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松村 透の記事一覧

20代のクルマ好きから「初代ロードスター乗りたいんです」と聞かれてマジレスした話
旧車の魅力と知識2024.05.30

20代のクルマ好きから「初代ロードスター乗りたいんです」と聞かれてマジレスした話

つい最近、20代のクルマ好きから「ユーノスロードスター乗りたいんですけどどう思いますか?」とアドバイスを求められ、真剣に悩んでしまった。 かつて自分も乗っていたユーノスロードスター かつて自分も、中古(しかも格安)で手に入れたユーノスロードスターに乗っていた時期があった。古いクルマ相応のトラブルや出費に泣かされつつも、いまでも手に入れて良かったと心から思える1台だ。 自分が1991年式ユーノスロードスター Vスペシャルの中古車を手に入れたのは2011年。つまり東日本大震災があった年だ。当時住んでいた地域は震源地から比較的離れていた場所にあり、自宅にも大きな被害はなかった。 困ったことといえば、度重なる計画停電やガソリンの入手に悩まされたくらいだ。実際に被災した方たちと比べたら、この程度は苦労したうちに入らない。 やがて少しずつ周囲が落ち着きはじめた頃、「この先、いつ何時、どうなるか分からないから、せめて欲しいと思うクルマを手に入れよう」と心に決めた。こうして手に入れたのが先述のユーノスロードスターだ。 車輌本体価格が29万円のVスペシャル。2オーナーの1.6リッター、5速MT、車検切れ、ほぼノーマル。下地処理が雑な板金処理が施され、純正色のネオグリーンに全塗装されていた。何しろ車輌本体価格29万円だ。良好なコンディションを期待すること自体に無理がある。 納車当日にミッションとクラッチの不具合が発覚。近所のマツダディーラーに駆け込んだところ、エンジンからオイル漏れも起こしているという。結局、そのままディーラーで修理が決定。クラッチは新品に交換、エンジンもガスケット交換するなど、最低限まともに走れるよう、ひととおりの作業をお願いした。ミッションはリビルト品にすることで出費を抑えてもらったが、それでもトータルで50万円くらいは優に掛かった記憶がある。 その後も雨漏りに悩まされたり、内装を中心にドレスアップを楽しんだり…。総額でいくら掛かったんだろう。100万円を超えたあたりから恐ろしくなって計算するのをやめた。それでも努力の甲斐あって、気づけば29万円で手に入れたとは思えないクルマに仕上がった。 その後、訳あってこのユーノスロードスターは泣く泣く手放した。某エンスー系個人売買を介して試乗に来た20代の男性が、試乗するなりその場で即決した瞬間、このクルマとの別れが決まった。風が強い、冬晴れの土曜日だった。 ちなみに、その彼はこのユーノスロードスターが人生初の愛車だという。それならば、ということで、ロードスターを引き渡す際に、ノーマルパーツを含めて可能な限り手持ちの部品を含めて譲り渡した。結局手元に残ったのは、ナルディのホーンボタンと愛用していたキーホルダーくらいだ。 早いもので、あれから10年が経った。当時、20代だった次のオーナーも、いまでは30代半ばくらいになっているのだろうか。あのときのユーノスロードスター、いまでも乗ってくれているといいのだけど…。 ふと横を見ればNDの中古車も買える カーセンサーによると、2024年5月現在のユーノスロードスターの平均価格は168.5万円。もっとも安い個体の車輌本体価格でも55万円だという。下限でこれだ。自分が手に入れたときは10万円を切るような、誰が買うんだといいたくなるような、ボロボロ・くたくたの個体も売られていた。 その反面、コンディションの良さそうな個体は、2011年当時でも100万円を超えてきてはいた。しかし、200万円台ともなれば、新車同様の限定モデルやM2など、ごく少数だった。そこまで高いお金を払って買おうという人が少なかったんだと思う。 それがいまや、200万円台を大きく突破して300万円台後半の領域にまで達している。もはや新車以上の値段だ。正直、現行モデルであるND型の中古車も充分に狙える価格帯でもある。 自分がユーノスロードスターを存分に楽しんだ(同時に痛い目にあった)ということもあるが、いまなら迷わず現行モデルであるND型の中古車を選ぶだろう。 もし、ふたたびユーノスロードスターを手に入れるとしたら、フルレストア&オリジナルの状態にして所有したい。本気になってしまったら前回以上の出費になることは確実だ。それに、コンディションが良すぎて気軽に楽しめない(持っていることがプレッシャーになる)気がする。 止めるべきか、背中を押すべきか? 20代のクルマ好きの彼は、ユーノスロードスターに狙いを定める前段階として、ND型ロードスターも比較対象として考えたはずだ。それを前提に考えると「NA型を買うならND型も狙えるよ」といったアドバイスは、当の本人からすれば「んなこと、いわれなくとももう分かってます」だろう。 ポルシェ911のように、現行モデルである992型の中古車が手に入るのに、あえて964カレラ2(MT)を狙いにいくのと少し似ているかもしれない。新しいクルマの方が壊れないし、エアコンも効くし、日常の足としても使いやすい。さらにいえば、家族の理解も(少しは)得られる。そんなことは百も承知でユーノスロードスターを買おうというのだから、正論が通じるはずもない。 しかし、無責任に「どうせならばNA型買っちゃいなよ」とせきたてることで、20代のクルマ好きの友人に確実に降りかかるであろう、さまざまな苦悩と苦痛と、多額の出費という「高負荷」を掛けてしまっていいのか悩むこととなった。 結局、どうしたかというと・・・ で、結局「ユーノスロードスターに乗りたいんですけどどう思いますか?」という問いに対してどう答えたのか? 今回に限った話でいうと「彼は答えは出ていて、誰かに背中を押して欲しいはずだ」と判断した。 そこで「コンディションの良い個体は今後さらに数が減るだろうし、相場もさらに上昇するはず。年齢を重ねてから悔やむことのないように、思い切って手に入れてみたら?」と伝えた。これに「信頼できるロードスターオーナーを見つけて主治医を紹介してもらい、同じクルマを持つ仲間と1人でも多く知り合ってみて」とつけ加えた。 それこそ、当の本人からすれば「んなこと、いわれなくとも分かってます」だろう。ただ、特に後者は念を押しておく必要があると感じていた。 主治医選びを間違えると、せっかく手に入れた念願のユーノスロードスターとのカーライフが早々に破綻しかねない。いい加減な整備でクルマを壊されることもあるからだ。そして何より、主治医との相性も重要だ。何となくソリが合わない、信頼できない…という直感には従った方がいいと思う。そのモヤモヤが蓄積され、何らかのきっかけでいずれ爆発するからだ。 最近、ライフスタイル系の雑誌で旧車やネオクラシックカーとそのオーナーを取材した特集記事を目にする機会があった。愛車選びに多少のヒネリが加えられ、どことなくおしゃれに映るのかもしれない。しかし、その裏ではたびたび壊れる、クーラーが効かないなどの「やせ我慢」を強いられるオーナーも少なからずいるはずだ。 20年、30年、あるいはそれ以上の年数が経過したクルマが現代のそれと比較して確実にヤレているし、我慢を強いられることも多い。「買えばなんとかなる」とはいかない場面も多々ある。そういったもろもろのリスクを背負えるだけの覚悟だけは持っていた方がいいのかもしれない。 [画像・Mazda ライター・撮影/松村透]

愛車がすべてという考えはいささか危険かもしれないという話
旧車の魅力と知識2024.05.20

愛車がすべてという考えはいささか危険かもしれないという話

これまで何百人という方に愛車にまつわるお話を伺ってきた。そのなかには「愛車を維持するために人生を掛けている」あるいは「愛車がなくなったら自分は廃人になってしまうかもしれない」と本気でいい切るオーナーも少なくない。 ■愛車がすべて。その気持ちは痛いほど分かる 憧れのクルマを手に入れてから今日まで、惜しみない愛情と時間、そして多額の費用を投じて所有してきたのだから、もうあとには引けないという思いもあるのかもしれない。 筆者自身、一生モノと固く心に誓って維持している愛車がある。仕事が忙しいときには車庫にある愛車を眺め、運転席に座るだけでも気持ちが落ち着く。ある意味、精神安定剤的な役割も担っているのかもしれない。乗れなくてもいい。そこにあるだけで満たされる。 そしてふと思うことがある「このクルマがなくなってしまったら自分はどうなってしまうんだろう」と。そんなこと考えたくもないし、あえて考えないようにしているフシもある。それはなぜか。結末がどうなるか。自分がいちばんよく分かっているからだ。 ■「代わりになるものが存在しない」という怖さ せっかくの機会なので、(ちょっと怖いけれど)自分自身の気持ちを掘り下げてみる。愛車を手放したことで、とてつもない喪失感に襲われ、仕事が手につかなくなるだろう。「仕事は最大の逃げ場」という人もいるが、幸か不幸か自分の場合はクルマに関することを生業にしている以上、逃げ場がない。 おそらく、気晴らしにWebカーセンサーやGoo-netあたりで代わりになるクルマを探してみるはずだ。ものすごく前向きに考えると(対象となったクルマには申し訳ないが)リハビリ用として「以前からなんとなく欲しいと思っていた」クルマを選び、あまり深く考えずに買うんだと思う。あくまでもリハビリ目的として。 このとき「元」となってしまった愛車と似たようなジャンルのクルマを選ぶと、無意識のうちに比較して落ち込みそうだ。そこで、あえてまったく別のモデルを選ぶべきかもしれない。こうしてリハビリをしつつ「時間が解決してくれる」のを静かに待つしかなさそうだ。 ■逃げ道が女性という思考は危険かもしれない 自分の人生のすべてを掛けて愛車に捧げる行為は尊いことだと個人的に思う。ただ、どれほど大切にしていても、いつかは自分の手元を離れるときが必ずやってくる。それが「いつか」であって、「いつなのか」は分からない。もしかしたら、Xデーは明日かもしれない。 少し前にNSXとNRを手放してまで1人の女性に捧げたすえ、最悪の結果となってしまった事件があった。コトの是非はともかく、容疑者が手塩に掛けたであろう2台の愛車を手放し、それでも想いを寄せた女性に拒絶されたときの絶望感を想像したクルマ好きの人も多いと思う。 クルマやバイクに興味がない、あるいはそれほどのめり込む対象がない人にとってはとうてい理解しがたい、というか理解不能だろう。しかし、大げさでも何でもなく「生きる糧」を失ってしまうくらいの喪失感があることも事実だ。 もっとも、容疑者が一方的に想いを寄せていたようなので、本人からすれば「可愛さ余って憎さが百倍」となったことが今回の結末を招いてしまったとしたら…何ともいたたまれない。 おそらくは盲目的にNSXとNRを大切にしていたであろうし、同じように被害者の女性にも想いを寄せていたのかもしれない。ただ、クルマやバイクはその想いを受け止めてくれるけれど、相手が人間(ましてや異性)ともなればそうはいかないことの方が多い。 ましてや、被害者の女性は水商売だし、どれほどの大金を貢いだとしても振り向いてもらえる確率は限りなくゼロに近いと考えてしまうのは、悲しいかな他人事であり、当の容疑者だって、そんなことはいわれるまでもなく頭では分かっていたはずだ。 ■それでも逃げ道はあった方がいい 正直、自分でもいいことだとは思っていないのだが、公私ともにクルマ漬けの日々だ。いざというときに潰しが効かない。好きなことを仕事にできていいねといわれることもあるし、自分でもそうだと思うこともある。 以前、仕事と割り切ってあまり興味のないジャンルを扱う企業に入社し、勤務中はもちろん、雑談のときにクルマのクの字も出てこなかったことがあった。そもそもクルマに興味がある人が周囲に誰も居なかった。ストレスが限界に達すると、勤め先のビルの地下駐車場に行って停まっているクルマを眺めて気持ちを落ち着かせていた。 とはいえ、いまの仕事も当然ながら楽しいことばかりではない。クライアントから無理難題をふっかけられることだって(よく)ある。ふと、目の前からクルマという存在を消してしまいたくなるのだが、現実にはそうはいかない。生活が掛かっているからだ。休んだ分、確実に収入が減る。 そんなとき、旅行やスポーツ観戦に行くとか、バンド活動に勤しむとか。クルマから離れてまったく別ジャンルの世界で楽しみを見つければいいのだが…。なぜかクルマ以上に夢中になれるものがいまのところ見つからない。これはこれで意外と辛い。 あるとき気づいたのが、無理にのめり込むものを見つけようとせず、近くの温泉に行ったり、ふらりと旅行をしてみるなど、「なんとなく逃避できる場所やジャンル」をそのときの気分で探せばいいのではないかと思うようになった。無理矢理逃げ場を見つけようとせずに、こちらも「時間が解決してくれる」くらいがいいのかもしれない。 自分自身への戒めを込めて、いざというときのために逃げ道を作っておいた方がいいのかもしれない。 [画像・Porsche,Alfaromeo,Jaguar,Honda,Mazda,Adobestock ライター・撮影/松村透]

