目次
クルマを廃車にしても自動車保険が自動的に失効するわけではないため、適切に手続きをしないと保険料を支払い続けることになります。
一方で、廃車にしたクルマの自動車保険を解約すると、払い込んだ保険料の一部が返金されることがあります。また、将来クルマを再購入したとき、廃車時の等級を引き継いで保険料に高い割引率を適用することも可能です。
この記事では、クルマの廃車時に必要となる保険の手続きの種類や方法などについて詳しく解説します。
廃車時に手続きが必要な自動車保険
自動車保険には「自賠責保険」と「任意保険」の2種類があり、それぞれ補償内容や廃車時の手続きなどが異なります。以下で詳しく解説します。
自賠責保険
自賠責保険は、自動車損害賠償保障法(自賠法)によってすべてのクルマに加入が義務づけられる保険です。
強制加入の目的は交通事故の被害者を救うことであり、対人事故による死亡・後遺障害・傷害での賠償損害が補償されます。
クルマを廃車にする場合、加入先の損害保険会社で自賠責保険の解約手続きが必要です。
自賠責保険の保険期間が1ヶ月以上残っている場合、解約手続きをすると残りの期間に応じた保険料が返金されることがあります。
▼関連記事
クルマを買い替えたら自賠責保険はどうなる?返金についても紹介
任意保険
任意保険は、自賠責保険の補償のみでは不足する部分をカバーするために、自らの意志で加入する保険です。
対人事故で負った賠償責任のうち自賠責保険の支払限度額を超える部分を補償するほか、他人のモノや事故車輌に乗っていた人、車輌本体などの損害もカバーされます。
クルマを廃車にする場合、任意保険については以下のいずれかの手続きをします。
- ・解約する
- ・保険を一時的に中断する
- ・車両入替をして補償対象となるクルマを変更する
中断の手続きをすると、一定期間内に再び任意保険を契約したときに、中断前のノンフリート等級が引き継がれ、保険料に同じ割引率が適用されます。
クルマを買い替える場合は、車両入替をすることで所定の要件を満たした場合に変更後の契約車両にノンフリート等級を引き継げます。
▼関連記事
クルマを買い替える際に自動車保険の手続きは必要?方法や注意点を解説
自賠責保険の解約方法と還付の仕組み
自賠責保険を解約する方法や還付される金額の計算方法について詳しくみていきましょう。
解約に必要な書類と流れ
自賠責保険の解約ができるのは、クルマの廃車手続きの完了後です。廃車手続きを行う場所は、普通自動車は現住所を管轄する陸運支局、軽自動車の場合は軽自動車検査協会です。
廃車手続きをしたあとは、加入先の保険会社の公式Webサイトから、自賠責保険の契約を管理する業界共通のシステム「One-JIBAI」にアクセスして解約手続きをします。
解約の際に必要な書類は、以下のとおりです。
- ・自賠責保険証明書
- ・廃車またはナンバープレートの返納を証明する書類のコピー(登録識別情報等通知書や自動車検査証返納証明書など)
- ・保険契約者本人であることの確認書類(運転免許証や健康保険証など)
なお、郵送で自賠責保険の解約手続きをすることも可能です。
返金される金額の目安と受け取り方法
自賠責保険を解約した日から満期日まで1ヶ月以上の保険期間が残っている場合、未経過期間(残りの保険期間)に応じた保険料が戻ってきます。
未経過期間が長ければ長いほど戻ってくる保険料は高くなります。また、返金される金額は全社共通の規定で計算されるため、加入している保険会社による違いはありません。
一方、払い込んだ保険料から、保険金の支払いに充てられる費用や、代理店手数料、契約引受・内容変更等に係る費用などが差し引かれた金額が戻ってきます。そのため、未経過期間分の保険料のすべてが戻ってくるわけではありません。
返金額の計算基準となる解約日は、必要書類を保険会社が受理した日を指します。
書類の提出が遅れると返金額が少なくなる可能性があるため、自賠責保険を解約する際は早めに手続きをすることをおすすめします。
▼関連記事
自賠責保険はどんなときに返金される?返金額の目安も解説
任意保険は「解約」より「中断」が得策
クルマを廃車にしたあと10年以内に再び運転する可能性がある場合、任意保険を解約するのではなく「中断」の手続きをするのも1つの方法です。ここでは、中断制度の内容や中断証明書の取得方法について解説します。
中断制度とは
中断制度とは、任意保険の契約を一時的に休止する制度のことです。中断をすると中断証明書が発行され、ノンフリート等級を最長10年間保存できます。
任意保険は、解約日の翌日から8日以上経った場合、ノンフリート等級を引き継げません。新しくクルマを購入して任意保険に再加入する場合、原則として6等級からスタートするため、保険料の割引率が低下して支払額が割高になる可能性があります。
中断をすると、その日の翌日から10年以内に任意保険を再度契約したとき、中断前のノンフリート等級が適用されて同じ割引率を受けることが可能です。
中断前とは別の保険会社が取り扱う任意保険に加入する場合でも、期間内であればノンフリート等級を引き継げます。
廃車にしたあと当面はクルマに乗る予定はないものの、10年以内に再度運転する可能性があり、かつノンフリート等級が7以上の場合は、任意保険を解約するよりも中断をするほうがよいでしょう。
