突然の愛猫の主治医探しに奔走して痛感した「古いクルマの主治医の大切さ」の話

私の家には、先日、8才になったばかりの雌猫がいる。この子との出会いは、2014年に近所のスーパーで見掛けた「猫の里親募集」のチラシがきっかけだった。

スーパーからほど近いとある動物病院で保護されていた「元野良猫」だ。

この猫との初めての出会いはいまでもよく覚えている。すぐに連絡を取り、里親募集をしていた動物病院に行ってみた。

あいにくチラシに載っていた子はすでに引き取り手が決まっており、たまたまその場に居たのがウチの子だった。この子は里親募集のチラシには載せていなかったという。その理由を聞きそびれてしまったので、いまとなっては永遠の謎のままだ。

ウチの子のきょうだいを含めて何匹かの里親待ちの猫がいたのだが、見初めたのは、いわゆる雑種(キジトラ)の女の子だった。

他の子よりもひときわ鳴き、全開でかまってちゃんアピールをする子だった。このとき撮影をした動画をいまでも見返すことがあるのだが、本当にミーミーとよく鳴く子だった。そんな愛らしい素振りもあり、動物病院のスタッフさんたちは、私がこの子を気に入るに違いないと思っていたらしい。

この時点で生後1ヶ月半くらいだったので、もう少し成長してから・・・ということで、お迎えは初対面の日から半月くらい後に決まった。その間にケージやトイレなど、あらゆる猫グッズを取り揃え、万全の体制でお迎えする日を指折り数えて待ちわびた。

こうして引き取ってきた子猫を撮影したのが冒頭の画像というわけだ。この時点で生後2ヶ月くらい。「キトンブルー」と呼ばれるブルーの瞳が子猫である何よりの証だ。名前はリリィと名づけた。特に深い理由はない。入浴中に名前を考えていたとき「ふと降りてきた」のがこの名前だったのだ。

アメリカの独立記念日に我が家にやってきたリリィはとにかくよく動き回った。心配なので、家を空けるときはケージに入れておいた。ケージ生活が長くなると、不満を訴えてきたので、外に出してあげることにした。手のひらサイズだったリリィはあっという間に大きくなり、いまや体重5kgを超えるまでに成長した。幸いメタボではないが、典型的な家ネコのぽっちゃり体型となった。

それから年1回のワクチン接種、3泊以上の外出のときはこの病院が猫にとってのかかりつけ医であり、里帰り先(実家代わり)でもあった。

しかし、Xデーは突然訪れた。実家代わりだったこの動物病院が、院長先生の高齢化により閉院してしまったのだ。

時を同じくして、1週間ほど家を空ける予定があり、どこかに猫を預ける必要に迫られた。幸い、自宅から徒歩圏内にある動物病院で受け容れてくれることになり、無理やりケージに猫を押し込み、預けることができた。

新しい主治医(実家)となった動物病院のスタッフさんからは「何かあればご連絡しますよ」とおっしゃっていただいた。ありがたいなと思いつつ、預けてから1週間、とうとう1度も連絡がくることなく、お迎えの日となった。果たして1週間振りに再会したリリィは牢屋のようなケージの奥でうずくまり、買い主である私が来ても怯えているようだった。

それでも何とかケージに押し込み、自宅に連れ帰った。1週間頑張ってくれたご褒美にスペシャルご飯(ウェットフード)をあげたところ、一気に完食してしまった。しかし、帰宅してからずっとうなり続けていた。私のことを威嚇したり「シャー」をやるわけではないのだが、それでもずっと唸っていた。

突然見知らぬ新たな「実家」に連れて行かれ、狭い部屋に1週間も軟禁されていたのだから当然だろう。こうして、リリィが本来の落ち着きを取り戻すまで数日を要した。

翻って、旧車にも主治医の存在は欠かせないことはいまさらいうまでもない。近い将来訪れるであろう、交換部品の詳細や優先度、その個体特有の持病など、オーナー以上に愛車のコンディションを把握している唯一の人物だ。多くのオーナーにとって主治医なくして旧車との暮らしは成立しないといっても大げさではない。

そんな主治医が突然、工場を閉めるといったら・・・これは死活問題だ。個人的に「主治医のセカンドオピニオン」は反対なのだが、同じクルマを所有する仲間たちとのコミュニケーションを密にして「もしかしたら起こりうるかもしれない新たな主治医探し」への自衛策を普段から取っておくのが得策といえるだろう。なにしろ「Xデー」は突然訪れる。それも「よりにもよって」というタイミングに限って・・・。

[ライター・撮影/松村透]

 

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