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車の事故修理は保険と自費どちらが得?保険料・等級への影響を解説

目次
1.車両保険とは 2.車両保険の補償内容 3.車の修理に車両保険を使う場合の影響 4.車両保険を使うかどうかの判断のポイント 5.車の修理に保険を使う場合の流れ 6.まとめ

事故でクルマのボディがへこんだり傷がついたりなどしたときは、任意保険の補償の1つである「車両保険」を使って修理できる場合があります。

車両保険を使うと、修理費用の全額または一部が保険金で賄われるため、金銭的な負担を軽減できます。ただし、基本的に翌年の保険料は上がるため、車両保険を使うべきかどうかは慎重に判断することが大切です。

この記事では、25年以上にわたって旧車・クラシックカーを15,000台以上買い取りしてきた旧車王が、保険を使った修理の流れや、保険を使うべきかの判断基準、過失割合による費用の違いなどについて詳しく解説します。

【この記事でわかること】

・車両保険の補償内容

・車の修理に車両保険を使う場合の影響

・車両保険を使うかどうかの判断のポイント

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車両保険とは

車両保険とは、自身のクルマが交通事故や自然災害などで負った損害を補償する保険のことです。以下のようなケースで保険金が支払われます。

  • ・契約車両が他のクルマと衝突・接触した※1

  • ・契約車両が自転車や歩行者と衝突・接触した

  • ・契約車両が盗難された

  • ・契約車両がいたずら・落書きされた

  • ・契約車両が電柱やガードレールに衝突した

  • ・契約車両が台風や洪水の被害に遭った など

※1:原則として相手の車とその運転者または所有者が確認できる場合のみ

交通事故だけでなく、台風や洪水といった自然災害(地震・噴火・津波を除く)や火災、盗難、当て逃げなどによる損害も補償対象とすることが可能です。

任意保険の基本的な補償である対人賠償保険や対物賠償保険は、事故相手に与えた損害に対する補償であるのに対し、車両保険は自分のクルマへの補償である点が異なります。

クルマの損害が大きく修理が難しい場合は、受け取った保険金を買い替え費用に充てることもできます。

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車両保険の補償内容

車両保険の補償内容は、一般型(フルカバータイプ)とエコノミー型(限定タイプ)で異なります。各タイプの一般的な補償範囲は以下のとおりです。

 

一般型

限定型(エコノミー型)

他のクルマとの衝突・接触

火災・爆発

盗難

台風・洪水・高潮

落書き・いたずら・ガラス破損

飛び石など飛来物との衝突

自転車や動物との衝突・接触

電柱・ガードレール等との衝突(単独事故)

転覆・墜落

当て逃げ(相手が不明な場合)

地震・噴火・津波

※補償内容は保険会社によって異なる場合があります。

以下では、一般型とエコノミー型の補償範囲やどちらの場合でも補償対象外となるケースについて詳しく解説します。

一般型(フルカバータイプ)の補償範囲

一般型(フルカバータイプ)は、クルマに関するほとんどの事故による損害をカバーするタイプの車両保険です。

クルマ同士の衝突事故や自然災害、火災、盗難などによる損害だけでなく、単独事故や転覆・墜落、当て逃げ(相手が不明な場合)も補償されます。

補償範囲は広いですが、保険料はエコノミー型に比べて割高です。

エコノミー型(限定タイプ)の補償範囲

エコノミー型は、補償範囲を限定する代わりに保険料が抑えられた車両保険です。

一般型とは異なり、電柱や壁、ガードレールなどとの衝突事故や転覆・墜落、当て逃げなどは基本的に補償の対象にはなりません。保険会社によっては、自転車や動物などとの衝突・接触も補償対象外となります。

一方、エコノミー型でもクルマ同士の衝突・接触による交通事故、盗難、火災、自然災害、いたずらなどは補償の対象となるのが一般的です。

補償対象外となる主なケース

車両保険の種類や保険会社にかかわらず、以下のようなケースは基本的に補償対象外です。

  • ・地震・噴火、それらにともなう津波による損害

  • ・飲酒・無免許運転など違法行為による事故

  • ・故障(電気的、機械的故障)による損害

  • ・欠陥、自然消耗(摩滅・さび・腐しょく等)による損害

  • ・戦争、内乱、暴動などの社会的混乱による損害

  • ・レース・ラリーなどの競技・曲技に使用した際に負った損害

車両保険を付帯するときや保険金を請求するときは、補償対象外となるケースをよく確認することが大切です。

車の修理に車両保険を使う場合の影響

クルマを修理する際に車両保険を使うとノンフリート等級がダウンし、事故有係数も適用されて、任意保険の保険料が高くなる可能性があります。以下で詳しく解説します。

翌年のノンフリート等級が下がる

ノンフリート等級とは、契約者の事故歴に応じて決められる保険料の割引率の区分のことです。1〜20等級まであり、数字が大きいほど割引率が増加(1〜4等級は割増率が低下)し、保険料は安くなります。

