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旧車は特別な雪道対策が必要? 冬場に注意したいポイントを徹底解説
旧車の魅力と知識 25.11.11

旧車は特別な雪道対策が必要? 冬場に注意したいポイントを徹底解説

旧車で雪道を走行する際は、現代の車以上に対策を立てておくことが重要です。雪道は車にとって大きな負担になるため、十分な対策のないまま運転すると不具合のみならず事故にもつながりかねません。 一方で、乗ってこその車という観点で考えると、雪だからといって過度に心配をしてガレージに眠らせておくのはもったいないともいえます。 雪という特別な景色のなかで眺める旧車は、普段とは違って格別なものです。そこで、大切にしている旧車を守りつつも、雪道のドライブを楽しむための対策を詳しく紹介します。 旧車に特別な雪道対策が必要な理由 路面が滑りやすく気温の低い雪道は、通常の走行環境とは大きく異なります。特に設計の古い旧車では、現代の車以上に影響を受けることも少なくありません。 まずは、旧車で雪道対策をすべき理由を、4つの観点でみていきましょう。 車体の傷みが進行しやすい 一見きれいに見える雪ですが、大気中の多くの不純物を含んでいます。さらに、雨と違って車体に降り積もり、溶けるまで車体に付着し続けるため不純物の影響を受けやすいのです。 雪が降ると、とても車体が汚れるというのは実体験で実感している方も多いと思います。塗膜やゴムや樹脂パーツが劣化して弱い状態になっている旧車だと、酸性の不純物の影響で一気に傷みが進みかねません。 さらに雪道で旧車の大きな敵になるのが、凍結防止のために道路上にまかれている融雪剤です。融雪剤として使用されている塩化カルシウムは、車体に付着するとサビを進行させます。 設計が古いため雪で性能が低下しがち 車種にもよりますが、現代に比べて車体の基本設計が古い旧車で雪道を走ると、十分な走行安定性が得られないケースもあります。 前後重量配分やサスペンション、ブレーキといったクルマの安定性に直結する各部の性能が低いため、雪道だと挙動が不安定になりがちです。 また、気温低下によるエンジンへの影響も、旧車のほうがより顕著に出ます。エンジンは、ある程度の熱をもった状態で使用されることを前提に設計されているためです。雪が降る低温下では、エンジン本来の性能を発揮し切れません。 特に、設計が古く長年の使用でエンジン各部の摩耗や劣化が進んでいる旧車では、通常使用の温度から離れるほど性能の低下を招きやすいといえます。 電子デバイスがあまりない 年式にもよりますが、旧車には安定した走行をアシストしてくれる電子デバイスがあまり装備されていません。走行が不安定になりがちな雪道では、トラクションコントロールや横滑り防止装置、ABSといった電子制御の有無が安全性に直結します。 路面との摩擦が低くなるため、丁寧にアクセル操作をしないと車輪が空転してしまいますし、いつもどおりのブレーキングだとすぐにロックしてしまって危険です。旧車で雪道を走る際には、車輌状況を的確に掴んで繊細な操作が求められます。 事故や故障をすると補修部品が入手しにくい 修理の際の補修部品が入手しにくい点も、旧車オーナーが雪道を走るうえで意識しておくべきポイントです。滑りやすい路面では、どうしても事故のリスクが高まります。また、安全運転をしていても、もらい事故に遭わないとも限りません。 また、いつもとは違う温度環境での走行のため、思わぬ故障が発生することもあります。特に、弱いバッテリーを始めとする電気系統、ゴムや樹脂パーツは低温に弱い部分です。 絶対に押さえておきたい旧車の雪道対策 旧車で雪道を走行する際は、不調や故障、事故につながるリスクを最小限に抑えることが重要です。長年の使用によって各部の劣化は避けられないため、車に大きな負担のかかる雪道で無理をすると思わぬトラブルにつながりかねません。 雪道を走行するにあたって、必ず準備しておくべき対策を詳しく紹介します。 スタッドレスタイヤを履く 旧車に限ったことではありませんが、雪道を走行する際は最低限スタッドレスタイヤは装着しておきましょう。特に設計の古い旧車では、わずかな雪でも不安定になるおそれがあります。 また、スタッドレスタイヤを使用する際は、製造からの経過年数も重要なポイントです。ゴムが硬化して柔軟性を失うと、雪道でのグリップ性能が著しく低下します。十分にタイヤの溝が残っていても、3~5年を目安に交換してください。 チェーンを用意しておく 旧車で雪道を走る際は、チェーンも用意しておくことをおすすめします。スタッドレスタイヤは、雪上に水分がないと十分に能力を発揮できません。ABSやトラクションコントロールといった電子デバイスの備わっていない旧車では、現行車よりもさらに限界は低くなります。 水分のあまりない新雪や完全な凍結路を走行する際には、チェーンがないと危険です。また、2018年に導入された「チェーン規制」区間では、そもそもスタッドレスタイヤを履いていてもチェーンを装着しなければ法律上走行できません。 可能ならブレードごとワイパーを交換 劣化したワイパーを使用していると、雪の降る低温下では十分に窓を拭けないこともあります。十分な性能が発揮できないと、降雪時の視界確保ができず危険です。 また、ワイパーゴムを窓に押し付けるワイパーブレードが劣化していると、同様に十分な拭き取り性能を発揮できないおそれがあります。 旧車の場合は部品の調達が困難なケースもありますが、可能な限りワイパーゴムとブレードを合わせて新品に交換しておきましょう。自分の車種に合うモデルがあれば、雪用のワイパーを購入するのもおすすめです。 ヘッドライトを明るいものに変更 夜間に雪道を運転する可能性のある際は、ヘッドライトの交換も検討してください。多くの旧車で使用されるハロゲンランプは、時間の経過とともに明るさが失われていきます。雪によって光が乱反射や吸収をされてしまうと、いつも以上に暗く感じるため注意が必要です。 また、レンズ部分の劣化によっても光量が不足するため、可能な限り汚れやくすみを取り除くこともヘッドライトの明るさ確保につながります。さらに万全を期すのであれば、HIDやLEDといったハロゲンランプ以外の選択肢も検討してください。 十分な暖機運転をする 設計の古い旧車のエンジンでは、冷間時のオイルの循環に時間がかかるものも少なくありません。特に雪が降るほど寒い環境ではオイルの粘度が高くなるため、より時間がかかることもあります。 中でもキャブレター車は、低温時には燃料が十分に気化しません。ある程度エンジンを暖めて、アイドリングが安定してから走行を開始してください。 環境への影響もあるため過度に長い暖気は不要ですが、走行開始後もしばらくはエンジンに負荷をかけないことが重要です。しっかりと暖まっていない状態で急に高回転を使用すると、エンジンに大きな負荷がかかってしまいます。 暖気不足だけですぐに故障することはあまりないとはいえ、ダメージの蓄積によって致命傷を引き起こしかねません。寒い環境で運転する際は、いつも以上にエンジンをいたわる意識が大切です。 融雪剤(塩化カルシウム)は旧車の天敵 雪や凍結によるスリップの防止に大きな力を発揮する融雪剤ですが、旧車に大きなダメージを与える要因でもあります。また、実際に降雪していなくても融雪剤が使用されるケースもあるため、すべての旧車オーナーは融雪剤に対する対応が必要です。 融雪剤が車にダメージを与える理由と対策についてみていきましょう。 金属に付着するとサビが進行する 塩化カルシウムによってサビが進行しやすい理由は、強い吸湿性で水分を含んだまま乾きにくいためです。サビは、水と酸素が鉄に付着することで発生します。融雪剤によって長時間水分が鉄に付着し続けるため、一気にサビが進行するのです。 融雪剤によるダメージは旧車に限ったことではありませんが、経年劣化によって塗膜が弱くなっている旧車の場合はより顕著に影響が出ます。特に下回りやマフラー、ボルト・ナット類は被害を受けやすい箇所です。劣化した塗膜の隙間に入り込むと、腐食が進んでしまいます。 冬が来る前に塗装の状態をチェックしておく 冬が到来する前に、塗装に剥がれや傷みがないか入念に確認しておくことをおすすめします。冬になると、事故防止の目的で雪や凍結がなくても融雪剤が撒かれるケースが多くなるためです。たとえ雪道を走らなくても、融雪剤がボディに付着するとサビが進行します。 ボディ表面はもちろんですが、融雪剤が付着しやすい下回りも可能な限り塗装状態を確認してください。塗装が剥がれている場合は、シャーシブラックや防錆スプレーを塗布して保護しておきましょう。 雪道走行後は下回りを中心に洗車をする 雪道を走った後は、できるだけ早く洗車することが大切です。融雪剤が付着すると、わずか数日でもサビが進行するケースもあります。 特に下回り・ホイールハウス内、マフラー周辺は念入りに洗い流してください。寒い時期の洗車は億劫になりがちですが、大切な旧車を守るために雪道走行後は速やかに洗車をしましょう。 また、どうしても手洗い洗車が難しい場合は、洗車機の下回りメニューの活用でも構いません。少しでも車に付着する融雪剤を落として、サビの進行を食い止めることが重要です。また、洗車後は念入りな拭き上げをして、十分に乾燥させてください。 ポイントさえ押さえれば旧車でも冬を楽しめる(まとめ) 設計が新しく、さまざまな装備の整った現代の車に比べると、旧車が雪道に弱いのは事実です。 一方で、旧車の時代にも当然雪はあったため、しっかりとした準備やケアをすれば雪道でも問題なく走行できます。 冬景色のなかを疾走する愛車は、いつもとはまた違った雰囲気で魅力的です。雪道対策をしっかりと施して、ぜひ雪道のドライブを楽しんでください。

