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段差や縁石でエアロパーツを割ってしまったり、擦り傷をつけてしまったりした際は、なるべく早く修理することが大切です。
エアロの傷や割れをそのままにすると、走行中にパーツが脱落して重大事故につながるリスクがあります。また、状態によっては車検に通らない可能性も出てきます。
この記事では、25年以上にわたって旧車・クラシックカーを15,000台以上買い取りしてきた旧車王が、エアロパーツの修理方法や注意点について詳しく解説します。
【この記事でわかること】
・エアロパーツの修理の必要性
・エアロの傷・割れをDIYで修理する方法
・エアロの修理依頼する際のポイント
エアロパーツが割れた・傷ついたときは修理が必要?
エアロパーツに割れや傷がついた場合、見た目だけの問題だけでなく安全性の観点からも速やかな修理が必要です。ここでは、エアロパーツの損傷を放置すると生じるリスクについて解説します。
放置すると事故や脱落のリスクがある
破損したエアロパーツを放置すると、走行中に大きな事故へ発展しかねません。
主なリスクは以下のとおりです。
・脱落したパーツがタイヤに干渉して操縦不能になる
・後続車に衝突して追突事故を引き起こす
・割れた部位が歩行者にケガを負わせる
外観の印象が強く残るかもしれませんが、クルマの基本である走行安全性に直結する事態であると、オーナーとして自覚する必要があります。
割れの状態によっては車検に通らないこともある
エアロパーツの割れや損傷の程度によっては、車検に通らない可能性があります。割れた箇所が車体の外側にはみ出している場合や、鋭利な突起物になってしまっている場合は、保安基準に適合しないと判断されるためです。
また、近年のクルマのバンパーにはセンサーが装着されているケースが多く、損傷によってセンサーの位置がズレると自動ブレーキなどの安全機能が正常に動作しなくなります。安全機能が作動しない状態も保安基準不適合のため、車検は通りません。
軽度の傷でも早めの補修が安全
最初はごくわずかな傷であっても、走行時の振動や温度変化などによって徐々に広がっていくケースは珍しくありません。
とくに、エアロパーツの素材として使われているFRP(繊維強化プラスチック)は、一度ひびが入ると内部で亀裂が進行しやすい特性があります。クルマを使うかどうかに関わらず、紫外線や雨風で傷が広がるリスクは頭に入れておくとよいでしょう。
エアロの傷・割れをDIYで修理する方法
プロに修理を依頼すると費用がかさむため、DIYを検討している方もいるかもしれません。軽度の傷であれば比較的簡単に補修できますが、傷が深い場合は素人が進めてしまうと後悔につながる可能性があります。そこで、損傷の程度に応じた適切な修理方法を解説します。
DIY修理の可否判断(軽度か重度かを見極める)
DIYで修理を始める前に、傷や割れの程度を見極める必要があります。下記4つのポイントから判断しましょう。
①傷の大きさや深さ
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傷の状態 |
判断基準 |
DIY対応 |
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クリア層のみの浅い傷 |
・爪で撫でても引っかからない ・水をかけると目立たなくなる |
⚪︎対応可能 |
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下地層がみえている傷 |
・塗装の下地が露出している ・10cm四方以内 |
△難易度高い |
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金属部分がみえている傷 |
・金属の素地がみえている ・10cm四方を超える大きな傷 |
×プロへの依頼推奨 |
②へこみの有無
へこみを伴う傷は、下記の理由から小さなものであっても業者への相談が第一選択です。
【業者への依頼が必要な理由】
・へこみの修理には専用工具を用いた「板金」が必要
・パーツがへこむほどの衝撃を受けている場合、先進安全技術のシステムにも不具合が及んでいる可能性がある
・センサーなどの検知システムはDIYで対応できない
③割れているかどうか
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割れの状態 |
DIY対応 |
備考 |
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小さなひび割れ(10cm未満) |
△応急処置が可能 |
パテや接着剤で補修できるケースもある |
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大きなひび割れ(10cm以上) |
×困難 |
交換が必要になる可能性が高い |
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パーツが欠けている |
×困難 |
専用設備での交換が必要 |
④ボディカラーが特殊かどうか
特殊な塗装の場合は、専門知識や技術がないと再現が難しいため業者に依頼しましょう。判断に迷う場合は、修理業者に相談して見積もりを取るもの一択です。
コンパウンドやタッチペンを使った浅い傷の補修手順
浅い傷の修理は、コンパウンドやタッチペンで補修が可能です。それぞれの手順は下記のとおりです。
【コンパウンドでの補修】
水をかけると気にならなくなる程度の薄い傷に適しています。
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補修手順 |