今年で5回目となる「スーパーアメリカンガレージ朝霞の森 2024」イベントレポート
旧車のイベント2024.04.29

今年で5回目となる「スーパーアメリカンガレージ朝霞の森 2024」イベントレポート

2024年4月7日、埼玉県朝霞市にある「朝霞の森」にて『スーパーアメリカンガレージ朝霞の森 2024』が開催された。 週間天気予報では、この日の予報は雨。しかし、主催者の増井淑博氏は自他ともに認める晴れ男であり、この予報を覆した。結果、イベント当日は見事なまでの晴れ! さらに、少し暑いくらいの陽気で、過去10年でもっとも開花が遅れたというソメイヨシノも楽しめる絶好のイベント(お花見)日和となった。 普段はめったに観られないアメ車が朝霞の森に多数集結! 午前9時をまわる頃には、どこからともなく「ドコドコ」と野太いV8エンジンサウンドを轟かせながら続々とアメ車が朝霞の森に集まってきた。最新のモデルはもちろん、1950年代のアメ車も少なくない。 70年前のクルマが、生まれ故郷であるアメリカから遠く離れた日本の地で素晴らしいコンディションを保っているのだ。現地の人が見たら驚くに違いない。 アメ車以外のクルマも個性豊か! フォルクスワーゲン ビートル(Type1)や、お父さん世代には懐かしいGX71系のトヨタ マークII、トヨタ ハイエースのカスタムカー、日産スカイライン(R34型)の展示もあり、こちらも注目を集めていた。以前、左ハンドル仕様のマツダMPVが展示されていてびっくりしたけれど、今回はエントリーしていなかった模様。 朝霞市の公認イベントならではのゲスト!朝霞市長はアメ車好き!? 埼玉県朝霞市が後援するイベントということもあり、開会の挨拶には現朝霞市長が登壇。若き日の市長がトランザム乗りであったのだとか。 また、外務大臣政務官を務める衆議院議員のほさかやすし氏も登壇し、このイベントが地元に根ざしていることが実感できた。 スーパーアメリカンガレージ朝霞の森には欠かせないライブも スーパーアメリカンガレージ朝霞の森の主催者である増井淑博氏は音楽プロデューサーとしての肩書きも持っている。そのキャリアを活かし、メインステージではミュージシャンによるライブが行われた。ギャラリーもノリノリ。イベントを大いに盛り上げていた。 スワップミートも見所満載 スーパーアメリカンガレージ朝霞の森に欠かせないプログラムに「スワップミート」がある。ファッション、ガレージに飾るグッズ、ミニカーなど、目移りするアイテムばかり。 思わぬ掘り出しモノが見つかる確率が高いので、衝動買い気味の人は要注意だ(笑)。キッチンカーも多数出店しているので、好みやその日の気候に合わせていろいろ選べるのも嬉しい。 まとめ:1人でも多くの人にアメ車の魅力を知ってもらいたいと願う増井氏の想いを形に イベントの主催者である増井氏には「より1人でも多くの人にアメ車の魅力を知ってもらいたい」という強い想いがある。 スーパーアメリカンガレージ朝霞の森のエントリーフィーは記念シャツとステッカー付きで5,000円という、参加者にとって良心的な価格設定もかなり魅力的だ(エントリーは当日の受付のみ)。 そして、2024年10月20日(日)には、お台場ウルトラパークにて、31回目となる「スーパーアメリカンフェスティバル2024」が開催される。7月からエントリーを開始するとのことだ。詳細は公式サイト(http://amefes-since1992.net/)まで。 また、増井氏のFacebookページ(https://www.facebook.com/masuiyoshihiro/)でも告知される予定なので、そちらも合わせてチェックされたし! [ライター・撮影/松村透]

3人の主催者に聞いた!横浜赤レンガ倉庫『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?』を初開催してみて
旧車のイベント2024.04.18

3人の主催者に聞いた!横浜赤レンガ倉庫『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?』を初開催してみて

去る2024年3月20日(水)、横浜赤レンガ倉庫で【YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~】が初めて開催された。 横浜赤レンガ倉庫で開催されるクルマのイベントはいずれも華やかで、偶然、その場を訪れた人を楽しませるエンタメの要素も持ちあわせている。 そして今回、新たなアプローチでクルマのイベントが開催された。 「若者たちのカーライフ」。 (以下、オフィシャルサイトより転載)若者が所有するクルマ達約100台を横浜赤レンガ倉庫に展示!35歳以下の若者達が、趣味として楽しむ自慢のクルマ達を展示いたします。場所はなんと横浜赤レンガ倉庫!!展示車両のレギュレーションは無く、国籍、年代問わず様々な車種が集まります。皆様ぜひ遊びにお越しください。 あえてこの切り口を前面に出し、開催にこぎつけた主催者の方たちの想いとは? イベント当日、ご多忙のなか、主催者である後藤氏、本田氏、甲野氏が取材に応じていただいた。 ── 抜群のチームワークに映りますが、皆さん知り合って長いんですか? 甲野さん(以下、甲野):学年こそひとつ違いますが、幼馴染みたいな感じですね。  後藤さん(以下、後藤):私はここ3〜4年くらいです。某パーキングエリアに寄ったとき、BXがいるなーって思いました。  本田:俺もピアッツァがいるなーって。 本田:BXに興味津々の後藤から声を掛けられて、「もしかしてピアッツァのオーナ ーさんですか?」って尋ね返したのが運の尽きです(笑)。 ── それぞれおいくつですか? 後藤:26才です。 甲野:27才です。 本田:29才です ── 企画から運営までどれくらいの期間がかかりましたか? 後藤:約1年です。ちょうど1年くらい前に本格的にやろうということになり、クルマ関連のミーティングを主催した経験がある本田と甲野にも声を掛けたんです。  ── 横浜赤レンガ倉庫の場所を押さえたということは行政に掛け合ったんですか? 後藤:そうです。企画書を作って横浜市に提案しました。 ── 企画書を作成するのは大変だったのではないですか? 後藤:毎年秋に「横浜ヒストリックカーデイ」 というイベントを主催している方を横須賀にあるリバイバルカフェさんに紹介していただきました。その方からイベントを提案するうえで必要な書類などのノウハウを伝授していただき、横浜市に企画書を提出したところ承認が得られたんです。 ── イベント開催日を3月20日を選んだ理由を聞かせてください 後藤:単純にこの日(3月20日)しか空いてなかったんです(笑)。 ── どうやってこれだけの台数を集めたんですか? 後藤:基本的に我々3人の友人を中心に声掛けしました。これまで各々が培ってきたつながりもありますし、本田と甲野は別のミーティングを主催していたのでイベント運営のノウハウもあります。私はイベントを企画することはできるけれど、クルマを集めて誘導する運営の方はこの2人のほうが優れてる。 僕らは全員横浜育ちなので、地元横浜赤レンガでってなるとこの2人と組んでやろうと。 ── このイベントを開催するうえでもっとも大変なことはなんでしたか? 甲野:「YOKOHAMA Car Session」というイベントを横浜赤レンガ倉庫で行います、という声掛けはもちろんのこと、参加費の集計と管理ですね…。入金状況を確認して、未入金の方に個別でリマインドしたり、直前でキャンセルが出て、別の方に声を掛けたり。 後藤:参加台数を100台は確保したかったんです。なのでイベント覗きに行くね、といってくれた方に「枠空いたから並べてみませんか?」とお声がけしたパターンもあります。 ── 初開催ですし、準備も大変だったんじゃないですか? 後藤:大変ではありましたが、徹夜するほどではなかったです。前週の週末に深夜2時くらいまで準備したのがもっとも遅かったくらいですね。 甲野:3人ともサラリーマンゆえ、平日はそれぞれに本業があります。その合間を縫いつつも3人の役割分担を明確にして、密に連携できたのが良かったです。 ── このイベントにはサポートメンバーの方も? 後藤:います。10人ほどの友人に協力していただき、会場内への誘導などはサポートメンバーにお願いしました。自分たち3人はこうしてメディア対応もできるようにしたかったですし。彼らの協力なくしては成り立たないイベントです。 ── とはいえ、1日仕事です 後藤:おそらく「イベントをやるぞ」っていう熱意と同じくらい大事なのが人脈なのかもしれません。やりたいって思い立ったとき、人のつながりを広げて大切にしていれば、「君たちがやるのなら手伝うよ」っていってくれる人が出てきてくれるのかなと…。 甲野:この3人ならではのネットワークが強みになったところはありましたね。この3人って、クルマへの情熱や向いている方向は一緒なんですけど、クルマの趣味嗜好は割りと違うんですよ。だからこそ、バラエティに富んだ「面白味」が出せるのかもしれません。それぞれが趣味に本気で向き合ってきている分、その路線ごとに友だちがいますし。 ── 敢えて伺います。大変なこともあったと思いますが、開催してよかったですか? 後藤:メチャクチャよかったです!開催までは不安なんですよ。昨日の夜なんかは3人で仕事終わりに集まって、いよいよ明日だよって…。でも、横浜赤レンガ倉庫で開催できたことで、「若者にもこれだけ熱いクルマ好きがいますよ!」ということがアピールできたと思うんです。 本田:例えばご高齢の方が大事に乗ってきた愛車を泣く泣く手放すことになったとき「今の若い人のなかにもクルマ好きがいっぱいいます。だから若い世代に安心してお任せください!」ということを伝えたいという想いもありました。 クローズドなイベントと違って、ここ(横浜赤レンガ倉庫)なら、偶然訪れた多くの人の目にも触れることができますから。 甲野:あとは赤レンガの公式サイト、みなとみらい21の公式サイトなどでイベントの告知をしてもらいましたし。それも功を奏してこれだけの人が集まってるのかなって思ってます。ちなみにそこに停まっているゼロクラウンは走行距離43万kmなんですよ。10万kmの中古で買って、1人で30万km以上乗っています。 甲野:彼に限った話ではなく、今回のイベントに参加してくれた人は「このクルマじゃなきゃダメなんだ」という意識で乗っているオーナーが多いですね。もちろん我々3人も含めて。 ── 若者のクルマ離れって言われて久しいと思うんですけど、実際にどう思いますか? 後藤:昔に比べたら数は減っているかもしれませんが、私はそうは思えません。10年前に1回いわれたクルマ離れからもうそれだけが1人歩きしてしまっている現状はあると思うんです。 「若者のクルマ離れ」が叫ばれた世代って私たちよりも上の世代なんです。30代半ば〜40歳くらいの方のイメージです。私たちの世代は親がクルマ好きだったり、頭文字Dやグランツーリスモにハマった世代なので、少し異なるかもしれません。 ── 同感です!少し気が早いですが、来年の開催はありますか? 3人:現時点では未定です。でも、今回の反響次第では来年も開催したいという想いはあります!! ── まとめ:多くの一般来場者が訪れる「横浜赤レンガ倉庫で開催したこと」に意義がある 「若者のクルマ離れ」という、ある意味では本当で、ある意味では幻想にすぎないキーワードに危機感を抱いているのはおじさん・おばさん世代ばかりではない。むしろ、当事者である若い世代の方が「たしかにそうかもしれないけれど、そんなことはない」と自らイベントやオフ会を各地で企画し、クルマの魅力を伝えている。 今回の横浜赤レンガ倉庫で【YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~】がそれらのイベントと一線を画すのは、多くの一般来場者が訪れる「横浜赤レンガ倉庫で開催したこと」にある。 しかも、単なる愛車自慢大会ではなく「クルマ好きが存分にアピールできた」ことも大きい。ストレートに表現するなら嫌味がまったくないのだ。あくまでも等身大のカーライフを伝える。失礼ながら「クルマエンゲル係数高め」な参加者もいたはずだ。 そしてノンジャンルとしたことも功を奏していたことだろう。国内外の珍しいクルマから懐かしいクルマ、マニアから一般の方まで、クルマに詳しくない人ならではの視点で楽しめる点に配慮されているように感じた。 次回の開催は未定とのことだが、横浜赤レンガ倉庫に自分の愛車が展示される快感を知ってしまったオーナーもいることだろう(笑)。さまざまなハードルはあると思うが、何とか赤レンガ倉庫で開催されるクルマ系のイベントのひとつとして定番化することを願うばかりだ。 ── 『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~』関連記事 ●初開催『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~』を取材して思うことhttps://www.qsha-oh.com/historia/article/yokohama-car-session-2024/ ●若きオーナーたちの愛車約100台が赤レンガ倉庫に集結!『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?(国産車編)』https://www.qsha-oh.com/historia/article/yokohama-car-session-2024-japanese/ ●参加できるのは30代前半まで!愛車約100台が赤レンガ倉庫に集結『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?(輸入車編)』https://www.qsha-oh.com/historia/article/yokohama-car-session-2024-import/ [ライター・撮影/松村透]

