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クルマの購入や引っ越しで車庫証明が必要になったとき「どこの警察署でも申請できるのか」「引っ越し前後でどこに出せばいいのか」と迷われる方は少なくありません。
この記事は、25年以上にわたって旧車・クラシックカーを15,000台以上買い取り、車輌登録や各種行政手続きに精通した旧車王が、車庫証明を提出できる警察署の確認方法について、地域別のルールと注意点を交えながら解説します。
車庫証明とは
車庫証明は、違法駐車の防止と交通環境の整備の観点から、クルマを購入する際に適切な保管場所(駐車場)が確保されていることを法的に証明する書類です。正式名称は「自動車保管場所証明書」です。
車庫法によって、新車の登録や中古車の名義変更時には証明書の提出が義務付けられています。
なお、証明書はクルマの保管場所を管轄する警察署長が発行します。書類を揃えて警察署に申請し、取得した車庫証明を購入先に提出するまでが一連の流れです。
車庫証明の取得条件
車庫証明を取得するためには、法律で定められた3つの条件をクリアする必要があります。車庫証明の取得条件について詳しく見ていきましょう。
収容スペースの条件
収容スペースの条件は、以下の3点です。
・クルマが完全に収まり一部もはみ出さないこと
・クルマが公道から直接出入りできること
・駐車場から出た道路に十分な幅があること
なお、収容できるのは所有地または契約済みの土地と、車庫法で定められています。公道や無許可の私有地は使用できません。
申請時には、条件を満たしていることを示す配置図の提出も求められるため、記載例を参考に漏れなく記載しましょう。
権限に関する条件
車庫証明に関する権限は、駐車場の使用権限に関する条件のことです。戸建てのように自己所有地の場合は保管場所使用権原疎明書面(自認書)、賃貸のように他人の土地を借用する場合では保管場所使用承諾証明書の提出が必要です。
なお、住民票と現住所が異なる場合でも車庫証明は取得可能ですが、使用の本拠地であることを証明する書類(公共料金の領収書や免許証など)が追加で必要です。
虚偽申請に対しては厳しい罰則が設けられており、車庫飛ばしなどの違法行為には20万円以下の罰金が科される可能性があります。また、引っ越し後15日以内に手続きを行わない場合も10万円以下の罰金刑の対象となるため、早めの確認と対応が大切です。
保管場所から自宅までの距離の条件
車庫証明では、保管場所が「使用の本拠地」から直線距離で半径2キロメートル以内にあることが法的要件として定められています。距離は実際の道路距離ではなく、地図上で直線を引いた場合の距離です。
「使用の本拠地」とは、個人の場合は実際に居住している住所、法人の場合はクルマを使用する本店や支店など実際の活動拠点を指します。
ただし、全長5メートル超かつ全幅1.9メートル超のモーターホームやキャンピングトレーラーなどの特殊車両については、特例措置として半径2キロメートルを超えた場所での保管が認められる場合があります。
車庫証明は管轄の警察署に提出する
車庫証明を申請できるのは、クルマの保管場所を管轄する警察署のみです。全国どこの警察署でも申請できるわけではありません。申請先を間違えると車庫証明に要する時間が長引くため、事前にどの警察署かは確認しておきましょう。
管轄の警察署は保管場所の住所ごとに分担されています。詳細な確認方法については、全国の警察署一覧から検索可能です。
なお、地域をまたぐ特殊なケースや自宅以外での取得については、以下で詳しく解説します。
保管場所が地域をまたぐ場合の提出先
「保管場所基準」の原則は、地域をまたぐ場合でも変わりません。ただし、申請先を間違えやすいため、確認方法を詳しく解説します。
【具体的なケース】
・自宅がA県にあり駐車場がB県にある場合:B県の駐車場を管轄する警察署へ申請
・自宅がC市で駐車場がD市にある場合、D市の駐車場を管轄する警察署へ申請
本ルールは、単身赴任などで住民票の住所と実際の居住地が異なる場合でも変わりません。
とくに注意が必要なのは、県境や市境付近に住んでいる方です。最寄りの警察署であっても車庫証明申請の管轄外となる可能性があります。申請先を間違えると時間の無駄となるため、管轄が不明確な場合は事前に警察署へ電話確認することをおすすめします。
自宅以外のどこでも車庫証明は取得できる?