必要な道具 |
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1.クルマを水洗後、十分に拭き上げる 2.修理箇所の周りのゴムパーツをマスキングテープで養生する 3.コンパウンドで傷を磨き、拭き取る |
・粗さの異なるコンパウンド(2〜3種類) ・コンパウンドを拭き取るスポンジや布 ・マスキングテープ |
【タッチペンでの補修】
ひっかき傷のような線状の傷に適しています。
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補修手順 |
必要な道具 |
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1.クルマを水洗いし、修理箇所の周囲をマスキングテープで養生する 2.脱脂剤で脂分を取り除く 3.タッチペンで傷を埋め、耐水ペーパーで修理箇所を磨く 4.研磨パッドで研磨し仕上げる |
・マスキングテープ ・脱脂剤(シリコンオフ) ・タッチペン ・耐水ペーパー(1000番) ・研磨パッド(硬めのスポンジ) |
【作業上の注意点】
・エアロの色に合わないタッチペンを使ってしまうと修理箇所が目立つ
・必要以上に粗いコンパウンドで研磨するとかえって傷が目立ってしまう
パテとタッチアップペンを使った中程度の傷修理
パテは、下地層がみえている深い傷(10cm四方以内)の修理に有効なアイテムです。作業前にパテがエアロの素材に対応したものかどうか、必ず確認しましょう。
【修理手順】
1.研磨剤で傷の周辺を磨き、マスキング後にサンドペーパー(800番)で研磨する
2.パテをヘラで取り、傷をやや盛り上げるように埋める
3.乾燥後、サンドペーパー(1500番)で周りと同じ高さになるまで研磨する
4.段差がなくなるまで研磨剤でもう一度研磨する
5.タッチアップペンを少しずつ塗り重ね、乾燥後に水をつけたサンドペーパー(1500番)で柔らかく研磨する
なお、タッチペンの選び方など、より詳細な内容は以下の記事で解説しているため参考にしてください。
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FRP修理キットを使った割れ補修の手順
10cm未満の小さなひび割れであれば、ホームセンターやインターネットで販売されているFRP修理キットを使って自分で応急処置ができます。ただし、割れを修理するのは極めて難易度が高いため、プロに依頼したほうが安心です。
【補修手順】
1.エアロをクルマから取り外して水洗いし、カッターやサンドペーパーで割れた部分のささくれや破片を取り除く
2.ガムテープとマスキングテープで割れた部分を裏側から塞ぐ
3.FRP修理キットの主剤と硬化剤を混ぜて樹脂を準備する
4.樹脂を割れている箇所に流し込み、ガラスマットに樹脂を染み込ませて貼り付ける
5.樹脂が硬化したらテープ類を剥がし、パテで表面の凹凸を埋めて耐水ペーパーで磨く
6.修理箇所を塗装して仕上げる
【安全上の注意点】
・ポリエステル樹脂の硬化剤は毒性がある
・作業時は手袋と保護メガネを着用する
・換気のよい場所で作業する
なお、10cm以上の大きなひび割れや欠けてしまったエアロは、バンパー交換が必要です。専用の設備をもっている業者に依頼しましょう。
エアロの割れは業者に修理依頼するのがおすすめ
エアロパーツに割れが生じた場合、DIYは難易度が高く安全面でもリスクがあるため、プロの修理業者に依頼するのがおすすめです。
DIYでは難しい理由とプロ修理のメリット
エアロが割れてしまっている場合、DIYでの修理は難易度が高く、慣れていない人が割れを適切に修理できないと走行中にパーツが脱落するなどして事故につながる危険性があります。
【プロに依頼するメリット】
・適切な処置により走行時の事故リスクを回避できる
・仕上がりの品質が高く、修理箇所が目立たない
・センサーの調整など専門的な対応が可能
費用はかかりますが、長期的な安全性と車の美観を考えると、プロに任せる価値は十分にあるといえるでしょう。
修理業者を選ぶ際のポイント(技術・見積もり・対応範囲)
エアロの修理を依頼できる業者の選択肢として、下記があげられます。
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業者の種類 |
メリット |
デメリット |
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ディーラー |
・修理業者を探す手間がかからない ・代車が借りられる場合がある ・メーカー保証期間内なら無償修理の可能性がある |
費用が高くなる可能性がある |
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・カー用品店 ・ガソリンスタンド |
・店舗数が多く立ち寄りやすい ・短時間で対応してもらえる可能性がある |
対応範囲が限定的な場合がある |
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・整備工場 ・板金塗装店 |
・他業者よりも費用がおさえられる傾向がある ・修理内容は柔軟に対応してもらいやすい ・技術力が高くきれいな仕上がりが期待できる |
技術力に差がある |
選択肢の中から実際に選ぶ際のポイントは、下記の3点です。
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ポイント |
詳細 |
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対応範囲の確認 |
