旧車と名車が甦るメディア

ターボが搭載されなかった新型GR86!ユーザーの不満を受けてでも徹底したいそのコンセプトとは?

目次
1.走る楽しさを継承した新型86 2.外見はよりたくましくなり空力性能もアップ 3.なぜ新型にはターボが搭載されなかったのか 4.まとめ

2021年4月5日、TGR(トヨタ・ガズー・レーシング)のグローバルモデル第二弾として、大々的に公開された「GR86」。ユーザーが待ち望んでいた新型の86でしたが、エンジンは従来通りの自然吸気となり、先代から要望の多かったターボの搭載は見送られました。

ユーザーの要望を蹴ってでも、あえて自然吸気を選んだトヨタのこだわりとは一体!?

reasons_to_choose_qshaoh

contact_button

reasons_to_choose_qshaoh

contact_button

走る楽しさを継承した新型86

「直感ハンドリングFR」として業界を賑わせた先代86のコンセプトを引き継ぎ、「スポーツ性能に特化した、さらなる高い次元でのダイレクトで気持ちのいい走り」を目指したGR86。新型でも水平対向エンジンの低重心はそのままに、排気量は2.4Lにアップされました。

ボディサイズは全長4,265mm×全幅1,775mm×全高1,310mmと、先代の全長4,240mm×全幅1,775mm×全高1,320mmと比べ、全幅は変わらずに全長は25mm延長し、全高は10mmダウンしています。

86の買取専門ページはこちら

旧車王バナー旧車王バナー

外見はよりたくましくなり空力性能もアップ

エクステリアは全体的に先代のスポーティな姿から、膨らみをもったマッシブな印象へと変化。
フロントフェイスはGRカーシリーズではおなじみの「ファンクショナルマトリックスグリル」を採用し、先代よりも開口の広いグリルがダイナミックさをより強調しています。

そして、新たに追加されたフロントフェンダーのエアーアウトレットは、タイヤハウス内で起こる空気の乱流を防ぎ、走行安定性を向上。リアスポイラーレスのトランクリッドはダックテール形状に変更され、印象を変えたとともに効率の良いダウンフォースを得ることができます。

剛性を上げたフレームとアルミ材で軽量化を図ったボディ

GR86のプラットフォームは先代から変わりませんが、スバルの技術を取り入れたスポット溶接や、フレームの組み立て方法を変更したことで、フロント曲げ剛性は60%、ねじり剛性は50%向上しています。

フレームの剛性はアップしつつも、ボンネットやフロントフェンダー、ルーフに至ってはアルミ素材を使用し、車両重量は約40kg増の1,270kgに抑えています。

スポーティな雰囲気を高めつつも、快適性を増したインテリア

スピードメーターは先代のアナログ仕様から7インチTFT液晶ディスプレイに変更し、始動時はGR86のロゴのオープニングアニメーションを表示。インパネ上部はドライバーの広い視野を確保するために、水平なデザインに変更されました。

ホールド性が増したシートは、長距離ドライブでも疲れにくくなった本革とウルトラスエードのコンビシート、左右独立調整式のオートエアコンなど、インテリアの先進性と快適性は先代よりも向上しています。

86の買取専門ページはこちら

なぜ新型にはターボが搭載されなかったのか

先代86ではパワーへの不満が多く、ターボ化の要望は尽きることはありませんでした。しかし、GR86は先代の2.0Lから2.4Lまで排気量を上げた水平対向型の自然吸気エンジンを採用し、あくまでターボは搭載しない姿勢を貫きます。

その理由は複数あり、そもそも86は速さだけを求める車ではなく、高回転まで回して性能を限界まで引き出す車であること。そして今回の「ダイレクトで気持ちのいい走り」というGR86のコンセプトにもヒントがあります。

