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クルマの電気系統のトラブルは、ドライバーには原因の特定は難しいため、修理は専門家に依頼するのが一般的です。しかし修理費用が高額になる不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、25年以上にわたり旧車・クラシックカーを15,000台以上買い取ってきた旧車王が、クルマの電気系統でよくある故障トラブルについて、症状別に考えられる原因と対処法、気になる修理費用の目安をわかりやすく解説します。この記事を読めば、ご自身のクルマに起きている不調の原因に見当をつけ、安心して専門工場に相談できるようになるでしょう。
【この記事でわかること】
・クルマの電気系統のトラブルの種類
・それぞれの原因と対処法
・電装系の修理費用の目安
クルマのバッテリーのトラブル
バッテリーの不調は、電気系統の中でも代表的なトラブルのひとつです。エンジン始動に必要なバッテリーにトラブルが起きると、クルマを動かすことすらできなくなってしまいます。ここでは、バッテリー周りで起こりがちなトラブルの原因と、その対応方法について詳しく見ていきましょう。
考えられる原因
バッテリートラブルの最も一般的な原因は、バッテリー自体の寿命や劣化による蓄電能力の低下、いわゆる「バッテリー上がり」です。室内灯やヘッドライトの消し忘れといった単純なミスから、長期間クルマに乗らなかったことによる自然放電まで、その要因はさまざまです。
発電機であるオルタネーターの故障により、走行中にバッテリーが十分に充電されず、結果的にバッテリーが上がってしまうケースも少なくありません。さらに、バッテリーターミナルの接触不良や腐食、配線の断線など、さまざまな原因で電気が正常に流れなくなります。
対応方法
まずはジャンピングスタートを試みるのが基本的な対応となります。これは、他のクルマのバッテリーやジャンプスターターと呼ばれる専用の機器から電気を供給してエンジンを始動させる方法です。
ジャンピングスタートにより、バッテリーは一時的に復活する可能性がありますが、あくまで応急処置に過ぎません。一度上がったバッテリーは性能が低下しやすいため、早めに新品への交換を検討しましょう。
もしジャンピングスタートでもエンジンがかからない、あるいはすぐにまたバッテリーが上がってしまう場合は、オルタネーターの故障が疑われます。この修理は専門的な知識が必要なため、速やかに整備工場へ相談することをおすすめします。
ライト・ウィンカーの故障トラブル
夜間走行の安全を確保するヘッドライトや、周囲に自車の動きを知らせるウィンカーが1つでも点灯しない状態は非常に危険です。ここでは、ライトやウィンカーの故障について、その原因と対応を解説します。
考えられる原因
ライトやウィンカーが点灯しない原因の多くは、バルブ(電球)の球切れです。バルブは消耗品であるため、使用していればいずれ寿命を迎えます。特にハロゲンランプは数年程度で切れることが一般的です。
次に疑われるのはヒューズ切れです。ヒューズは過大な電流が流れた際に回路を保護する役割があり、一度切れてしまうと電気が供給されなくなります。その他、スイッチ自体の故障や、リレーと呼ばれる電流を制御する部品の不具合、配線の接触不良や断線なども原因としてあげられます。
対応方法
まずは球切れを疑い、バルブの確認から始めましょう。バルブ交換は比較的簡単な作業であり、DIYで行うことも可能です。部品代も数千円程度で済みます。もしバルブを交換しても点灯しない場合は、ヒューズボックスを確認し、該当する箇所のヒューズが切れていないかチェックしましょう。ヒューズも数百円で購入でき、交換作業自体は難しくありません。
もしヒューズが頻繁に切れる場合は、回路のどこかでショートが起きている可能性があります。スイッチやリレー、配線のトラブルとなると原因の特定が難しくなるため、ディーラーや電装系に強い整備工場に修理を依頼するのがおすすめです。
パワーウィンドウの故障・トラブル
ボタン1つで窓の開閉ができるパワーウィンドウは、今やほとんどのクルマに採用されている装備です。この機能も電気系統の部品で動いているため、故障とは無縁ではありません。
考えられる原因
パワーウィンドウが動かなくなる原因でもっとも多いのは、摩耗や接触不良といったスイッチ部分の故障です。運転席の集中スイッチで特定の窓だけが動かない場合、その窓側のスイッチではなく、集中スイッチの故障も疑われます。
次に考えられるのは、窓を上下させるモーターの不具合や寿命です。モーターが動く音はするものの窓が動かない、あるいは動きが非常に遅いといった症状は、モーターやレギュレーター(昇降装置)にトラブルが発生した可能性があります。
対応方法
まずはヒューズが切れていないかを確認しましょう。ヒューズに問題がなければ、スイッチの故障を疑います。モーターやレギュレーターの交換となると、ドアの内張りを剥がすなどの作業が必要になります。
修理が大がかりになるほど専門的な技術を要するため、整備工場へ依頼することをおすすめします。放置すると窓が開いたまま閉まらなくなるリスクもあるため、不調を感じたら早めに対処しましょう。
ワイパーの故障・トラブル
雨や雪の日の視界確保に欠かせないワイパーも、電気モーターで動作する電装のひとつです。ワイパーが故障すると、悪天候の際に安全な運転が困難になり、重大な事故につながる恐れがあります。
考えられる原因
ワイパーが動かない原因の多くは、スイッチやモーターの不具合です。スイッチの接触不良や長年の使用によるモーターの寿命、ワイパーアームへの過大な負荷によるヒューズ切れといった理由が考えられます。
動きがぎこちない、途中で止まるといった症状の場合は、ワイパーの根元にあるリンク機構の固着や破損が疑われます。これは、サビやゴミの蓄積により発生するトラブルです。