・軽度の傷ならどの業者でも対応可能 ・エアロの割れは程度によって断られる場合がある ・クルマを持ち込む前に対応できる修理の範囲を確認 |
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技術力の確認 |
・板金塗装店は技術力に差がある傾向 ・事前に施工例をみせてもらい技術力を確認 |
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見積もりの比較 |
・修理代は業者によって大きく異なる ・費用を抑えたい場合は複数の業者で見積もりを取り比較 |
なお、修理費用の目安は下記のとおりです。
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損傷の程度 |
費用目安 |
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小さなひび |
3,000円〜5,000円 |
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10cm程度の小さな割れ |
5,000円〜10,000円 |
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10cm以上の割れや傷 |
5,000円〜20,000円 |
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割れがひどく交換が必要 |
10,000円〜30,000円+パーツ代 |
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バンパー全体の割れや交換 |
50,000円以上(状態により100,000円超) |
エアロの傷や割れを放置してはいけない理由
エアロの傷や割れを放置すると、見た目が悪いだけでなく複数のリスクを拡大させてしまいます。エアロの損傷を放置して生じる具体的リスクについて解説します。
走行中の振動でひびが拡大する
たとえ今は傷が小さくても、走行すればクルマが振動するため傷や割れが徐々に大きくなっていく可能性があります。エアロパーツの素材は走行時の振動や衝撃を繰り返し受けるため、一度ひびが入るとその部分を起点に亀裂が広がります。
とくに、高速道路や悪路の走行は振動が大きく損傷の拡大スピードが早いため、できるだけ避けるべきです。最初は数センチ程度の小さなひびでも、いつの間にか大きく広がり、修理費用がかさんでしまうケースは珍しくありません。
パーツ脱落による事故の危険性
傷や割れの度合いが大きくなると、走行中に突然パーツが落下して重大な事故を引き起こすリスクになります。
また、脱落したパーツが後続車に衝突すれば、追突事故や多重事故に発展しかねません。脱落せずとも自車のタイヤに巻き込まれた場合、ハンドル操作の不安定さと制動の難しさで操縦不能に陥る危険性もあります。
見た目だけでなく安全性にも影響する
エアロの損傷は単に見た目が悪くなるだけでなく、安全性の面にも影響を及ぼします。具体的には、バンパーの割れや変形によってセンサーの位置がズレると、自暴ブレーキや衝突被害軽減システムなどの安全機能が正常に動作しなくなる可能性があります。
センサーの位置ズレは保安基準不適合にもつながるため、車検が通りません。また、本来作動すべき安全装置が機能せず、被害が拡大する恐れもあります。
エアロ修理後のメンテナンスと再発防止策
エアロパーツの修理が完了した後も、適切なメンテナンスと再発防止策を心がけることで、マイカーが長期間きれいな状態を保てます。
再塗装後の保護ケア
エアロを修理する際は、丁寧に再塗装しましょう。なぜなら、修理直後はきれいでも、すぐに小さなひびが出てきてしまう可能性があるためです。
塗装面が完全に硬化するまで数日から1週間程度かかるため、その間は洗車や強い水圧での洗浄は避けることが推奨されます。
塗装面を保護するために、コーディング剤やワックスを定期的に施工すると、紫外線や雨水からのダメージによる劣化を防げます。
こすり傷を防ぐ駐車・走行のポイント
エアロパーツを装着しているクルマや車高が低いクルマは、縁石の乗り降り時などに下方向をぶつけやすい傾向があります。下記3つの注意点は日頃から心がげておくとよいでしょう。
【段差を乗り越える際の注意点】
・段差に対して斜めにアプローチする
【駐車時の注意点】
・前進駐車:車止めとの距離を十分に取る
・バック駐車:後方のエアロが接触しないよう慎重に確認する
【走行時の注意点】
・坂道の頂点や谷底では車体の前後が地面に近づくため、ゆっくりと通過する
バンパープロテクター・カバーの活用
バンパープロテクターは、バンパーを守ってくれる便利なアイテムです。
次のようなメリットがあります。
・エアロの下部分についてしまった擦り傷を隠せる
・あらかじめエアロに傷ができるのを防止できる
・両面テープで装着できるものが多く、取り付けも容易
・カラーリングが豊富で車のボディカラーに合わせて選べる
専門的な工具や技術がなくても自分で取り付けられるため、手軽にエアロを保護できます。修理後の再発防止だけでなく、新車時から装着しておくと、エアロパーツを傷から守れます。
まとめ
エアロパーツに傷や割れが生じた場合は、見た目だけでなく安全性の観点からも速やかな修理が必要です。放置すると走行中の振動でひびが拡大し、パーツ脱落による重大事故につながるリスクを抱えた状態であることを忘れてはいけません。
エアロに傷や割れをみつけたら、まずは信頼できる修理業者に相談して早めに対処しましょう。
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