中断証明書の取得方法と有効期限
中断証明書を申請するときは、加入先の保険会社または取扱代理店に問い合わせましょう。
中断証明書を発行できる期間や条件、有効期限、費用については以下のとおりです。
- ・発行できる期間:契約の満期日または解約日の翌日から13ヶ月以内や5年以内など
- ・発行条件:中断する契約のノンフリート等級が7等級以上
- ・発行費用:無料
- ・有効期限:中断手続きをした保険契約の満期日または解約日の翌日から10年間
廃車後に中断証明書を発行する場合、保険会社によってはクルマが廃車されていることを証明する以下のような書類が必要です。
- ・登録事項等証明書(普通乗用車や小型乗用車の場合)
- ・検査記録事項等証明書(軽自動車の場合)
必要書類や手続き方法は保険会社によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
廃車後すぐに乗り換える場合の対応方法
廃車にしたあとすぐに新しいクルマへ乗り換える場合は、任意保険の「車両入替」をすると、ノンフリート等級を引き継ぐことが可能です。
車両入替は、保険契約の対象となる車両(契約車両)を新しく乗り換えるクルマに変更する手続きです。
車両入替によって保険等級がリセットされるのを防ぎ、従来の割引率を適用できるため、保険料の増加を抑えられる可能性があります。
車両入替の手続き方法と必要なもの
新しいクルマの納車日からノンフリート等級が引き継がれた任意保険の補償が開始されるようにするためには、納車前に車両入替の手続きを済ませる必要があります。
乗り換えるクルマと納車日が決まったら、加入中の保険会社または代理店へ連絡し、車両入替の可否や手続き方法、必要書類を確認しましょう。
車両入替の必要書類は以下のとおりです。
- ・任意保険の保険証券
- ・新しいクルマの自動車検査証・軽自動車届出済証など
- ・売買契約書や注文書など新しいクルマの購入金額がわかる書類
上記の他にも、新旧両方のクルマの走行距離(オドメーター値)の申告も求められるため、あらかじめ確認しておきましょう。
車両入替をするときの注意点
任意保険の保険料は、クルマの車種や年式などをもとに算出されます。そのため、車両入替によりノンフリート等級が引き継がれる場合でも、クルマを乗り換えると保険料は変わるケースがほとんどです。
車両入替後の保険料が上昇する場合は、納車前に差額の支払いが必要です。一方、金額が下がる場合は差額が返金されるため、車両入替をする際は新しい保険料や精算手続きについてよく確認しましょう。
また、任意保険の補償内容に過不足がないか確認し、必要に応じて見直しをすることも大切です。
新しいクルマの使い方やライフスタイルの変化を踏まえて「運転者の範囲や年齢条件は適切か」「補償額は十分か」「車両保険を付けるべきか」などをよく検討しましょう。
よくあるQ&A|廃車と保険の不安を解消
廃車にともなう保険の手続きについてよくある疑問点に回答いたします。
中断証明書はあとからでも発行できる?
多くの保険会社は、中断証明書の発行期限を任意保険の満期日または解約日の翌日から5年以内や13ヶ月以内などとしています。そのため、廃車により任意保険を解約したあとでも中断証明書を発行してもらうことは可能です。
申請期間を過ぎると中断証明書が発行できなくなりノンフリート等級がリセットされます。
中断証明書を発行したい場合は、速やかに加入していた保険会社やその取扱代理店に連絡をし、発行期限や手続き方法を確認しましょう。
保険の解約タイミングはいつがベスト?
自賠責保険については、クルマを廃車にしたあと速やかに解約することをおすすめします。手続きが遅れると返金される保険料が少なくなる可能性があるためです。
任意保険の場合、廃車にしたあとクルマにまったく乗らないときやノンフリート等級が5以下のときは、すぐに解約をするとよいでしょう。
一方、廃車時のノンフリート等級が7以上であり、10年以内に新しいクルマに乗る予定があるときは、解約ではなく中断の手続きをしたほうがよいといえます。
まとめ
クルマを廃車にした場合、自賠責保険を解約すると残りの保険期間に応じた保険料が返金されることがあります。任意保険については「中断」をすると、10年以内に再度契約したときに中断前のノンフリート等級を引き継いで保険料の負担を軽減できる可能性があります。
廃車後すぐに乗り換える場合は、車両入替をして任意保険の契約車両を変更するとノンフリート等級を引き継ぐことが可能です。
廃車にしたときは、速やかに保険会社や取扱代理店へ連絡し、自動車保険に関する必要手続きを適切に行いましょう。
旧車の買取なら「旧車王」におまかせ!
長い時間を共にした愛車だからこそ、売却先にもこだわりたいという方は多いのではないでしょうか。
旧車王は、旧車に特化して20年以上買取を続けております。旧車に関する実績と知識なら、どこに負けない自信があります。また、ご契約後の買取額の減額や不当なキャンセル料を請求する「二重査定」も一切ございません。誠実にお客さまのクルマと向き合い、適正に査定いたします。
全国どこでも無料で出張査定にうかがいますので、大事な愛車の売却先にお悩みの方はぜひ「旧車王」にご相談ください。