任意保険を初めて契約する際は通常6等級から始まり、1年間保険を使わなければ翌年に1等級上がります。

一方、事故で任意保険を使うと等級が下がります。等級の下がり幅は以下のとおりです。

 

該当する事故の例

3等級ダウン事故

(翌年度の等級が3等級下がる事故)

・他のクルマとの衝突・接触

・電柱やガードレールへの衝突(自損事故)

・当て逃げ(相手不明)

1等級ダウン事故

(翌年度の等級が1等級下がる)

・クルマの盗難

・落書き、いたずらによる損傷

・飛び石による窓ガラスの破損

・台風、洪水、高潮などの自然災害

ノーカウント事故

(翌年度の等級に影響がない事故)

・人身傷害保険や搭乗者傷害保険のみの使用

・弁護士費用特約やロードサービスのみの使用

車両保険を使うと、基本的に翌年のノンフリート等級が3等級または1等級下がり、割引率が低くなる(または割増になる)ため、保険料負担は増加します。

事故有係数が適用される

事故有係数とは、事故で保険を使った契約者に適用される割引率・割増率のことです。

事故有係数が適用されると、事故がなかった人に比べて割引率が低下(または割増率が増加)するため、保険料が高くなります。

事故有係数が適用される期間(事故有係数適用期間)は、事故の種類に応じて決まります。

  • ・3等級ダウン事故:3年間

  • ・1等級ダウン事故:1年間

たとえば、クルマ同士の衝突事故により車両保険の保険金を請求する場合、3等級ダウン事故に該当するため、翌年に3等級下がり、以後3年間は事故有係数が適用されます。

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車両保険を使うかどうかの判断のポイント

交通事故や自然災害などでクルマの修理が必要になったときは、車両保険を使うべきか慎重に検討することが大切です。以下では、車両保険を使うべきか判断する際のポイントについて解説します。

修理費用と免責金額の比較

車両保険には、契約者自身が負担する金額である「免責金額」が設定されていることがあります。車両保険を使うべきか判断する際は、クルマの修理費用と免責金額を比較しましょう。

たとえば、車両保険の免責金額が10万円、クルマの修理費用が40万円かかった場合、自己負担額は10万円で、残りの30万円が保険金として支払われます。

一方、クルマの修理費用が5万円の場合、免責金額を下回っているため、車両保険の保険金は請求できません。修理費用が15万円であると、車両保険は使えるものの保険金の受取額はわずか5万円となります。

契約内容によっては、車両保険の免責金額が「1回目5万円、2回目以降10万円」のような増額方式である場合があります。事故によりクルマの修理が必要になったときは、車両保険の免責金額を確認し、修理費用とよく比較することが大切です。

等級ダウンと翌年以降の保険料への影響

車両保険を使って受け取れる保険金額と、保険金の請求により増加する保険料の合計金額を比較することも重要なポイントです。

たとえば、3等級ダウン事故を起こし、クルマの修理に合計5万円の費用がかかるとしましょう。

翌年のノンフリート等級が3等級下がり、事故有係数が3年間適用されることで保険料が合計10万円増える場合、増加分が修理費用を上回るため、車両保険は使わないほうがよいといえます。

車両保険の利用を検討するときは、保険金を請求した場合に増加する保険料を保険会社の担当者に試算してもらい、クルマの修理費用と比較することをおすすめします。

保険会社によっては、Webサイトやアプリで保険料を試算することも可能です。

過失割合による保険適用範囲の違い

相手がいる事故の場合「過失割合」によって保険金の支払金額が変わります。過失割合は、交通事故に対する当事者の責任の割合のことです。

一般的には、交通事故の当事者のそれぞれが自動車保険の契約を結んでいる保険会社の担当者同士が話し合いをして過失割合を決めます。

車両保険は、原則として「自身の過失分に応じた損害」を補償します。

たとえば、クルマの修理費用が50万円、車両保険の免責金額が5万円、過失割合が「自分20:相手80」であるとしましょう。

この場合、自身の車両保険でカバーされるのは「修理費用50万円×20%=10万円」です。残りの40万円は相手方から賠償金として支払われます。5万円の免責金額は賠償金で賄われるため、自己負担は発生しません。

