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1990年代 名車&迷車 烈伝 Vol.06 マツダ「ボンゴフレンディ」

目次
1.■画期的な車中泊テント標準装備 2.■一世代限りで終わった「そんな時代」 3.■もしも、登場が3年早かったら・・・?

2023年の今、マツダ「ボンゴ」というと、トヨタからのOEMとなる商用車「ボンゴバン(タウンエース)」と「ボンゴブローニィバン(ハイエース)」となりますが、かつてはトヨタ「タウンエースワゴン」や日産「バネットラルゴ」などと同様の(どちらも絶版ネームですが)乗用タイプ1ボックスワゴンでした。

1983年に登場した3代目は、フォード「スペクトロン」としてオートラマ店も販売され、三菱「デリカスターワゴン」にも似た雰囲気のRVテイストで一定の人気を獲得。

しかし、1990年代に入ってもフルモデルチェンジは行われず、古さが目立ってきたものでした。

そんな中、1995年に突如として登場したのが、「ボンゴ フレンディ」です(フォード版「フリーダ」も同時に)。

▲ボンゴフレンディ シティランナーNAVIエディション(2002年)

完全なワンボックススタイルから、衝突安全性への対応のため短いボンネットがついたセミキャブオーバー(エンジンは運転席下のままだった)となり、昭和の面影が残るスタイルから平成時代のテイストへとチェンジ。

しかし、ボンゴ フレンディの真骨頂は、「屋根」にありました。

「オートフリートップ」です。

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■画期的な車中泊テント標準装備

「オートフリートップ」とは、いわゆるポップアップルーフのことで、車中泊などアウトドアユースを意識したもの。

他社にもこうしたルーフを持つモデルはありましたが、特装車扱いで、通常グレードの中にラインナップされたことが画期的でした。

▲ボンゴフレンディRFS Aero(2001年)

テレビCMや新聞広告でも、このオートフリートップが盛んにアピールされ(ここしかアピールされなかったともいう…?)、「ボンゴ フレンディ=屋根が開くワゴン」というイメージが定着。

乗用ワゴンとしては特殊な仕様ではあったものの、当時、流行っていたオートキャンプブームの波に乗って、多くの台数が売れました。

オートフリートップは電動でルーフがポップアップし、テントが出現。

車内が2階建てになるという仕組み。その広さは、大人2人の就寝スペースとして使えるほどでしたから、なかなかのものです。

▲オートフリートップ

▲RFS Aeroのインテリア

(全高以外は5ナンバーサイズだったけど)スクエアで立派に見るスタイリングも相まって、「家族思いの頼もしいお父さんのクルマ」というイメージが定着し、一定の成功を収めます。

以後、同様のルーフを標準ラインナップの中に持つモデルは、日本メーカーから出ていません。

そういう意味では、唯一無二の「名車」といえます。

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■一世代限りで終わった「そんな時代」

では、「迷車」の要素は? 

それは、わずか一世代で終わってしまったその存在感にあります。

たしかに、キャブオーバーからFFベースのミニバンへの過渡期にあったセミキャブオーバーというパッケージングは、やや中途半端な存在ではありました。

しかし、それは日産の初代「セレナ」だって同じ。

▲バネットセレナ(1991年)

でも、セレナはFFベースへとパッケージングを改め、“カジュアルなスタイルの5ナンバーミニバン”というキャラクターを変えることなく、生き続けました。

一方のボンゴ フレンディは2006年に生産を終了すると(意外やロングセラーでした)、フルモデルチェンジを行うことなくフェードアウト。

約2年のブランクを経て、マツダはFFベースのミニバンを「ビアンテ」として発売します(これも10年販売されフェードアウトした名車&迷車といえそうです)。

もちろん、オートフリートップの設定はありません。

▲ビアンテ(2008年)

ビアンテを“事実上の後継車”と見る向きもありますが、ボンゴ フレンディの要素はキレイサッパリなくなってしまったのです。

だからといって、マツダの判断が間違っていたとはいいません。

なぜなら、“そんな時代”だったから。

1990年代後半は、ホンダ「オデッセイ」や「ステップワゴン」がヒットし、日産が「エルグランド」で高級ミニバンというジャンルを開拓。

それと相関するように「ハイラックスサーフ」や「パジェロ」といったクロカン4駆の販売が下降し、RVブームが終焉を迎えます。

そして2000年代に入ると「ヴォクシー」や「アルファード」も登場し、3列シート車に求められるものが、1990年代とはまったく異なるものに変わっていくのです。

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■もしも、登場が3年早かったら・・・?

仮に2代目ボンゴ フレンディが2000年代半ばに登場していたところで、オートフリートップ車がたくさん売れる状況にはならなかったでしょう。

事実、ボンゴ フレンディは1999年にエアロパーツ装着グレードを追加し、販売の主力はエアロ仕様に移っていきました。

▲ボンゴフレンディ シティーランナーIV (2002年)

オートフリートップ標準装備のボンゴ フレンディが登場し、10年でモデルライフを終えたのは、まさに“そんな時代”だったからなのです。

ボンゴ フレンディというクルマそのもの、というよりも、惑う時代の中で生まれた結果、その存在感が迷車とさせた。そういったほうが正確かもしれません。

歴史に「もしも」はありませんが、ボンゴ フレンディの誕生が1995年ではなく、オデッセイ発売前夜で、パジェロが飛ぶように売れていた1992年だったら。

あるいはエスティマ誕生と同じ1990年だったら……。

もしかしたら、オートフリートップが爆発的に売れ、マツダやRV車の歴史を変えていたかもしれません。

そう考えると、名車と迷車は紙一重。

だから、こうして「名車&迷車」として書き記しておきたかったのです。

[画像:マツダ、日産自動車/ライター:木谷宗義]

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