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ランチア デルタHFはわずか半年で作られた?! WRCの時代を築いた名車を振り返る

目次
1.WRCのレギュレーション変更に合わせて登場したデルタHF 2.市販車としての完成度も高かった 3.ランチアが導き出したWRCグループAの最適解

WRCで今も破られていない金字塔、マニュファクチャラーズタイトル6連覇を成し遂げたランチア デルタHF 4WD。圧倒的な性能もさることながら、ブリスターフェンダーや上品な内装といったデザイン面も人気の理由です。

本記事では、レギュレーションの変更からわずか半年で完成させたといわれる、デルタHFについて詳しく紹介します。

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WRCのレギュレーション変更に合わせて登場したデルタHF

デルタHFは、WRCで勝つために開発されたクルマです。わずかな開発期間しかないなかで、ファミリーカーだったデルタをWRCで戦えるように仕上げました。

まずは、デルタHFの開発背景と、誕生に欠かせなかったアバルトの存在について紹介します。

開発決定からわずか半年で発表された新モデル

デルタHFは、開発の決定からわずか半年で発表されました。開発のきっかけは、WRCが安全上の理由から参加車輌の規定を変更したことです。グループBでは重大事故が多発していたため、1987年からWRCのトップカテゴリーが市販車ベースのグループA規定に変更されました。

1986年半ばに突如発表された規定変更に各メーカーが対応方法を模索するなか、ランチアはシーズン終了前にデルタHF 4WDを発表します。開発を早期に決定し、余裕をもって間に合わせたことが1987年以降の輝かしい成績につながったのかも知れません。

影に徹したアバルトの高い開発力

デルタ HF 4WDを短期間で発表できたのは、同じフィアット傘下だったアバルトの高い開発力があったからこそだといわれています。グループ内のラリーマシン制作を担っていたアバルトは、習得したWRC車制作ノウハウを活かしてごく短期間でデルタ HFを完成させました。

しかも、ちょっとした変更ではなく、レースで勝つための戦闘力を備えたマシンに生まれ変わらせています。もっとも大きな変更点は、駆動方式とエンジンです。アウディ クアトロの登場により4WDでなければ戦えない状況だったため、FFだったデルタをフルタイム4WDに改変。さらに、ロードモデルにも165psを発揮する2Lターボエンジンを搭載し、ベース車輌がファミリーカーだと思えないほどのスペックに仕上げました。一方で、車体にはアバルトのエンブレムや名称の記載はなく、まさに影の立役者といった存在でした。

投入初年度から無類の強さを発揮

グループA初年度の1987年開幕モンテカルロで、ミキ・ビアジオンとユハ・カンクネンがワンツーフィニッシュを決め、デルタHFはいきなり圧倒的な速さをみせつけます。1987年シリーズは、9勝を挙げてドライバーズとマニュファクチュアラーズのダブルタイトルを獲得しました。

翌年以降も勢いは変わらず、1992年まで前人未到のマニュファクチュアラーズタイトル6連覇を成し遂げます。しかし、トヨタを中心にした日本勢の台頭もあり、ランチアは1991年にワークス体制を解消、さらに1993年にはデルタ自体もWRCから姿を消しました。

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市販車としての完成度も高かった

グループA規定では一定以上の市販車としての販売実績が必要なため、ランチアHFも当然市販されています。また、WRCで勝つために、毎年のように仕様変更されたこともデルタHFの特徴です。

ここからは、市販車としてのデルタHFの魅力を解説します。

アルカンターラを多用した上質な内装

デルタはもともとゴルフに対抗すべく作られたモデルで、大衆車ながら上品な内装が特徴です。デルタHFでも内装面の特徴は引き継がれ、随所に手触りのよいアルカンターラが使用されています。

レースカーとしての高い戦闘力を期待させるブリスターフェンダーを備えた外装と、上品な内装のコントラストもデルタHFの魅力です。

積極的な開発で生まれた3つの代表モデル

デルタHFは登場以降、WRCで勝つために毎年のように改良を続けました。1989年には、エンジンを16バルブ化したHFインテグラーレ16Vを投入。前年のインテグラーレでブリスターフェンダー化して拡幅していたところに、高性能エンジンを搭載してさらなるパワーアップを実現しました。大型化したエンジンを搭載するため、盛り上がった形状のボンネットに変更されています。

さらに、1992年にはWRC参戦の最終形HFインテグラーレ エヴォルツィオーネへと進化を遂げます。市販車の最高出力は大台を突破する210psに達し、まさにエボリューションモデルと呼ぶべき存在でした。

最終的に市販モデルは、1993年のHFインテグラーレ エヴォルツィオーネⅡまで作られます。おもに日本市場を意識したモデルで、最後の限定車HFインテグラーレ16vエヴォルツィオーネⅡコレッツィオーネは限定台数を急遽増やすほどの人気を集めました。

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ランチアが導き出したWRCグループAの最適解

フルタイム4WDに2L16バルブDOHCターボエンジン、ボディにブリスターフェンダーというデルタHFの仕様は、6連覇という偉業によりグループAの最適解であることを証明しました。事実、三菱 ランサーエボリューション、スバル インプレッサといった1993年以降に活躍するWRカーに多大な影響を与えています。

デルタHFの買取価格は優に500万円を超え、現在でも高い人気を誇っています。輝かしい成績を残したことだけでなく、WRCの歴史に大きな影響を与えた点も含めて価値が高まっているのでしょう。

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