ホンダ・S800の歴史を改めて紐解く!ヨタハチとの違いや後期モデルについても詳しく解説

目次
1.S800の成功とライバルヨタハチとの違い 2.商業的にも成功したS800 3.現代的な装備が成功につながったS800

直列4気筒水冷DOHCエンジンを武器に、レースでも商業的にも成功をおさめたホンダ S800。一方で、ライバル車だったトヨタ スポーツ800の登場が華々しかったこともあり、一部では「ヨタハチのほうが速い」と誤解されています。

それでは、レースでの実際の戦績はどうだったのでしょうか。本記事ではS800の特徴やヨタハチとの違いを詳しく解説します。

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S800の成功とライバルヨタハチとの違い

ホンダ S800

S800は、同クラスのトヨタ スポーツ800と常に比較される存在でした。同じ時代に販売された同排気量、同コンセプトの2台ですが、実はまったく異なる構造で開発されています。

S800とヨタハチの違い、レースでの実力を詳しくみていきましょう。

S600の成功を受けて登場したS800

S600が好調な販売を続けていた1965年秋。東京モーターショーで、排気量を791ccに拡大したS800が発表されました。直列4気筒DOHCエンジンは、最高出力70ps、最大トルク6.7kgmを発揮し、パワー不足感が否めなかったS600の弱点を克服しました。

一方で、車重はS600と同じ720kgに抑えられ、最高速度160km/h、0-400m加速16.9秒という本格スポーツカーという名にふさわしい性能を実現しています。

ヨタハチと大きく異なる車体構造

S800と比較されるのが、同車格だったトヨタ スポーツ800です。「ヨタハチ」という通称に対して、S800は「エスハチ」と呼ばれました。ほぼ同時代に開発されたスポーツモデルという点で両車は共通していますが、まったく異なる車体構造で開発されています。

非力なエンジンながら軽量なモノコックボディで軽快な走りを求めたヨタハチに対して、S800は専用シャシーにボディを架装するというオーソドックスな構造でした。一方で、ヨタハチの45psに対して70psという圧倒的なエンジン性能を誇り、ホンダがスポーツカーとして絶対的な性能を追い求めていたことがわかります。

レースで見せつけたヨタハチとの実力差

S800がレースデビューをすると、またたく間にライバルのヨタハチとの大きな実力差を見せつけました。ヨタハチとS800のライバル関係は有名ですが、軽量なヨタハチのほうが速いイメージをもっている人のほうが多いでしょう。しかし、実はこのイメージは、第1回自動車クラブ選手権で浮谷東次郎のヨタハチに生沢徹のホンダ S600が惨敗したことから作り上げられました。

後継のS800はデビュー当初こそ先行するヨタハチにリードを許したものの、高いポテンシャルを背景に登場からわずか1年でGT-Ⅰクラスの主導権を握る存在になります。デビュー翌年の1967年の5月に行なわれた第4回日本グランプリ自動車レース大会では、リザルトボードをS800が独占しました。

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商業的にも成功したS800

ホンダ S800M

レースで結果を残す一方で、S800は商業的にも成功をおさめました。最大の理由は、発売後も販売マーケットを考えて進化を続けたことです。

最終型S800Mへの進化とともに、ヨタハチに大きな差をつけた販売台数について振り返ってみましょう。

マーケットに合わせて進化し続けた

1966年1月に登場したS800は、4月に早くもマイナーチェンジを果たします。主な変更ポイントはリアの足回りで、一般的な5リンク・コイルのリジッドアクスルに改められました。独自のチェーンドライブ機構がS600から続く特徴だったものの、欧米諸国で歓迎されなかったためです。結果的に、発進時のトルクでリアが持ち上がる挙動も解消されました。

さらに、アメリカの安全基準への対応で、1968年5月に最後のマイナーチェンジを行います。S800Mと名称を改めた最終型では、四隅に大型のリフレクターを装着、フロントにディスクブレーキを採用といった安全装備のアップデートが実施されました。また、145SR13インチのラジアルタイヤを標準装備し、性能面の向上も図られています。

総販売台数もヨタハチに大きく差をつけた

S800の総生産台数は、1970年の生産終了までの5年間で1万1,406台にものぼりました。わずか3,512台のトヨタ スポーツ800に、レースだけでなく販売台数でも圧勝したということです。

1960年代後半という、国内では自動車が普及し始めたばかりの時代背景を考えると、なお驚異的な数字といえるでしょう。1,000cc未満のライトウェイトスポーツという特殊なジャンルながら、1万台以上の販売台数を記録したことはS800が絶大の支持を集めていた証です。

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現代的な装備が成功につながったS800

ホンダ S800M エンジン

水冷DOHCという極めて現代的なエンジンの発揮する、絶対的な性能がS800の大きな武器です。軽量なモノコック構造でレース界を席巻していたヨタハチに対して、エンジンパワーで真っ向勝負を挑んだS800は勝利を掴みました。

また、大型のリフレクターやラジアルタイヤ、ディスクブレーキの採用といった現代的な安全装備によって商業的な成功も手にした点もS800を振り返るうえで欠かせないポイントです。S600によって世界に存在感を示したホンダは、S800の成功で自動車メーカーとしての地位を確かなものにしたといえます。次はどんなクルマで世界を驚かせてくれるのか、今後もホンダの挑戦に期待したいものです。

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