エンジンストロークは変えずにボアのみを拡大

GR86は昨今のエンジンとしては珍しく、排気量アップにはボアアップのみを施し、ストロークは従来のままとしました。ボアを86.0mmから94.0mmへ拡大し、86.0mmのストロークはそのままとすることで排気量は2.4Lにアップ。ストロークを伸延することなく、ボアの拡大のみとたことで、NAエンジンの気持ち良い吹け上りはそのまま継承されました。

NAの素直な挙動を徹底的に追い求めた

排気量を2.4Lまで上げたことにより、最高出力は235psにアップ。0-100km加速は、先代の7.4秒から6.3秒まで短縮されました。さらに最大トルクは212Nmから250Nmアップし、発生回転数も3,700回転まで落とされています。つまり、「低回転がモッサリしている」という先代86の弱点を、排気量アップと発生回転数をダウンすることで、よりトルクフルで扱いエンジンになったということです。
走行の気持ちよさを最優先したGR86は、先代の課題となっていたパワー不足も補ったことで、もはやターボは無用の長物になってしまったと言えるのかもしれません。

ターボは構造的にも向いていない

もうひとつ、GR86の構造的にターボの装着が難しいという点もあります。前後重量配分を限界まで突き詰めたGR86のプラットフォームには、バランスを維持したままタービンを装着できるスペースがありません。また、極限まで軽量化を施しているため、その大パワーを受け止めるには耐久性の面でもいささか不安があります。

ターボを装着するための剛性強化や構造の変更を行ったとしても、それに伴う重量増はハイパワー志向ではないGR86のコンセプトに反するのです。

86の買取専門ページはこちら

旧車王バナー旧車王バナー

まとめ

2021年夏に発売のBRZに対し、セッティング期間も含め、2021年秋ごろに予定しているGR86ですが、今後も通常モデルにターボが装着される可能性は低いでしょう。ハイパワーを求めるのならば、サーキットやドリフト仕様のタービンキットが各チューニングメーカーから発売される可能性が高いので、そちらに期待することになりそうです。

直感的に操れる低重心で軽量コンパクトというコンセプトを貫き、ターボに頼らない道を選んだ新型GR86。先代86だけでなくAE86にも通ずるこの素直で軽快なドライビングこそ、新型GR86の持つ最大の特徴であり魅力と言えるでしょう。

[ライター/増田真吾]

旧車の買取なら「旧車王」におまかせ!

長い時間を共にした愛車だからこそ、売却先にもこだわりたいという方は多いのではないでしょうか。
旧車王は、旧車に特化して20年以上買取を続けております。旧車に関する実績と知識なら、どこに負けない自信があります。また、ご契約後の買取額の減額や不当なキャンセル料を請求する「二重査定」も一切ございません。誠実にお客さまのクルマと向き合い、適正に査定いたします。
全国どこでも無料で出張査定にうかがいますので、大事な愛車の売却先にお悩みの方はぜひ「旧車王」にご相談ください。

画像1 画像2
画像ギャラリー(全2枚)を見る
この記事に誤りや気になる点がありましたら、お手数ですが、こちらのフォームからお知らせください。ご協力ありがとうございます。

この記事をシェアする

旧車王マガジンは
旧車王
が運営しています

旧車王は、「買取は10年以上の旧車だけ」というコンセプトのもと、旧車・クラシックカーに特化して25年、 累積15,000台以上を買取させていただいております。改造車から希少車まで、適正価格を見極めて買取させていただきます。弊社所属の鑑定士が最短当日で全国無料出張査定いたします。ご契約後の買取額の減額や不当なキャンセル料を請求する二重査定は一切ありません。特別なそして価値ある希少車の買取こそ、確かなノウハウと実績を持つ旧車王にお任せください!

すぐ査定依頼が可能!

