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クルマのミッション修理はいくらかかる?故障サインから交換・乗り換えの判断基準までプロが解説

目次
1.ミッションとは 2.ミッション故障の主なサイン 3.AT(オートマチック・トランスミッション)の故障原因 4.MT(マニュアル・トランスミッション)の故障原因 5.ATの修理・交換費用の目安 6.MTの修理・交換費用の目安 7.修理か乗り換えかの判断基準 8.ミッション故障を防ぐためのメンテナンス 9.まとめ 10.旧車の買取なら「旧車王」におまかせ!

「変速するときの衝撃が大きい」「ギアの入りが悪くなった」といった現象は、多くの場合ミッション(トランスミッション)のトラブルが原因です。

ミッションは比較的故障の頻度こそ少ないものの、故障時の影響は大きく、早急な修理や交換が求められるパーツです。しかし故障しにくいがゆえに修理の経験がなく、どのように対応すればよいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。

本記事では、25年以上にわたり旧車・クラシックカーを15,000台以上買い取ってきた旧車王が、クルマのミッションが故障した際に現れるサインや、AT・MTそれぞれの故障原因、気になる修理費用の目安について詳しく解説します。

【この記事でわかること】

・ミッション故障の主なサイン

・AT(オートマチック・トランスミッション)の故障原因

・ミッション故障を防ぐためのメンテナンス

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ミッションとは

クルマのミッションは、エンジンが生み出す力をタイヤに伝えるための「変速機」としての役割を担うパーツです。エンジンが生み出す回転力は、間に入るミッションにより、発進、加速、巡航、後退といった走行状況に合わせて最適な力加減に調整されます。

現在、主流となっているのは自動で変速するAT(オートマチック・トランスミッション)ですが、自分でギアを選択するMT(マニュアル・トランスミッション)も、クルマを操る楽しさから根強い人気があります。どちらのタイプであれ、ミッションはクルマが走行するうえで絶対に欠かせない精密で重要な部品です。

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ミッション故障の主なサイン

精密な部品の集合体であるミッションは多くの場合、不具合が発生する前に何らかのサインを発します。もし1つでも愛車の挙動に心当たりがある場合は、重大なトラブルに発展する前に、専門家による点検を検討しましょう。

エンジンチェックランプが点灯する

エンジンチェックランプの点灯は、ミッションに異常が発生している可能性を示すサインの1つです。クルマに搭載されているECU(エンジン・コントロール・ユニット)は、エンジンだけでなくミッションの電子制御も監視しており、異常な数値や不具合を検知すると、警告のためにチェックランプを点灯させます。

点灯の原因がエンジン本体など他のパーツにある場合も考えられますが、変速時の違和感など他の症状が気になる場合は、ミッションの修理が必要なサインと見てよいでしょう。

加速が鈍くなる・動力が伝わらない

アクセルを踏み込んでもエンジンの回転数だけが上がり、思うようにスピードが出ない「滑り」と呼ばれる現象は、ミッション故障の典型的な症状です。

これは、エンジンからの動力がミッション内部でうまく伝達されず、空回りしている状態を指します。AT・MTに共通して、内部のクラッチの摩耗や損傷が主な原因として考えられます。

この症状を放置すると、動力を完全に伝えられずに走行不能に陥る危険性があるため、早急なミッションの点検・修理が必要です。

変速ショックや異音・振動が発生する

変速時に大きな衝撃や異音が発生する場合、ミッション内部が損傷している可能性があります。ATでは変速を制御しているソレノイドバルブやバルブボディ、MTではスムーズなギアチェンジを助けるシンクロメッシュ機構の摩耗・損傷が考えられます。

これらの症状は、ミッションの修理が避けられない状態であることを示しています。そのまま乗り続けるとダメージが拡大する恐れがあるため、早急な点検が望まれます。

オイル漏れや焦げたような異臭がする

クルマの停車場所にできた赤色や褐色のオイル染みや、走行中に発生する焦げたような甘い匂いは、ミッションオイルが漏れているサインです。オイル漏れの状態はミッションに致命的なダメージを与え、焼き付きや火災につながる恐れがあるため、ただちに修理工場で点検を受けるべきでしょう。