参加できるのは30代前半まで!愛車約100台が赤レンガ倉庫に集結『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?(輸入車編)』
旧車のイベント2024.03.31

参加できるのは30代前半まで!愛車約100台が赤レンガ倉庫に集結『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?(輸入車編)』

去る2024年3月20日(水)、横浜赤レンガ倉庫で初開催された【YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~】の模様を取材した。 横浜赤レンガ倉庫で開催されるクルマのイベントはいくつもあるが「若者たち」というくくりはおそらく初めてではないかと思う。 イベントの主催者であり、地元横浜育ちである後藤氏、本田氏、甲野氏の3人が1年掛かりで実現にこぎつけたという。 ■YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは? ▲左から甲野大輔さん(愛車はホンダS2000)、後藤和樹さん(愛車はいすゞピアッツァ)、本田浩隆さん(愛車はシトロエンBX) (以下、オフィシャルサイトより転載)若者が所有するクルマ達約100台を横浜赤レンガ倉庫に展示! 35歳以下の若者達が、趣味として楽しむ自慢のクルマ達を展示いたします。場所はなんと横浜赤レンガ倉庫!!展示車両のレギュレーションは無く、国籍、年代問わず様々な車種が集まります。皆様ぜひ遊びにお越しください。 このときの印象は一足先に下記記事にまとめたので、ご一読いただければ幸いだ。 ●初開催『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~』を取材して思うことhttps://www.qsha-oh.com/historia/article/yokohama-car-session-2024/ 当イベントに参加していたクルマを2回に分けて、1台ずつ紹介していく。2回目となる今回は「輸入車編」だ。 ■ドイツ ドイツ車は16台がエントリー。メルセデス・ベンツ、BMW、ポルシェ、アウディ、オペル、スマートなど…。幅広いモデルが展示されていた。 ポルシェ914は代官山蔦屋に展示されていたこともある個体なので、実車を観たことがあるかもしれない。 バブル世代には懐かしいアウディ90は、以前姉妹サイトである「外車王SOKEN」で取材させていただいた三上諒人氏の愛車であり、初代アウディTTは旧車王ヒストリアの執筆陣のひとりである林 哲也氏の愛車だ。ちなみにおふたりとも20代。 ■21才のオーナーがかつて父親が所有したクルマを愛車に選んだ理由とは?1991年式アウディ90クワトロ 20V(B3型)https://www.gaisha-oh.com/soken/audi-90-mikami/ ■林 哲也氏https://www.qsha-oh.com/historia/article/hayashi-tetsuya/ ■イギリス イギリス車も14台がエントリー。スーパー7をはじめ、ロータスエランやロータスエスプリ、ジャガーXJSなど懐かしいモデルが並ぶ。その他、クラシックミニやヴァンデンプラスプリンセスなど、エンスー度もかなり高め。たまたま現地で会ったクルマ仲間(おじさん世代)も「ほんとに若者の愛車なのか!クルマの方が年上ばかりじゃん!!やるなぁ〜」と目を丸くしていたほど(同感です)。 ■フランス 国別対抗(?)では最大勢力となったフランス車は21台がエントリー!70年代〜2000年代まで幅広く、スポーツ系からヘ○タイ系までバラエティに富んでいて度肝を抜かれた。プジョー405やルノーアヴァンタイムの実車を見たのは筆者も本当に久しぶりだったし、BXが3台もエントリーという時点でかなりヘ○タイ度の高めのイベントといえるだろう(笑)。困ったもんだ(もちろん良い意味で)。 ■イタリア フランスとくればイタリアでしょう!ということで10台がエントリー。フェラーリやマセラティがいなくとも十二分に華があった(360モデナのオーナーさんがエントリー予定だったものの、修理中で断念したとか)。こうして他国のクルマと並べてみると、ボディカラーがどれも艶っぽく映るのは気のせいだろうか。ヌヴォラブルーのアルファ ロメオ166、DTMで活躍した155、フィアットバルケッタ、クーペフィアット、500にパンダ…、アウトビアンキ、極めつけのランチアフルビアクーペ…。それまでは無縁だったイタリア車に乗ろうと決意できたのもこのイベントのおかげかもしれない。 ■スウェーデン スウェーデン車は6台がエントリー。角張った時代のボルボ、バブル時代は伊達男が乗っていたサーブ。いずれも令和の世の日本では見掛ける機会が減ってしまったけれど、こうして若い世代の方が大切に乗ってくださっていることに目頭が熱くなった。ちなみにグリーンのボディカラーが美しいサーブ9-3は、以前外車王SOKENで取材させていただいたしょーへいさんの愛車だ。 ■幼少期の8年間を一緒に過ごして別れたあと、運命の再会。20才のオーナーと1998年式サーブ9-3 クラシック 2.3ihttps://www.gaisha-oh.com/soken/saab-93-classic-shyouhei/ ■アメリカ アメリカ車も2台がエントリー。カマロの方はボディカラーが色褪せていたけれど、かえってこれが味になっていて雰囲気満点だった(3代目カマロも生産終了から30年以上。いつの間にかクラシックの領域に足を踏み入れていたことを実感した)。 ■出展ブース 今回のイベントには、名だたるショップや遠藤イヅル氏といった、クルマ好きであれば誰もが知るであろう豪華な顔ぶれがそろった。これも、主催者である後藤氏、本田氏、甲野氏の熱意と人徳によるものだろう。 ●LE GARAGE ・URL:https://www.legarage.jp・住所:東京都港区六本木5-17-1 AXISビル 1F・Tel:03-3587-2785・営業時間:11:00〜19:00(夏期休業・年末年始休業などは除く)・定休日:毎週水曜日 ●Auto Glanz ・URL:https://a-glanz.com・住所:埼玉県入間市小谷田2-1032-1・Tel:04-2968-7773・営業時間:10:00〜19:00・定休日:毎週月曜、第1、第3火曜日 ●遠藤イヅル ・Facebook:https://www.facebook.com/izuru.endo.9 ●リバイバルカフェ ・URL:https://revivalmiura.com・住所:神奈川県三浦市初声町和田2650-3・Tel:046-845-6224(予約番号もこちら)・営業時間:月火水 11:00~18:30、土日祝 10:00~18:30(L.O:フード 17:30、ドリンク&スイーツ 18:00)・Facebook:https://www.facebook.com/revivalmotorstationcafe/・X:https://twitter.com/revivalmiura・YouTube:https://www.youtube.com/channel/UC-IBrf9Q3OAmMg7mtZoOttw・Instagram:https://www.instagram.com/revivalmiura *貸切利用プランをスタートとのことで要チェック!!・11台/13名以上・時間:3時間・料金:平日/1名:4000円〜、土日祝/1名:4500円〜・ランチ/ドリンク/デザート/コーヒーor紅茶のフリードリンク付き ●Unilopal ・URL:https://unilopal.jp・Facebook:https://www.facebook.com/unilopal・X:https://twitter.com/unilopaljapan ●AUTOREVE ・URL:https://autoreve.jp・住所:146-0093東京都大田区矢口3-3-15・Tel:03-6427-5820・営業時間:10:00〜19:00・定休日:火曜日および第1、第3、第5水曜日・メール:contact@autoreve.jp・Facebook:https://www.facebook.com/autoreve.japan ●CCG ・URL:https://www.carcityguide.info・YouTube:https://www.youtube.com/@carcityguide・Instagram:https://www.instagram.com/car_city_guide/ ■まとめ:若きエンスージアストの皆さんにエールを! 国内外を問わず“ノンジャンル”というくくりで開催された【YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~】。 参加者の誰もがこの日の主役であり、スポットライトを浴びるに相応しいクルマだった。 オリジナル志向のオーナーがいるいっぽうで、時代考証をしっかりと行いつつ「当時はこんなモディファイをしていたんじゃないか」を追求していた個体もあった。 「自分のクルマなんだからどう煮て焼いて食おうとオーナーの自由」という考え方がある。これはこれで一理あるだろう。その一方で「いじくり倒して飽きたら売る」という行為に対しては個人的に疑問に思うところもある。 その点においては『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?』にエントリーしていた方たちは「自身の愛車の価値や出自、そしてセオリー」を理解したうえで自分色に染めているように感じられた。 今回、参加した皆さんも、今後さまざまな理由で現在の愛車を手放すことがあるかもしれない。しかし「コンディション良好な個体」として、大切にしてくれるであろう次のオーナーが見初めてくれるはずだ。 なんだか上から目線で申し訳ないが、若い世代の方たちのカーライフを楽しみ、そしてクルマと誠実に向き合う姿勢は、ベテラン勢も大いに学ぶべきところがあるように感じた。 欲しいクルマが見つからない。昔が懐かしい。最近のクルマはツマラナイ。「現在」という時間の流れを否定して愚痴をこぼしているだけでは何の解決にもならない。 今回のイベントを企画したお三方、そして参加した皆さんのように、クルマという趣味と気の合う仲間たちとともに楽しむことでで初めて見える景色、そしてさらなる次のステップが現れるはずだ。 [ライター・撮影/松村透]

