00年代軽自動車の魅力を語らせてほしい vol.1:Fun to Drive編

目次
1.■筆者、サブ車が欲しくなる 2.■中古車サイトを安い順で並べると語りかけてくる“00年代軽自動車”の魅力 3.■酷道から車中泊までオールラウンダー スズキ・Kei(2008年式) 4.■コンパクトカーじゃなくてもこれで十分…ホンダ・ゼストスポーツ(2007年式) 5.■軽自動車界の風雲児!親しみやすいのにマニアック 三菱・アイ(2006年式)

■筆者、サブ車が欲しくなる

令和5年がはじまって約1ヶ月。

筆者は平成2年生まれの32歳。

目上の人からは「まだまだ若いネェ〜」と言われて少し安堵し、初代プリキュアやJ31型の日産ティアナが誕生20周年といわれ、信じられずに腰が痛くなってくる。

愛車のカローラは1998年式車。

今のところ故障知らずではあるものの、走りはじめると見た目以上に“ネオクラシックカー”に片足を踏み入れはじめたような実感はある。

古いクルマを維持していくには毎日エンジンをかけるのも大切なことのひとつだと感じつつも、行く場所や用途によって低年式車ですべてをまかなう必要もないような気がしていた。

なにより、イギリス製のカローラは販売地域の特性上からエアコンレスなこともあり、年々暑くなる日本の夏を走りぬくためにどうしても、サブ車が欲しくなってしまうのだ。

若者のクルマ離れが叫ばれる昨今、公共交通機関に困らない地域でクルマを一人で複数台所有することは本当に贅沢なことだと思うが…。

良いじゃないか、そのために働いているのだから。

そんな気持ちは以前からあり、筆者はメインカローラの他にサブ車でクルマを所有している。

だが、安くて経済的なことだけを理由にクルマを選べないのはマニアのサガかもしれない。

筆者は国産車なら割となんでも大好きだ。

昔クルマに関係ない媒体のインタビューで「なんでもクルマが好きってことは、僕ら一般の男性目線でいうなれば街中に好みの女性がウヨウヨしているような感じですか?」と質問を投げかけられたことがある。

そのときは受け流したが、今だから答えて差し上げよう、その通りだ。

だがもし仮に、よだれが出るようなレア車が運よく手に入り毎日乗るとなれば…。

保守部品の確保を含めて少し神経質な気持ちになることはすでに自己診断済みだ。

そういった沼に嵌らず、かつ買いやすく、維持しやすく、昔から好きなクルマ…。

いやいや、あるじゃないか。

筆者はすかさず中古車サイトを「安い順」に並べて検索をする。

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■中古車サイトを安い順で並べると語りかけてくる“00年代軽自動車”の魅力

現在筆者がメインとして使っているカローラには、キーレスも電動格納ミラーもパワーウインドウも装備されていない。

中古車市場にある“フル装備”の車両は輝いて見える(そもそも今どきフル装備を高らかに謳う中古車物件なんてあまり見なくなったが…)。

それどころか、掲載車を安い順で少し探せばHID・スマートキー・カーナビ位は余裕でついてくる。

古いクルマをメインで所有していると忘れがちだが、走行距離は10万キロ以下、車検付きで車体10万円未満で快適装備。

それが00年代の中古軽自動車だ。

▲オートエアコンにHDDナビ、これで10万円未満なら十分すぎないだろうか

小学生のころから運転免許を取る18歳まで自転車で頻繁に通ったカーディーラー。

ショールームに並んでいたクルマたちも生産から十数年が経過し、今や底値を越えて鉄や希少金属・リサイクル部品として生まれ変わって久しいことだろう。

当然のこととしてわかってはいたが、その年月と事実に小さくため息が出る。

デビュー当初の魅力と現在味わう“00年代の軽自動車”として見つめ直し、その魅力を残していきたいと思ったのが記事を書いたきっかけだ。

第一弾は“Fun to Drive 編”としよう。

この、Fun to Driveというワードは決してワインディングを軽快に走ることだけを指していないと筆者は思う。

さまざまなシーンを気持ちよく走る性能があれば、まずそれはFun to Driveたらんとしていると感じる。

もし、生活を支えてくれるバランスの良い車が叶えてくれるならばなんて嬉しいことだろう。

今回は筆者が所有したなかで、これは走るのが面白かったな…というクルマを紹介していきたい。

もし、もっとこんな軽自動車も面白いよ!というのがあればこっそり教えて欲しいものだ。

■酷道から車中泊までオールラウンダー スズキ・Kei(2008年式)

