取引価格1億越えの個体も?メーカー初のミッドシップカー、BMW M1の魅力を解説

目次
1.当初はランボルギーニとの共同開発だったM1 2.ポルシェに勝つためのミッドシップエンジン 3.オークションでは数千万円の取引が当たり前 4.BMW M1の中古車市場 5.まとめ

モータースポーツの技術が惜しみなく注ぎ込まれたBMWのコンプリートカーモデル「Mシリーズ」。そんなMシリーズの原点であり、BMW初のミッドシップとして登場したM1は、高い走行性能とスタイリッシュなデザインで非常に人気の車でもあります。

しかし、販売までには紆余曲折あり、そのスペックの高さとは裏腹に、十分な日の目を見ることができなかった悲運の車としても有名です。今回は、そんなBMW M1の魅力と中古市場についても解説していきましょう。

当初はランボルギーニとの共同開発だったM1

1970年代後半、レースでの結果が振るわず、ライバルのポルシェに遅れを取っていたBMWは、ミッドシップのスポーツカーM1の開発を決断します。

ミッドシップのノウハウがなかったBMWは、当時経営難に瀕していたランボルギーニと提携を結び、1976年に共同開発という形でプロジェクトに着手しました。しかし、開発計画中でもランボルギーニの経営悪化は進み、一任していたシャシー関連の開発が大幅に遅れたことからM1の計画は難航し、ランボルギーニとの提携を解消せざるを得なくなってしまいます。

その結果、ドイツのバウア社でシャシーを製造したあと、イタリアのイタルデザイン社でボディの組み立てとペイント。そして、最終的にドイツのBMWでサスペンションやブレーキ関連のパーツが組み上げられるという、なんとも非効率な生産体制となっていました。

ワンメイクレースの開催で起死回生を狙う

提携先を失ったBMWは、M1をなんとか1979年春の正式発表に間に合わせたものの、プロジェクト変更による生産コストの増加で、販売価格は計画よりも大幅に上昇。レース参戦のためのホモロゲーションを取得するには、年間400台を販売する必要がありましたが、それも難しくなってしまいます。

そこでBMWは苦肉の策として、F1グランプリの前座でワンメイクレースを自社開催し、最高出力を470psにアップしたグループ4仕様のM1プロカーでアピールの場を作ったのです。

悲運のスーパーカーと呼ばれた所以

ワンメイクレースの効果とFIA(国際自動車連名)の救済もあり、M1はホモロゲーションを取得し、見事1981年からレースへの参戦が許されました。

同年のニュルブルクリンク1000kmレースでは優勝を果たすなど好成績を収めますが、1982年にはM1が属する「グループ4」が終了。新たに「グループC」が設立され、M1は参戦の場を失ってしまいます。

こういったことから、M1は悲運のスーパーカーと呼ばれ、人々の記憶に強く刻まれました。

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ポルシェに勝つためのミッドシップエンジン

活躍の場に恵まれなかったM1ですが、BMW M社初のミッドシップというだけでなく、打倒ポルシェを掲げたそのスペックは、まさに本気仕様と言えるものでした。

リアアクスル前部に縦置きされた3.5L直列6気筒DOHCエンジンは、最高出力で277ps/6500rpmを発生。最高時速は262km/h、0~100km/h加速は5.6秒をマークしました。また、レース用では470psのグループ4仕様、850psのグループ5仕様も存在し、まさにライバルのポルシェを圧倒せんと言わんばかりの大出力です。

ジウジアーロデザインによるスタイリッシュなFRPボディ

M1の特筆すべき点はエンジンだけでなく、ボディのフレームや外板、さらにはそのデザインにも手を抜いていないところです。

ボディフレームは、当時のフォーミュラーカーと同様の鋼管を使用したスペースフレーム構造で、外板にFRPを採用することで、車重は1300kgと軽量。エクステリアデザインはイタリアの巨匠、ジョルジェット・ジウジアーロ率いるイタルデザインが担当しました。

くさび形のシャープなフォルムや、BMWではあまり見ないリトラクタブルヘッドライトなど、スーパーカー要素が満載のデザインは今でも高い人気を誇っています。

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オークションでは数千万円の取引が当たり前

M1はオークションでも人気が高く、近年では566,000ドル(約6200万円)のプライスで落札されました。さらに、走行距離2,700kmの個体が798,900ユーロ(約1億300万円)で落札というさらに高額な事例があるほどで、M1の人気がとても高いことが伺えます。

M1はレースに参戦するためのホモロゲーションモデルということもあり、生産台数は市販車と競技仕様のものを含め、約450台しか生産されていません。そんな希少性の高いBMWのクラシックカーに、コレクターが食いつかないはずもなく、M1の価値は現在も高まり続けています。

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BMW M1の中古車市場

そんなM1ですが、2021年9月時点の大手中古車サイトで相場を調べてみたところ、残念ながら国内での在庫は残っていないようでした。

上の項でも述べたとおりM1は生産数が少なく人気が高いので、ひとたび中古市場に上がるようなことがあれば、まずニュースサイトで取り上げられるのがお決まりです。

そして、M1は事故車の場合でもすぐに買い手がつき、高額で取引された事例もあるほど競争率が高く、国内の中古車サイトでの購入はまず不可能と言って良いでしょう。もし購入を考えているのであれば、数千万円に及ぶ資金と、M1が市場に上がった瞬間に即決できる決断力が必要です。

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まとめ

ポルシェに打ち勝つために、さまざまな問題を抱えつつも完成したM1は、見た目、性能ともに申し分なく、まさに誰もが望んだスーパーカーでした。

悲運のスーパーカーと呼ばれつつも、M1の研ぎ澄まされたDNAは現在も続くMシリーズに脈々と受け継がれています。

M1の人気の高さは市場価格にも現れていますが、そのプライスは決して大げさなものではなく、元祖BMW Mシリーズとしての正当な評価なのではないでしょうか。

[ライター/増田真吾]

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