“一生モノ”の旧車「1970年式ポルシェ911S」までの出会いと愛車遍歴。そして別れを考える
旧車の愛好家たち 25.10.10

“一生モノ”の旧車「1970年式ポルシェ911S」までの出会いと愛車遍歴。そして別れを考える

はじめまして、輸入車・旧車を専門とするライターの松村透です。 いくつかの自動車専門メディアで執筆しておりますが、この旧車王マガジンでは旧車の所有者に取材し、旧車を愛する方々の「そうそう、あるある」をお伝えしていきたいと思っています。 記念すべき初回は、私とこれまでに所有してきたクルマたち。そして、運命の出会いを果たした愛車「1970年式ポルシェ911S」ついて紹介します。 また本企画である、決して手放すつもりのない愛車と「もしも別れることになったら」についても考えてみます。 はじめに 日々、さまざまな自動車関連メディアで旧車を長年にわたって大切に所有しているオーナー様を取材する機会があります。 そういった方々は基本的には手放したり、乗り換えたりするつもりはありません。まさに「一生モノ」「アガリのクルマ」と考えているものです。 そんなオーナーの方に「現在の愛車との『別れ』を、あえて考えてもらう」という企画を不定期で実施していきます。 今回は私自身について、自己紹介を兼ねてお話いたします。 オーナープロフィール 松村透。年齢は50代、職業は自動車関連メディアの編集兼ライターです。 所有するクルマは、1970年式ポルシェ911S。 所有歴は13年、オドメーター上は9万7千キロ、手に入れてからは7千キロ程度です。 クルマが好きになったきっかけ 実はクルマ熱に火が点いたのは中学生になってからなので、どちらかというと遅咲きでしょうか。 ちょうど初代シーマがデビューしたり、スカイラインGT-Rが復活したり、ユーノスロードスターが登場した頃です。 まさにバブル全盛期。 日本車が新たな時代に入ったタイミングで、書店の自動車コーナーはいつも人がいっぱいで、さまざまな雑誌が山積みになっていた記憶があります。 クルマが好きになり、そのなかでも特にドイツ車に興味を持ちました。 そのきっかけは、1990年4月~1992年3月にTBSでオンエアされていた『所印の車はえらい』というテレビ番組。 高級チューンドカー大会という特集でABTアウディ90、BMW525シュニッツァーコンプリート、ポルシェ911964)ゲンバラコンプリート、メルセデス・ベンツ 500SLAMGコンプリートを、所ジョージさんと夏木陽介さんが乗り比べるという内容でした。 このとき、夏木陽介さんが「メルセデスは床が厚い」とおっしゃっていたことが強く記憶に残りました。 「それってどういう意味なんだろう」と興味を持ったのが原体験かもしれません。 ポルシェに興味を持ったのも同じ頃でした。 所ジョージさんが監修したアメ車専門誌『Daytona』が創刊されたのです。 『Daytona』編集部の方が新車の911ターボ(964)を購入し、そのレポート記事を読んだことがきっかけです。 「ポルシェの神様」と呼ばれていたメカニックの方とのエピソードや、マフラーのテールパイプを真っ白にする乗り方があること、慣らし運転ひとつでエンジンのコンディションやパワーに差が出る…などなど。 新車のインプレッション記事とはまったく異なる切り口に夢中になりましたね。 それからほどなくして、幼馴染みのアルバイト先の社長がポルシェ911を所有しているということを知りました。 幼馴染みに頼み込んで、自分もアルバイトとして採用してもらうことになりました。 アルバイト先の雰囲気にも少しずつ慣れてきたある日曜日、社長から連絡があり「ポルシェのディーラーに行くけど乗ってく?」と連れて行ってもらえることになったのです。 このときはまだ高校3年生。まさか人生初の輸入車ディーラー訪問がポルシェになるとは…。 緊張しっぱなしだったところ、セールス担当の方のご厚意で、911の試乗車に同乗させてもらえることになったんです。 忘れもしない964型の911カレラ2 MT、ボディカラーはルビーストーンレッドでした。 メカニックの方の運転でポルシェのディーラーを飛び出したカレラ2、背後で吠える空冷フラットシックスエンジン、横断歩道のわずかな段差がはっきりと伝わってくる乗り心地。 いままでに乗せてもらった、どのクルマともまったく違うフィーリングに一瞬で魅せられてしまったのです。 まさに自分自身のその後の人生が決まってしまった瞬間でした。 この日から、寝ても覚めても考えるのはポルシェ911のことばかり。 特集が組まれた雑誌を片っ端から手に入れ、カーグラフィックTVの911特集はビデオテープがすり切れるくらい観ました。 これまでの愛車遍歴 初の愛車は24歳のときに手に入れた「1973年式ポルシェ911S」です。 どこぞのボンボンだと勘違いされてしまいそうなので補足しておきますと、100万円の頭金と60回ローンを組んで購入。 とはいえ、人生初の愛車が旧車ということもあり、維持するのが辛くなって短い期間で手放してしまいます。都内のショップから自宅まで1→2速で帰ったのも懐かしい思い出です。 このクルマを所有したことが後の人生に大きな影響を及ぼすことになります。 次に手に入れたのがパジェロ イオの3ドアです。 まったく違う路線ですが、急ぎクルマが必要な事情があって、近所の三菱ディーラーの中古車センターに並んでいたのを手に入れました。 懐かしのGDIエンジン搭載車です。 このエンジンはハイオク指定でしたが、どうも納得がいかずにケチってレギュラーガソリンを入れたところ、坂道でノッキングするようになり…。仕方なくハイオクを入れていた記憶があります。 次に乗り換えたのが、父と共同所有のパジェロショートです。父がパジェロ好きで、それならば本家に乗り換えようということになりました。 ちょうど三菱のリコール隠しが発覚した時期で、土曜日のショールームなのにお客さんが誰もいなくて、ディーラーでとても感謝された記憶があります。 V6 3.5リッターGDIエンジンはすこぶる快適で、大柄なボディの割に7〜8km/L走ってくれるし、3年間で6万キロも走らせてしまうくらい気に入っていました。 その次に三菱コルトに乗り換えます。パジェロの維持費が私には厳しく、コンパクトカーに乗り換えました。 「ビームエディション」という特別仕様車でした。よくできていたクルマなのですが、私には刺激が少なく物足りなく感じました。 ちょうど2回目のリコール隠しが発覚した時期と重なり、国道を走っているとトラックがスーッと車間を開けるんですね。避けられていることが分かるんです。 これで気持ちが冷めてわずか半年で乗り換えることにしました。 次に乗り換えたのがゴルフ4ワゴンです。勤め先の社長がゴルフ4GTIに乗っていて、これは中古車でも高くて手が出ないため、デザインが好きなワゴンを買うことにしたんです。 4年落ちの中古車でしたが、ドイツ車らしさを味わいました。 1度、外出先でエンジンが掛からなくなってしまい、レッカー車にお世話になったこと、エンジンオイルの警告灯が点灯してディーラーに入庫した以外は大きなトラブルもありませんでした。 次に入手したのがゴルフ5GTI。ゴルフ4ワゴンをディーラーに預けたとき、たまたま試乗するという運命のいたずらによって手に入れることになります。 DSGの電光石火のシフトチェンジに心を持っていかれました。たまたま3月末の決算期ということもあり、純正ナビが無償で装着されることを知り即決しました。 このクルマでは、暇さえあれば遠方にドライブしました。mixiで知り合ったポルシェ仲間とのツーリングもこれで行きました。 皆さんがポルシェに乗っていたのが羨ましかったことを覚えています。 次に乗り換えたのが、ゴルフ6R。初のゴルフRです。 当時はゴルフで500万円かよ!なんてツッコまれたものですが、いまやゴルフRも800万円クラスですからね…。 OPのレカロシートを装着して快適だったけど、運転する楽しさや刺激の度合いは5GTIの方が上でした。 このゴルフ6Rを所有していた24歳のときに、一度手に入れた1973年式ポルシェ911Sを買わないかという話をいただき、清水の舞台からダイブする思いで手にいれることになります。 そんなこともあって、ゴルフ6Rを所有していたのは2年ほどでした。 この頃から、もう1台のクルマを手に入れ2台体制となります。 二十歳のときから、いつか手に入れたいと思っていたユーノスロードスターVスペシャルを29万円で購入しました。 見た目は綺麗な個体だったんですが、クラッチが滑る、エンジンのオイル漏れなどのトラブル続きで…。最初の2年くらいは修理ばかりしていました。 ヤフオクなどを駆使してできるだけ安く抑えつつ、若いときに果たせなかった自分の理想のロードスターに仕上げた思い出深い1台です。 そしてこのタイミングで1973年式ポルシェ911Sを手に入れます。2012年のことです。空冷バブルが起こりはじめていた時期ですね。 完成までになんと7年半を費やすことになります! 1973年式ポルシェ911Sが完成したらロードスターと趣味車が2台体制になってしまうため、泣く泣くロードスターを手放し、中古のゴルフ6ハイラインに乗り換えます。 地元の先輩がゴルフ6に乗っていたこともあり、遅まきながら素のゴルフの良さに気づいたんです。メーカー認定中古車だったため、程度は上々でした。 フリーとして独立した直後で、取材もこれで行っていました。 良いクルマでしたが、あまり記憶がないのは独立直後で日常に忙殺されていた時期だったからかもしれません。 地元のVWディーラーに就職した後輩から「ディーゼルゲート事件絡みで手放した程度の良いゴルフ7があるから観に来ません?」