対応方法
まずはヒューズから確認し、切れている場合は交換します。これで直らない場合は、スイッチやモーター、リンク機構といった部品の点検が必要になります。
ワイパーは保安基準にも関わる重要な部品であり、その修理には専門知識が求められます。安全のためにも、不具合を感じたら迷わずプロに点検・修理を依頼してください。
オーディオの故障・トラブル
オーディオは運転に直接関わる電装ではありませんが、バッテリーやワイパーなどと同様にさまざまな電気系のトラブルが発生します。
考えられる原因
オーディオの異常は本体の故障やヒューズ切れ、裏側にある配線の接触不良が主な原因です。特に社外品のオーディオをDIYで取り付けた場合、配線処理が不適切で接触不良を起こしている可能性があります。
対応方法
まず確認すべきは、オーディオ関連のヒューズです。ヒューズボックスの配置図を見て該当するヒューズをチェックし、切れていれば交換しましょう。ヒューズに問題がない場合は配線の接続に問題がある可能性があるため、オーディオユニットを一度取り外し、背面のコネクターがしっかりと差し込まれているか、配線が抜けかかっていないかを確認します。
これらの確認作業を行っても改善しない場合は、オーディオ本体の故障が濃厚です。本体の修理は高額な費用がかかることも多いため、交換を検討するのが一般的でしょう。
エアコンのトラブル
夏場のドライブに不可欠なエアコンも、電気系統が複雑に絡み合うシステムです。スイッチを入れても冷たい風が出てこない、あるいは全く作動しないといったトラブルは、ドライバーにとって深刻な問題です。
考えられる原因
エアコンが全く作動しない場合、スイッチパネルやブロアモーターといった電気部品の故障が考えられます。また、エアコンシステムを制御するリレーやヒューズのトラブルも原因の1つです。
風は出るものの冷えないという場合は、冷媒ガスを圧縮するコンプレッサーを作動させる電磁石(マグネットクラッチ)の故障が疑われます。エアコンガスが不足しているケースも多いですが、電気系統の不具合が根本的な原因であることも少なくありません。
対応方法
エアコンのトラブルは原因の特定が難しいため、専門家による診断が不可欠です。まずは整備工場で点検を受け、ガス圧のチェックや診断機によるエラーコードの読み取りを行ってもらいましょう。
故障の原因が特定できた後も、DIYでの修理は非常に難しいため、そのまま工場で修理してもらうとよいでしょう。
エンジンがかからないトラブル
「エンジンがかからない」という症状は、車のトラブルの中でも深刻な部類に入ります。キーを回してもセルモーターが回らない、あるいはキュルキュルと音はするもののエンジンが始動しないといった症状の原因は多岐にわたりますが、多くの場合、電気系統の不具合が関わっています。
考えられる原因
エンジンがかからない原因の多くはバッテリー上がりです。そのため充電すれば解決することがほとんどですが、バッテリーが正常でもエンジンがかからない場合、次に疑うべきはセルモーター(スターター)の故障です。セルモーターは、エンジンを始動させるためにクランクシャフトを強制的に回転させる重要な部品であり、これが故障するとエンジンはかかりません。
点火プラグに火花を飛ばすためのイグニッションコイルや、燃料をエンジンに送り込む燃料ポンプといった部品も電気で動いており、これらの故障もエンジントラブルの原因です。さらに、クルマ全体の電気系統を制御するECU(エンジン・コントロール・ユニット)の不具合といった、より深刻な原因も考えられます。
対応方法
バッテリー上がりはジャンピングスタートで解決できる可能性がありますが、それで始動しない場合、個人での対応は困難です。また症状にあわない方法でエンジンを動かそうとした場合、各部品に負担をかけ被害を拡大させる恐れがあります。エンジン回りの修理には専門知識が必要であり、費用も高額になりやすいため、早々に専門の整備工場への相談をおすすめします。
電装系の修理費用の目安
ここまで症状別に解説してきましたが、最終的に気になるのは修理にかかる総額の費用でしょう。クルマの電気系統、いわゆる電装系の修理費用は、故障した部品や修理の難易度によって大きく変動するため、一概にいくらと断言することはできません。
修理費用は、大きく分けて「部品代」と「工賃(技術料)」で構成されます。ヒューズやリレー、電球といった単純な部品は数百円から数千円と安価ですが、ECUやオルタネーター、エアコンのコンプレッサーといったユニット部品は数万円から十数万円と高額です。
工賃は、作業時間や専門性に応じて設定されます。簡単なバルブ交換であれば数千円で済みますが、ダッシュボードの脱着が必要な修理や、原因特定が困難なトラブルシューティングには、相応の時間がかかるため工賃も高くなる傾向があります。
修理の見積もり額が、クルマの年式や市場価値を考えるとあまりにも高額になってしまうケースもあるでしょう。そのような場合は、修理を断念してクルマの乗り換えや廃車を検討するのも1つの選択肢です。修理するか手放すかの判断に迷った際は、修理費用の見積もりと、現在のクルマの買取査定額を比較してみることをおすすめします。
まとめ
クルマの電気系統のトラブルは、予兆なく突然発生するものです。原因によっては多額の修理費用がかかるため、DIYで修理したいと考える方も多いでしょう。しかし、ヒューズやバルブの交換など一部の簡単な作業を除き、電気系統の修理には専門的な知識と技術が不可欠です。
少しでも「おかしいな」と感じたら、自己判断で解決しようとせず、信頼できるディーラーや整備工場に相談することが最も安全で確実な方法です。
愛車のコンディションを良好に保ち、安全で快適なカーライフを送るためにも、電気系統のトラブルサインを見逃さず、早め早めの点検と修理を心がけましょう。
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