AT(オートマチック・トランスミッション)の故障原因

複雑な構造を持つATは、さまざまな要因で故障に至ります。ここでは、その代表的な原因を3つに分けて解説します。

経年劣化や内部部品の摩耗

走行距離の増加にともなう経年劣化は、代表的なATの故障原因です。ミッション内部に組み込まれた数多くの精密部品は走行時に少しずつ摩耗し、いずれは寿命を迎えます。特に近年のクルマに搭載されている多段化されたATは複雑でデリケートな構造のため、長年の使用によって不具合が発生しやすくなる傾向があります。

ATF(オートマオイル)の劣化・漏れ・不適切交換

ATF(オートマチックトランスミッションフルード=オートマオイル)は、ミッション内部で潤滑、冷却、洗浄、油圧による動力伝達など多くの役割を担っています。ATFが劣化するとそれらの性能が低下し、故障を引き起こす原因となります。

また、指定と異なる種類のATFを使用したり、交換手順を誤ったりすることも、ミッションの不調や故障に直結するため、ATFの管理は専門知識のある工場に任せることが重要です。

過度な負荷運転(急加速・坂道での無理なシフト操作)

日頃の運転習慣も、ミッションの寿命を大きく左右します。信号待ちからの急発進や高速道路での急加速といった操作は、ミッション内部のクラッチやギアに大きな衝撃と負荷をかけ、摩耗を早める原因となります。

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MT(マニュアル・トランスミッション)の故障原因

構造が比較的シンプルなMTですが、もちろん故障と無縁ではありません。ドライバーの操作がダイレクトに影響するため、運転の癖が故障原因となることも少なくありません。

クラッチ板の摩耗や焼き付き

MTのトラブルで頻繁に発生するのが、クラッチ関連の不具合です。エンジンの動力とミッションの伝達役であるクラッチ板は、発進や変速のたびに摩耗していく消耗品です。特に半クラッチを多用する運転スタイルは、クラッチ板の寿命を著しく縮める可能性があります。

加速の鈍さやギアの繋がりの悪さは、クラッチを交換する時期のサインです。これを放置すると、最終的にはクラッチが焼き付いてしまい、走行不能になることもあります。

強引なギアチェンジによる破損

スムーズな変速を助けるシンクロメッシュ機構(シンクロ)も、摩耗しやすい部品の1つです。エンジンの回転数を合わさずにギアを押し込むような操作を繰り返していると、ガリッという異音を発生させるようになり、やがて特定のギアに入らなくなるといった故障につながります。

最終的にはギア全体を交換するような大規模な修理が必要になるケースもあるため、ギアは丁寧に操作するように心がけましょう。

長期使用による部品の寿命・経年劣化

MTの内部には、クラッチやシンクロ以外にも寿命を迎える部品が存在します。例えば、内部のシャフトを支えているベアリングが摩耗すると、大小さまざまな唸り音が発生するようになります。

ATと同様にオイルシールが劣化すれば、ミッションオイル漏れの原因となるでしょう。MTも精密機械であることに変わりはなく、適切なメンテナンスと丁寧な操作が求められます。

ATの修理・交換費用の目安

ATの修理費用は、故障の程度や修理方法によって大きく変動します。数万円程度のATFの交換だけで済む場合も少なくありません。ただし、症状が初期段階であっても、ATF交換によってかえって症状が悪化するリスクがあるため、安易にATF交換を行うべきではありません。まずは専門工場で故障の原因を特定することが最優先です。

また、故障の程度が大きい場合には、オーバーホールや交換といった大がかりな対応が必要です。

オーバーホールは、ミッションをクルマから降ろして完全に分解し、洗浄したうえで摩耗・損傷した部品を交換し、再び組み上げる修理方法です。専門的な技術と時間が必要であるため費用は20万以上と考えておくとよいでしょう。

ミッションの交換は、交換する部品の質によって費用が大きく変わります。解体された他のクルマから取り出した中古のミッションであれば、比較的安価での交換が可能です。また、故障品を専門業者が分解・修理し新品同様の性能に戻した「リビルト品」は、新品より安価でありながら品質が保証されている安心感があります。