▲スズキのKeiという名前を誰かに説明する際「スズキの軽ってなんですか…?車種名で教えてくださいよ!」と一回くらいいわれるのはKeiユーザーのあるあるネタだ

1台目はスズキのKeiだ。

なんとなく憎めない相棒として日常に溶け込んでくれるクルマだが、そのポテンシャルは低くない。

正確にいうなれば、Keiは00年代ではなく1998年の登場から2009年まで11年間もの長きにわたって生産されたモデルだ。

それだけにエンジンや内外装の仕様は時代によって大きく異なる。

派生モデルのKeiスポーツやワークスなど、スポーティに性格を振った仕様から扱いやすい通常車までグレード構成も多様で、一概にKeiといってもさまざまな顔を持つ。

筆者が所有していたのはほぼモデル末期の2008年モデルでNA車。

軽自動車のNAだと若干非力な印象もあるが、マニュアルのトランスミッションと600キロ台後半の車重によってピュアな乗り心地を味わうことができるクルマだ。

最低地上高を高くしたクロスオーバータイプのボディのため、ちょっとした不整地でも気兼ねなく踏み込むことが可能だ。

もちろんジムニーのようなアクロバットな領域は難しいのだが、良好な燃費と積載性を考えるとバランスが良い。

このコンセプトを受け継いで後継のハスラーができ上がったことも頷けるものだ。

筆者はKeiを所有するまで比較的車高が低い車両に乗り続けていただけに、Keiが持つポテンシャルは自らの行動範囲をグンと拡げてくれることになった。

1日で300㎞以上走ることも少なくなかったし、軽自動車特有の揺れや車内騒音から受ける影響は決して小さくなかったのだ。

しかし、布団一式を常に携行し“疲れたらすぐ寝る、元気になったら走り出す”を実践することになったきっかけの1台だ。

筆者のなかでKeiを所有した経験が、中央ヨーロッパを自家用車で一周する挑戦に繋がっているのは間違いない。

新生活に向けたドライバーさんなど運転が好きで、日々のなかに小さな冒険を望んでいるならKeiは推していきたい。

20万円くらいまでの予算でもMT車で選べる個体はあるはずだ。

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■コンパクトカーじゃなくてもこれで十分…ホンダ・ゼストスポーツ(2007年式)

次に紹介したいのが2006年登場のゼスト。

Keiからは軽自動車としてのピュアな歓びを教わった。

しかし、keiの登場から約8年の年月は、軽自動車の開発において小さくないと教わったのがゼストスポーツの存在だった。

筆者が高校生のころ、実家に初代FITの中期型があった。

まだ運転免許を持っていないながらもその完成度には目を見張るものがあり「ホンダが本気で作ったコンパクトカーってすごい…」と感じさせられていた。

そんなさなか、フィットの代車でやってきたのが新車で登場したばかりのホンダ・ゼストだ。

いつも後席から眺めていたFITのインテリアと比べると「ちょっと狭いかも…」なんて当時は思っていたが、実際に所有することになってその印象は大きく変わった。

筆者が購入したのは2007年式のゼストスポーツ。過給機が付いた最上級グレードのWだ。

そもそも、装備がとても良い。

90年代のベーシックカーであるカローラやKeiと比較するものではないのかもしれないが、スマートキー(なんと同車のフラッグシップ、レジェンドと同一のキー!)、HIDヘッドライト、おまけに純正のHDDナビまでついてきた。

▲視認性のいいシンプルなメーター。普段90年代のクルマに乗っている筆者としては計器類がLEDで光ることすら嬉しい

フロントシートは大きなアームレストつきのベンチシートで、長距離は心も身体もラクチン。

後部座席は両側がダイブダウン格納されるタイプのシート。

リアハッチの開口部が広く、低床ボディと相まって使い勝手は良好。

乗用車でなくともむしろ軽ワゴンだからこそといったレイアウトはかなり気に入るものだった。

エアロとターボが装備されたゼストスポーツは若干足回りが固い印象をうけるものだったが、剛性感は当時の軽にしてみれば悪くなく、2006年度のJNCAP試験で運転席と助手席の総合評価で軽自動車唯一の6スターを獲得しているのも頷ける。

もちろんクルマも自分の運転も過信してはいけないが、嬉しい装備と過給機がついたエンジンの存在により、日々の運転はとてもFunな経験となった。

■軽自動車界の風雲児!親しみやすいのにマニアック 三菱・アイ(2006年式)

3つ目におすすめしたいのは三菱のアイ。

2006年に登場して2014年まで生産されていたクルマだ。

そのコンセプトは強烈で、ダイムラー社のスマートやルノーのトゥインゴなど、世界に通用するシティカーの素質と日本の軽自動車に対する問いかけを、その完成度から伺うことができる。

走りの面で特筆すべき点はその小回り。

ホイールベースは2,550mmとフェアレディZやヤリスクロスなどと同一でありながら(駆動方式もホイールサイズも異なることは認めたうえでだが)RRレイアウトのボディに前後異径の14インチのホイールを履くアイは、グルグルとその場で旋回できるのは強烈な体験だった。

▲エンジンはトランクの下に配置。分厚い吸音材のハッチを開くと見えてくる。内装から見えるエンジンのギャップにときめく

昨今のN-BOXをはじめとした軽自動車の進化ぶりは大きく、比較してしまうと可愛そうなほどでもあるのだが、RRの独自のレイアウトは4人での乗車空間はしっかりと確保されている。

筆者が購入したグレードはMターボ。加速や巡航速度に関しては現代の軽ワゴンにも引けをとらない。

それどころかRR+後輪駆動+アイポイントの高い車両の加速感はあまり味わったことのないもので、これを体感するだけでも価値ある1台だ。

内装の造形感覚にも吟味とこだわりが感じられる。

シートやドアトリムなども加飾して魅了するのではなく、素材の良さを楽しむことができるデザイン。

スペース効率を上げようと、なるべくワイドにインパネを見せようとする軽自動車が多いなか、アイのインテリアやインパネのレイアウトはあえて求心的に作られているようにも感じ、フロント席に座るとどことなく“包まれ感”すら感じる。

ワンモーションの軽自動車は今や数多いが、「このクルマならでは」があちらこちらに備わっているのもアイの良いところだ。

と、今回紹介した車は2023年現在、10~20万円台で狙えるクルマばかりだ。

(実際に筆者はこの3台の車体をそれぞれヒトケタ万円で購入している)

もちろん年数は経っているのでメンテナンスは必須なのだが、それを差し引いてもリーズナブルだといえるのではないだろうか。

底値の軽自動車たちは今が狙いどき。

次回は生活をちょっとだけ“アップ”してくれる…。そんな00年代の軽自動車を紹介していきたい。

[ライター・撮影/TUNA]

 

 

 

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