「房走祭」に世界の名車が500台集合!「THE MAGARIGAWA CLUB」がグランドオープン

目次
1.■「THE MAGARIGAWA CLUB」とは? 2.■イベントへのご招待 3.■予想を超越した天上界 4.■ホテルのようなホスピタリティ 5.■刺激的なサーキットタクシー 6.■愛車でヒルクライム体験 7.■クルマ好きの聖地に

アジア初の会員制ドライビングクラブとして、コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドが建設を進めていた「THE MAGARIGAWA CLUB」(ザ・マガリガワクラブ)がついに完成。

2023年7月29日と30日には、グランドオープニングイベントとして「房走祭」が開催された。

この「房走祭」のイベント初日に、筆者も車輌展示を兼ねて参加したので、その様子をシェアしてみようと思う。

■「THE MAGARIGAWA CLUB」とは?

コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドが運営する「THE MAGARIGAWA CLUB」は、千葉県南房総市に開業した会員制ドライビングクラブ。

せっかく高性能スポーツカーを買っても、その性能を存分に発揮できない状況にフラストレーションを感じていたユーザーは少なくないはず。

この施設はスポーツカーを存分に走らせたいユーザーにとってはたまらない施設となっている。

全長3.5kmのコースは、800mのストレートに加え、上り20%、下り16%勾配という峠道のような区間もあり、コーナー数は22。

標高差は実に250mというユニークさ。

F1サーキットの設計で知られるTilke Engineers & Architectsによるコースデザインは、地形を最大限に活かしたもの。

世界でも例を見ないプライベートサーキットとなっている。

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■イベントへのご招待

筆者も「一度愛車を走らせてみたい!」と思ったものの、入会費は正会員で3600万円といわれていた。

そのためまったく縁のない話と感じ、それ以来自分のアタマからは完全に抜け落ちていた。

そんなある日、一通のメールが届いた。

それは以前、筆者の愛車であるシトロエン BX 4TCの撮影でご一緒した方からのメールだった。

驚いたのはその内容。

なんと「THE MAGARIGAWA CLUB」のオープニングイベントである「房走祭」で車輌展示をしませんか?というお誘いだった。

訊けば、「ヒルクライムドライブ」としてコースを実際に走行できるとのこと。

しょせん夢物語だと思っていたスポーツ走行が現実になるとはまったく想像していなかったので、まさに思ってもいない朗報だった。

ただ、ひとつだけ問題があった。

うちのクルマは車検切れのため、現地まで自走できないのだ。

せっかく良いオファーをいただいたのに、なんという不甲斐なさ。

「あぁ、なんてことだ!」と、天を仰いだのはいうまでもない。

仕方ないので正直に事情をお話して、お断りすることにした。

すると、なんと積載車についても対応してもらえるとのこと。

敷地内の走行についてはなんら問題はないので、これなら参加できるかもしれない。

そこで「旧車王ヒストリア」のライター仲間でもある、旧知の中込健太郎さんに連絡。

すると、その日は予定が空いているとのこと。

そこで中込さんの積載車でうちのクルマを運搬し、私も同乗して現地入りすることにした。

■予想を超越した天上界

2023年7月29日のイベント当日、予定通り中込さんの積載車に車輌を積み、現地へ向かった。

中込さんと筆者はクルマの趣味が似ていていることもあり、アクアラインの渋滞がまったく気にならないほどクルマトークが炸裂。

あっという間に到着した。

東京都心から約1時間という触れ込みは、確かにその通りだった。

のどかな田舎道を進んだ先に突然現れた「THE MAGARIGAWA CLUB」は、まさに山を開拓して整備された途方もない施設だった。

入口の先で積載車から車輌を降ろし、シトロエン BX 4TC単体で頂上のクラブハウスを目指す。

コースに沿って走る側道は、途中まではなだらかな上り坂が続くものの、最後の急坂セクションがすごい。

うちのシトロエン BX 4TCは、フラットな燃料タンク形状のため急坂で燃料が途切れがちになる。

そんなクルマにとっては鬼門といえる急勾配だ。

この時点でコース走行に若干不安を感じてしまった。

そんな急勾配をなんとかクリアしてクラブハウスに到着すると、そこには別世界が広がっていた。

クラブハウスの周辺には車輌展示を行うクルマたちが受付のため多数集まっていた。

驚いたのはそのラインアップ。

まず、フェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレンは当たり前。

都内でメルセデスやBMWを見るような感覚だ。

もちろんポルシェもRS系しかいないような感覚。

さらにポルシェ 959とかジャガー XJ220のような、レアモデルが普通に集まっている。

日本車もホンダ NSX-R、日産 GT-R NISMO、トヨタ・メガクルーザーといったクセの強い車種ばかり。

あまりにも刺激が強すぎて、朝イチの時点で感覚が麻痺してしまった。

幸いなことに、以前取材させていただいたメルセデス・ベンツ 190E 2.5-16 Evolution IIにお乗りのGさんのグループと一緒になった。

グループBとグループAエボリューションモデルというホモロゲモデルの並びが実現し、ようやくアウェイ感から脱することができた。

心強い仲間の存在は本当に重要である。

レアな車輌と同じくらい驚いたのがスタッフの運転スキル。

受付を済ませたら、参加者はクラブハウス内に移動。

あとは自分のコース走行の順番が来るまでゆったり飲食をしながら待つという趣旨だった。

そのため、車輌はスタッフがコース内の駐車位置まで運ぶという、ホテルのバレーパーキングのようなサービスを行っていた。

車輌を動かすスタッフは、トランスミッションの操作も駐車ブレーキの解除方法も1台1台異なるクルマをスイスイと動かしていく。

ハイドロニューマティック・サスペンションを備えるうちのBX 4TCも、車高が完全に上がってから移動させていた。

1台数億円クラスの車輌も珍しくないなか、ビビったり操作に戸惑ったりするスタッフが皆無だったことに驚いた。

いったい事前にどんなトレーニングを受けてきたのだろうか?

