クルマの購入から10年、15年経つと、目に見えない部分で確実に劣化が進んでいます。その兆候の一つが、ドアからの「雨漏り」です。
どれほど丁寧に乗っていても、パーツの経年劣化や微妙な歪みなど、ちょっとした要因で雨漏りは発生します。放置すれば重大なトラブルや事故につながる可能性もあり、異変を感じた時点で早めに対処することが大切です。
この記事では、25年以上にわたり旧車・クラシックカーを15,000台以上買い取ってきた旧車王が、クルマのドアから雨漏りする原因と対処法を詳しく解説します。
【この記事でわかること】
・車のドアから雨漏りする原因と対処法
・車のドアの雨漏りを放置すると起こるトラブル
・車のドア以外の雨漏りのパターン
車のドアから雨漏りする原因と対処法
運転席の足元に小さな水たまりができている、シートやマットがしっとりと濡れている場合、ドアからの雨漏りかもしれません。
ここでは、雨漏りの原因と特定する方法、対処法について解説します。
ドアパッキン(ゴム)の劣化
もっとも多い原因は、ドアの縁についている帯状のパーツ、ゴムパッキン(ウェザーストリップ)の劣化です。
ウェザーストリップはドアとボディのすき間を埋め、外からの雨風やほこり、騒音などを防ぐ重要なパーツです。しかし、長年の使用によって硬化やひび割れが生じると、密着性が失われ、ドアから雨水が浸入してしまいます。
特定方法
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ドアの縁にあるウェザーストリップを確認。触って硬くなっていたり、ひび割れていたりすると劣化のサイン
対処法
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劣化を防ぐ方法:ウェザーストリップの保護材を塗布する
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軽いひび割れがある:ウェザーストリップの補修材でひび割れをふさぐ
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劣化が進んでいる:ウェザーストリップ自体を交換する
雨漏りが酷いときはウェザーストリップを交換しましょう。交換はDIYでも可能ですが、車種専用形状のため、サイズ違いによるズレに気をつけてください。
確実に直して雨漏りを防ぐためには、ディーラーや整備工場への相談・依頼をおすすめします。
ドアの歪みや建付け不良、部品損傷によるズレ
クルマのドアにズレが生じ、すき間ができて雨水が入り込むことがあります。ズレが生じる原因は下記のとおりです。
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・衝突事故などによるドアやフレームの歪み
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・もともと、あるいは修理後の建付け不良
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・ヒンジなどのパーツの経年劣化や損傷、緩み
ドアの開閉がスムーズにできない、閉まりにくいと感じる際、ドアがズレているかもしれません。
特定方法
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ドア本体の歪みや建付け、ヒンジ(蝶番の部分)の損傷などを目視で確認。実際にドアを開閉してみて、閉めた際に「浮き」や「引っかかり」がある際は要注意
対処法
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ドアやフレームの歪み、建付け不良:ディーラーや整備工場・板金塗装工場などに修理を依頼
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ヒンジの損傷:DIY交換も可能だが、安全のため業者依頼が望ましい
ドアのズレは雨漏りだけでなく、重大な事故を引き起こすおそれもあります。ディーラーや整備工場など、専門業者に相談・依頼しましょう。
排水口(ドレン・水抜き穴)の詰まり
クルマの内部には複数の排水口(ドレン・水抜き穴)が設けられています。ドアの下部にも排水口がありますが、ここに砂や埃が入って詰まりが生じると、水がうまく排出されず、雨漏りの原因になります。
特定方法
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ドア下部の排水口を目視で確認し、詰まりがないかをチェックする
対処法
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車種によっては個人で掃除して詰まりを解消することも可能だが、無理に行うと内部が傷つく可能性もある。わからない場合は業者依頼が望ましい
歯ブラシや細めのブラシを使い、排水口の汚れを清掃できるケースもあります。しかし、雨漏りするほど酷い詰まりが疑われる場合は、念のためディーラーや専門業者に確認してもらうほうがよいでしょう。
車のドアの雨漏りを放置すると起こるトラブル
クルマのドアの雨漏りを放置すると、次のようなトラブルにつながるおそれがあります。
カビや悪臭の発生
雨漏りによって車内の湿度が高くなると、シートやフロアマットにカビが繁殖しやすくなります。
カビが繁殖すると酸味のある独特の悪臭を放ち、鼻炎や喘息などのアレルギー症状を引き起こすこともあります。
雨漏りは見た目や臭いの問題だけではなく、同乗者の健康リスクにも影響を及ぼす可能性があるのです。
ドア内部やフロア下、金属パーツのサビ・腐食
雨漏りはサビの発生にもつながります。
ドアからの雨漏りで特にサビが生じやすいのはドアの内部です。長年の使用によって排水口に汚れが詰まり、ドア内部に水がたまると、サビが進行します。また、ドアの内側にある内装パネルやヒンジといった金属パーツ、フロア下もサビが生じやすい箇所です。
サビができた部分は水分が侵入しやすくなり、腐食の進行を加速させます。腐食が進むと金属の素材が徐々に失われ、最終的には穴が開くこともあります。放置すれば、クルマ全体の強度や耐久性が低下することになりかねません。
