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車のノッキング音は危険?修理の必要性や予防法について解説

目次
1.エンジンのノッキングとは? 2.ノッキングの種類と原因 3.ノッキングの症状 4.ノッキングの改善方法 5.ノッキングの予防方法 6.ノッキングの修理費用の目安 7.まとめ

走行中にエンジンから聞こえる「カンカン」「キンキン」といった金属音や、異音とともに車が揺れる現象は「ノッキング」と呼ばれます。

ノッキングはエンジンが発する危険信号のひとつです。放置が続くとエンジンの故障を招き、走行不能に陥る危険性があります。

本記事では、25年以上にわたり旧車・クラシックカーを15,000台以上買い取ってきた旧車王が、ノッキングの基本的な知識からご自身でできる改善策、専門家へ修理を依頼した場合の費用まで詳しく解説します。

【この記事でわかること】

・ノッキングの症状と原因

・ノッキングの予防・改善方法

・ノッキングの修理費用の目安

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エンジンのノッキングとは?

ノッキングとは、エンジンの燃焼室内で、ガソリンと空気の混合気が「意図しないタイミング」や「不適切な形」で燃焼してしまう異常燃焼のことを指します。

通常、エンジンはピストンがシリンダー内の混合気を圧縮し、最適なタイミングで点火プラグが火花を散らすことで、制御された爆発(燃焼)を起こし、クルマを動かす力を生み出しています。

しかし、何らかの原因で点火プラグが火花を散らす前に混合気が自然発火してしまったり、火炎が燃え広がる速度が異常に速くなったりすると、燃焼室内の圧力が急激に上昇します。その結果、本来発生しない爆発による衝撃波が、シリンダー内で「カンカン」「キンキン」といったノッキング音を発生させるのです。

この異常な衝撃は、ピストンやシリンダーといったエンジン内部の精密な部品に大きなダメージを与える恐れがあります。軽度なうちは走行性能の低下で済みますが、重度のノッキングを放置し続けると、エンジン内部の物理的な破損を招きかねないため、決して軽視できない現象といえるでしょう。

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ノッキングの種類と原因

「ノッキング」と一言でいっても、その発生メカニズムや深刻度によっていくつかの種類に分類されます。ここでは、代表的な4種類のノッキングについて、それぞれの原因と現象を説明します。

カーノック・低速ノッキング

もっとも多く発生するノッキングの種類が低速ノッキング、通称「カーノック」です。ゆっくりとアクセルを踏み込むときや、低いエンジン回転数で走行するときに「カラカラ」「カリカリ」といった軽い音が発生するのが特徴です。

多くは運転手の操作ミスにより発生する揺れを指しますが、劣化したマウントが衝撃を吸収できなくなった場合の揺れもカーノックに分類されます。

デトネーション(Detonation)

デトネーションは、高温・高負荷の状態で発生しやすいノッキングです。点火プラグによって正常に始まった燃焼の火炎が燃え広がる過程で、まだ燃えていない混合気が高温・高圧にさらされ、自己発火してしまう現象を指します。

燃焼室内では複数の火炎が同時に発生し、それらがぶつかり合うことで非常に大きな衝撃波が生まれます。「カンカン」「キンキン」といった鋭い金属音をともなうのが特徴です。この衝撃はエンジンに深刻なダメージを与える可能性があるため、早急な対応が求められます。

プレイグニッション(Pre-ignition)

プレイグニッションは「早期着火」とも呼ばれる、点火プラグが着火する前に混合気が燃え始める現象です。燃焼室に堆積したカーボンが火種となり、正規の点火タイミングよりも早く燃焼が始まるため、ピストンが上がりきる前に強烈な爆発圧力がかかります。デトネーションと同じ異常燃焼が原因ですが、一般車ではほとんど発生しません。

ディーゼルノック(ディーゼル車の場合)

ディーゼルエンジンは点火プラグを持たず、高温・高圧になったシリンダー内に軽油を噴射し、自己着火させることで燃焼を起こす仕組みです。着火のタイミングが遅れ、一度に多くの燃料が燃焼すると、急激な圧力上昇により「ガラガラ」という特有の大きな音と振動を生み出す原因になります。

ノッキングの症状

ノッキングは異音や振動といった現象を通じて、エンジン内部で起きている異常をドライバーに伝えるサインの役割も果たします。ここでは、ノッキングを疑うべき具体的な症状について解説します。

「カンカン」「キンキン」といった異音

エンジンから発生する金属音は、ノッキングの代表的な症状です。エンジンの内部で異常な衝撃が発生し、金属部品を叩く際に発生します。軽い症状の場合は「カラカラ」「チリチリ」といった小さな音に留まりますが、症状が進行すると「カンカン」「キンキン」といった甲高い音に、さらに深刻になると「ガンガン」という強い音に変わっていきます。音の種類や大きさは、ノッキングの深刻度を判断する1つの重要な手がかりとなるでしょう。

加速時・坂道・アイドリング時に出やすい例

異音が発生するタイミングも、原因を特定する上で重要な情報です。ノッキングはエンジンに負荷がかかったときに発生しやすいため、加速時や上り坂の走行中など、特定の走行シーンで症状が顕著になります。

また、エンジンに強い負荷がかからないアイドリング中にカタカタと音がするようなら、スパークプラグの劣化による点火不良が発生している可能性があります。

加速が鈍い・エンストなどの付随症状

ノッキングはエンジン内の正常な燃焼を阻害するため、クルマのパフォーマンスに影響を及ぼします。異音や振動に加え、アクセルを踏んでも加速しないといった症状が現れることがあります。症状がさらに悪化すると、不安定なアイドリングや走行中のエンストといった症状も発生します。