と連絡を受けたのが、またしても運命のいたずらか。 いつの間にかゴルフ7の特別仕様車「ラウンジ」に乗り換える話に。 「ローンの審査をクリアしたらね」と念を押したのですが、まさかの審査通過。 とにかくVWが売れない時期だったこともあり、破格の条件で乗り換えることとなりました。 いまの妻と知り合ったのもこのクルマに乗っているとき。さまざまな思い出が詰まった1台です。 結婚して子どもが生まれ、そろそろウチもミニバンか!? ということで、メーカー認定中古車のゴルフ トゥーランに乗り換え。 先述の後輩が頑張ってくれたこともあり、今回も破格の条件で手に入れることができました。 納車早々、大雨のなか家族で伊勢神宮まで旅行したのも懐かしい思い出です。 ただ…トゥーランに乗り換えた2年後、下の子が生まれたのを機に、奧さんが「私もミニバンを買う!」と言い出し、新古車の日産セレナを購入。 家族での移動は、もっぱらセレナでとなります。 約1.6万キロで購入したゴルフ トゥーランも、気づけば約8万キロに。 10万キロあたりでそれなりの修理が必要になってきそう…ということもあり、リセールがあるうちに…という思いと、久しぶりにステーションワゴンに乗りたいということで、パサート ヴァリアントの認定中古車に乗り換えます。 人生初のディーゼルエンジン車。 「移動がラク・飛ばす気にならない・ゆったり乗りたい」という希望をすべて叶えてくれたクルマです。 いまの愛車の存在を知ったきっかけ 忘れもしない2012年のことです。 いまもお世話になっている主治医の工場の片隅に、ナナサンカレラ仕様・エンジンレスの状態で置かれていた1973年式ポルシェ911Sを「松村くん、買わない?」とのオファーを受けたのがきっかけです。 ボディは修復するから好きな色に塗って良いよ、エンジンは3.2カレラあたりのものを載せる予定だよ、とのこと。 金額を教えてもらったら頑張れば買えなくもないけれど、実はこのとき、別の911を買うつもりで現車確認も済ませていたのです。 GWが終わった5月半ばの週末、ポルシェ仲間の二人が某誌の取材を受けるということで同行させてもらいました(このときは完全にいちギャラリーです)。 そこで「やっぱり自分も乗りたい!」というテンションになり、現車確認を済ませていた911を契約すべくお店に連絡したところ、すでに売れてしまったとのこと…。 こうなったらヤケだ!と、勢いで主治医のショップに連絡をして「1973年式ポルシェ911S買います!」と伝え、頭金+72回ローンを組んで契約しました。 ボディカラーは悩みに悩んで24歳のときに購入した1973年式ポルシェ911Sに近い「パステルブルー」をチョイス。 ちなみに、この時代のポルシェの純正色です。のちに主治医から「プラレール号」と命名されることになります。 見た目のナナサンカレラ仕様はそのまま活かすことにして、エンジンは頼み込んでメカポン(メカニカルポンプ)にしてもらいました。 ノーマルの2.2Lではなく、エンジンを組んでもらう際にそれなりに手が入っています。 プラレール号(2号機)を手に入れた翌年あたりから、空冷バブルにより相場が上昇していくこととなります。あと1年遅かったら間違いなく買えませんでした。 プラレール号(1973年式ポルシェ911S)が納車された日のこと 私にとっての2代目1973年式ポルシェ911S「プラレール号」が完成した納車日をしっかりと覚えています。 2019年12月28日。 およそ7年半、その間に会社員からフリーランスになり、結婚して子どもが生まれ…と、これまでの生活パターンから大きく変化した時期でもありました。 ナローポルシェ仲間のKさんと緊張しながら主治医の工場の周辺を運転して工場に戻しました。 なぜ乗って帰らないのかって?このときは自宅に置き場所がなかったのです。 初代プラレール号は青空駐車で、日に日にクルマが傷んでいくのを見ていたので、今度は屋根付きの駐車場に止めたいという切実な思いがありました。 家族構成が変わったこともあり、奧さんとも相談した結果、プラレール号が保管できる場所を確保した家を建てることになりました。 その間、プラレール号は主治医のところに10ヶ月ほど居候させてもらいました。 プラレール号が完成した年は、1ヶ月に1度くらい乗りに行って主治医の工場の周辺をドライブして…という生活でした。 プラレール号が一生モノになるなと思うようになったのはいつか 正直「一生モノになるな」という確証はまだ持てていません。一生モノにするために、日々、必死に働いています。 こればかりは「なるようにしかならない」と思っているので、運を天に任せます。 愛車との一番の思い出について どれかひとつというなら、7年半掛かってプラレール号が完成して、その後1年間主治医のところに居候して、ようやく自宅が完成してガレージに収めた瞬間ですね。 ようやく安心して止められる場所が確保できたのと、自宅の敷地内にプラレール号があるという安心感。 長年の夢がかなった瞬間でした。 何しろ、プラレール号ありきでガレージを造ったので、大きなクルマは入りません。992型もギリギリだと思います。 これまで愛車を手放そうと思ったことは? 実はごく最近の話です。 先日車検から戻ってきたんですが、その費用が想定外に掛かってしまい「これが2年に1度はさすがにしんどいな…」と思ったことは事実です。 一瞬ですが「さすがにもう無理かも」という考えが頭をよぎりました。しかし、いまプラレール号を手放したら2度と買えないことは分かっていますし、これまで経験していないような喪失感に襲われるかもしれない、という怖さもあります。 家族がいちばん大切な存在であることは間違いないんですが、プラレール号は、「別名保存」な存在なんです。 これはこれでなくてはならない存在です。この感覚、男性の方なら理解してもらえるんじゃないかと…。 欲しいクルマ、乗ってみたいクルマ、買いたかったけど諦めたクルマ 欲しいクルマ プラレール号を手放してまで乗りたいというクルマは思い浮かばないです。 同じような考えをお持ちのオーナーさんを取材することはよくありますが、私もようやくこの境地に達することができました。 もし増車できるなら、最新モデルの911を手元に置いておきたいですね。 1世代前になってしまいましたが、去年(2024年)911ダカールに乗る機会があって、不思議と印象に残っているんです。 水冷911で「街中を走らせるだけでも楽しい」と初めて思えたモデルでした。 乗ってみたいクルマ まっ先に思い浮かんだのがポルシェ959です。 プラレール号の主治医から「959の真骨頂が、2つ目のターボが効いたところから」と伺っているので、その感覚を味わってみたいです。 でも、スペックだけでいえば、現行モデルの方が上回っているんですよね。時代の流れを感じます。 あと、人生のうちであと1回、ボロボロのクルマをレスキューしたいと思っています。 1台目はユーノスロードスター(ボロボロではありませんでしたが、年式相応にくたびれていました)、2台目がこのプラレール号。 3台目は何になるんでしょうね。時期とタイミングがくれば直観的に「これだ!」って分かるような気がします。 買いたかったけど諦めたクルマ 数え上げればキリがありませんが、スカイラインGT-R(BNR32)はとうとうご縁がなかったようです。 20代前半の頃、無理すれば買えたかもしれないというチャンスが何度かありました。 中古車としても少しずつこなれてきていましたし、さまざまなチューニングショップでもスカイラインGT-Rを扱っていましたから「お金さえあれば」ハイパワーのGT-Rに乗れた時代だったと思います。 いまではすっかりオリジナル志向になってしまったし、ベース車両が高くなりすぎましたよね。 2010年あたりまでは100万円以下のスカイラインGT-R(BNR32)なんてゴロゴロありましたから。 オーナーが思う「愛車との理想の別れ方」や「これだけは避けたい別れ」とは? 愛車との理想の別れ方。 考えたくはないですね。できれば子どもたちに乗り継いでもらいたいです。上の子があと12年、下の子があと14年。 その頃、旧車を取り巻く環境がどうなっているのか想像もつきませんが、今よりも維持が大変になっているかもしれません。 少し前までEVシフトしていた各自動車メーカが、やむを得ずICE搭載車を今後も発売するという方向転換を余儀なくされています。 EV化の流れは止められないけれど、少し後ろ倒しになったことは確かです。旧車オーナーとしては古いガソリンエンジン車が少し延命できたような心境です。 これだけは避けたい別れは、やはり資金難での売却です。やはり自分の引き際は自分で決めたいのです。 あとは事故による廃車…。 オーナーにとって愛車とはどのような存在か? ひと言で表現するなら「アイデンティティー」だと思います。 10代のころから、気づけばアラフィフになった現在まで「自分=ポルシェ911」に対する想い入れがとうとうブレませんでした。 人生の半分以上の時間を魅せられてきているんです。 24才のときに初代プラレール号を手に入れ、挫折して、それでもやっぱりもう1度乗りたいという気持ちは変わらなかった。十数年間浪人しましたが、どうにか復帰できた。 そして、さまざまなオーナーさんを取材する機会に恵まれ、大切に乗っている方たちの考えかたや重視していることを知ることができました。 今回の企画は「現在の愛車を手放すつもりがゼロのオーナーに対して、あえて『別れ』について考えてもらう」といった趣旨ですが、やはり可能な限り側に置いておきたいという気持ちを新たにしました。 大変なこともいろいろありますが、どうにかこのまま現状維持ができたらと思います。できれば早く「大変じゃない状況」にしたいものです。