他人に愛車を預けることに抵抗感のある参加者も少なくなかったはずだが、このオペレーションを見たら、大切な車輌を安心して預けられると納得したことだろう。

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■ホテルのようなホスピタリティ

あまりにも刺激的な個体が多すぎて完全に麻痺してしまったので、クラブハウス内でゆっくり心を落ち着かせることにした。

しかし、その目論見は見事に裏切られた。

クラブハウス内も見どころ満載だったのだ。

なかでも1階のテラス席は、コースを走るクルマを見ながらソファでゆったりとした時間が過ごせる至福の空間。

エグゾーストノートを聴きながらまったりできるこのエリアは、何時間でもいられそうだ。

そして通常は正会員限定となるエリアも一部が開放され、バーラウンジではシャンパンが振る舞われていた。

しかし、運転を控えているため、シャンパンの優雅な泡立ちを横目に、ウィルキンソンの辛口ジンジャエールでやり過ごさなければならないのは本当に辛い。

このときはさすがにコース上での運転を恨めしく思った。

■刺激的なサーキットタクシー

そうやって施設見学をしているうちに、いよいよコース走行の順番となった。

まずはクラブハウスからコース内にあるトランスポーターのドライバーホスピタリティに移動。

そこでブリーフィングを受けたのちに自分のクルマに乗り込み、コースを1周するというものだった。

ちなみにコースへの移動はBMWとアルファードによるシャトルのみ。

コース内の移動は、タイの3輪タクシーとして知られる「トゥクトゥク」が担っていた。

よく見ると、ドライバーホスピタリティの前ではサーキットタクシーの乗車体験が行われていた。

これはラ・フェラーリ、ランボルギーニ・シアン FKP37、ランボルギーニ・チェンテナリオ・ロードスター、マクラーレン P1といった、超弩級のスポーツカーに同乗してサーキット体験ができるというもの。

乗車できたのは、一部のゲストと来場チケットで入場して当選した方のみだったので、残念ながら体験できず。

見た目にはかなりのハイスピードで周回していたので、機会に恵まれた人は相当に刺激的な体験だったことだろう。

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■愛車でヒルクライム体験

いよいよメインイベントのコース走行のときが来た。

駐車位置からヒルクライムのスタート地点までは、コース内をゆっくり走って周りのクルマたちを確認する。

すると、受付では見かけなかったモデルたちがたくさん並んでいることに気づいた。

「これらのクルマたちの総額は、ちょっとした国の国家予算に匹敵するのではないだろうか」と思いながら、白昼夢のような光景にまたもやアタマが真っ白になる。

そんな刺激的なクルマたちに目を奪われているの束の間、いよいよスタート地点へ。

1台1台間隔を空けてスタートするので、自分のペースでリラックスして走行できるのはありがたい。

コース脇にはギャラリーの方々もたくさんいるので、少し頑張ってスタートしてみた。

最初はほぼ直線が続き、最初の右コーナーを抜けると、そこからヒルクライム区間。

序盤の勾配はキツくないので比較的ハイスピードでクリアできるが、問題は最後の20%勾配。

連続するコーナーを抜けていくと、目の前に絶壁のように現れるのだ。

「燃料供給が途切れませんように!」と願いつつ慎重にアクセル操作をして、急坂をなんとかクリアすることができた。

しかし、ホッとしていたのも束の間、ふと後ろをみると筆者のあとにスタートしたアルファ ロメオ ジュリエッタ・スパイダーがすぐ背後に迫っていた。

再びペースを上げて後半のコーナーをクリアしたが、本当にあっという間の走行体験だった。

走行した印象は、かなり攻略し甲斐のあるコースということ。

特に後半のヒルクライムセクションからクラブハウス前の区間はアップダウンとブラインドコーナーの連続で、走り込むことでタイムアップにつながる印象を受けた。

街中で運動不足気味のスポーツカーはもちろん、サーキット専用車などは持てるパフォーマンスを存分に発揮することができるはず。

「THE MAGARIGAWA CLUB」では車輌保管サービスもおこなっているので、ここにサーキット専用車を置き、好きなタイミングに走らせるような環境を実現できる方にとっては、極上のスポーツドライビングが愉しめるだろう。

■クルマ好きの聖地に

コース走行後に改めて展示車輌を観に行ったところ、アメリカ車を含む世界の名車たちが幅広いカテゴリーで展示されていたことに気づいた。

コース走行をしない展示車輌も少なくなかったので、このイベントのために多くの方々が協力したことは想像に難くない。

これまで貴重なクルマたちの海外流出が止まらない状況を見てきただけに、ここに集まったクルマたちに大いに勇気付けられたのも事実。

これだけの車種が集まるイベントが実現できるということは、日本のクルマ好きパワーはまだまだ健在ということ。

もちろん「THE MAGARIGAWA CLUB」自体は、一部の限られたメンバーのための施設であることはいうまでもない。

しかし、このようなイベントを定期的に開催することで、走る人も観る人も楽しめる「クルマ好きの聖地」となることを願いたいものだ。

[ライター / 北沢 剛司 画像 / 北沢 剛司、中込健太郎]

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