、なるほど今でいう旧車に近い感覚だった気がします。 そうか、S15(おまえ)はもう旧車だったのか。 誇らしくもあり、ちょっとショックでもある、複雑な気分。 ■旧車に強く、良心的な修理屋さんのおかげで維持できてます さて、S15の維持にかかるお話といっても、まだそれほど大きな影響を受けていないというのが正直なところ。 ボディにサビが出てきた。プラスチックパーツが劣化し、雨漏りが出てきた。 樹脂パーツの塗装剥がれが深刻。 エアコンが調子悪く、コンプレッサーの交換が必要。オルタネーターもそろそろ寿命。などなど……。 それなりの手入れは必要ですが、これは予定の通りというか、消耗品交換みたいなもの。 毎年、かけられるお金の範囲で直し直し乗ってます。あ、でも面倒をみてくれている修理屋さんが、ものすごく良心的だから維持できているってのはあります。 販売店に持ち込んでいた頃は、同じ箇所の修理、パーツの交換でも、倍近くの費用が必要でしたから(販売店批判じゃないッスよ。仕組みとして、どうしたってそれくらいかかるものでしょう。 修理にかかる時間は、即対応の環境を整えている販売店の方がずっと短かったですし)。 近年、パーツの欠品や値上げの話をちらほらと耳にするので、今後の維持には苦労させられるかもしれません。 自動車保険の金額は、シルビアの等級のアップにともなって購入より5年目くらい上昇。10年目くらいまでゆっくりと下降。 そこから年々、数百円ずつ上昇しながら今に至っている感じでしょうか。 安くはありませんが、支払える金額です。 ■盗難が不安で乗り換えを検討するも、いつも親バカ状態に 気になっているのは中古車価格の上昇と、それに比例するように多くなった盗難被害の話。 数年前、先述の修理屋さんに「念のため、S15にGPS信号発信装置を取り付けましょう」との助言を受けました。 聞けば愛車を盗まれるお客さんが年々、増えているそう。 盗難は身近な問題なのだと自覚した次第です。 シルビアがまだ販売店で購入できた頃。 GT-Rのようなスペシャルモデルでもない一量産車にここまで需要が増し、盗難が多発するようになるなんて、誰が考えられたでしょう。 ライターという仕事柄、取材で出先のコインパーキングに2~3日、駐車することはよくあります。 これまではなんてことない、心配なのはせいぜいイタズラくらいの行為だったのですが、最近は盗難に怯える有様。 お仕事が終わったのち「S15がなかったら、どうしよう」と、おっかなびっくりコインパーキングに戻り、無事に安堵する状態です。コインパーキングに駐車しても心配のいらない、盗難とは無縁の足車を用意すべきか。 けれど都内でもう一台分、駐車場を借りるのは経済的な負担が大きい。 そもそも「盗難が恐いから、もう一台、クルマを買う」なんて、はたして家族の理解を得られるかどうか……。うん、たぶん無理。 実際、こんな不安を抱えて日々を送るのは精神的によろしくないと、現行車への乗り換えを検討したこともあります。 でもね、販売店で気になるクルマを試乗したのち、帰り道でS15を運転するや「S15って、こんなによくできたクルマだったんだ。 20年後のクルマと比べても、見劣りしないじゃん」と、逆に再確認させられるんですよ。 運転席からの視界は良く、後部座席に気軽に荷物を放り投げることができ、1300キロに満たない車重はヤれたエンジンであっても軽快に走ってくれる。 アップであろうとダウンであろうとシフトチェンジは快感で、適度に低い車高と重心がもたらす安定感とロールの少なさは家族にだって好評。 時に小さなお子さんから「すぽーちゅかー!」と指さされ、手を振りかえしてあげるなんて……。 おぉ、乗り換えたくねぇ! このまま壊れるまでS15に乗っていてぇ! 分かっていたことではありますが、乗り換えの理由が「盗難が恐いから」は、あまりにも馬鹿馬鹿しく、そして悲しい……。 ■心がけ程度でも、やるのとやらないのでは違うと思うから いやもう、お上はもっと本腰を入れて、クルマの盗難を防いでくれないかなと。 SNSでも「盗難されました、拡散希望!」って投稿を見ない日はありませんし、こんなに盗難が多いのは「需要が高まっているから」では片付けられない、異常な事態だって伝わって欲しいですねぇ。 将来のために声を上げるのも大事ですが、今の環境の中で愛車を守るのはもっと大事。 日々、窃盗団に目を付けられないにはどうすればいいか、コインパーキングに駐めるにしても盗みづらいスペースはどこかを考えて行動してます。 念のためにドライブレコーダーも駐車中の記録ができ、GPS機能の付いた機種を選びました。ネガティブだけど、これも旧車を維持するための現実。 そんな心配のいらない時代が、早く来るといいッスねぇ……。 [ライター・カメラ/糸井賢一]

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