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ノッキングの改善方法

ノッキングの症状に気づいたときには、早めに対処することで大きなトラブルを防止できます。ここでは比較的軽度なノッキングに対して、ご自身で試せる改善策をいくつか紹介します。

燃料添加剤でカーボンを除去する

デトネーションやプレイグニッションの原因のひとつであるカーボン堆積には、市販の燃料添加剤が効果的です。燃料添加剤には、燃焼室やインジェクター、吸気バルブなどに付着したカーボンを洗浄する成分が含まれています。ガソリン給油時に燃料タンクへ注入するだけで、走行しながらエンジン内部をクリーンにしてくれる手軽な方法です。また、定期的な燃料添加剤の使用はノッキングを防止する効果も期待できます。

点火プラグを交換する

点火プラグは、エンジン内で火花を飛ばす重要な役割を担う部品です。長期間使用すると、先端の摩耗やカーボンの付着などの原因で、正常に火花を飛ばせなくなります。点火プラグの交換は、比較的安価な費用でエンジンの調子を取り戻せる可能性のあるメンテナンスです。

エンジンオイルを定期交換する

エンジンオイルは、エンジン内部の冷却や洗浄という重要な役割も担っています。オイルが劣化するとエンジン内部の潤滑が不十分になるだけでなく、温度抑制や汚れの付着を防止しにくくなり、ノッキングの発生に繋がります。短距離走行が多くエンジンオイルが汚れやすい使用状況であれば、メーカーの指定よりも早めのサイクルで交換することがエンジンの良好な状態を保ちやすくなるでしょう。

高速走行で燃焼室内をクリーンに保つ

短距離走行が多い場合、エンジンは低温状態で使われることが多いため、カーボンが溜まりやすくなります。堆積したカーボンを燃焼させるためにも、定期的に高速道路などを利用して高速走行をする機会を作りましょう。

症状が続く場合は整備工場で診断

上記の方法を試してもノッキングの症状が改善しない、あるいは異音や振動が止まらない場合は、センサーの故障やエンジン内部の機械的な問題など、より深刻な原因が潜んでいる可能性があります。こうした状態のまま自己判断で乗り続けることは非常に危険です。すぐにでも信頼できる整備工場やディーラーに相談し、プロによる正確な診断と修理を依頼しましょう。

ノッキングの予防方法

ノッキングは日頃のメンテナンスや運転習慣を意識することで、発生を未然に防ぐことが可能です。愛車と長く付き合うためにも、ぜひ予防策を実践してみてください。

走行環境に応じたオイル交換頻度の見直し

クルマの取扱説明書に記載されているエンジンオイルの交換時期は、あくまでも標準的な使用を想定したものです。1回の走行距離が短い「チョイ乗り」や頻繁な渋滞路の走行、標準よりも過酷な道の走行が多い場合、エンジンオイルの劣化は通常よりも早く進みます。ご自身の乗り方が上記に当てはまる場合は、メーカー指定の半分程度の距離や期間でオイル交換を行うのがおすすめです。

適正な燃料選択(オクタン価の確認)

ガソリンにはレギュラーとハイオクがありますが、これはノッキングの起こりにくさを示す「オクタン価」の違いにより分類されています。ハイオク仕様車にレギュラーガソリンを入れると、設計上求められるオクタン価を満たせないため、エンジン本来の性能を発揮できずにノッキングが発生しやすくなります。

反対に、レギュラー仕様車にハイオクを入れること自体は問題ありません。多くのハイオクにはエンジン内部の洗浄剤が含まれているため、カーボン除去を期待してハイオクを給油するのも、ノッキングの予防策になります。

短距離走行ばかりの場合の運転習慣改善

エンジンが十分に暖まらないうちに目的地に到着するような短距離走行の繰り返しは、エンジン内部に水分や未燃焼ガスが溜まりやすく、カーボンが堆積する原因となります。可能であれば、週に1度でも30分以上連続して走行する機会を作るなど、エンジンをしっかりと暖めて内部の水分を蒸発させるような運転の習慣化がノッキング予防に効果的です。

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ノッキングの修理費用の目安

もしノッキングの症状が改善せず、専門家による修理が必要になった場合、その費用は原因によって大きく変動します。

点火プラグや、エンジンの燃焼を制御するO2センサー、ノックセンサーといった消耗品の交換、燃料を噴射するインジェクターを洗浄する場合は、2万~5万円程度と安価です。

一方、エンジン内部に物理的なダメージが及んでしまった場合、エンジンのオーバーホールまたは載せ替えが必要になります。この場合の費用は30万円から100万円以上と、高額になるのは避けられないでしょう。

特に年式の古いクルマの場合、修理費用がクルマの価値を上回ってしまうことも少なくありません。そのような状況では、高額な費用をかけて修理するよりも、廃車や乗り換えを検討するほうが合理的な選択となる場合もあります。

まとめ

ノッキングは一般的に、エンジン内部の異常燃焼が原因の症状です。異音や振動、加速不良といった代表的な症状として挙げられます。症状が軽度であるなら、燃料添加剤の使用やオイル交換などで改善する可能性があります。また、定期的な長距離・高速走行を行うだけでも、ノッキングを予防する効果が期待できるでしょう。

愛車から聞こえるいつもと違う音は、クルマがオーナーに助けを求めているサインかもしれません。わずかな違和感を見のがさず、早めのノッキング対策を行ないましょう。

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