もっとも高額なのは新品への交換ですが、品質の面ではもっとも安心できます。ミッションの交換費用は、車種やミッションの質によって30万~100万円まで幅広いため、予算に応じた交換部品を選ぶとよいでしょう。

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MTの修理・交換費用の目安

MTの修理費用は、ATよりも安価に収まる傾向があります。一般的な修理であるクラッチ交換の場合、工賃と部品代を合わせて5万円〜15万円程度が目安となります。

クラッチを交換してもギアチェンジのしにくさや滑りが解消されない場合は、ミッション全体を交換する必要があります。交換費用の目安は15万~50万円程度です。ATほど高額にはなりにくい傾向があるものの、決して安い修理費用ではありません。

修理か乗り換えかの判断基準

ミッションの不調を前に、修理して乗り続けるのか、新車に乗り換えるべきか判断に迷う方も多いでしょう。後悔のない選択をするためにも、クルマの年式や走行距離、そして保証の有無を基準に冷静に判断しましょう。

年式が新しく走行距離が短いクルマであれば、修理して乗り続けるのがおすすめです。修理費用がクルマの現在の市場価値を大きく下回るなら、修理する価値は十分にあるでしょう。ただし、特に新車購入から5年以内の特別保証期間内であれば、無償で修理できる可能性があるため、修理前にはメーカーの保証やリコールの対象になっていないかを必ず確認してください。

新車登録から10年以上経過したクルマや10万km以上走行している過走行車の場合は、乗り換えも検討対象に入ります。高額な費用をかけてミッションを修理しても、すぐに別の箇所が故障するリスクがあります。修理費用がクルマの車輌価値を上回ってしまうようなら、その費用を新しいクルマの購入資金に充てるという選択肢も視野に入れましょう。

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ミッション故障を防ぐためのメンテナンス

ミッションが故障する原因の多くは、日頃の運転やメンテナンスの積み重ねであるといえます。愛車と長く付き合うためにも、ミッションを長持ちさせるような乗り方やメンテナンスを実践しましょう。

定期的なATF交換(5~6万kmごと)

定期的なATF交換は、ATの寿命を延ばすうえで非常に効果的です。ATFはオイルである以上、大切に運転しても熱や酸化による劣化は避けられません。メーカーの指定がない場合でも、5万~6万km走行を目安に交換することをおすすめします。ただし、ATF交換は非常にデリケートな作業であり、正しい知識と設備が必要です。交換の際には、必ず信頼できる専門工場に依頼し、クルマに適したATFを適切な方法で交換してもらいましょう。

急加速・強引なギア操作を避ける

ミッションへの負担を減らすには、穏やかな運転を心がけることが何より大切です。AT・MTを問わず、急発進、急加速、急なシフトチェンジはミッション内部に大きな負荷をかけ、部品の摩耗を早めます。ミッションをはじめとするクルマ全体の寿命を延ばすことに有効なのは、余裕を持った運転です。特に重量のある荷物を積んでいる時や、坂道を走行する際は、より一層丁寧なアクセルワークとシフト操作が求められます。

異音・変速ショックを感じたら早めの点検

クルマからの小さなサインを見逃さないことも重要です。変速ショックが少し大きくなったと感じる程度の段階で専門家に見てもらえば、簡単な調整や少額の部品交換で済むケースもあります。小さな異変を気に掛けずに問題を先送りにすると、ダメージが内部全体に広がり、結果的に高額なミッション交換が必要になってしまうかもしれません。違和感を覚えたら、できるだけ早くプロに相談する習慣をつけましょう。

まとめ

ミッションはクルマの走行性能を支える重要なパーツであり、その修理には高額な費用がかかることが少なくありません。だからこそ、故障のサインを見逃さず、日頃から丁寧な運転を心がけることが大切です。

ミッションの不調に悩んでおり、修理費用が高額で乗り換えを検討している場合は、一度愛車の価値を調べるのがおすすめです。ミッションが故障した状態のクルマであっても、車種や状態によっては専門の買取店が価値を見出してくれる可能性があります。修理費用を次のクルマの購入資金に充てるという選択肢も視野に入れ、ご自身の愛車にとって最良の決断をしてください。

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