キャブ車における必要なメンテナンスとは?行わない場合に起こり得るトラブルも解説

目次
1.キャブ車とは 2.キャブレターの仕組み 3.キャブ車のメンテナンス方法 4.キャブ車のメンテナンスを怠るとどうなる?

キャブ車をお持ちの方でメンテナンスについてお悩みではありませんか? 構造を理解したい、整備にはどのような知識が必要なのか学びたいという方もいることでしょう。
キャブ車における必要なメンテナンスについて、今回はキャブレターにフォーカスして解説します。キャブ車を所有されている方やキャブ車のメンテナンスを考えている方は、ぜひ参考にしてください。

キャブ車とは

キャブ車とは、キャブレターと呼ばれる燃料気化器を搭載したガソリン・エンジン自動車のことです。
まずは基本となるダウンドラフト・タイプの作動と構造の仕組みを解説します。

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キャブレターの仕組み

キャブレターとは、空気を吸入した際にベンチュリーと呼ばれる絞り部分を通過する時に発生する吸入負圧を利用して液体の燃料を霧状にする装置です。エンジンの運転状態において空燃比を自動調整する機構を備えています。

キャブレターは「フロート系統」、「メイン燃料系統」、「スロー燃料系統」、「始動系統」の大きく分けて4つの部品で構成されています。

フロート系統はフロートの浮力とニードルバルブの働きによってキャブレター本体に供給される燃料の過不足をなくし、一定の燃料を送る重要な系統です。燃料ポンプより送られてきたガソリンはニードル・バルブを通り、フロート室に入ります。

メイン燃料系統はフロート室から送られた燃料はメイン・ジェットにより計量され、メイン・エアブリードと呼ばれる空気と燃料を気泡状に混合させてメイン・ノズルに供給されます。

スロー燃料系統はエンジンの回転が低いとき(スロットル・バルブの開きが少ないとき)には、空気の流速が遅いため、スロー・ジェットで燃料を計量します。計量された燃料はスロー・エア・ブリードにより導かれた空気と混ざり合い、スロットル・バルブ近くのパイパス・ホールとアイドル・ホールから放出されます。

始動系統はエンジンが冷え切っているときには、燃料の気化が悪いため通常より濃い混合気が必要です。濃い混合気を作り出すためには負圧が必要なため、機械的に吸入口を閉じて内部の負圧を高めます。この機構をチョークと呼びます。運転席でチョーク・レバーを引くとリンクを通じてチョーク・バルブと呼ばれる蓋が吸入口を閉じます。始動に必要な空気はチョーク・バルブに備えられたポペット弁と呼ばれる小さな弁があり、クランキング時の負圧によって開き、必要量の空気が入ります。

キャブ車のメンテナンス方法

キャブレターの基本的なメンテナンス方法を解説します。

まずは、フロート室にある油面の点検です。油面の点検にはエンジンに合うレベル・ゲージが必要です。

(1)車を平坦な場所に停め、エンジンごとに決められたレベル・ゲージを取り付ける
(2)エンジンを始動し、アイドリング運転をしたのち、エンジンを止める
(3)レベル・ゲージを目視し、表面張力によらない油面の測定を行う

このときの値がエンジンごとに決められた数値の範囲内であれば問題ありません。もし油面が高い場合はニードル・バルブを、油面が低い場合はフロートを交換します。オーバー・フローするときは、ニードル・バルブをガソリンで洗浄しましょう。

キャブレターの各系統のジェットは取り外して清掃できます。各ジェットの孔は、細心の注意をはらって加工されているため、孔の径が変わると適切な燃料の計量が行われなくなるので、清掃時に針金類は使用しないでください。清掃の際は、きれいなガソリンで洗浄し、エア・ブローで行います。

基本的な調整方法は、アイドル・アジャスティング・スクリューとスロットル・アジャスティング・スクリューで行います。エンジンを暖気運転後に行いましょう。
CO(一酸化炭素)HC(炭化水素)のテスターを用いて各車両のサービス・データを参照しながらCOとHC濃度を確認します。COとHCが基準外のときはアイドル調整を行います。

インテーク・マニホールドにバキューム・ゲージを取り付けます。これは燃焼が安定しているかを見るために必要なゲージです。良い燃焼になっていると真空度の指針も安定します。指針が安定している所で、CO・HCテスターを見ながら調整します。スロットル・アジャスティング・スクリューは空気の量を調整できます。アイドル・アジャスティング・スクリューは燃料の量を調整できます。

車両のサービス・データの基準値を元にCOとHCの濃度を調整します。エンジンの回転フィーリングと排気ガスのバランスが大事です。調整の難しい所は、空気の供給量が少ないとCOの数値が高くなります。酸素の供給量が減るとエンジン内部で不完全燃焼が起こるからです。燃料が薄くても濃すぎてもHCの濃度が高くなります。薄いと燃焼に必要な濃度に達しないため、エンジンの燃焼が不安定になり未燃焼ガスが放出されるため濃度が高くなります。一方、燃料が濃いと必要な酸素の量が足りないため、未燃焼ガスが発生し濃度が高くなります。どちらもスパークプラグがくすぶり、エンジンの回転フィーリングが非常に悪くなります。

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キャブ車のメンテナンスを怠るとどうなる?

冬季向けの調整と夏季向けの調整が必要です。冬季向けの調整をした状態で夏季を迎えると、外気に熱せられて膨張した空気が燃焼室内に入ります。空気が膨張すると体積当たりの酸素が不足となり、燃え残ったHCが排出されるので排出ガス規制に適合しません。

夏季向けの調整をした状態で冬季を迎えると、気化が悪くなり回転が落ちます。外気温が低くエンジンからの余熱が伝わりにくいため、燃料の中の水分が凍り付き、アイシングと呼ばれる現象に陥ります。燃料が気化供給されなくなるためエンジンが停止します。

あわせて自動チョークも夏季と冬季で調整が必要です。
夏季は早めにチョークを解放するように調整し、冬季は長めにチョークを解放するように調整が必要です。

キャブレターの調整時にはスパークプラグがくすぶるので、時々エンジンを30秒間ほど3000rpmでレーシングしてスパークプラグに着いたカーボンを落とす作業をしなければなりません。

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