クルマの廃車手続きをする際は、車体から取り外したナンバープレートを返却する必要があります。
しかし、盗難や事故、災害などの事情があればナンバープレートがなくても廃車手続きをすることが可能です。
この記事では、25年以上にわたって旧車・クラシックカーを15,000台以上買い取り、車輌登録や各種行政手続きに精通した旧車王が、ナンバープレートのない場合の廃車手続きの流れや必要書類などについて詳しく解説します。
ナンバープレートがなくても廃車できる
廃車とは、クルマの登録情報を抹消して公道を走行できない状態にする手続きのことです。
廃車手続きの際には所定の申請書類を提出するとともに、車輌の前後に付いている2枚のナンバープレートを返却する必要があります。
これは、盗難車にナンバープレートが取り付けられるなどの不正利用を防ぐためです。
ただし、紛失や盗難、災害など正当な理由でナンバープレートが手元にない場合は、その事情を説明・証明する書類を添付することで廃車手続きができます。
ナンバープレート紛失時に必要な書類
ナンバープレートがないクルマを廃車にするためには「理由書(軽自動車の場合は車両番号標未処分理由書)」や罹災証明書が必要です。以下で詳しく解説します。
盗難された場合
ナンバープレートが盗難された場合は、廃車手続きの前に最寄りの警察署か交番へ「盗難届」を提出しましょう。
廃車手続きの際に必要な理由書を作成するには「受理番号」「届出警察署名」「届出年月日」という3つの情報が必要です。これらの情報は、盗難届を提出したあとに警察から交付される「受理票」に記載されています。
災害で紛失した場合
台風による洪水や地震といった自然災害によってクルマが流されたり、ナンバープレートが破損・紛失したりした場合は「罹災証明書(りさいしょうめいしょ)」を取得します。
罹災証明書は、お住まいの市区町村役場や消防署で発行してもらえる公的な書類です。
通常の申請書類とあわせて罹災証明書を提出することで、災害によりナンバープレートがなくなったクルマの廃車手続きができます。
その他の紛失の場合
「走行中にどこかで落としてしまった」「事故の衝撃で外れて見つからなくなった」などの理由でナンバープレートを返却できない場合は、警察へ「遺失届」を提出します。
遺失届を提出した場合も受理票が交付され、理由書の記載に必要な「受理番号」「届出警察署名」「届出年月日」の3つの情報を取得できます。
ナンバープレート無し車を廃車にする手順
ナンバープレートがないクルマを先に解体してから廃車にする場合、普通自動車は「永久抹消登録」、軽自動車は「解体返納」という手続きをします。
以下では、ナンバープレートがないクルマを廃車にする手順について詳しく解説します。
必要書類をそろえる
まずは廃車手続きに必要な書類をすべてそろえましょう。普通自動車と軽自動車を廃車にする際の主な必要書類は以下のとおりです。
普通自動車 (永久抹消登録) |
軽自動車 (解体返納) |
|
自動車検査証(車検証) |
〇 |
〇 |
所有者の印鑑登録証明書 (発行日から3ヶ月以内のもの) |
〇 |
× |
所有者の実印 |
〇 |
× |
所有者の認印 |
× |
〇 |
受理票または罹災証明書 |
〇 |
〇 |
使用済自動車引取証明書 |
〇 |
〇 |
普通自動車の場合は、所有者の「実印」「発行後3ヶ月以内の印鑑証明書」が必要です。
一方、軽自動車の場合は「認印」で手続きができ、印鑑証明書の取得もいりません。
また、クルマの所有者本人ではない人が手続きをする場合、普通自動車は「委任状」、軽自動車は「申請依頼書」という書類が必要です。
運輸支局または軽自動車検査協会へ行く
必要書類がすべてそろったら、以下の窓口で手続きをします。
-
普通自動車:運輸支局または自動車検査登録事務所
-
軽自動車:軽自動車検査協会の事務所・支所・分室
手続き先は、車検証に記載されている「使用の本拠の位置」の住所を管轄する運輸支局や軽自動車検査協会などです。
手続きの前に、インターネットで管轄の窓口を検索するとよいでしょう。
理由書・申請書・納付書を記入する
運輸支局や軽自動車検査協会の窓口に到着したら、備え付けられている以下の書類を記入します。
理由書(軽自動車の場合は車両番号標未処分理由書)は、受理票に記載される内容をもとに作成します。
永久抹消登録申請書と解体届出書には、クルマの解体作業が完了した際に業者から報告される「解体報告がなされた年月日」と「移動報告番号」の記載が必要です。これは、解体業者から発行される使用済自動車引取証明書に記載されています。
普通自動車の永久抹消登録では「手数料納付書」を記入しますが、手数料は原則無料であるため、印紙を貼る必要はありません。
窓口に提出して手続き完了
書類の記入が終わったら、準備してきた書類と合わせて窓口に提出します。書類に不備がなければ申請が受理され、廃車を証明する以下の公的な書類が交付されます。
-
普通自動車:登録事項等証明書
-
軽自動車:検査記録事項等証明書
交付された証明書類は自賠責保険料の解約や任意保険の中断などで必要になるため、紛失しないよう大切に保管しておきましょう。
自動車税(種別割)・自動車重量税の還付
運輸支局や軽自動車検査協会で廃車手続きをすると、自動車税(種別割)や自動車重量税の還付を受けられる場合があります。
自動車税(種別割)は、毎年4月1日時点でクルマを所有している人に課される地方税です。
普通自動車の永久抹消登録をすると、残りの期間分に応じた以下の税額が還付されます。
ただし、軽自動車の場合、自動車税(種別割)の還付はありません。
自動車重量税は、クルマの重量、種別、用途などに応じて課せられる税金です。永久抹消登録や解体返納を行い、かつ残りの車検期間が1ヶ月以上ある場合、残存期間に応じた自動車重量税が還付されます。