腐食が進んでいる場合、高額な修理代がかかりやすいという懸念もあります。
電子部品や配線への影響
下記のとおり、ドアには多くの電子部品や配線が搭載されています。雨漏りが酷い場合、これらの電子系統に重大な影響を及ぼす可能性があるため注意しましょう。
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パワーウィンドウ関連:窓ガラスを電動で昇降させる
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ドアロック:ドアの施錠・解錠を行う
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ドアミラー関連:スイッチ操作でミラー角度を調整・格納する
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挟み込みセンサー:主にスライドドアに装備され、障害物を検知すると動作を停止・反転させる
電子系統に水が入り誤作動を引き起こすと、走行途中でドアミラーが勝手に格納されたり、動かなくなったりすることも考えられます。また、漏電でバッテリーが上がり、急に走行できなくなる可能性もあります。
電子系統の誤作動・機能停止は重大な事故につながりかねないため、早期の対策が必要です。
車のドア以外の雨漏りのパターン
車内に雨水が浸入する経路はドアだけではありません。
ここでは、ドア以外で雨漏りが発生するパターンも解説します。
サンルーフまわりからの雨漏り
雨の日に天井から水滴が落ちてきたら、サンルーフ周辺からの雨漏りかもしれません。
雨漏りの原因はドアと似ていて、サンルーフ周辺パーツの経年劣化によるひび割れや、蓄積した汚れによる排水口(水抜き穴)の詰まりなどがあります。
国産・外車問わず、サンルーフ付き車輌はこのような雨漏りトラブルが付きものです。定期的にパーツの劣化や排水口のチェックを行いましょう。
フロントガラス・リアガラスの部品やシーリング剤の劣化
フロントガラスやリアガラスから雨漏りが発生している場合、下記のような周辺パーツやシーリング剤が劣化している可能性があります。
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ウィンドウモール・ウェザーストリップ:ゴムや樹脂製のパーツで、外部からの水や風の浸入を防ぐ役割がある
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シーリング剤(接着剤):ガラスとボディとの間に使われている特殊な接着剤で、気密性を確保する役割がある
いずれも消耗品のため、長く乗っていると硬化やひび割れが生じやすくなります。劣化している場合はパーツを交換したり、新しいシーリング剤を塗布したりして、早急に対処しましょう。
トランク(荷室)内への浸水
トランク内への浸水もよくあるトラブルです。長年の使用や衝突事故などでトランクに歪みができてうまく閉まらないケースと、周辺パーツの劣化ですき間ができているケースが考えられます。
トランクの開閉に難があると、わずかなすき間から雨水が浸入してしまいます。とくにトランクの使用頻度が高い場合、度重なる開閉でゴムパッキンが摩耗しているかもしれません。
ドアやサンルーフのウェザーストリップ同様、ゴム系のパーツは消耗品です。どれほど丁寧に乗っていても経年劣化は避けられないため、定期的な点検とパーツ交換を心がけるようにしてください。
フロア下・車体下部からの侵入
アンダーパネルや周辺パーツの破損・腐食により、車体下部から雨水が浸入することもあります。
車内のマットが湿っているものの、サンルーフやドアからの雨漏りではない場合、車体下部のどこかが破損しているかもしれません。浸水を放置すれば金属部品のサビが進行し、いずれ周辺パーツの腐食に拡大するため、損傷がさらに酷くなることが予想されます。
フロア下や車体下部の浸水については、専門業者に確認してもらい、早急に対処するようにしてください。
アンテナやルーフモール部分の隙間
クルマ上部についているアンテナやルーフモールといったパーツにすき間ができ、雨漏りにつながることもあります。
アンテナもルーフモールも、取付部分に使用されているモールやシーリング剤の経年劣化によってすき間が生じます。とくに、屋根のない屋外駐車場にクルマを停めている場合、紫外線によって各種パーツの劣化が進みやすくなるため注意しましょう。
屋根なし駐車場や日差しが強い場所にクルマを停めている人には、日よけカバーがおすすめです。手間はかかるものの、紫外線や雨風から各パーツの劣化を少しでも抑えたい場合は、検討してみてください。
エアコン排水口の詰まりによる車内水漏れ
雨漏りではないケースですが、エアコン排水口の水漏れもよくあるトラブルです。
クルマのエアコンを使うと、冷却の過程で多くの結露が発生するため、排水口(ドレンホース)を通じて車外に水を排出する仕組みが作られています。しかし、埃や砂などが蓄積して排水口が詰まると、水が逆流してしまい、車内に漏れ出てしまうことがあるのです。
また、排水口のホース自体が劣化してひび割れが生じ、その箇所から水が漏れ出てしまうトラブルもあります。
エアコンの使用頻度が高くなる季節は水の排出量が増えます。排水口の詰まりやホースの劣化チェックを欠かさず行い、こうしたエアコントラブルを防ぐようにしましょう。
まとめ
クルマのドアから雨漏りする原因は、ゴムパッキン(ウェザーストリップ)の劣化やドアのズレ、排水口の詰まりなどがあります。いずれもパーツの経年劣化や長年の汚れの蓄積などに起因しており、誰にでも起こりうるトラブルです。
放置すればカビや悪臭の発生、サビの進行による腐食、電子系統の故障や誤作動など、深刻な二次被害につながりかねません。
雨漏りの可能性を感じたら、早急にディーラーや整備工場などに相談し、大切な愛車を長く維持するために対処しましょう。
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