若きオーナーたちの愛車約100台が赤レンガ倉庫に集結!『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?(国産車編)』
旧車のイベント2024.03.30

若きオーナーたちの愛車約100台が赤レンガ倉庫に集結!『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?(国産車編)』

去る2024年3月20日(水)、横浜赤レンガ倉庫で【YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~】が初めて開催された。 イベントの主催者であり、地元横浜育ちである後藤氏、本田氏、甲野氏の3人が1年掛かりで実現にこぎつけた。 ■YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは? ▲左から甲野大輔さん(ホンダS2000)、後藤和樹さん(いすゞピアッツァ)、本田浩隆さん(シトロエンBX) (以下、オフィシャルサイトより転載)若者が所有するクルマ達約100台を横浜赤レンガ倉庫に展示! 35歳以下の若者達が、趣味として楽しむ自慢のクルマ達を展示いたします。場所はなんと横浜赤レンガ倉庫!!展示車両のレギュレーションは無く、国籍、年代問わず様々な車種が集まります。皆様ぜひ遊びにお越しください。 このときの印象は一足先に下記記事にまとめたので、ご一読いただければ幸いだ。 ●初開催『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~』を取材して思うことhttps://www.qsha-oh.com/historia/article/yokohama-car-session-2024/ 当イベントに参加していたクルマを2回に分けて、1台ずつ紹介していく。今回は「日本車編」(輸入車編は次の記事で)。 ■トヨタ&レクサス 今回の展示車輌のなかでは12台と、国産勢で最大勢力を誇ったトヨタ&レクサス。1980年代〜90年代のクルマが多かったのが印象的。ということは、オーナーよりも年上のクルマを所有していることになる。 ハチロクことAE86はもちろんのこと、稀少なMRスパイダーをはじめ、俳優の永瀬正敏がCMに登場していたカレン、JTCCでも活躍したカローラエクシブなど、お父さん世代には懐かしいモデルが並んだ。 ■日産 日産車は5台。ステージア260RSや、180SX、スカイラインGTS-t タイプMなど、根強い人気を誇るモデルが並ぶほか、7代目サニーや3代目ラルゴといった、当時のファミリーカーが展示されていたのも新鮮だった。ノンジャンルらしい、このイベントならではの風景かもしれない。 前車3台は淘汰が進み、すでに保存の域に入っているだろうが、後車2台は実用車ゆえの悲劇で、数が売れても廃車にされてしまい、後世に残りにくい。貴重な生き残りともいえるので、(大変なこともあると思いますが…)末永く乗っていただければと思う。 ■ホンダ ホンダ車は9台。懐かしのCVCCシビックオーナーはなんと新潟県から自走してのエントリーだというから驚きだ。 その他、ホンダS2000やS660といったスポーツ系から、「カッコインテグラ」でおなじみの2代目インテグラをはじめ、リトラクタブルヘッドライトが特徴的な3代目アコードなど、最近ではめったに見掛けなくなった懐かしいモデルもエントリーしていた。失礼ながら「ホンダ地獄」などといわれるほど純正部品の確保が難しいモデルも多い。にも関わらず、素晴らしいコンディションを維持している若きオーナーの皆さんたちの熱量が伝わってきた。 ■マツダ マツダ車は2台ともユーノスロードスターがエントリー。2台ともオリジナル度が高い個体だった。いずれもナンバーを移設しているということは1.6Lモデルだろうか。 元NAオーナーとしてはオーナーさんに声を掛けたかったのだが、タイミングが合わず。今度取材させてください!それにしてもNAロードスターと赤レンガ倉庫の組み合わせは画になる。 ■スバル スバル車では唯一のエントリーとなった4代目レガシィツーリングワゴン。レガシィツーリングワゴンの完成形ともいえるスタイリングは、実はもうデビューしてから20年以上(2003年)経っているとは思えないほど古さを感じさせない。 私事で恐縮だが、恩師が歴代レガシィツーリングワゴンを所有していたり、当時の勤め先の社用車がこのレガシィツーリングワゴンだったこともあり、懐かしさのあまりしばらく眺めてしまった。 ■いすゞ いすゞ車は2台がエントリー。いすゞが国内で乗用車の販売を終了したのが2002年。それから22年。今回、エントリーしたオーナーさんたちは当時小学生くらいだろうか。 おじさん世代が当時を懐かしんで、あるいは新車ワンオーナー車として所有しているならいざ知らず、若い世代の方がこうして大切に所有していることに思わずぐっときてしまった。世代を超えてピアッツァが愛されていることをジウジアーロが知ったら喜ぶに違いない。 ■ダイハツ ダイハツからは唯一のエントリーとなった4代目ミラ。そして懐かしのTR-XXアバンツァート!このモデルも残りにくいモデルのひとつだろう。純正部品はほぼ欠品&製造廃止状態だと思われ、各種トラブルに加えて部品の確保にも苦労されているのではないかと推察する。いちど、オーナーの方にこのクルマへの想いを伺ってみたい。 ■まとめ:クルマに興味がない人も楽しめるホスピタリティあふれるイベント こうして振り買ってみると、昭和の終わりから平成初期に掛けて街中でひんぱんに見掛けた日本車の展示車輌が多かったように思う。 当時を知る世代にとっては懐かしいクルマばかりで、たまたま現地を訪れたであろう人たちのテンションがあがり「おじさんホイホイ状態」になっていた(笑)。また、道行く若いカップルも展示車輌をじっくりと眺めているのも確認できた。 この種のイベントはどうしてもスポーツカーにスポットライトがあたりがちだ。たしかにその方が華やかになるし、同じクルマが何十台も並ぶ光景(しかも横浜赤レンガ倉庫で)は壮観だ。 しかし、他のイベントではなかなか見掛けないモデルやさまざまなメーカーを一同に介するノンジャンルとしたことで、1台1台をじっくりと眺めることができた。その方が結果的にたまたま横浜赤レンガ倉庫を訪れた来場者の人たちも楽しめたに違いない。 自分たちだけでなく、来場者にも(クルマに興味がない人にも)楽しんでもらう。そんなホスピタリティあふれるイベントだったことはたしかだ。 今回のような絶妙な塩梅を創り出すのは、簡単なようで、実はものすごく難しい。 この雰囲気を残しつつ『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?』を継続していくには、主催者である後藤氏、本田氏、甲野氏の存在が欠かせないものとなっていくだろう。 主催者が変わると、イベント自体の雰囲気もガラリと変化する。さまざまなご苦労があると思うが、ぜひ来年以降も続けてほしいと思う。 [ライター・撮影/松村透]

初開催『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~』を取材して思うこと
旧車のイベント2024.03.21

