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旧車をEVカーに改造?アメリカでじわじわ人気のコンバージョンEV

目次
1.世界最大の改造車ショーで旧車EVが続々登場 2.自動車メーカーが旧車の電動化を提案  3.デロリアンをEV化したオーナーが日本にもいた! 4.今後「旧車のEV化はあり」なのか?

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世界最大の改造車ショーで旧車EVが続々登場

シボレーブースに展示された1957年型ベル・エア

▲シボレーブースに展示された1957年型ベル・エア

アメリカでは今、「コンバージョンEV」がアツい。

昨今の環境意識の高まりによるEVブームは新車のみならず、「旧車」を未来へのこしていく手段としても注目されている。

今回は毎年11月上旬に開催される世界最大級のアフターマーケット・カスタムカー見本市「SEMAショー」にて見つけたコンバージョンEVたちを簡単に紹介してみたい。

SEMAショーではアフターマーケットのメーカーやチューニングショップのみならず、自動車メーカーも積極的に出展している。

なかでも目をひいたのが、シボレーブースに展示された1957年型ベル・エアだ。

イエローのボディカラーで目をひくベル・エア

派手なイエローのボディカラーに、「ジェット時代」の流行を反映させたスタイルは典型的なアメリカ車のイメージをまとう。

だが、V型8気筒のLSエンジンを搭載するために広く設けられたエンジンルームの中にはエンジンが見当たらない。

その代わりに鎮座するのが、シボレーが開発した実験用の電動モーターとバッテリーである。

このユニットはモジュール化も行われており、シボレーは使用者の要望に応えて、より大型のバッテリーを搭載することも可能としている。

とりあえず搭載されているプロトタイプのスペックは400Vのユニットで、容量は30kWhとなる。

元々搭載されていたエンジンほどのパワーは出ないし、シボレー自身も街乗りぐらいにしか使えないと紹介しているが、これも今後の開発でより「パフォーマンス寄り」に進化していくことが期待される。

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自動車メーカーが旧車の電動化を提案 

EV化された初代ランドクルーザー

▲初代ランドクルーザーもEV化で半永久的に乗れる?

メーカーによる電動化の提案は、シボレーとともに「ビッグ3」を形成するフォードでも見られた。

毎年お馴染みの巨大なフォードブースの目玉の一つが、フォードのパフォーマンス部門「フォード・パフォーマンス」が開発した電動ユニット「イルミネーター(Eluminator)だ。

出力210kW(281hp)、ピークトルクは430 N・mを誇るイルミネーターは重さたったの93kgの電動ユニットで、元々はフォードの純電動SUV「マスタング マッハE」に搭載されていたものをベースに開発されている。

F-100 イルミネーター

今回の展示にはユニット本体とともに、実際にそれを1978年型F-100に搭載させた「F-100 イルミネーター」をお披露目。

イルミネーターのユニットは3900ドルで実際に販売されたが、販売開始後わずか一週間で完売したとのこと。

SEMAショーでは例年、電動化に特化した「SEMA Electrified」のブースが設けられるが、そのスペースは年々拡大されている。

なかでも印象深かったのがパステルブルーをまとった初代フォード ブロンコだ。

パステルブルーの初代フォード・ブロンコ

1966年から1977年まで生産された「アーリー・ブロンコ」と呼ばれるこのブロンコも電動モーターとバッテリーを搭載するコンバージョンEVとなる。

製作はフォードより正式にライセンスを取得し、初代ブロンコのフレームを生産している「Kincer Chassis」が担当。

サイドのドアを除去したり、エンジンルームは目隠し用の木目調パネルで綺麗に埋められていたりと、ミニマリスティックなカスタムが非常に特徴的である。

ミニマリスティックにカスタムされたブロンコ

ここまではどれもアメリカ車のコンバージョンEVを紹介してきたが、この流行はなにもアメリカ車に限るものではない。

同じ「SEMA Electrified」のブースにはトヨタの伝説的な四輪駆動車「初代ランドクルーザー(J40型)」や、フォルクスワーゲン タイプ181のコンバージョンEVなども展示されていた。

また、外のブースにはまだ新しめのクルマであるホンダ S2000をEV化した個体も来場者の注目を集めていた。

デロリアンをEV化したオーナーが日本にもいた!

美しいシルエットのデロリアン

▲デロリアンの美しいシルエットそのままにEV化

EV化されたデロリアン

▲2年の歳月をかけて仲間たちとデロリアンのEV化に成功

ところで、日本にも旧車をEVにコンバートして乗り続けているパイオニア的存在のEVオーナーがいるのをご存じだろうか?

日本EVクラブ広島支部の藤井智康さんがDMCデロリアンのEV化をスタートしたのはなんと2007年!2年の歳月をかけて完成したのが2009年だった。 

「当時、デロリアンに乗りたいという気持ちが強かったのですが、80年代前半のクルマですし壊れやすく、修理するのも大変という話を耳にしていました。維持していくのが大変だろうなと。そんななか、環境問題を勉強しているときにEVのことを知りました。そこでデロリアンをEVにしてみるのはどうだろうかと考え始めたのです。

旧車はオリジナルの状態で維持することがクルマにとっても最高であることは間違いないのですが、長く乗り続けていくうちに部品が入手できなくて直せない…、また完璧に直せる人もどんどん減っていく…という状況になってきます。

クルマを直さず放置しておくのか?それとも廃車にして捨ててしまうのか?これまではそのような選択肢しかなかったわけですが、“パワーユニットを電気にかえればEVとして長く乗り続けられるのでは?“という考えに到達したのです」

クルマを買い替えることがエコではなく、ずっと乗り続けることが一番のエコであること。EVにコンバートすることでそれが実現できることを藤井さんは自らのデロリアンで証明している。

しかし、藤井さんいわく、なんでもかんでも「EV化」するのが良いわけではないとのことだ。

「クルマにはデザインは素晴らしいけどエンジンがいま一つの『ボディエンゲル係数』が高いクルマと、逆に、デザインは今一つだけどエンジンが素晴らしい『エンジンエンゲル係数』が高いクルマが存在します。そのあたりを見極めていくのがポイントかもしれないですね」

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今後「旧車のEV化はあり」なのか?

ショーの舞台でマイクを持って話をする男性たち

急進的なEVシフトが進む昨今の情勢を鑑みれば、いつかはガソリン車に乗れなくなる時代が来るのかもしれない。

旧車という技術的にも文化的にも貴重な存在を、未来永劫のこしていく一つの手段として「旧車のEV化」は「あり得る」選択肢の一つかもしれない。

また、ガソリン車として残していくためのパーツの供給も同様に盛んなアメリカのアフターマーケット事情にはどことなく羨ましさも感じる。

旧車の保存に関しては数歩先を進んでいるアメリカでのノウハウを、数多くの名車を生み出している日本でもメジャーになっていくことに期待したい。

[ライター・カメラ/加藤ヒロト]

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