マツダ FD3S型RX-7が個性的なスタイリングを手に入れた理由とは? 1型~6型の違いも解説

目次
1.登場後も進化し続けたRX-7 2.ピュアスポーツを追求したRX-7 3.色褪せない個性的なスタイリング

 

マツダ FD3S型RX-7は、「ワイド&ロー」「ロングノーズショートデッキ」といったスポーツカーに欠かせない外観要素を備えたモデルです。しかし、RX-7の本当の魅力は、個性的な外観ではなく磨き上げられた運動性能にあります。

そこで今回は、FD3S型RX-7が誕生した背景と進化の軌跡を紹介します。

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登場後も進化し続けたRX-7

FD3S型RX-7は、12年の販売期間の間、1度もフルモデルチェンジをしませんでした。製品サイクルの短くなりつつあった1990年代以降のモデルとしては、かなり珍しいことです。

基本設計がしっかりしていたからこそロングライフが実現した、FD3Sの開発の背景を振り返ってみましょう。

先代から正統進化を遂げた

3代目RX-7のFD3S型は、6年ぶりのフルモデルチェンジを果たして1991年に登場します。初代から続いた「サバンナ」の呼称がなくなり、当時の販売チャネルを冠した「アンフィニ RX-7」という名称に改められました。

「世界最速のハンドリングマシン」というコンセプトで開発されたモデルで、先代のFC3S型で強めたピュアスポーツという性格を完成の域にまで高めています。

なお、1997年にはマツダの販売チャネルが統合されたこと受け、「マツダ RX-7」に改められました。

意欲的にマイナーチェンジを重ねた

FD3Sには、1〜6型までの合計6種類があります。さらに大きく3つの時期に分類され、1~3型が前期型、4型が中期型、5~6型が後期型です。また、各モデルで数多くの特別仕様車も投入されました。

初期モデルの販売台数が思うように伸びなかったなか、発売2年後の1993年に登場したのが2型です。内外装の改良に加え、タイプR2という2シーターモデルも投入されました。バブル崩壊の影響が色濃い1995年に誕生した3型では、大幅なプライスダウンが決行されます。これまでは400万円を超えるモデルもラインナップされていましたが、3型では全モデルが300万円台に抑えられました。

中期型と呼ばれる4型は、6種類のモデルでもっとも長く生産されました。デザイン面での大きな変更点は、テールランプがFD3S型を象徴する3連丸型に変更されたことです。また、エンジン周りでも、16ビットECUの採用やエアインテークパイプの材質変更といったアップデートが加えられています。

後期型の5型では、フルモデルチェンジ並みの大幅な変更が加えられました。特に目立ったのは、エンジン出力がついに国内自主規制いっぱいの280psにまで高められたことです。デザイン面では、開口部の大きなフロントバンパーに変更することでクーリングの解決が図られています。さらに、フロントのウィンカー部がコンビネーションランプに変わり、より現代的で洗練されたデザインになりました。最終の6型では、5型で洗練された箇所や仕様をさらに高める形で、内外装とグレード体系に手が加えられています。

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ピュアスポーツを追求したRX-7

1980年代後半から、スポーティな走りにラグジュアリー要素を加えたスペシャルティカーの開発に自動車各社は傾倒していきました。しかし、マツダはRX-7の位置づけをピュアスポーツとして、運動性能を徹底的に磨き上げます。

マツダがこだわり抜いた、FD3Sの運動性能の高さについてみていきましょう。

ロータリーエンジンはモデルごとに進化

FD3Sに搭載されたロータリーエンジンの最高出力は、当初は255psでした。1990年初頭だったとはいえ、GT-RやNSXが自主規制いっぱいの280psを達成していたことを考えるとやや物足りない印象です。

しかし、初代登場以降も意欲的にエンジン開発は続けられ、16ビットECUを採用した4型(中期型)では265psにまで引き上げられます。さらに、後期型の5型では、ついに自主規制いっぱいの280psに到達しました。

脅威のパワーウェイトレシオが実現したハンドリング性能

パワーこそライバル車にやや劣っていましたが、FD3Sの魅力はエンジン搭載位置の最適化と軽量化によって実現した高い運動性能でした。徹底的な軽量化を図った結果、1型登場時の最高出力255psでもパワー・ウェイト・レシオ5.0kg/ps以下という難しい指標をクリアしています。

また、エンジンをフロントミッドシップに搭載し、50:50という理想的な前後重量配分を実現しました。さらに、エンジン搭載位置をFC3Sから25mmも下げ、安定したコーナリング性能も手に入れています。

スーパーGTでも証明したロータリーエンジンの実力

ロータリーエンジンのレースでの活躍といえば、1991年の日本メーカー初のルマン優勝です。それから10年以上の時を経て、FD3Sも日本最高峰のツーリングカーレース、スーパーGTでシリーズタイトルを獲得しています。

すでに販売を終了していた2006年のシリーズで、RE雨宮のRX-7がついにシリーズチャンピオンに輝きました。シリーズ2位のRE雨宮RX-7は最終戦の富士での逆転を目指しましたが、途中スピンを喫したこともあり、最終ラップまで逆転でのタイトル獲得は難しい位置でした。しかし、最終ラップのゴール直前で前走車がガス欠になったことで1つ順位が繰り上がり、ポイントでトップチームと並びます。結果的に、規定によってシリーズチャンピオンを獲得しました。

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色褪せない個性的なスタイリング

フロントからテールエンドまで、流れるような曲線で描かれたボディライン。FD3S型RX-7は、現代のスポーツカーと比較しても見劣りしない、美しさと圧倒的な個性を兼ね備えたモデルです。

また、FD3Sの個性的なデザインは、世界で唯一量産ロータリーエンジンを搭載できるマツダだからこそ実現しました。ハイパワーながら小型という特徴を活かすことで、他メーカーでは真似できない低重心化を成し遂げたのです。ピュアスポーツとしての性能を追い求めたために、長く愛されるスタイリングが生まれたのかもしれません。

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