初開催『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~』を取材して思うこと

去る2024年3月20日(水)、横浜赤レンガ倉庫で【YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~】が初めて開催された。 取材当日は快晴。ただ、天気予報では午後から通り雨があるとのことだった(事実、2度通り雨があった)。赤レンガ倉庫の敷地は多数の来場者が訪れるため、空いているうちに展示車輌を撮影しておきたいので早めに現地に向かった。 ■このイベントの参加条件は30代前半までの若い世代の方限定! この【YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~】は、「若い世代の方による若い世代の方のためのもの」であり、中高年の人たち、つまり昭和世代には参加資格がない。主役はあくまでも平成世代のクルマ好きだ。 若い世代の方が中心となって開催されているクルマのイベントは他にもあるし、オフ会的な集まりであれば日本のどこかで毎日のように行われている。しかし、この種の集まりやイベントの多くは参加者が楽しむためのものであり、一般の来場者が来ることを想定していないことも多い。 クルマ関連のイベントの存在意義のひとつとして、SNSやLINEなどでやり取りしているクルマ仲間と直接会える機会の場としての側面も持っている。お互いの近況報告や情報交換の役割も担っているから、むしろクローズドなイベントの方が都合がいいケースも考えられる。 しかし、今回の会場は横浜赤レンガ倉庫。多くの一般の来場者の方も訪れるオープンなイベントだ。別の目的で横浜赤レンガ倉庫を訪れ、偶然、このイベントに遭遇した人もいるはずだ。観光スポットのド真ん中に展示されることになるので、ある意味では晴れ舞台ともいえるかもしれない。オーナーの皆さんも、手塩に掛けた愛車を、オープンな場所、しかも横浜赤レンガ倉庫に並べられることに魅力を感じていたはずだ。 ■国産車・輸入車を問わず、100台ものクルマが横浜赤レンガ倉庫に集結 SNSを通じて参加表明をしている人がいるとはいえ、現地に行ってみるまでは全容が分からない。分かっているのは、少なくとも国産車・輸入車を問わずノンジャンルである、ということだ。 正直、ノンジャンルだと薄味なイベントになってしまわないのかな…なんて思ったりもした。しかし、現地に着いて赤レンガ倉庫を見回してみると、そんなことはまったくの杞憂だった。参加しているクルマが「旧車やネオクラシックカー率高め」であり「絶妙な濃さ(しかも、ヘンタイ度高めなクルマ多し!)」なのだ。 イタフラ系はもちろんのこと、国産スポーツモデルも軽自動車もいる。ノンジャンルらしいバラエティに富んだクルマが並べられていて、見ていてとても楽しい。 今回、ウン千万単位の最新の高級車やスーパーカーは1台も展示されていなかった。誰がどう見ても「この日の主役はこれ」といった異様に目立つクルマがいないおかげで、どこかほのぼのしている印象を受けた。 ■開催にこぎつけた主催者の方たちの熱意と行動力に対して敬意を このイベントの主催者である後藤氏、本田氏、甲野氏にお話を伺ったところ、発案から開催までおよそ1年掛かったそうだ。「横浜赤レンガ倉庫でイベントをやりたい」と思ったとしても、管理元である行政(横浜市)の許可を得なければならない。 毎年11月に赤レンガ倉庫で「エキサイティングポルシェ」を開催している石田氏にインタビューしたとき、「企画書を作成し、運営会社に送付、審査のうえ承認されると仮予約となります。毎回、必ず審査があり、そのたびに承認してもらえるという保証はありません」と伺ったことがある。特に初回はこれまでの実績がないため、承認を得るのに苦労したという。 ●初開催は2007年!主催者が語る「エキサイティングポルシェ(EXCITING PORSCHE)」を続ける理由とは?https://www.gaisha-oh.com/soken/exciting-porsche-forever/ 参加者はイベントが終われば「今日はすごく楽しかったねー。また来年もやってね!」で済んでしまうが、主催者はそうはいかない。すぐさま会場を元どおり(原状復帰)させ、その後は管理元である行政(横浜市)に対してこの日のイベントに関する報告をしなければならない。 その他にも、イベントの告知や参加者からのエントリーフィーの確認や集計(入金催促)、急なキャンセルへの対応、イベント当日の誘導や取材対応、トラブル対応…などなど。やることは山のようにある。 筆者も、多少なりともその大変さを知っていたので、見事にイベントの開催にこぎつけたお三方には頭が下がる思いだ。今回、イベント会場で忙しい合間のぬってこのあたりの苦労話?を伺うことができたので、記事にまとめてお伝えする予定だ。 ■まとめ:YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~を取材して思うこと 「若者のクルマ離れ」が叫ばれるようになって久しい。あくまでも筆者の感覚値ではあるが、少なくともここ10年以上はいわれ続けていることは確かだ。 …ということは、当時の若者も気づけば中年の仲間入りとなり、かつて少年少女だった人たちが運転免許を取得して、自分の愛車を所有する時期に差し掛かっていることを意味する。つまり、世代交代しているのだ。 いまの20代の方を取材していると、幼少期に頭文字Dやグランツーリスモ、映画「ワイルド・スピード」シリーズなどを見たことがきっかけでクルマに興味を持ったり、親御さんがクルマ好きで英才教育を受けたという話をよく耳にする。これらが原体験となってクルマに興味を持つようになり、それがみるみるうちにエスカレート(笑)して、気づけば沼にハマっている、らしい。 昭和世代であれば、幼少期のスーパーカーブームを思い出してもらえれば、この感覚が容易に想像できるだろう。 当時、スーパーカーブームや、バブル期にカーライフを謳歌した世代が親となり、自分の子どもたちに英才教育を施し(笑)、見事に開花した次の世代が大人になり・・・。ついに自分のクルマが持てる時代になったのだ(いまの30代半ばから40代前半くらいの人たちには、そういった原体験や洗礼を受ける機会に恵まれなかったのかもしれない…と思うのは考えすぎだろうか)。 前置きが長くなったが、初開催となった「YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~」を取材してみて思うのは、外野の声なんてスルーして、(上目線で何だか申し訳ないけれど)いまのうちに思い切りクルマがある暮らし、つまりはカーライフを思う存分楽しんでもらいたいということだった。まさに今回のイベントもその思い出作りのひとつだろう。 自分では「俺(私)のクルマサイコー」と思っていても、それを誰かに認めてもらえる機会は意外と少ない。それは趣味の世界の宿命ともいえる。つまり「自己満足の世界」だ。 この種のイベントを自己の承認欲求を満たすためだという人がいる。たしかに、それは否定しない。と同時に、オーナーにとっては、これまでのカーライフが肯定されたことを実感、そして確認できる絶好の機会なのかもしれない。 ふと横浜赤レンガ倉庫を訪れた人から「このクルマ、カッコイイねー」とか「いいセンスしてますねー」といわれるだけでも、このイベントに参加する意義があるように思う。 横浜赤レンガ倉庫という、クルマのイベントとしてはある意味特別な場所に自分の愛車を展示できた。ただの展示ではなく「お披露目の場」なのかもしれない。この体験は生涯忘れられない思い出となるはずだ。 昭和世代がこれ以上、あれこれ口を出すのは野暮というものだろう。サングラスにノースリーブの赤い軍服がトレードマークの某氏の名言?ではないが「新しい時代を作るのは老人ではない」のだ。 年齢制限がある以上、主催者のお三方も、このままこのイベントが恒例行事となったとしても、いつか卒業しなければならないときが訪れる。しかし、それはいまではない。まだ時間はある。 その時代、その時代ごとに姿を変えつつも「YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~」がこれからも続いていくことを切に願うばかりだ。 *イベントの参加車輌は別記事にて公開いたします。 [ライター・撮影/松村透]

2日間で4万人以上が来場!第15回ノスタルジック2デイズ2024イベントレポート
旧車のイベント2024.02.25

2日間で4万人以上が来場!第15回ノスタルジック2デイズ2024イベントレポート

去る2024年2月17日~18日、パシフィコ横浜 展示ホールB.C.Dにて「第15回ノスタルジック2デイズ2024」が開催され、旧車王ヒストリアでもその模様を取材した。 当日はクルマではなく、公共交通機関でパシフィコ横浜に向かった。駐車場探しに手間取る可能性があるので、ノスタルジック2デイズの取材のときはいつもそうしている。最寄りのみなとみらい駅を降りた時点で、それっぽい人たちが足早に会場へと向かっていく。それだけこの日が来るのを待ちわびた人が多かったのだろう。 ■過去最高の来場者者数を記録。初の4万人を突破! 2日間とも雨に降られることもなく、開催期間中の来場者者数も過去最高の40,514人を記録。同イベントとしては初の4万人超えとなった。 ・2月17日(土):19,739人(晴れ)・2月18日(日):20,775人(晴れ)●合計:40,514人 初回(2009年)開催時には1万人前後、第9回(2017年)あたりまでは2万人前後だったが、2018年以降は順調に来場者者数が増えてきている(新型コロナウイルスの影響で2021年は中止に)。なお、入場者数に再入場、プレスは含まないということなので、筆者もカウントされていない。 出展社数164社、4輪車の出展台数が238台(2輪車なども加えると合計290台)とのことで、じっくり観ていたら1日では足りない規模といえる。 ■会場には手作りの6輪F1タイレルP34も展示されていた! 第15回ノスタルジック2デイズ2024には、旧車王ヒストリアでも取材を続けている、カスタムビルド&レストア WATAHIKIによって手作りで造られた「6輪F1タイレルP34」も展示されていた。 国内外の名車が集結するノスタルジック2デイズの会場内でも高い注目度であった。なお、この模様は別記事にてご紹介する予定だ。 ■国産車編 ノスタルジック2デイズというと、1970年代〜80年代あたりの国産車編が主役という勝手な先入観を抱いていた。しかし、確実に1990年代の「ネオクラシックカー」などと呼ばれる時代のクルマの数が増えてきていることを実感する。 ユーノスコスモやアルシオーネSVX、初代インプレッサ、「VR-4」が懐かしいギャラン、私をスキーに連れてってでおなじみのセリカ(ST165)、あぶない刑事シリーズで活躍したレパードなど、アラフィフ世代以上のお父さんたちにとっては懐かしいクルマが会場内に所狭しと並んでいるのだ。 この年代のクルマをリアルタイムで観てきた世代にとっては隔世の感すらあるのだが、こうしてどこかの誰か(あるいはショップ)が救いの手を差し伸べていかないとあっという間に絶滅してしまう時期に差し掛かっているのだろう。 なお、AUTO BASE Garage Funブースに展示されていたブルーメタリックの70スープラじゃ、実走行51万キロ(!)を突破したワンオーナーカー。手前味噌で恐縮だが、昨年、筆者が2016年から担当している「トヨタ GAZOO愛車広場」で取材した個体そのものだ。1年振りの再会となったが、フロントバンパーの「走り屋の勲章」は会場内でも目を引いていた。 そして、トヨタ・日産・マツダといったメーカー系のブースでも「ただ単に当時のクルマを並べて展示」ではなく、部品の再販やレストア、現代の技術を活かしたチューニング部品などが展示されていた。 メーカー自身が当時のクルマの価値や保存の必要性を理解し、リスクはあるにせよビジネスベースに乗せようとしていることが伝わってきた。 ■輸入車編 そして、ノスタルジック2デイズというと、国産旧車のイメージが強いイベントというのが個人的な印象だが、最近は輸入車の比率が少しずつ高くなってきていることを実感する。結果的に、輸入車が好きなユーザーがノスタルジック2デイズにも足を運ぶようになり、客層が広がる二次的効果も見込めそうだ。 そのなかでも空冷ポルシェ911の台数が多いのは、それだけ人気が高いことの証であり、目を引きやすいというものあるだろう。 ヴィンテージ湘南のブースで展示されていたのは、いわゆる「ナローポルシェ」の3台。来場者がグレーの1968年式911Sの価格を聞いていたのをたまたま耳にしたのだが、もはやおいそれと手が出せる額ではない。かつてグレードを問わなければ200万円台でナローポルシェが買えた時代にはもう戻ら(戻れ)ないのかもしれない。 そして、ワクイミュージアムのブースでは、1979年式 ロールスロイス カマルグと19889年式ロールスロイス コーニッシュ IIが展示されていた。この2台が展示されているだけで会場が一気に華やぐのだから不思議だ。「ロールスロイスなんて縁遠い」と思っている方こそ、間近で実車が観られるまたとない機会でもある。 縁遠いと決めつけず、とにかく間近で実車を眺めるだけでもいい。各部のその繊細な造り込みに感動を覚えるはずだ。これが原体験となり、ロールスロイスの魅力に取り付かれた人がいてもなんら不思議ではない。 NEXCAのキャッチコピー「オトナのセカンドカー&バイク専門店」という、キャッチーなコピーとともに1990年前後の日本でよく見掛けたメルセデス・ベンツとBMWが展示されていた。 かつてはメインカーとして使われていたこの時代の輸入車も、気づけばどれも30年選手。普段はガレージに置いて、休日の早朝などのドライブの相棒として走らせるくらいが「動体保存」としていい塩梅なのかもしれない。 そして余談だが、会場にはジアッロモデナのボディカラーが眩しいエンツォフェラーリが展示されており、注目を集めていた。 ノスタルジックカーとくくるにはまだ早い気がすると思いきや、このモデルがデビューしたのが2002年。気づけばもう22年も前のクルマなのだと改めて実感した。給油口にはこのクルマのデザインを手掛けた奥山清行氏のサインが記されていた。 ■掘り出しモノが見つかるかも!? しれないグッズ販売 時間帯によってはもっとも人口密度が高かったのでは?というほど混雑していたグッズ販売コーナー。筆者が細々とコレクションしている1/43サイズのミニカーのエリアに突入したときは、思わず仕事(取材中)であることを忘れそうになった。 実店舗をハシゴすると1日ではとてもまわり切れないし、ネットショッピングでは実物が届くまでは当たりかハズレか分からないこともある。しかし、ノスタルジック2デイズ会場の空間にこれだけのグッズや部品販売があるなら「このエリアが目的」という人がいても不思議ではないように感じる。 ■まとめ: イベントの主催は「Nostalgic Hero」、「ハチマルヒーロー」、「Nostalgic SPEED」の各誌を出版する芸文社。東京オートサロンやオートモビルカウンシルなどを取材していても感じるのだが、媒体や出版社ごとのカラーがイベントにも反映されているように思う。 そのなかでも「ノスタルジック2デイズ」は手堅い、正統派なイメージ。コンパニオンのお姉さんが少ない分、派手さは控えめ。これに比例してカメラ小僧がほとんどいない。いわゆるクルマ好きのなかでも「ヘンタイ(褒め言葉)」率が高いように思える。 取材中に周囲から聞こえてくる会話の内容がとにかく濃いのだ。あえて伏せるが「●●のブースにあった★★★はフルオリジナルって書いてあったけど、あのステアリングは後期モデルだな」とか、とにかくツッコミが鋭い。 この種のマニアというか、正統派のヘンタイ(繰り返しますが、褒め言葉)を刺激する大規模はイベントは意外少ないように思う。最近は20代の正統派ヘンタイクルマ好きも増えつつあることを、別の取材を通じて実感している。来年以降のさらなる盛り上がりにも期待したい。 [ライター・撮影/松村透]