車庫証明は自宅以外の場所でも取得可能です。ただし、どの場所を選んだとしても法的条件に合致しているかの確認と適切な手続きが必要です。
以下では、取得のための準備(必要書類)と手続き(申請先)の2つの観点から、自宅以外での取得方法を解説します。
必要書類を揃えれば取得できる
車庫証明は、以下の必要書類一式を揃えれば取得可能です。基本書類と駐車場の所有者によって変わる書類があるため、事前に確認しましょう。
【基本書類】
・自動車保管場所証明申請書
・使用の本拠の位置が確認できるもの
・保管場所の所在図・配置図
【駐車場の所有者によって変わる書類】
・自己所有地の場合:保管場所使用権原疎明書面(自認書)
・他人の土地を借用する場合:保管場所使用承諾証明書
なお、実家の駐車場を使用する場合でも、土地所有者が親族であれば借用扱いとなるため保管場所使用承諾証明書が必要です。
住民票と現住所が異なる場合は、使用の本拠地を証明する追加書類を用意します。公共料金の領収書(直近3か月以内、住所と氏名が漢字記載)や消印付きの郵便物(2~3通)のほか、免許証でも問題ありません。
取得場所を管轄する警察署に提出する
自宅以外での車庫証明取得でも、申請先のルールは変わりません。重要なのは「自宅の住所ではなく、保管場所の住所」を基準にすることです。
自宅以外でクルマを保管する場合の注意点として、距離制限(2キロメートル以内)を満たしているかの事前確認が必要です。また、賃貸駐車場などを利用する場合は、契約期間と車庫証明の有効期間が合っているかも確認しておきましょう。
確認した結果条件を満たしていれば、駐車場の住所を管轄している警察署に書類を提出できます。
車庫証明を取得する流れ
車庫証明の取得は、保管場所の決定から証明書受け取りまで4つのステップで進めます。手続きには通常1週間程度の期間を要するため、クルマの購入や引っ越しのスケジュールに合わせた早めの準備が大切です。
クルマの保管場所を決める
車庫証明申請の第一歩として、法的条件を満たす保管場所の確保が必要です。以下の内容を満たす場所かどうかを確認しましょう。
【確認すべき法的条件】
・使用の本拠地から直線距離2キロメートル以内
・クルマが完全に収まり公道から直接出入り可能
保管場所の選択肢として、持ち家や賃貸住宅に付属した駐車場がない場合は、月極駐車場などの確保が必要です。周辺環境とあわせて以下の条件で問題ないかチェックしましょう。
【確認すべき収容スペースの条件】
・クルマのはみ出しがないこと
・走行可能道路からの出入りが可能であること
・駐車場前の道路に十分な幅があること
なお、新車購入時は駐車場の利用開始日と納車日の調整が重要です。車庫証明なしでは車両登録ができません。納車前に車庫証明を取得できるよう駐車場契約のタイミングを調整し、スムーズに進められるスケジュールを組む必要があります。
申請書類を準備する
保管場所が確定したら、管轄の警察署で申請書類を入手し必要事項を記入します。書類は警察署交通課での受け取り、またはウェブサイトからのダウンロードが可能です。ウェブサイトでは記入例も閲覧できるため、まとめて作業すれば時短につながります。
申請書類は以下です。改めて用意し忘れがないか確認しておきましょう。
・自動車保管場所証明申請書
・保管場所標章交付申請書
・保管場所の所在図・配置図
・自己所有地では保管場所使用権原疎明書面(自己所有地の場合)
・保管場所使用承諾証明書(借用地の場合)
書類を記入する際は、以下の情報を正確に記載します。
・車検証から車輌情報と保管場所住所の転記
・所在図・配置図用に自宅と保管場所の位置関係の確認
・車庫の具体的サイズ
・道路幅員
警察署に提出する
完成した書類は、保管場所を管轄する警察署へ提出します。提出先は自宅ではなく駐車場の住所で決まります。地域をまたぐ場合でも保管場所側の警察署が提出先です。
窓口提出時は運転免許証などの本人確認書類と、申請手数料(詳細は警察署へ要確認)を添えます。なお、令和7年3月から、警察署での支払いは原則キャッシュレスまたは現金となっています。ただし、一部のエリアでは窓口で現金が利用できない場合があるため、注意が必要です。
書類提出後は交付予定日が記載された受理票を受け取ります。受理票は証明書受け取り時に必要となるため、財布など身近で忘れない場所に保管しておくと安心です。
車庫証明書を受け取る
受理票記載の交付予定日になったら、申請した警察署で車庫証明を受け取ります。交付される書類は自動車保管場所証明書(車庫証明書)のみです。保管場所標章や保管場所標章番号通知書は、令和7年4月1日から廃止されています。
地域によっては郵送対応が可能な場合があります。申請時に地区交通安全協会で手数料を支払うことで自宅へ郵送してもらえます。なお、申請自体は郵送に対応していません。
手続きの時間が確保できない方は、クルマの販売店に代行してもらうことも可能です。代行費用は発生しますが、書類作成の不安や時間の問題を解消できます。
まとめ
車庫証明の申請は保管場所を管轄する警察署でのみ受け付けており、どこの警察署でも申請できるわけではありません。自宅と保管場所が地域をまたぐ場合でも、保管場所の住所を基準に管轄警察署が決まります。
申請には法定の条件を満たす保管場所の確保と、土地の所有形態に応じた必要書類の準備が必要です。手続きに1週間程度の期間を要するため、クルマの購入や引っ越しに合わせて早めに準備しましょう。
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