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御年70歳でもまだまだ現役。小さなクラシックカーショーで見つけた1953年製の赤いMG

目次
1.■元は黒で錆がかかっていたMG YB 2.■1953年製の希少なMG YB 3.■クラッシクカーを持つ本当の意味とは

イギリスでは、日照時間が長い夏時間(サマーマイム)というものがあります。

そしてこの時期にはいろいろな場所でクラッシクカーショーが毎週のように行われています。

そのなかのある田舎町の小さなクラッシックカーショーに行ってみました。

その日は晴天で、カーショーにはもってこいの日でした。

イギリス南西にあるウィギントンという小さな村ですが、カーショーの他に日本でいう遊園地の乗り物があったり、出店がでていたりと、ちょっとしたお祭りのような雰囲気でした。

様々な魅力的なクラッシクカーが芝生の上に並んでいましたが、そこで真っ先に目の飛び込んできたのが赤いMGでした。

何とも言えないボディーシェイプで可愛らしさがあり、一瞬で魅了させられました。

それは、1953年製のMG YB。

MG Y-タイプのYAが初めて世に出たのは1947年で、YBは初期のYAをさらに強化したもので、1951年から1953年の2年間で1300台ほど製造されました。

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■元は黒で錆がかかっていたMG YB

オーナーであるジョンさんに話を聞いたところ、彼はこのMGを約20年前に格安で購入し、年月をかけてここまで素敵なクルマに変えていきました。

ジョンさんに古い写真を見せていただきましたが、画像を見てもお分かりのように庭におきっぱなしにされていて、元の黒いボディはさびて廃車に近い状態でした。

この廃車状態から赤いMGに生まれ変わるまでの時間と費用は相当だったそうです。

まず彼はクルマを解体しすべて、ひとつひとつのパーツにしたそうです。

そして、自ら持ち得たクルマの知識を活かし、少しづつ元通りに組み立てていきました。

そのなかで使えるパーツはそのまま使用したそうですが、中には入手困難なパーツもあり、その時はMG協会から譲ってもらったりしたそうです。

どうしても手に入らないときは、特別にオーダーしてオリジナルのもの作ってもらったとのこと。

黒に塗られていたボディは、一度すべて塗料を削ってはがしてから、新たに赤に塗っていきました。

これらの一つ一つに、当然相当な時間とお金を要しましたのはいうまでもありません。

実際の値段は聞きませんでしたが、「普通に家が買えるぐらい」と苦笑いしながら話していました。

ハンドルや内装はオリジナルのものをできるだけ使用しており、英国感を醸し出しています。

私もクルマに乗車させていただきましたが、一瞬ちょっと田舎のおばあちゃんちの家の匂いを思い出しました。

車内はわりと狭く、サルーンなのでバックシートもありますが、本当に4人も乗れるの?という感じでした。

でも、木製の大きなハンドルはとっても素敵で握りやすかったです。

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■1953年製の希少なMG YB

冒頭でも少し触れましたが、ここで改めてMG YBがどのようなクルマかを簡単に説明しましょう。

MG社のサルーンとして発売されたYタイプには、YA、YT(コンバーチブル)、YBと3つのモデルがありますが、1947年から1953年までの総生産は約8000台。

YBのみの場合、1951年から1953年までに製造されたのはトータルで1300台ほどでした。

エンジンスペックは1250cc(4シリンダー)、トップスピードは70mph(約112kmph)、加速スピードは60mphまで30秒。

約1300台作られたうち、現在もオーナーがいるYBは世界で141台のみ。

聞くところによれば、イギリス92台、アメリカ22台、オーストラリア3台、ヨーロッパ18台、カナダ3台、ニュージーランド1台、そして日本を含めたアジアにはたったの1台のみだそうです。

約1300台もあったクルマが、70年間の間に廃車となって消えていき、世界で141台のみが今だに生き残っていると思うと、なんて希少なんだと思わされますね。

当時のMG YBの車体値段は£635、税金が£354で計£989でした。

イギリスは税金が高い国ですが、当時の税金は60%で車体の値段の半分以上。

これには驚きです。

70年前の£989がどのくらいの価値があったかというと、今でいう£34,000(日本円で約620万円)。

この時代の平均収入は年間£100だったので、かなりの高価であることがわかります。

クルマを持つこと自体が贅沢だった時代ですから、税率が高いのも仕方なかったのかもしれません。

■クラッシクカーを持つ本当の意味とは

このクラシックカーショーでMGとジョンさんに出会い、素敵なお話も聞かせてもらいました。

なぜ家が買えるほどのお金と20年という年月をかけてまで、このMGを保持し大切にしているのでしょうか?

ジョンさんがいうには、子供の頃に見ていた古いクルマの印象とその光景が彼にとっては当たり前で、時代が変わってもその光景が変わることなく、ずっと頭のなかにあったのだそう。

近代のクルマも素敵ではあるけれど、彼の子供心が続く限り、このクルマをかわいがるつもりだと話してくれました。

そんな彼を見て、いつまでも子供心を大事にしてほしいと思いました。

ちなみに彼はこのMGを週末だけ、しかも天気が晴れているときのみ運転するそうです。

田舎町でピクニックをしたり、もちろんロンドンにも行かれるそうです。

以前の記事でも述べましたが、このYBには車輌税やULEZなど一切の税金がかからないので、どこへでも行けますね。

●クラッシックカーと超低排気量ゾーン(ULEZ)の税金 ~ロンドン事情~
https://www.qsha-oh.com/historia/article/ulez-london-classic-cars/

それ以外はガレージに保管していて、時々磨いているそうです。

今回偶然出逢ったMG YBですが、どのクラッシクカーにも歴史とそのオーナーの思入れがあるようなので、それを探求するため今後も素敵なクラッシクカーを紹介していきたいと思います。

Thank you, John.

*文中の車輌解説は、ジョン氏からお借りしたMG社のものと思われる資料より引用しました。

[ライター・画像 / SANAE]

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