クルマのイベントは仕事ではなく、趣味として行くに限るという話
旧車の魅力と知識2024.01.29

クルマのイベントは仕事ではなく、趣味として行くに限るという話

仕事柄、クルマのイベントはプレス登録を行い、審査に通過するとプレスパスが発給される。 一般開催日よりも一足先に行われるプレスデーの日に会場へと足を踏み入れることができたり、つい最近まで某夢の国に存在していた"ファストパス"のような役目を果たしてくれるケースもある。 10代の頃、これが羨ましくて仕方なかった。何しろかつての東京モーターショーや、先日開催された東京オートサロンをはじめとするクルマのイベントを観に行くには「気合い」がいる。 ものすごい混雑のなか、どうにか気になるクルマを撮影し、列に並んでカタログを入手する。朝イチで会場入りして、そういえばお腹が空いたと思ったら夕方なんてこともあった。 時は流れ、何の因果か、いつの間にか仕事としてクルマのイベントに行くようになった。つまり「趣味ではなく、取材(仕事)として」だ。。 ■仕事としてクルマのイベントに赴くメリット・デメリットは? 筆者自身、若いときにうらやましいと感じていたことを実際に行うようになってみて気づいたことがある。それを下記にまとめてみた。 ●メリット・いち早く情報が得られる・いち早く実車が観られる・一般の人が立ち入れない場所の出入りが許される・プレスデーの出入りが許される・同業者の方との情報交換の場でもある ●デメリット・ゆっくり観ている時間と気持ちの余裕が(まったく)ない・会場内すべてを観る必要がある。それも何度も何度も・取材という任務という名のノルマを遂行しなければならない・プライベートでクルマを観て楽しむ時間がほぼない・多少体調が悪くても(コロナやインフルでない限り)意地でも現地に行く ■取材のあとは「原稿書き」というミッションが待ち受けている 仕事である以上、いわゆる「〜しなければならない」マストな用件が増える。そのなかには「原稿書き」という重要なミッションが含まれている。 メディアの編集部から依頼があり、「A社とB社とC社とD社の取材をお願いします。締め切りは3日後で」といった具合に取材するとなると、見る場所もピンポイントにならざるを得ない。 他には目もくれず、目指すブースに突撃する。カメラマンが同行する取材なら撮影はお任せ(指示出しは必要な場合も)だが、撮影と取材を1人でこなす「カメライター」として依頼された場合は両方をこなさなくてはならない。下手をするとこれだけで1日が終わってしまう。 ■一眼レフカメラ or スマートフォンでもなんとかなる!? それと、これはあまり知られていないかもしれないが、(こんなことをいうと一部の関係者から怒られそうだが)撮影に一眼レフカメラおよびミラーレス一眼レフカメラが必要かというと実はそうでもない。 もちろん、一眼レフカメラで撮影した方が微細に撮れる。このアドバンテージは絶対だと思う。しかし実際には、紙媒体のページ見開きに掲載するなら必須だが、最近のスマートフォンで撮影するだけでもそれなりに画になるし、ネット記事に使うのであれば解像度も問題ない。アプリやPhotoshopなどで補正できればなおさらだ。 では、なぜ一眼レフカメラで撮るのかというと、せっかくなら少しでもいい画で撮影して記事にしたいという取材者根性と、取材対象者への配慮もある。スマートフォンで撮影するというのもどうも失礼にあたるのではないかと考えてしまうのだ。これはオーナーインタビューのときも同じ。それといちど一眼レフカメラで撮影してしまうと元に戻れない。Canonでいうところの「Lレンズ(赤いリングがついているレンズ)」の再現性を知ってしまったらなおさら。画の力は重要だと思う。 ■結論としてクルマのイベントは「遊びとして行くに限る」 見出しにもあるとおり、クルマのイベントは「遊びとして行くに限る」というのが筆者の結論だ。 確かに、会場内は混んでいるし、駐車場の確保も一苦労だ。しかし、気の合う友人と一緒にあれこれクルマ談義しながら、気の赴くままに会場内を練り歩き、終わったあとの「反省会」も楽しい。公共交通機関で移動すれば、「反省会」の会場をファミレスから居酒屋に変更して飲み会として盛り上がることもできる。 一方で仕事となると、プレスルームで速報記事を書くことはもちろん、目前に迫る〆切にハラハラしながら画像の選別と原稿執筆に追われることになる。途中の飲み屋で軽く一杯…なんて時間はまずないし、その前に睡眠時間すらままならない。 いち早く会場内を観られることは確かに役得かもしれない。しかし、他愛のない話しをしながら、娯楽として行くに限るというのが両方の立場を経験した者としての結論だ。 こうして「趣味を仕事」にする醍醐味と苦悩の狭間で揺れ動きながら、締め切りに追われつつ原稿を書く日々を送ることになります。 [画像/Adobe Stock、ライター・撮影/松村透]

約60台のクラシックカーが4日間/1300kmの完走を目指す!ラ・フェスタ ミッレミリア2023
旧車のイベント2023.10.13

約60台のクラシックカーが4日間/1300kmの完走を目指す!ラ・フェスタ ミッレミリア2023

去る10月6日〜9日の4日にわたり、ラ・フェスタ ミッレミリア2023が開催され、当メディアでもスタートの模様の取材が実現した。 筆者自身、この大会にエントリーした友人や知人の応援でスタート会場である明治神宮に足を運んだことはあるが、取材として会場に向かうのはこれが初めて。 いつもより早起きなので、念のためスマートフォンのアラームを設定しておいたが、きっちり5分前に目が覚めた。普段めったにお目にかかれないクラシックカーを間近で観られることに、自然とテンションが上がっていたのかもしれない。 午前8時に会場である明治神宮に到着 混雑を避けるため、会場である明治神宮にはおそくとも午前8時前には到着しておきたい。自宅から会場である明治神宮にクルマで向かうと時間が読めないので、通勤電車に揺られて現地へ。会社員だったころ、ほぼ同じ時間帯の山手線内回りに乗って通勤していたが、今回は身動きが取れないほどの混雑ではなかった。多少なりともリモートワークが浸透しているのだろうか。 原宿駅で降車して明治神宮へ。見事な秋晴れ。朝は少しひんやりするくらいの気候で、明治神宮内に用意された車検会場までの徒歩移動が心地良かった。 プレスの受付を済ませて車検会場へ。午前8時前後になると、参加車輌がぞくぞくと入場してくる。すっかり場馴れした参加者もいれば、緊張した面持ちでクルマから降りてきた人もいる。それぞれが挨拶を交わし、華やかなでありながら、どこか和やかな雰囲気すら感じさせる。 まったくの偶然だが、筆者自身、参加者の方のおひとりが古い付き合いのクルマ仲間で、この日が久しぶりの再会となった。今回、ポルシェ356で初エントリーしたという。以前からラ・フェスタ ミッレミリアに参加してみたいという想いがあり、今回ついにその夢が実現したという(公式ホームページを確認したところ、無事完走したようだ)。 ラ・フェスタ ミッレミリアのコースはその年によって異なる ラ・フェスタ ミッレミリアのコースはその年によって異なる。今年は明治神宮をスタートして初日は福島県北塩原村にある裏磐梯レイクリゾートがゴール(全324.9km)。2日目は福島県〜宮城県〜山形県〜福島県を経て、栃木県日光市・日光金谷ホテル&中禅寺金谷ホテル(全417.2km)。3日目は栃木県〜茨城県を経て、千葉県成田市・ANAクラウンプラザホテル成田がゴール(全417.2km)。最終日の4日目は千葉県〜東京都港区・ホテルオークラ東京のゴールを目指す(全255.6km)ルートだ。 4日にわたる全行程は約1300km。しかも、ラ・フェスタ ミッレミリアはただ走ればいいというわけではない。「PC競技」という形式の、れっきとしたレースだ。ルート上にはPC(Prove Cronometrateの略)と呼ばれるチェックポイントが設けられ、それぞれ区間内の基準タイムが定められている。いかにしてこの基準に限りなく近いタイムで走破するか、その総合結果で勝敗が決まる。いずれの区間も正確さが求められるため、上位入賞を目指せば目指すほど気が抜けない。早すぎても遅すぎてもだめなのだ。 これを4日連続、長いときには都内から鈴鹿サーキットまでの片道分くらいの距離をクラシックカーで走破しなければならない。エアコンはもちろんのこと、屋根すらもないクルマだってある。しかも、この時期は天気が周期的に変わる。そうなると、雨のなか雨具を着てもずぶ濡れで目的地を目指さなければならないことも充分にありうる(事実、今年がそうであったように)。 もちろん、シビアに基準タイムを目指すことなく「ラ・フェスタ ミッレミリアへ参加することに意義がある」というスタイルでもいいだろう。事実、毎年このイベントに出られること自体、簡単なことではないからだ。移動時間などを含めると1週間近い時間をこのイベントに費やすことになる。審査や費用面はもちろんのこと、時間の余裕も不可欠。選ばれた人だけがこのイベントに参加できるのだ。 午前11時5分のスタートが近づくにつれて高まる緊張感 現地に到着してからおよそ3時間、会場内で取材を続けているうちに、あっという間にスタート時間が近づいてきた。参加者の方たちは自身の愛車に乗り込み、専用のラリーコンピューターに基準タイムを入力するなど、車検会場から正面ゲートまでの移動準備に取り掛かっている。 やがて会場のあちこちで参加車輌のエンジンに火が入りはじめ、少しずつ場の緊張感が高まっていく。 そして午前11時5分、ゼッケン1番の1926年製 ブガッティ T35(竹元 京人/竹元 淳子ペア)を先頭に、独特のエンジン音とオイルの匂いを周囲に発しながら各車が正面ゲートまで移動していく。 そして正面ゲートで各車の紹介が行われ、各車が表参道の路上へと放たれていく。たまたま居合わせたギャラリー、そして外国人の方たちが突如現れたクラシックカーの群れに驚いている。外国人の男性は車道にはみ出さんばかりに身を乗り出し、参加車輌に手を振っていた。こうして多くのギャラリーに見送られながら、全4日間、全行程約1300kmのラ・フェスタ ミッレミリア2023の幕があけたのだ。 まとめ:クラシックカーが東京の街を走る光景は実に美しい 参加車輌のなかでもっとも古いブガッティTYPE13の生産年は1913年!なんと110年前のクルマだ。 参加資格を有するクルマにはいくつかの条件が課せられているが、そのなかには生産年も含まれる。公式ホームページにはもっとも新しいクルマであっても「〜1967年12月31日に製造された車輌」と明記されているので、名実ともにクラシックカーであることが絶対条件といえる。 しかも、ただ年式が古いクルマであればよい、というわけではない。レプリカモデルはNGであり、FIVA(Fédération Internationale des Véhicules Anciens)またはFIA Historic Regularity Car Pass(HRCP)の承認を得た個体でなければ、ラ・フェスタ ミッレミリアの参加資格が得られない。参加車輌の素性も重視されるのだ。 オーナーおよび参加車輌のエントリーが受理されると、信頼できる主治医に愛車を託し、万全の体制を整えてその年のラ・フェスタ ミッレミリアに挑むことになる。クラシックカーを投機目的などではなく、大人たちが「超真剣に遊ぶためのツール」として文字どおり「酷使」することになるからだ。錆が心配だから雨の日は乗りたくないなどと悠長なことはいっていられない。人かクルマがリタイヤしない限り、4日、今年であれば約1300km先のゴールを目指して走るしかない。 こうして日常生活では接する機会のない人たちと4日間、ともに戦い、ともにゴールを目指して決められたコースを走る。決してライバルであっても敵ではない。そして、無事にゴールできたときにはお互いの健闘を称え合う。そんな濃密かつ非日常な時間が過ごせるだけでもこの大会にエントリーする価値があるように思う。 余談だが、美しいクラシックカーが東京の道を走るだけで、街が一気に華やぐから不思議なものだ。クルマの心臓部が内燃機関からバッテリーへと移行しつつある現在、いつまでのこの美しきクラシックカーが生き生きと走る姿が観られるのだろうか・・・。表参道を走り去るクラシックカーをファインダー越しに追い掛けているうちに、ふと、そんなことが頭をよぎったのだった。 [ライター・カメラ/松村 透]  