「旧車王ヒストリア」は「旧車王マガジン」に生まれ変わります〜リニューアルのご挨拶〜
旧車の魅力と知識 25.09.12

「旧車王ヒストリア」は「旧車王マガジン」に生まれ変わります〜リニューアルのご挨拶〜

平素より、旧車王ヒストリアをご覧いただき、誠にありがとうございます。 この度、旧車王ヒストリアは「旧車王マガジン」へと名称を変更し、旧車と名車が蘇るメディアとしてリニューアルいたしました。 旧車王マガジン(旧:旧車王ヒストリア)を運営する「旧車王」は、新車から10年以上が経過した旧車、ネオクラシックカーに特化した買取専門のWEBサイトです。 2000年の創業以来、一貫して旧車にこだわり事業を展開してまいりました。 旧車を知り、旧車を愛する私たちだからこそ、旧車の価値をさらに高めることが使命であると考えています。 私たちは、どこにも負けない知識と実績、次世代に旧車文化をつむぐ責任、そして本気でクルマを愛する姿勢を持って、確かな情報をご提供し続けます。 旧車王マガジンのコンセプトは、日本一の「知識」「技術」「感動」です。それぞれのカテゴリのテーマに沿った情報で、日本一の旧車専門メディアを目指してまいります。 ①日本一の知識 「旧車の魅力と知識」のカテゴリでは、車種や歴史について、どこよりもマニアックな情報を更新いたします。 ②日本一の技術 「旧車の売買と鑑定市場」「旧車の再生と維持」のカテゴリでは、再生や鑑定の技術について惜しみなく情報をご提供します。 ③日本一の感動 「旧車のイベント」「旧車の愛好家たち」のカテゴリでは、旧車を愛する人々の熱意や没頭する姿をお届けします。 旧車への愛に溢れる方だけでなく、これから旧車への愛を育んでいく方にとっても読みやすい、そんなマガジンを目指し、進化を続けてまいります。 どうぞ、これからの「旧車王マガジン」にご期待ください。  

旧車に乗りたい若者に向けて、36年目のシトロエン2CV乗りから伝えたいこと5+1つのこと
旧車の魅力と知識 25.07.28

旧車に乗りたい若者に向けて、36年目のシトロエン2CV乗りから伝えたいこと5+1つのこと

こんなタイトル付けちゃって、なんかオッサンが説教くさいこというんじゃなかろうか?と、思う若者もいると思うが心配無用! ご想像通り説教くさいこというんだけれど、まあ、ちょっとトシヨリの話は聞いておけとの名言もある(かもしれない)ように、少しのあいだきいてもらえると、いや、読んでもらえると、イイことあるんじゃないかと思うわけです。 まず「旧車」の基準をドコに置くか、ということからはじめてみましょう。 「旧車」ってドコからが「旧車」なのか? 旧車を英語でいえば「Old Timer」って感じ?「Vintage」とか「Classic」ということもありますわね。 日本の「税制」でいえば「新車から13年以上経ったクルマは税金高くなりますよー」の法律があるので、ソレを基準に考えれば、今年を起点にすると「2025-13=2012」すなわち2012年より前のクルマは「旧車」扱い・・・ってなんだか新しすぎじゃないか? 2012年っていったら「元号」でいえば平成24年。旧車というよりも、単なる中古車扱いっぽい気もする。 ということで、私見ながら「旧車」の基準を以下に定めてみました。異論はOK。 「10年ひと昔」とはよくいいますが「100年=1世紀」で考えた場合、25年を四半世紀と呼んでおります。英語でいえば「quarter century」。 まあ、この辺を区切りとして ・2000年(平成12年)以前のクルマ:旧車・オールドタイマー(Old Timer)・1988年(昭和63年)以前のクルマ:旧車・ビンテージ(Vintage Car)・1970年(昭和45年)以前のクルマ:クラッシック(Classic Car) ・・・ということにして、今回は話を進めてみます。 さて「旧車」(Old Timer) & (Vintage Car) どうですか?最近のワカモノのみなさん「旧車」スキですか? 機能や性能面、それに安全面では最近のクルマとは比べることもできないほどアレですが、ソレらを「なかったこと」にしてもなお、デザインや乗り味、あるいは時代が醸し出す「個性」を感じる。 そんな理由で「旧車」に興味がある「旧車」に乗りたい・運転してみたいと、思わせるモノがあるわけですよね。 ・・・というわけで、ようやくここからが本題です。 いつも前置きが長くてすみません。落語家なら「まくらが長い」とかいわれちゃうやつなんですが。 さて、若いみなさんが「旧車」に乗りたい、乗ってみたい、所有したい、と思ったときに「考えてほしいいこと」がいくつかあります。 以下にソレらを記述しますので、もし何かのマチガイ・・・じゃなかった、もし何かのチャンスで「旧車」に乗れるかも!? 手に入れることができるかも!? というときに参考にしてほしいなと思うわけです。 ■その1:安全じゃないかも 最近のクルマは、ほとんどもれなくエアバッグが装着されております。日本では「義務化」されているわけではありませんが、ソレでも新車にはおおむねエアバッグは装着済み。 ところが旧車だと、エアバッグがついていないクルマもママあります。特に低価格帯のクルマだとエアバッグ未装備がフツーと考えてヨロシイかと思います。また、エアバッグに限らず、安全装備面では新しければ新しいほど安全面でのメリットがあるわけで、その辺はきっちり「覚悟」しておくべきかと思うわけです。 クルマ自体の剛性とか衝突時の安全面とかも新しい方が「より安全」であることは、いわなくてもご存知の通り。 ■その2:お金が掛かるかも 旧車に乗っていて頭を悩ます大きな部分が「お金」の問題。どっか壊れた修理しなきゃ、でも旧いクルマじゃパーツが生産中止で手に入らんとか、旧くてあちこちガタが来て、あっち直せばこっちコワれる、みたいに、旧いクルマは旧いなりにあちこちが痛むもんです。ニンゲンだって歳とりゃガタがくる。なので修理とか修繕とかパーツ代とか、とかくお金はかかりがち。 そのためにできれば「かかりつけ医」すなわち「主治医」がいれば安心ですな。自分でメンテできるという人でも、やはりプロの医者=メンテしてくれるショップが必要なのはニンゲンと同じ。そのためにも、いろいろ入り用のお金は覚悟しておくのがベターであります。何より新車から13年以上経ったクルマは、なぜか税金ガガーンと跳ね上がるのです。心せよワカモノ! ■その3:快適じゃないかも 今ならスマートフォン繋いで好きな曲聴いたりできる、そんな機能も旧車では難しいかも。つか、そもそもUSBのソケットもなけりゃ電源コンセントもない!旧車ってそんなもんです。 ラジオやCDプレーヤーが搭載されているので、まあ、そういうレトロな楽しみ方も旧車ならでは、と割り切ってもらいましょう。また、旧車の時代にもよりますが「ルーミーな室内!」というような売り文句で、やたらとガラス面積が広いクルマが一時期流行りました。エアコンがあるから無問題!とはいえ、太陽光がガンガン当たる室内ってのもキツイかも。その分、明るくてハワイアンと、気分を切り変えてハンドル握るのが「吉」です。 ■その4:手間がかかるかも エンジンを掛けるのにキー突っ込んでかちりと回してエンジンスタート・・・なんて行為が昔のクルマ扱いになるとは思わなかったですが、そう、ボタン押して始動!なんてのは最近のクルマ。旧車はキーを回してエンジンかけます。 もちろんドア開けるのもキーが必要。ガチャっと回してドアを開けてください。ビンテージやクラッシックだと窓開けるのもくるくるハンドル回すタイプが主流ですが、旧車レベルならかろうじてパワーウインドウはあるでしょう。 雨降ってもワイパー自動で動きませんよ!トンネル入っても自動でヘッドライト点きませんよ?最近は夜になっても無灯火で走ってるクルマ見掛けるけど、アブナイから気をつけてください。スイッチは自分でON。消すときも積極的にOFF。機械任せにしないのが旧車乗りの矜持であります。 ■その5:彼女or彼氏にフラれるかも クルマに興味のないパートナーは、この際諦めた方がいいかもしれませんね。というくらいの覚悟が必要です旧車のバアイ。 いや、オーバーかもしれませんが、オールドタイマーとかビンテージに興味のない人は、狭いはうるさいわ快適装備もないわ金掛かるわ面倒くさいわで、メリット一切なしのマイナス面ばかり。そんなの喜んで乗ってるアンタ昭和人か!ってツッコまれる羽目になるかも。 クルマのデザインがステキかわいいやつならまだマシかもしれませんが、ステキかわいいけど乗ってみたらオーマイガーッ!ってなりがちなのも旧車の趣。デザインだけで旧車選ぶのは、そんな覚悟は承知の上かと。そういうときのアナタの仕事は、いかにこの旧車がスバラシく、ヨイものであると説き伏せる(?)知識と話術、ソレを押し通せる情熱なのであります。負けるなワカモノたちよ! ■余計なお節介 ここだけの話ですが、旧車乗りの多くは、実は「足車(アシグルマ)」を持っています。すなわち普段使いのクルマ。それはコンパクトカーであったり家族で使うワンボックスカーだったり荷物運べるワゴン車だったり・・・。旧車乗りはナチュラルに「現代のクルマの有り難み」というものを理解しております。だからこその旧車愛とでもいいましょうか(Now and Then)ですな。 とまあ、5つ(+1)くらいのポイントを挙げておきましたが、コレらすべてハードルというか、越えなければならない山というか、一般的に見れば「マイナス面」であるといえましょう。 ところが! ところがですよ。 この旧車王を読んでいる旧車ファンともなれば、先に挙げた5つ(+1)のポイントはすべて「だからイイじゃん!」というポイントになってしまいがちなモノなのです。 安全じゃない?ヨシ!もっと気を使い、周りもよく見て安全運転。 金かかる?ヨシ!もっと働いて稼ぐぜ!というモチベーション。 快適じゃない?乗って運転する。ソレ自体がとても楽しいじゃないか! 楽しさがイチバン!Fun to drive。 手間が掛かる?そういう手間こそが旧車乗りの儀式。乗る前の施行点検と同じ、お祈りに近い行為。 彼女/彼氏にフラれる?いや、なんかゴメン。 ・・・と、いうように、先に挙げた5つ(+1)をマイナスではなく、プラスとして積極的に捉えることができるのであれば、ソレはもう立派な「旧車ファン」だといえます! ・・・というよりも「マニア」に近くなってきたという、喜ばしい事態ではないかと思うわけです。 ようこそ!旧車の世界へ! とってもウエルカム! 我々とともに旧車の沼へ・・・。 東京都 自営業・65歳より。 [画像・旧車王ヒストリア編集部 / ライター・まつばらあつし] 