Web査定申込はこちら

まずは車について気軽に相談したい

LINEで売却相談する

関連する記事

オーナーが“青春の一部”と語る愛車「1986年式トヨタ スプリンタートレノGT-V改」との出会い。そして別れを考える

オーナーが“青春の一部”と語る愛車「1986年式トヨタ スプリンタートレノGT-V改」との出会い。そして別れを考える

旧車の愛好家たち 2025.10.31
5つの理由で解説。最新モデルに魅力を感じない人って理解不能だけど・・・

5つの理由で解説。最新モデルに魅力を感じない人って理解不能だけど・・・

旧車の魅力と知識 2025.06.27
トヨタ AE86は単なるドリフト車ではない?! クルマとしての高い実力を再評価

トヨタ AE86は単なるドリフト車ではない?! クルマとしての高い実力を再評価

旧車の魅力と知識 2024.10.23
86の維持費は高い?内訳や年間支払額の目安を解説

86の維持費は高い?内訳や年間支払額の目安を解説

旧車の再生と維持 2024.09.27
トヨタ 86の開発ストーリーに迫る! 可能性を探るべく製作された1台の試作車が実現のきっかけだった

トヨタ 86の開発ストーリーに迫る! 可能性を探るべく製作された1台の試作車が実現のきっかけだった

旧車の魅力と知識 2024.09.24
トヨタ86のリセールバリューはなぜ高いのか?理由や売却のポイントを解説

トヨタ86のリセールバリューはなぜ高いのか?理由や売却のポイントを解説

旧車の売買と鑑定市場 2024.06.28
30年近い苦悩の果てに「適度な緩さがあった方が愛車とは長く付き合えるんじゃないか」と気づいた話

30年近い苦悩の果てに「適度な緩さがあった方が愛車とは長く付き合えるんじゃないか」と気づいた話

旧車の魅力と知識 2024.06.01
トヨタの名機4A-Gエンジンの魅力とは? 今もなお人気を集める理由に迫る

トヨタの名機4A-Gエンジンの魅力とは? 今もなお人気を集める理由に迫る

旧車の魅力と知識 2024.01.24

記事ランキング

1
マイナ免許証に変わって感じるデメリットとは?従来にはないメリットも

マイナ免許証に変わって感じるデメリットとは?従来にはないメリットも

旧車の魅力と知識 2025.03.25
2
MT車(マニュアル車)の運転方法とは?発進・停止・ギアチェンジ・坂道発進のコツを解説

MT車(マニュアル車)の運転方法とは?発進・停止・ギアチェンジ・坂道発進のコツを解説

旧車の魅力と知識 2024.04.19
3
固着したネジでも諦めないで!回らないネジの緩め方アラカルト

固着したネジでも諦めないで!回らないネジの緩め方アラカルト

旧車の再生と維持 2023.09.12
4
車のアンダーカバーが壊れた!修理費用はどのくらい?

車のアンダーカバーが壊れた!修理費用はどのくらい?

旧車の再生と維持 2023.10.18
5
クルマの名義変更の費用はいくら?自分で手続きする場合&代行料も解説

クルマの名義変更の費用はいくら?自分で手続きする場合&代行料も解説

旧車の魅力と知識 2022.09.12
6
車庫証明は本人じゃなくても取得できる!代理人による手続き方法を紹介

車庫証明は本人じゃなくても取得できる!代理人による手続き方法を紹介

旧車の売買と鑑定市場 2023.03.31
7
【13年・18年経過】自動車税種別割・重量税の早見表|乗り換えた方がよい理由も紹介

【13年・18年経過】自動車税種別割・重量税の早見表|乗り換えた方がよい理由も紹介

旧車の売買と鑑定市場 2024.07.29
8
アメリカ「25年ルール」とは?名車の中古相場が急騰するしくみ

アメリカ「25年ルール」とは?名車の中古相場が急騰するしくみ

旧車の魅力と知識 2020.04.25

カテゴリ一覧

# 旧車の魅力と知識 # 旧車の売買と鑑定市場 # 旧車の再生と維持 # 旧車のイベント # 旧車の愛好家たち