エビスサーキット東コースを攻める!手作りの6輪F1タイレルP34を追え!Vol.7
旧車の愛好家たち2023.10.10

エビスサーキット東コースを攻める!手作りの6輪F1タイレルP34を追え!Vol.7

今年の4月にエビスサーキット西コースを走ってからおよそ半年。ようやく連日の猛暑日から解放されつつあった9月下旬のある日、手作りの6輪F1タイレルP34がふたたびエビスサーキットを走るということで現地に向かった。 エビスサーキットがある福島県二本松市の天気は予報では曇り。直前まで雨が予想されていたが、綿引氏曰く「俺は晴れ男だから大丈夫!」と自信たっぷり。 事実、多少雨には降られたものの、走行会終了まで何とか天気は崩れずに済んだ。綿引氏の晴れ男パワー恐るべし!!(笑) ■今回の舞台となったのはエビスサーキット東コース 綿引氏にとって半年ぶりのエビスサーキットだが、前回は西コース、今回は東コースで走るという。同日に開催される走行会が東コースで行われることになっており、当日のタイムスケジュールのなかにタイレルがコースを占有できる枠が組み込まれていた。 ちなみにエビスサーキット東コースは、綿引氏が若いころに2輪のレースに参戦していたときによく走っていた馴染みのある場所でもあるという。 若かりし頃の綿引氏が、まさか数十年後に自身で製作したF1マシンのコクピットに収まり、エビスサーキット東コースを攻めているとは夢にも思わなかっただろう。 ■この日のタイレルP34の走行枠は全3回/計90分 午前9時からミーティングがはじまり、9時10分から慣熟走行、そして9時30分から45分ほど参加者の方たちのフリー走行の枠となる。タイレルの1回目の走行枠は10時15分から30分間。 サポートメンバーの皆さんの手により、キャリアカーからタイレルを降ろし、ピットまで運ぶ。フロントカウルをボディフレームに装着。 各部のチェック、そしてタイヤの空気圧チェックが行われ、やがてタイレルP34のエンジンに火が入るとピット内の空気が一気に引き締まる。 なお、今回のタイレルに搭載されるハヤブサのエンジンは、半年前に西コースで走らせたときとは別モノだという。 ■今回、フロントホイールとサスペンションのマウント位置を変更 今回のサーキット走行におけるハイライトのひとつが、フロントに装着した4本のアルミホイール。電子部品を作る機械の製造販売を主軸に、自動車の部品加工なども手がける株式会社中村機械(本社は富山県氷見市)によって特注した逸品だ。 そしてリアのサスペンションの取り付け位置も変更されている。これまでよりも取り付け箇所が一段上げられた。 ■まずは1回目のフリー走行! 各部の様子見も兼ねて1回目のフリー走行はスローペースでスタート。数周してピットインし、この日は、綿引氏の若かりし頃からの先輩だというO氏が応援に駆けつけ、タイヤの空気圧チェックなどを行う。 ひととおりのチェックが完了し、問題なしと判断して再度コースイン!少しずつペースをあげていく綿引氏。晴れ男の"面目躍如"で、心配していた雨もどうにか回避できそうだ。 しかし、何度かのピットインののち、デフ付近からわずかながらオイル漏れが判明。そこで綿引氏自らタイレルの下に潜り込み、腕を伸ばしてスマートフォンで気になる箇所を撮影しながら状況を確認。その結果、周回に問題なしと判断し、ふたたびコースへ。ハードに攻め込んでいるからこそ判明するウィークポイントともいえるだろう。 ■2回目/3回目のフリー走行では安定した周回を重ねる 昼食をはさんで午後から2回目のフリー走行に入る。コース上でスピンすることも、スローダウンすることもなく、安定した状態を維持したまま周回を重ねて行く綿引氏。筆者も撮影のあいまにギャラリーに混じり、ホームストレート上でスマートフォンで動画撮影を試みるも、1回目は速さのあまり追い掛けきれなかったほどだ。 この日、乗用車でエントリーしたメンバーの皆さんが決して遅いわけではない。それを上回る速さでタイレルP34がラップを重ねているということだ(撮影も大変でした)。 ■エントリー車のなかでトップタイムをマーク! 今回、エントリーした車輌のなかでは唯一のフォーミュラマシンとはいえ、トップタイムをたたき出した綿引氏とタイレルP34! 「フォーミュラカーなんだから乗用車より速くて当然じゃん」と思う人がいるかもしれない。しかし、そこは敢えて異を唱えたい。この連載では何度も繰り返してきていることだが、綿引氏のタイレルP34はコンプリートモデルではない。ハンドメイドなのだ。ホームセンターなどで売られているアルミの板や角材を切り貼りして、叩いて形作られたモノなのだ。この1年、本業のあいまに実走行でトライアンドエラーを繰り返し、完成度を高めてきたのだ。 そして何より、ハヤブサのエンジン他、綿引氏が試行錯誤して選んだ部品の集合体でもある。製作段階で精度が低い状態だとしたら、サーキットを攻めた時点で溶接がはがれてしまうことも考えられる(長野ノスタルジックカーショーにタイレルを展示した際、ドラッグマシンのレーシングカーを製作した経験を持つアートレーシングの村手氏からお墨付きをもらうほど、このタイレルは強靱なボディを誇っている)。 しかし現地ではそんな心配などまったく無用で(綿引氏に対してそんな心配をするのが失礼に思えてしまうほどだ)、むしろラップタイムや連続してサーキットを周回できるタフさにただただ驚くしかなかった。 ■熟成が進みつつある手作りの6輪F1タイレルP34! このタイレルP34は単なるスポーツ走行を楽しむためにエビスサーキット東コースを走っているのではない。マシンのセッティング、そして各部の熟成、ウィークポイントの洗い出し、それはまさにレーシングカー、ひいてはフォーミュラマシンが本番のレースに向けてマシンのセッティングを煮詰めるのと何ら変わりはない。もはやデモ走行の域を完全に超えているのだ。 つまり、このタイレルP34はサーキットを「攻められる」フォーミュラマシンだ。この日も、トータルで1時間を超える周回を重ねてもリタイヤすることなく、無事に走行を終えることができた。綿引氏自身も、タイレルP34のセッティングおよび熟成が進んできている手応えをつかんだようだ。 なかには口さがない読者もいるかもしれないが、このマシンがサーキットを攻めている光景を目のあたりして同じことがいえるだろうか。おそらくは全員が脱帽(そして感激)するに違いない。その実感を1人でも多くの読者の皆さんに伝われば幸いだ。 なお、この日の模様はCBR WATAHIKI YouTubeチャンネルでも公開されているので、ぜひチェックを! ●Six Wheeler Drift | Handmade Formula One in Japan | Tyrrell P34 | CBR WATAHIKIhttps://www.youtube.com/watch?v=5HF7BgqPNdI ●エビスサーキット東コース外部映像、テロップ説明付版https://www.youtube.com/watch?v=I5WlBnvTadU 余談だが、実はこの日、ちょっとしたサプライズがあった。綿引氏が当日、現地で決めたという。それは別の記事でご紹介したい。 ■手作りの6輪F1タイレルP34とは? 茨城県水戸市にある「カスタムビルド&レストア WATAHIKI(以下、CBR WATAHIKI)」代表の綿引雄司氏が、仕事の合間を縫って手作りで製作している、6輪が特徴的なF1マシン「タイレルP34」。 その完成度の高さから、ネット上ではタイレルP34のコンプリートマシンを綿引氏が所有していると誤解されることもしばしばだ。 また「タイレルP34のレプリカ」と評されることもあるが、綿引氏独自の解釈で製作された箇所も少なからずある。 そのため、忠実なレプリカというわけではない。 つまり、この「レプリカ」という表現がこのマシンに当てはまるかどうかは人それぞれの解釈に委ねたい。 製作者である綿引氏によると、このF1マシンが存在することは、タイレルのルーツでもあるケン・ティレル氏のご子息、ボブ・ティレル氏も把握しているという。 しかも、ボブ・ティレル氏は好意的に受け止めてくれているとのことだ。 ■巴自動車商会/カスタムビルド&レストア WATAHIKI 店舗情報 住所:〒310-0912 茨城県水戸市見川3-528-2TEL:TEL/FAX 029-243-0133URL:http://cbr-watahiki.comお問い合わせ:http://www.cbr-watahiki.com/mail.html ●綿引氏のYouTubeチャンネル"cbrwatahiki" ※「アルミのイオタ」および「タイレル P34」の製作風景も紹介されています https://www.youtube.com/@cbrwatahiki ※YouTubeで動画を配信している「ぺーさんxyz」さんがイオタの製作過程を詳細にまとめた動画。手作業で造られていったことが分かる構成となっています。 ●板金職人の技炸裂!アルミ板叩き出しでランボルギーニ・イオタを製作するまで【前編】 https://www.youtube.com/watch?v=hvAf5PfcSJg&t=8s ●アルミ板叩き出しでランボルギーニ・イオタを製作するまで【後編】 https://www.youtube.com/watch?v=WidFHqbp4QA ■Special Thanks! エビスサーキット ●営業時間8:30~17:00(GATE OPEN8:30)/*冬期間9:00~16:30(GATE OPEN9:00)*大会やイベントで変更になる場合もあり●定休日:毎週水曜日 *水曜日が祝日の場合、G.Wの場合、お盆休みの場合などは営業する日もあり ●住所:〒964-0088 福島県二本松市沢松倉1番地*案内図:chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.ebisu-circuit.com/images/ebisu_syuhen.pdf●TEL/FAX:TEL:0243-24-2972/FAX:0243-24-2936●E-Mail:autoland81@techno-as.com●URL:https://www.ebisu-circuit.com/●Twitter:https://twitter.com/ebisu_circuit●Facebookページ:https://www.facebook.com/EBISUCIRCUIT.JP/●YouTubeページ:https://www.youtube.com/user/ebisucircuit●LINE:https://page.line.me/whe3251y?openQrModal=true 株式会社中村機械(今回、タイレルP34のフロントホイールを製作) ●URL:https://nakamurakikai.co.jp 氷見本社/機械加工部品製造工場●住所:〒935-0037 富山県氷見市上泉145-1●TEL.0766-91-5585●FAX.0766-91-1855 射水 Factory/機械装置開発・設計・製造工場●住所:〒939-0281 富山県射水市北高木465-1●TEL.0766-95-5755 [ライター・カメラ/松村 透]