「旧車(Old Car)祭り IN 美和」の舞台裏とは?主催者に聞く!親子で紡ぐ物語
旧車の魅力と知識 25.05.24

「旧車(Old Car)祭り IN 美和」の舞台裏とは?主催者に聞く!親子で紡ぐ物語

2025年5月11日に、茨城県常陸大宮市で「第7回旧車(Old Car)祭り IN 美和」というイベントが開催された。 このイベントはこの媒体(旧車王ヒストリア)でも取材しており、読者の方々にも周知のことかもしれない。 ●クセ者ぞろいの参加車輌が魅了する「第7回旧車(Old Car)祭り IN 美和」イベントレポートhttps://www.qsha-oh.com/historia/article/oldcar-festival-7th/ イベントでは主催者が若かったり、大きな志を持って行われている方などもいることだろう。もちろん筆者もそうした方々の話を聞き、時にその思いに感銘を受けたり考えさせられたりもしたものだ。しかしながらこれを親子で始められたということがとても筆者の興味をそそらせた。これから話すのはそんな親子が紡いだイベント開催の物語だ。 ■「旧車(Old Car)祭り IN 美和」をはじめたきっかけ 今回で7回を数えるという「旧車(Old Car)祭り IN 美和」。しかし、主催者は実際に開催できたのは6回なのだと話す。過去に台風で中止になりかけ、前日まで頑張って準備をしていたこともあり、これもカウントしておきたいという想いから7回目としたという。 主催者の野澤氏は事業の関係から自身がイベントに参加することはなかなか難しい。「それなら来てもらったらどうだろう?」と考えて周囲に相談しつつ、「旧車(Old Car)祭り IN 美和」を立ち上げて今に至ったという。 ■思わぬ協力者が現る! 野澤氏がイベントを自ら興そうと動きはじめた矢先、ちょうど時を同じくしてご子息が氏より受け継いだ(ご本人はまだ自分の物だと否定・笑)3代目になるホンダ プレリュードに乗ってドライブやイベントに参加をする日々を送られていた。 そのこともあり、ご子息が「それならば」と、会場で起こるトラブルの元やアクシデントの事例を他のイベントに参加することで調べ、自身で感じたことを実際に対処する手段や実例のデータとして持ち帰る。 その後、野澤氏が開催に向けて手探り状態で行っていたトラブルシューティングに対して、ご子息が自らの体験をフィードバックすることでイベントをより良いものにしようと取り組んできたそうだ。 ご子息にも話しをお聞きした際に「もうある意味、情報収集のためにイベントに参加していた感じでしたね。それをまた持ち帰ってウチのイベントに当てはめるわけです」。そうしたご子息や多くのスタッフの支えにより、現在に至ったそうだ。 「旧車(Old Car)祭り IN 美和」の特色として、地域密着を大事にしており、ケータリングも地元の食を楽しんでもらうことを前提に声をかけていると話す。そうした思いが多くの参加者だけではなく、見学者にも現れているのではないだろうか。 ■心が折れずに済んだのは、ある参加者の一言がきっかけだった 野澤氏も7回の開催のあいだにはさまざまなことがあったと語る。数年前にはコロナもあり、苦渋の決断で中止にしたこともあったそうだ。もちろん開催においては天候にも左右されたこともあった。 今でこそ春先に開催されるイベントとして行われているが、かつては秋口に開催して台風でやむなく断念をしたこともあったそうだ。それだけに天候にはいつも悩まされるという。そんなときは、以前いわれた言葉が頭をよぎるそうだ。 開催するべきか悩んでいたとき、参加者の1人から掛かってきたある電話に背中を押されたのだという。「中止なら中止でも構わないよ。それでも俺は行くからさ。1台だけでもいくからさ」。 野澤氏は開催か延期か決断ときにはいつもこのひと言が頭にあるという。もし中止でも足を運んでくれる人もいる。今回は来てもらえなくても次回は必ず楽しんでもらいたい。その思いが今に至っているのではないだろうか。 ちなみに、昨年は1,000人を越える一般来場者があったそうだ。そのこともあり、今後駐車スペースの確保はますます大事だと考えているという。今年の来場者数はどうだったのか?それはこの前日までの予報を覆す好天を見れば聞くまでもないだろう。 ■やれることはわずかでも、地元に貢献したい 今後の展開はどうなるのか?どうしていきたいのか?の質問に意外にも野澤氏は大きくはならなくてもいいと語る。 いまくらいの台数や規模で続けて行けたらと思っているそうだ。欲がないと思えるかもしれないが、やはり管理の目を行き届かせるには現時点くらいが自身の限界と考えているという。 また、スペースの関係も起因している。少なくとも現時点で会場の移転は考えていないし、この美和地域でやりたいという揺るがない思いがあるからだ。それでもエントリーをしてくれる参加者を増やすことはなくても、見学者にはできる限り対応をしていきたいという。 それは、地元の方だけでなく、近隣はもちろん遠方からもこのイベントと常陸大宮市を知ってもらうきっかけにしたいと考えているからだ。奇しくもご子息にも同じ質問をした際にも同じ答えがかえってきた。 「正直、人口はどんどん減っていると思います。でも町おこしではないですが、昔あったお祭りのように、年に一回常陸大宮市のイベントといえば【旧車(Old Car)祭り IN 美和】だといってもらえるようにしたいですね」。そう笑う親子の笑顔はどちらも同じ笑顔で筆者に答えていた。 地道な努力は実を結び、今や市長や県会議員が開会あいさつに駆けつけるイベントに育つ。 この日の司会にマイクを握ったのはタレントのおふたり、電撃ネットワークの今日元気(きょうもげんき)氏とヨッシャ比留間氏だ。 地元の味を楽しんでもらえるようにと考えて声をかけているというケータリング。参加者に聞いた話では昨年は見学者も買うことが多く、うっかり出遅れた参加者が食べ損ねたといううわさもあるほど盛況だったそうだ。  [ライター・カメラ / きもだこよし] 