自動車重量税の還付を受けるためには、永久抹消登録申請書または解体届出書に必要事項を記入します。また、個人番号(マイナンバー)の記入と、本人確認書類(マイナンバーカード・個人番号通知カード+運転免許証など)の提示または写しの添付が必要です。
ナンバープレート無し車の廃車で注意すべきこと
ナンバープレートがないクルマの廃車手続きを進める際には、以下の点に注意しましょう。
ナンバー無しでの走行は道路運送車両法違反
ナンバープレートを装着していないクルマで公道を走ることは、道路運送車両法に違反します。もし違反した場合、違反点数2点が加算されるだけでなく、50万円以下の罰金が科される可能性があります。
解体工場まで少しの距離であっても、ナンバープレートがないクルマを運転するのは避けましょう。
やむをえずクルマを移動させる場合は、レッカーサービスの利用や仮ナンバーの取得をおすすめします。
月末・年度末は運輸支局が混雑するので避ける
廃車手続きをスムーズに進めるためには、運輸支局や軽自動車検査協会が混雑する月末や年度末(3月)、9月末を避けるとよいでしょう。
自動車販売店の決算期や、就職・転勤などにより、車検や登録手続きなどをする人が増えるため、手続きが終わるまでに数時間待たされる可能性もあります。
書類不備は当日完了できない恐れがある
提出書類が不足していたり、記入内容に誤りがあったりすると、申請当日に廃車手続きが完了しない恐れがあります。不備の例は以下のとおりです。
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・自動車検査証(車検証)の有効期限が切れている
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・印鑑証明書の有効期限(発行後3ヶ月以内)が切れている
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・委任状への実印の押印漏れ
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・盗難届や遺失届の受理番号がわからない
また、車検証の「所有者」欄がディーラーやローン会社などになっている場合、先にローンを完済して所有権留保の解除手続きをした後でないと廃車にはできません。
クルマを廃車にする際は、運輸支局や軽自動車検査協会のWebサイトで必要書類や記入時の注意点についてよく確認することが大切です。不明点や疑問点がある場合は、電話で確認しておくのもよいでしょう。
面倒な手続きは買取業者に任せられる
ナンバープレートがないクルマの廃車手続きは通常よりも複雑です。そこで、買取業者にクルマを売却して廃車手続きを代行してもらうのも1つの方法です。以下で詳しく解説します。
業者に任せれば書類代行やレッカーも無料
買取業者の多くは、廃車手続きの書類の作成や提出の代行手数料を無料としています。買取業者によっては、ナンバープレートが付いておらず、そのままでは動かせないクルマを移動させるためのレッカー費用もかかりません。
買取業者に任せることで、平日に休みを取って運輸支局や軽自動車検査協会に行く手間や時間を省けるだけでなく、レッカー移動にかかるコストも削減できます。
事故車・災害車でも引き取り可能
「事故で大破してしまった」「洪水による水没でエンジンがかからない」など、一見すると価値がなさそうなクルマでも買取業者は引き取ってくれる可能性があります。
買取業者の多くは、まったく動かないクルマや損傷箇所があるクルマなどでも、以下のようなさまざまな方法で収益化できるためです。
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自社工場や提携工場で修理して国内で再販売する・海外へ輸出する
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エンジン、ドア、シートなどまだ使用できる部品を取り出して販売する
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鉄やアルミニウムなどの金属資源をリサイクル市場で販売する
買取業者にクルマを売却すると、解体費用を自己負担せずに済むだけでなく、売却代金を受け取れる可能性もあるため、スクラップにする前に査定を依頼してみるとよいでしょう。
還付金の手続きも代行してくれる業者が多い
買取業者に廃車の手続きを依頼した場合でも、要件を満たしていれば自動車税(種別割)や自動車重量税の還付は受けられるケースがほとんどです。
買取業者によっては、買取金額に還付金額を含めて支払ってくれることもあります。
ただし、買取業者によって還付金の取り扱いは異なります。契約を結ぶ際は、還付金の有無や返還方法などをよく確認することが大切です。
まとめ
盗難や紛失が理由でナンバープレートがないクルマを廃車にする場合は、盗難届や遺失届を警察に提出しましょう。警察から受理票を受け取り、理由書(軽自動車の場合は車両番号標未処分理由書)」を作成することでクルマを廃車にできます。
地震や津波などが理由でナンバープレートや車輌本体がない場合は、市区町村役場や消防署で罹災証明書を取得すると廃車手続きができます。
ただし、ナンバープレートがないクルマの廃車手続きには複雑な部分があり、普通自動車と軽自動車では必要書類や申請窓口などが異なるため、買取業者に任せることも検討するとよいでしょう。
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