相手がいる事故でクルマの修理が必要になったときは、自身の過失分に相当する修理費用がいくらなのかも確認し、車両保険を使うべきか検討しましょう。

車の修理に保険を使う場合の流れ

事故でクルマが損傷した際、保険を使って修理する場合の手順は以下のとおりです。

  1. ・負傷者の救護と警察への通報

  2. ・保険会社へ連絡

  3. ・整備工場の選定と見積もり依頼

  4. ・必要書類の提出と保険会社の審査

  5. ・保険金額の確定と支払い

以下では、クルマの修理に保険を使う際の一般的な手順を解説します。

1.負傷者の救護と警察への通報

事故が発生したときにもっとも優先すべきは負傷者の救護です。ケガ人がいる場合は、止血や人工呼吸、心臓マッサージなどの応急処置を行い、必要に応じて救急車を呼びましょう。

また、後続車が衝突するなどの二次災害を防ぐため、ハザードランプを点灯し、クルマを路肩など安全な場所へ移動させます。

ケガ人の救護や安全の確保と並行して必ず警察へ通報しましょう。自動車保険の保険金を請求する際、保険会社に提出する「交通事故証明書」を発行してもらうためには警察への届け出が必要です。

相手がいる場合は氏名や連絡先、加入している保険会社などの情報を交換しましょう。

2.保険会社へ連絡する

続いて、自身が契約している保険会社の事故受付窓口に連絡します。

多くの保険会社は、専用ダイヤルやWebサイト、スマートフォンアプリで、24時間365日対応が可能な事故受付の窓口を設けています。

連絡の際、保険会社に伝える項目は以下のとおりです。わかる範囲で正確に伝えましょう。

  • ・事故の日時、場所、事故の状況

  • ・自動車保険の証券番号、運転者の氏名、生年月日、連絡先

  • ・相手の氏名、住所、連絡先、クルマのナンバープレート、車種

  • ・クルマの破損状況 など

整備工場の選定と見積もり依頼

保険会社へ連絡した後は、損傷したクルマを整備工場へ持ち込み、修理費用の見積もりを依頼しましょう。クルマが自走できない場合は、保険会社やJAFのロードサービスを利用するなどして整備工場までレッカー移動しましょう。

クルマの修理は、懇意にしているディーラーや整備工場などに依頼して問題ありません。保険会社に指定工場や提携する工場を紹介してもらう方法もあります。

見積書を受け取ったら、修理費用や修理箇所、作業内容などを確認し、保険を使った場合の保険料の増加分を試算して、車両保険を使うべきか検討しましょう。

必要書類の提出と保険会社の審査

車両保険を使う場合は、必要書類を準備して保険会社に提出します。必要書類は保険会社によって異なりますが、一般的には以下のとおりです。

  • ・保険金請求書

  • ・印鑑証明書

  • ・修理費用の見積書

  • ・交通事故証明書

  • ・事故車輌の写真 など

提出が不要となる場合や保険会社が代わりに書類を取得する場合があるため、事前によく確認しましょう。

必要書類を提出すると保険会社による損害調査が始まり、クルマの損害状況や事故との整合性などが確認され、保険金の支払額が算出されます。相手がいる事故の場合は、保険会社による示談交渉により決められた過失割合も考慮されます。

保険金額の確定と支払い

保険会社の調査が終了すると保険会社から保険金の支払額が提示されます。提示された金額に契約者が承諾すると保険金の支払額が確定し、整備工場でクルマの修理が始まります。

車両保険の保険金は、保険会社から整備工場へ直接支払われるのが一般的です。

クルマを修理しない場合、保険金を指定の口座に振り込んでもらうことも可能です。

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まとめ

車両保険に加入していると、クルマの修理費用や買い替え費用を保険金でカバーできます。

ただし、車両保険を使うと翌年のノンフリート等級が3等級または1等級下がり、事故有係数も適用されるため、保険料は高くなります。

そのため、事故でクルマが損傷したときは修理費用の見積もりを取り、保険を使ったことによる保険料の増加分と比較することが大切です。保険金の受取額が保険料の増加分を下回る場合は、保険を使わず自費で修理するのも1つの方法です。

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