70台を超える旧車が川越の街に集結した「小江戸川越まちかどモーターギャラリー」
旧車のイベント 25.05.22

70台を超える旧車が川越の街に集結した「小江戸川越まちかどモーターギャラリー」

2025年5月11日、埼玉県川越市を舞台にした初のクラシックカーイベント「小江戸川越まちかどモーターギャラリー」が開催された。 参加条件は、国産車および輸入車を問わず1975年までに製造されたクルマであること。初開催となる今回は、70台を超えるクラシックカーが川越の街に集結した。 個人的な話で恐縮だが、川越の街は幼少期から慣れ親しんだ場所でもある。1970年製の古いクルマを所有する筆者も、いち参加者としてエントリーしつつ、初開催となるイベントを取材してみた。 ひとまず、A〜Fの6つのエリアに展示された国内外のクラシックカーを可能な限り撮影してきたので、ご紹介していこう。 ■A:蓮馨寺エリア 西武新宿線本川越駅から750m、徒歩10分ほどのところにある「蓮馨寺(れんけいじ)」には、プリンススカイラインや、いすゞ117クーペ、「ヨタハチ」ことトヨタ 800などの国産車を中心にメッサーシュミットやフィアットアバルトを展示。 このエリアには物販コーナーやフードコーナーもあり、観光で川越を訪れた人もふらりと立ち寄れるのが魅力。「GTroman」でお馴染みの西風先生のサイン会も開かれた。 ■B:大正浪漫夢通り&連雀町繁栄会エリア 中小企業庁の「がんばる商店街77選」にも選ばれている川越市内7商店街のひとつでもある大正浪漫夢通り&連雀町繁栄会エリアには、イギリス車やイタリア車を中心に展示した。 鯉のぼりが5月18日まで掲揚されていたこともあり、クルマ好きだけでなく、偶然立ち寄った観光客も撮影せずにはいられないほどの光景が広がっていた。 個人的にはここが「映えスポット」としてもっとも画になったエリアに感じた。なかにはスケッチブックを片手に絵を描いているギャラリーもいた。また、丸徳商会ブースでは全日本ラリー選手権に参戦中のハイエースのラリーカーが特別展示され、こちらも注目を集めていた。 ■C:コエトコエリア 大正浪漫夢通り、連雀町繁栄会エリアから少し奥まったところにある「コエトコ(正式名称は川越市文化創造インキュベーション施設)」は、川越市指定文化財にもなっている、2024年4月にオープンしたばかりの施設だ。 ここには、ダイハツミゼットやマツダ ポーターキャブ、ミニ トラベラーなど、懐かしいはたらくクルマたちを展示。あまりにも画になっているので、このまま常設展示して欲しいと感じたほどだ。知らない人が見たら、映画のワンシーンのように、クルマと風景が見事にとけ込んでいたのが印象的だ。 ■D:りそなコエドテラスエリア 蔵づくりの街並み沿いにある「りそなコエドテラスエリア」には、マクラーレンMP4/4をやブラバム BT16Aをはじめ、懐かしいホンダ車を中心に展示。 いまや伝説のドライバーとなったアイルトン・セナがドライブしたF1カー(1988年ベルギーGP優勝車)が間近で観られるとあって、常に多くのギャラリーが、懐かしいMarlboroカラーのF1マシンを撮影していた。 ■E:本丸御殿エリア りそなコエドテラスエリアから徒歩で15分ほどの位置にある「川越城本丸御殿エリア」では、2014年にこの世を去った、モータージャーナリストの故・川上完氏が所有していたという「ブリストル406」や、ロータスのワークスマシンである「Mk8」を特別展示。 嘉永元年(1848年)に建てられたという川越城本丸御殿と、異国の地で造られたジャガー、シトロエン、ポルシェ、BMWなどの名車が不思議なほどしっくりと馴染むことに驚いた。 また、フェラーリF40やランボルギーニカウンタックLP400といった、時代を超えて憧れの存在であるスーパーカーも特別に展示され、会場の雰囲気をより一層華やかなものにしていた。 ■F:川越市立博物館エリア 本丸御殿エリアの向かいにある「川越市立博物館エリア」には、シボレーコルベットやキャデラッククーペといったアメリカ車やフォルクスワーゲンビートル、カルマンギアなどを展示。 個人的に驚いたのは、アルファ ロメオ F11が展示されていたことかもしれない。なかには「初めて観た!」と興奮気味にスマートフォンで撮影しているクルマ好き(・・・であるに違いない!)がオーナーと談笑していたり・・・と、終始和やかな雰囲気に包まれていた。 ■イベントも盛りだくさん 午前中の開会式の盛り上げに一役買った地元の和太鼓チーム「響」の演奏が午後からは本丸御殿エリアでも行われた。本丸御殿をバックに、子どもたちの力強い演奏とクラシックカーの共演にギャラリーも感激していたようだ。 また、大正浪漫夢通り&連雀町繁栄会エリアではジャズのミニライブも行われたほか、その他にも、甲冑姿の武士がいたり、着物美人と愛車の撮影会が開かれるなど、オーナーはもちろん、来場者を喜ばせるホスピタリティあふれる企画が満載であった。 ■まとめ:「小江戸川越」の立地を最大限に活かしたイベントはひと味もふた味も違うゾ! 仕事柄、筆者もさまざまなクルマ関連のイベントを取材している。施設の駐車場などを貸し切り、参加者同士が楽しむイベントがあるいっぽうで、商店街や観光地の一角に展示スペースを設けて、偶然居合わせた観光客でも楽しめるスタイルのイベントもある。今回はあきらかに後者だ。 川越の街並みに映えるクラシックカーを展示し、さらにはオーバーツーリズム対策を考慮してエリアを分散させる。さらにはただ単にクラシックカーを眺めるだけでなく、マニアから一般の人まで、さまざまな視点で情景も楽しむことができる。 筆者自身、このイベントがなければ歩くことがなかった(気がつかなかった)場所がいつくもあり、新たな発見となったことは確かだ。近々、散歩がてら川越の街を改めて散策してみるつもりだ。 事実、家族連れからご近所に住んでいると思しき高齢者のご夫婦など、さまざまな人が行き交い、普段なかなか目にする機会がないクラシックカーを間近で眺めたり、スマートフォンで撮影している光景をあちこちで見掛けた。 企画からイベント開催までおよそ1年の歳月を費やしたそうだが、行政との調整や安全面および来場者の回遊、クラシックカーの配置など、細部にいたるまでさまざまな協議を行ったことがうかがえた。まさに、小江戸川越の立地を最大限に活かしたクラシックカーイベントといえるだろう。 ・・・とはいえ、事前に企画を煮詰めに煮詰めても「実際にやってみなければ分からない」ことが山ほどあったはずだ。無事に初開催を終え、今後の課題が浮き彫りになった点をブラッシュアップしていくことで、よりイベントの魅力が増していくに違いない。 参加者だけでなく、観光客や地域の人たちの目も楽しませてくれるクラシックカーイベントは貴重だ。 主催者の方に話を伺ったところ、一般的なオーナー中心のクラシックカーイベントではなく『美術館の作品を散策するイメージ、そしてクルマに興味がない方々や興味をもつきっかけとなっていただくこと』をコンセプトに企画したのだという。イベントの名称が「まちかどモーターギャラリー」なのも合点がいく。 つまり、今回展示されたクルマは、小江戸川越の街を舞台にしたクラシックカーを愛でる「1日限定の屋外鑑賞会」というわけだ。 小江戸川越の魅力をより多くの人たちに発信するためにも、今後も「小江戸川越まちかどモーターギャラリー」が継続して開催されることを心から願うばかりだ。 ●公式サイト 小江戸川越まちかどモーターギャラリー公式サイトhttps://www.coedo-mobile.club/ [撮影&ライター・松村透 / Special Thanks・中尾博 & 中込健太郎 ]