過去3回「サンブレフェスタ」で進化をふりかえる!手作りの6輪F1タイレルP34を追え!Vol.6
旧車の愛好家たち2023.08.16

過去3回「サンブレフェスタ」で進化をふりかえる!手作りの6輪F1タイレルP34を追え!Vol.6

誰もが入手できるスチール製角材とアルミ板を素材に、手作業で創り出された「手作りの6輪F1タイレルP34」。 このマシンを間近で観られる貴重な機会のひとつが、去る6月末に道の駅おおた(群馬県太田市)で開催された「サンブレフェスタ2023」だ。 当メディアでも、サンブレフェスタに初めてこのマシンが展示された2021年から毎年このイベントを取材している。 今回、今年を含む過去3回の模様を振り返ってみた。その進化の過程で見えたものとは……? サンブレフェスタ2021 1977年仕様のマシンとしてサンブレフェスタに展示したのが、2021年6月のサンブレフェスタ2021。当時、ハヤブサのエンジンはシャーシにマウントされているものの、吸排気系、燃料系、駆動系とはつながっておらず、自走はまだできない状態。さらにリアウイングのステーやメーター周り、コクピットなども未塗装のまま。しかし、ファンにとってはこの日が初見という方が多く、その存在感に圧倒されていたのが印象的だった。 サンブレフェスタ2022 それから1年後、2022年6月のサンブレフェスタ2022で展示されたときの模様がこちら。この時点で自走可能な状態になっており、キャリアカーから展示スペース(私有地内)まで綿引氏自らタイレルP34をドライブして移動。朝早くから会場に足を運んだファンにとっても嬉しいサプライズとなった。また、新造の1976年仕様のカウルが製作段階(未塗装)の状態で被せられ、前年とはまったく異なる装いに。未塗装だからこそ味わえる、ハンドメイドボディの質感が間近で観られるまたとない機会となった。 サンブレフェスタ2023 そして今年。サンブレフェスタ2023に展示されたときの模様がこちら。1976年日本GP「シェクター仕様」を再現して展示。見た目の進化だけでなく、この1年間でサーキットを攻められるほどの領域に到達。コクピットやフロントカウルなど、相応のスピード域で走り、乗り降りの際についたであろう傷も確認できた。もはやこのタイレルは「見せる」ために生を受けたマシンではなく、このまま姿でサーキットを攻めることで「魅せる」術を身につけていることを実感した。 各部のディテールの変化 それでは、各部の進化の過程をふりかえってみよう。可能な限り同じアングルの画像を集めてみた。なお、上から2021年/2022年/2023年の順となる。 フロント リア サイド リアウイング(リアまわり) エンジンまわり コクピットまわり ホイール まとめ:作り手の魂が宿る「手作りの6輪F1タイレルP34」を、ぜひご自身の目で確かめみてほしい この連載でも何度もお伝えしているが、このタイレルP34はコンプリートマシンではない。 模型や当時の資料などを元に綿引氏が図面を引き、スチールの角材とアルミの板を切り貼りして溶接を繰り返し、たたき出して完成させた「手作りのF1マシン」だ。 ゼロベースで実車さながらのタイレルP34を造り上げただけでも離れ業といえるのに、ここからさらに市販のバイクやクルマなどの部品、さらにはワンオフで自作したものを組み合わせて実走、しかもサーキットを連続して周回できるマシンへと仕立て上げてしまったのだ! マシンを造る人、そしてマシンに合う部品を集めて組み上げる人、さらにはある程度のハイスピードの領域で攻められるセッティングと耐久性を生み出してしまう人。 本来であれば、それぞれ別々の人が力を合わせてはじめてようやく完成できる領域だろう。 それを綿引氏はほぼ1人でやってのけてしまった。 取材を通じて何度もこのマシンを観てきたが、その事実を目の当たりにするたびに身震いがする。 しかし、当の綿引氏は「0から1のものを造り上げる」苦労よりも、楽しんでここまで仕上げたような印象が強い。 やはり、好きに勝るものはないのかもしれない。 今回、改めて思ったことがある。 このタイレルはまだまだ進化の過程なのだということを。 もし、まだこの手作りの6輪F1タイレルP34の実車を観たことがない人であれば、ぜひ何かの機会にその目で確かめてほしい。 もはや、このクルマがゼロベースで造られたとはにわかに信じられないほどの完成度だ。 実は手作り……と説明をしないと、コンプリートマシンだと信じてしまう人も多いだろう。 そして「作り手の魂が宿るマシン」の表現が大げさではないことを実感できるはずだ。 そして、これまで実車を観たことある人であれば、ちょっとした変化に気づくかもしれない。 繰り返しになるが、ぜひ1度、ご自身の目で、細部にいたるまでこのクルマの造り込みを観て欲しいと思う。 驚きと感動に満ちた体験となるに違いない。 展示されるイベントの情報が分かり次第、旧車王ヒストリアでもアナウンスする予定だ。 なお、直近の予定では、8月20日にキナラガーデン豊洲で開催される「PURPOOL PARADISE KIRANAH GARDEN TOYOSU」にてタイレルが展示される。イベントは夕方からだが、タイレルは朝10時から展示されるとのことだ。 PURPOOL PARADISE KIRANAH GARDEN TOYOSU ・開催日時:8月20日(日)16:00〜22:00・場所:キナラガーデン豊洲・URL:https://www.kiranahresort-toyosu.com・住所:東京都江東区豊洲6-5-27・アクセス:https://www.kiranahresort-toyosu.com/access/・tel:03-6910-1818 手作りの6輪F1タイレルP34とは? 茨城県水戸市にある「カスタムビルド&レストア WATAHIKI(以下、CBR WATAHIKI)」代表の綿引雄司氏が、仕事の合間を縫って手作りで製作している、6輪が特徴的なF1マシン「タイレルP34」。 その完成度の高さから、ネット上ではタイレルP34のコンプリートマシンを綿引氏が所有していると誤解されることもしばしばだ。 また「タイレルP34のレプリカ」と評されることもあるが、綿引氏独自の解釈で製作された箇所も少なからずある。 そのため、忠実なレプリカというわけではない。 つまり、この「レプリカ」という表現がこのマシンに当てはまるかどうかは人それぞれの解釈に委ねたい。 製作者である綿引氏によると、このF1マシンが存在することは、タイレルのルーツでもあるケン・ティレル氏のご子息、ボブ・ティレル氏も把握しているという。 しかも、ボブ・ティレル氏は好意的に受け止めてくれているとのことだ。 巴自動車商会/カスタムビルド&レストア WATAHIKI 店舗情報 住所:〒310-0912 茨城県水戸市見川3-528-2TEL:TEL/FAX 029-243-0133URL:http://cbr-watahiki.comお問い合わせ:http://www.cbr-watahiki.com/mail.html 綿引氏のYouTubeチャンネル"cbrwatahiki" ※「アルミのイオタ」および「タイレル P34」の製作風景も紹介されています https://www.youtube.com/@cbrwatahiki ※YouTubeで動画を配信している「ぺーさんxyz」さんがイオタの製作過程を詳細にまとめた動画。手作業で造られていったことが分かる構成となっています。 板金職人の技炸裂!アルミ板叩き出しでランボルギーニ・イオタを製作するまで【前編】 https://www.youtube.com/watch?v=hvAf5PfcSJg&t=8s アルミ板叩き出しでランボルギーニ・イオタを製作するまで【後編】 https://www.youtube.com/watch?v=WidFHqbp4QA 「道の駅おおた」について ・所在地:〒370-0421 群馬県太田市粕川町701-1https://goo.gl/maps/E3vus5Vmbpjn8mz68・電話:0276-56-9350・FAX:0276-56-9351・駐車場;普通車:126台、大型車:40台、身体障害専用:4台・URL:http://michinoeki-ota.com 道の駅 おおた <公式> Facebookページ https://www.facebook.com/michinoeki.ota/ 道の駅おおた広報「おっくん」 Facebookページ https://www.facebook.com/ekicho.ota/ 道の駅 おおた <公式> Twitter https://twitter.com/michinoekiota [ライター・カメラ/松村 透]

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