世界初の技術満載でガルウィング発祥の車メルセデス・ベンツ 300SL

目次
1.メルセデスSLクラスの源流300SL 2.廉価版も存在した300SLその他のバリエーション 3.まとめ

存在感抜群のガルウィング、艶かしい曲線基調のスタイリング。令和の現代でも違和感のない先鋭的なデザインのメルセデス・ベンツ 300SLは、多くの名車を生み出してきたメルセデス・ベンツのモデルの中でも、特に人気の高いモデルの1つです。

ガルウィングという名前を最初に使用するなど、世界初の技術を多数盛り込んだ先進的なモデルで、販売当時から高い人気を誇りました。

現在のメルセデス・ベンツのスポーツモデルの源流となった、メルセデス・ベンツ 300SLの魅力に迫ります。

メルセデスSLクラスの源流300SL

メルセデス・ベンツのSLクラスは、同社の2シータースポーツカーの最高峰に位置づけられているシリーズ。メルセデス・ベンツは、歴代数々の名車を生み出していますが、初代となる300SLは、1950年代の登場にも関わらず今でも絶大な人気と存在感を放つ車種です。

名門レースでの活躍が市販化につながる

当初メルセデス・ベンツ300SLの市販化は予定されておらず、プロトタイプレーシングカーとして開発されました。

多くのレースで結果を残しますが、特に「世界一過酷な公道レース」といわれるカレラ・パナメリカーナ・メヒコでの勝利は、アメリカのスポーツカーファンに強い印象を残します。
300SLとして市販化が決定したのは、アメリカの輸入車ディーラーによる熱心な説得によるもので、1954年のニューヨーク国際オートショーでデビューしました。

初代モデルは、乗降性が悪く窓の開閉ができないなど、市販車としては不便と言わざるを得ない仕様で、本当に元々市販化する予定ではなかったことがうかがえます。

デザインではなく機能優先のガルウィング

現代でも多くのスーパーカーに採用される跳ね上げ式のドアですが、市販車として搭載したのは300SLが最初。いまでは跳ね上げ式ドアの代名詞とも言える「ガルウィング」という名称も、この300SLで初めて使用されました。

ガルウィングは非日常感のある姿から、どうしても見た目ばかりが注目されがちです。しかし、実際は低い車高と分厚いサイドシルという、構造上どうしても発生してしまう乗降性の悪さを解消するために考え出されました。

エンジンも市販車初採用の技術を搭載

300SLがすごい点は、市販モデルに搭載されたエンジンが、元となったプロトタイプのエンジンよりも高性能なことです。

直列6気筒の3,000ccエンジンは、世界初となる機械式燃料噴射装置を採用したエンジンで、最高出力215psを発生。最高時速は260km/hと、当時の市販車としては世界最速でした。

一方で、世界初の技術には車を維持する上でいくつかの弊害も生みます。機械式燃料噴射装置は整備が難しく、加えて残留ガソリンがシリンダー内部のオイルを洗い流してしまい、約1,600km毎にエンジンオイルの交換が必要でした。

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廉価版も存在した300SLその他のバリエーション

メルセデス・ベンツだけでなく、世界のスポーツカー史に残る名車である300SL。ここで、市販化前のプロトタイプモデルと、300SLの美しさそのままでヒットモデルとなった廉価版190SLもご紹介しておきましょう。

300SLプロトタイプ(W194)

現在ではメルセデス・ベンツの最高峰スポーツモデルの名称となっている「SL」ですが、当初は超軽量を意味する「Super Leicht」の略語でした。

プロトタイプモデルは、レース投入だけを目的に開発されたこともありかなり軽量。3,000ccエンジン搭載にも関わらず、軽量なアルミ製ボディの採用などにより、車重はわずか870kgでした。

なお、シャーシやボディは新設計ながら、開発期間短縮のためエンジンや足回りは300リムジンから流用され、市販化される際に大きく見直されることとなります。

190SL(R121)

300SLには、市販モデルの300SLと変わらない外見の廉価版モデルがあります。190SLとして販売された廉価版モデルは、300SLと同様の外観を持ちつつ、販売価格が安価だったことで、2万5千台以上を売り上げるヒット車となりました。

ただし、中身については、300SLとは全くの別物。シャーシは別設計で、1,900ccのキャブレターエンジンは110psしか発生しません。一方で、世界初の技術がふんだんに盛り込まれて、メンテナンスが大変だった300SLと比較して、一般ユーザーでも扱いやすかった点が商業的な成功につながりました。

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まとめ

今でも高い人気誇るメルセデス・ベンツ 300SLは、高値での取引が続いています。2000年以降、多少の上下はあるものの高騰し続けていて、現在は1億5千万円以上で取引された実
績があります。(2021年10月現在)

また、新車時の生産台数が全世界で3,000台強しかなかったため、中古車市場で見かけることも稀。中古車の購入を考えている方は、国内の中古車販売店だけではなく、海外まで含めて広くアンテナを張って探す必要があります。

300SLの廉価版となる190SLなら、国内の中古車市場でも購入可能です。大手中古車情報サイトで調べたところ、5台あり、価格は、1,600万円〜2,000万円弱でした。(2021年11月現在)とても廉価版とは言えない金額ですが、300SLの取引価格と市場での希少性を考えると、190SLなら入手するのも不可能ではありません。

[ライター/増田真吾]

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