クセ者ぞろいの参加車輌が魅了する「第7回旧車(Old Car)祭り IN 美和」イベントレポート
旧車のイベント 25.05.21

クセ者ぞろいの参加車輌が魅了する「第7回旧車(Old Car)祭り IN 美和」イベントレポート

2025年5月11日、ゴールデンウィーク明けの最初の日曜日に、茨城県常陸大宮市美和センターにて旧車が集まるイベント「第7回旧車(Old Car)祭り IN 美和」が開催された。今回で7回目を数えるイベントだ。 参加条件は1990年までに生産が開始された車輌(2輪車含む)であること。特段トリッキーな条件があるわけではない。ただ少しばかり特徴があるイベントだった。なにがだろう? イベントそのものは遠目には変わっては見えることは特にない。特段特殊なカテゴリーや珍しい車輌の参加があるわけでもない。しかしながら会場を1台ずつ見ていくとなにかが違っていたのだ。 第7回を数える「旧車(Old Car)祭り IN 美和」、その活動は市長もあいさつに登壇するほどに育っている 「旧車(オールドカー)祭り IN 美和」は、国産旧車がメインのカーイベントだ。参加条件の"シバリ"は年式のみなので、欧州車やアメ車であっても参加が可能だ。 地域性もあってだと思うのだが、やはり国産勢が強い。特徴があるとすれば、旧車でもとりわけ小型枠のクルマが多く目立つ。小型といっても5ナンバー枠ということではなく、旧軽自動車枠のいわゆる小さなナンバープレートを付けたクルマだ。 車種でいえば、スバル360やスズキ フロンテクーペのようなクルマである。もちろんスカイラインやフェアレディZといった車輌も参加はしている。欧州車でいえば本部脇の駐車スペースにはフェラーリのF40も参加しており、安全のためにパイロンが置かれていた。 普通なようで普通でない とはいうもののどこか妙だ。会場内に整列するイベントの参加車輌に奇妙な違和感を憶えつつゆっくりと見渡す。小型車輌が多く参加しているイベントだなと思いはじめた頃からだった。それは次第に確信に変わっていった。そういつもとは違った意味で珍しい車輌たちとの出会いになっていく。 クセ者ぞろいの参加車輌たち 会場に入ってすぐのところに黄色いフロンテSS。フロンテとしては2代目にあたる。私見だが、あまりイベント会場でお見かけしない車種ではある。決していないわけではないだろう。ただ同じスズキの車輌なら圧倒的にフロンテ「クーペ」の方が見かけるという話である。 そこで冷静になって見渡すと、主催者が乗り付けたのは三菱ギャランΛ(ラムダ)、欧州車枠で参加のMG-BはオープンモデルではなくGT。インタビューで国内唯一の登録車輌ですと話していた左ハンドルのスカイラインは、4気筒モデルのGLである。 これだけ列挙していけば何となく想像がついてきたかもしれない。そう、珍しい車輌ではないがどれもがどこかクセのある、クセ強車輌が集うイベントなのだ。 正直王道を外したクルマが来るイベントを観たことは読者にもあるだろう。しかし、ここまでクセの強いクルマが、それもその多くが地元ナンバーで構成されたカーイベントはあまりないかもしれない。 今回そのクセのある今までどこに眠って(生息して)いたのだろう?と思ってしまう。そんな車輌たちをいくつかご紹介したい。 先ほどの4気筒のスカイライン。記録によるとこのクルマ以外は登録がされてないとのこと。故に国内登録がただ1台ということだ。 こちらは日産セフィーロ。確かに最近ほとんど見かけないと思うかもしれないが、一見フルノーマルなこのクルマ。確かにフルノーマルなのだがオーテック製のフルノーマル。ワンオーナーでもう20年以上所有しているとのこと。唯一ノーマルでないのがシート。本来は本皮シートが入るのだが、走る際に体が滑ることを嫌ったオーナーが同型モデルのモケットに交換したのだそう。 こちらは、マツダ323ことファミリアGT-R。こちらは他府県よりのエントリーだが、Gr.Aのカテゴリーで出走するべく作られたWRCマシンのベースモデルだ。セリカやランチアデルタは割りと見掛けるが、こちらは意外と目にしないクルマではある。ハンドリングマシンといわれた323は総合優勝こそなかったものの、Gr.Aでも好成績を上げてマツダの知名度を上げることに貢献した。 前述のフロンテSSもそうなのだが、同じフロンテでもGT/Wが仕上がった状態で見ることができるのはここだけなのかもしれない。フロンテクーペと同時期に発売されたモデル。ちなみにこのモデルから水冷エンジンになっている。 欧州車勢からはこちらのMG-B。あまり見ないクーペタイプのGT。基本スペックはオープンモデルと差はないが、GTは140㎏ほど重くなっている。 まだ出会っていない1台がここにある 多くのカーイベントでは高額の車輌や素晴らしいデザインのクルマ、そして貴重なモデル等に目を奪われる。それは筆者とて同じである。 しかしながら、この常陸大宮市の一角で行われたイベントは少しばかり異なっていた。かつては当たり前にいた車輌たち、半世紀ほど昔には街中を走り回っていた車輌たちは、その多くが世代交代とともに世の中から消えていった。そんなクルマ達を茨城の人たちはときに大事に、時に思い出して直しては今に存続をさせてきた。美和地域はそうしたクルマ達の集まったいわばひのき舞台なのである。 スポーツカーや特殊な競技モデルのベースなどは後世に残りやすい。名車などと呼ばれるのはそれゆえである。だがベースグレードのクルマや主流からは少し外れたクルマなどは、そうした対象からは外れやすいものだ。 そんなクルマを大切に維持するオーナーが集まるイベント、それが「旧車祭り IN 美和」なのかもしれない。 あなたがもし名の知れた名車がずらりと並ぶイベントを見飽きたと思いはじめたのであれば、ぜひ森に囲まれた地域センターのイベントに訪れてみてほしい。きっと「まだ生きていたんだ」と思える1台に出逢えることだろう。 [ライター・カメラ / きもだこよし] 

今後価値が高騰し、値上がりしそうな旧車・ネオクラシックカー15選
旧車の魅力と知識 25.04.24

今後価値が高騰し、値上がりしそうな旧車・ネオクラシックカー15選

クルマの購入時に気になるのが、資産としての価値。せっかくクルマを買うなら、価値が上がって高くなっていったほうがいいですよね。多くのクルマが購入すると時間の経過とともに価値が下がっていく一方で、一部のクルマは旧車市場で価値が上がり高額で取引されることがあります。そこで今後、価値が上がる可能性のある日本車と輸入車のクラシックカーを予想してみましょう。 ■旧車の価格はなぜ高騰するのか? 旧車が値上がりするのには、いくつかの要因がありますので整理してみましょう。 ●旧車市場での需要: 日本はもちろん海外でも旧車は売り買いされています。需要が多ければ、そのぶんだけ価値が上がっていきます。国外では、とりわけ北アメリカやヨーロッパで旧車市場が活況です。 ●希少価値: 新車としての販売台数が少ない車種や、販売終了して久しい車種は、時間の経過とともに故障や廃車などにより市場に流通する台数が減少していくため希少性が高まっていきます。そのなかで、旧車愛好家に人気があるクルマは価格が上昇していきます。 ●カスタムやレストア: クルマをカスタムやレストアして乗るオーナーがいます。自分の所有物を最大限に楽しむことは素晴らしいですが、クルマ本来の状態は失われていきます。オリジナルの状態に近いほうが、旧車としては価値が高まっていく傾向があります。しかし、時間の経過とともにオーナーが変わり、オリジナルの状態が失われる可能性がでてきます。 ●規制の影響: 国によっては、排ガスや環境の規制が厳しくなり、登録が困難になる前に憧れの旧車を購入する動きが見られます。 またアメリカには、製造から25年が経過すると右ハンドルのクルマをそのまま輸入してクラシックカーとして登録できる「25年ルール」があります。そのため、25年を境にアメリカで日本の旧車の需要が増えるのです。 ●知名度: 「レースに出場した」「映画に登場した」「ゲーム化された」など脚光を浴びると、人気を集めることがあります。 ■価値が上がりそうな日本車 ●1.日産 スカイライン GT-R(R32・R33・R34): スカイライン GT-Rシリーズは根強い人気があり、特にR32・R33・R34のモデルは今後も価値が上がる可能性が高いでしょう。R34は海外からの需要が高まっており、もともと生産台数が少ないため、価格が上昇することが考えられます。 ●2.日産 シルビア(S13・S14・S15): シルビアは、ドリフトカーとして認知されていてコアなファンがいます。年々、コンディションが良好なものが少なくなっています。S13やS14もそうですが、とりわけS15は価値の上昇が期待できます。 ●3.日産 フェアレディZ(Z31): 日産のスポーツカーで、海外でもよく知られています。グランドツーリング志向が強く、ターボチャージャー搭載モデルは特に人気です。 ●4.ホンダ NSX(NA1・NA2): 初代NSXはホンダが誇るミッドシップスポーツカーで、フェラーリにも引けを取らない技術と性能を誇りました。アルミボディやVTECエンジンといった先進的な技術が採用され、開発には伝説のF1レーサーであるアイルトン・セナも参加しました。 ●5.ホンダ プレリュード: デザインが洗練されている5代目ホンダ プレリュード。​ステアリングにトルクベクタリングを採用するなど、先進技術が注目を集めました。若いコレクターにも人気があります。 ●6.トヨタ スープラ(A80): トヨタのA80スープラは、90年代の国産スポーツカーの中でも特に人気が高いモデルです。パワーと耐久性に優れる2JZ-GTEエンジン搭載車は、人気があります。北米市場での需要が高まっており、価格が上昇しています。 ●7.マツダ RX-7(FD3S): RX-7 FD3S型は、ロータリーエンジンを搭載したスポーツカーです。特徴的な設計と独特の走りで、ファンを魅了しています。パーツの入手が困難な場合もありますが、根強く支持されています。 ●8.三菱 ランサーエボリューション(エボV~エボIX): 三菱のラリーカーとして名を馳せたランサーエボリューションシリーズ。エボVからエボIXまでのモデルが、特に人気です。高性能な4WDターボを誇り、世界ラリー選手権で認知度を高めました。 ●9.スバル インプレッサ WRX STI(GC8・GDB): スバルのインプレッサ WRX STIは、ターボエンジンを搭載したAWDスポーツカーです。GC8(初代)とGDB(2代目)は軽量で扱いやすく、ファンに人気です。 ■価値が上がりそうな輸入車 ●11.デロリアン DMC-12: 映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で有名になったデロリアン DMC-12。ステンレス鋼のボディは、一目ですぐわかるデザインです。​ノスタルジーの高まりにより、近年になって価格が高騰しています。 ●12.フェラーリ 400・412: 4シータークーペであるフェラーリ 400と412。優雅なデザインで、V12エンジンを搭載しています。創業者エンツォ・フェラーリの最後のモデルとして近年、評価が高まっています。 ●13.ボルボ P1800: ボルボ初のスポーツクーペであるP1800は、高い耐久性もさることながら絶妙なフォルムのデザインがファンを唸らせます。イギリスのテレビドラマ『セイント 天国野郎』で主演のロジャー・ムーアが運転したことでも知られ、若者に人気です。 ●14.BMW ミニ クーパーS: BMWが復活させた初代ミニ クーパーSは、クラシックな外観ながらスポーティーな走行性能があります。​近年、緩やかに価値が上がってきています。 ●15.フォード ブロンコ II: 約四半世紀ぶりとなる2020年にフォードがブロンコを復活させました。これに伴い、3ドア ワゴンのフォード ブロンコ IIの人気が上昇しています。価格帯が手頃なことから、若者にも人気があります。今後も需要が見込まれているため、価値が上昇すると見られています。 ■まとめ このなかにお目当ての旧車はありましたか。クルマを買うのには、いろいろな理由があるでしょうが、自分の利用ニーズにあっているものを選びたいものです。そして所有して乗っているうちに価値が目減りしていくどころか、その逆に高騰したらこんなに嬉しいことはないですよね。 [画像/Toyota,Nissan,Honda,Mazda,Mitsubishi,Volvo,BMW MINI,Ford・ライター/Takuya Nagata]  

旧車に乗るには「覚悟がいるのか?」という問いに対する7つの理由
旧車の魅力と知識 25.02.27

旧車に乗るには「覚悟がいるのか?」という問いに対する7つの理由

旧車&ネオクラシックカーオーナーを取材するときに必ず尋ねていることがある。それは「旧車(ネオクラシックカー)に乗るには果たして『覚悟』がいるのか」という問いだ。 この問い対して、これまで取材してきたほとんどのオーナーが「覚悟がいる」と答えてくれた。実体験を伴うだけに説得力がある。 では実際に「旧車に乗るには果たして『覚悟』がいる」のだろうか。7つの理由を元にひもといていきたい。 ■理由1:部品調達のリスク 旧車、そしてネオクラシックカーと呼ばれるクルマも含めて、もう数十年も前に生産を終了している「絶版車」だ。いうまでもなく、純正部品もはるか以前に生産終了(欠品)か製造廃止になっていて当然と思った方がいい。一部の輸入車、そして日本車メーカーも絶版車の純正部品の再生産を行っているが、特定のモデルにスポットライトが当たっているような状況で、ほとんどのモデルの部品はネットオークションなどを駆使して入手するしかない。 国内専用モデルとして販売された国産旧車およびネオクラシックカーよりも、世界各国に輸出されたメーカーのモデルの方が部品を入手できる確率が高い。また、一部のモデルはリプロパーツが出回っており、純正品にこだわらなければ入手にはそれほど困らないモデルもある。分かりやすい例を挙げると、クラシックミニやフォルクスワーゲン ビートル(タイプI)がその代表例といえる。 ■理由2:故障のリスク どこかのメーカーの格言ではないが「最新は最良」であることはひとつの真実だと思う。先代モデルよりも進化し、クルマとしての性能が相対的に向上しているからだ。その反面、旧車およびネオクラシックカーは古くなるいっぽうだ。いつ何時故障するか分からない。前触れがある場合もあれば、突然やってくることも少なくない。そのリスクは最新モデルより間違いなく高いといえる。 要はこの「故障のリスク」と向き合える覚悟があるかどうか、自分の胸に手を当てて問うてみればいいわけだ。最新モデルではまずありえないような、出先で故障して帰りはバスか新幹線で・・・なんてことも現実的に起こりうるかもしれない。実際に故障するかもしれないし。しないかもしれない。ただ、その確率は現代のクルマより確実に高い。旧車に乗る以上、そのリスクを常に意識しておく必要がある。 ■理由3:信頼できる主治医の存在 旧車ライフにおける生命線のひとつといえるのが「信頼できる主治医や専門店の存在」だと断言できる。「オーナー兼主治医」という人であれば、時間と手間と予算を気にせず思う存分メンテナンスに費やせるが、ここまでできる人はさすがに少数派だろう。そうなれば、大なり小なり、そのクルマに精通した主治医や専門店の腕とノウハウに頼ることとなる。 オーナーよりも愛車に精通し、適切なアドバイス、そしてメンテナンスを施してくれる。適切なエンジンの始動方法から、暖機運転の方法、アクセルおよびクラッチワークのコツ・・・などなど。もはや主治医であり、師匠とも呼べる存在ですらある。 ■理由4:「ヨコのつながり」の大切さと重要さ クルマ趣味のなかには頑なに仲間を作らず、黙々と楽しむ人がいる。あくまでも趣味なので個々の自由ではあることを前提として、やはり「ヨコのつながり」は大切にした方がいいと思う。おすすめの主治医やショップ、クルマや部品の売買情報、トレード、ツーリングや忘新年会の連絡など・・・。ここで得られる情報は恩恵は計り知れない。 それゆえ、敢えて最初はお互いに深入りせず、時間を掛けて連帯感と信頼関係が揺るぎないものへと変わっていく。接点はクルマのみ。幼なじみとは違う、趣味を通じて知り合った大人の関係だ。たまにはイヤなヤツもいるが、不思議と自然淘汰されていくから心配はいらない。むしろ、自分が淘汰される側にまわらないように注意する必要がある。 ■理由5:自身でどこまでメンテナンスできるか エンジンを掛けようと思ったら始動しない、出先で故障して動けなくなった。その都度、ショップや主治医にSOS発信をすれば、例え休日であっても救援に来てくれる可能性が高い。しかし、それには当然ながら費用が発生する。これらをタダでお願いしようと思うこと自体がナンセンスだ。 それであれば、ある程度は自分自身でメンテナンスや修理できた方がいい。愛車のコンディションをもっとも把握しているのは主治医であったとしても、オーナーにとってはブラックボックスである領域が多いことも事実。主治医によっては、オーナーが勝手にいじくることを嫌う人もいるので、相談しつつ、落としどころを探るといいかもしれない。 ■理由6:快適装備とは無縁 これは「言わずもがな」だと思われるが、現代のクルマで当たり前に装備されているエアコンやカーナビ、パワステ、パワーウィンドウ、シートヒーターなどの快適装備は期待しない方がいい。特にエアコンは、年代よっては装備されていないモデルも少なくない。きちんと動作するかはさておき、よくてクーラーだろう。 暑いだの寒いだの疲れるだの、乗るたびにストレスになるようなら旧車およびネオクラシックカーは向いていないと思った方がいいかもしれない。 ■理由7:1台ですべてをこなすのはほぼ不可能 記事やYouTubeなどの動画でサラリと「このクルマ(旧車)1台でなんでもこなしてます」といった具合にオーナーが紹介されていることがある。しかし、いったん冷静になってみて考えて欲しい。「他の人とはあきらかに違う何か」があるから取材対象となるのであり、インパクトがあるのだ。同じ土俵で考えない方がいい。 買い物や家族の送迎などの短距離走行、大雨のなかで走ることもあるだろう。ゲリラ豪雨のなか、エンジントラブルで立ち往生したらなす術もない。雨漏りしてくる可能性も大いにある。錆だって進行する。コンディション維持を考えたらなにひとついいことはない。万能に使える足車が必須となってくる。1台ですべてをこなすのはほぼ不可能だと思っておいた方がいい。 ■まとめ:やせ我慢の美学?結論として「覚悟はいる」 筆者自身、1970年製の旧車を所有しているが、イベントのときなどは真夏でもクルマを走らせることがある。エアコンはもちろんクーラーすら装備されていないから暑いことこのうえない。充電式の小型扇風機を室内に持ち込んでまわしてみるのだが、熱風をかきまわすだけでちっとも涼しくならない。 それでも、現代のクルマでは決して味わえない、ダイレクト感、直結感は何ものにも代えがたいものがある。運転中はBGMはおろか(そもそもオーディオレスだ)、水を飲むことさえ忘れるくらい運転に没頭できる。 不便さを差し引いてもあまりある魅力にあふれているからこそ、エアコンレスだろうが何だろうが苦にならないのだ(大変だけど)。旧車およびネオクラシックカーでしか味わえない世界を知ってしまったら最後。「やせ我慢の美学」といえばそれまでだが、多少苦労してでも古いクルマならではの魅力を選ぶか、現代のクルマならではの快適性が享受できるなかでクルマ趣味を謳歌するのかは人それぞれだ。 [撮影&ライター・松村透(株式会社キズナノート)]  

知って乗って感じて歴史を繋ぐ旧車の世界:齊藤優太
旧車の愛好家たち 25.02.24

知って乗って感じて歴史を繋ぐ旧車の世界:齊藤優太

■名前:齊藤優太 ■職業/肩書き 自動車ライター/インストラクター/ジャーナリスト ■現在の愛車 Audi A4 35 TDI Advanced(2021年式) ■ご自身の性格をひと言で表現すると? 朝が早い人 ■好きなクルマは? R35 GT-R(2011年モデル)、エンジン音なら直列5気筒ターボエンジン車(RS3/TTRSなど)、デザインならDS Automobiles ■憧れのクルマは? Audi Prologue Coupe ■旧車王ヒストリアではどんな記事を書いてみたいですか? 古いクルマは何かと大変…ですが、それ以上に多くの魅力と歴史があるのが旧車。最新のクルマにはない、個性や各メーカーの特色が色濃く反映されている旧車の魅力を伝えていければと思っています。 ■その他なんでも・・・ 工業製品で唯一「愛」が付くのがクルマ。手間も時間もお金もかかるけど、抜け出せないクルマの魅力(と本音)をお伝えしていきます。 ■HP/SNS/YouTube等 HP:https://lit.link/yutasaitoyutanote:https://note.com/drum_car_loversX(旧Twitter):https://x.com/yuta_saito_121?t=GvLOweFnpzkSqSpOpPECGw&s=09Instagram:https://www.instagram.com/yuta.saito.121/

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