旧車コラム
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アウディの代名詞!世界初のフルタイム4WD“クワトロ”とは

2021.10.14

1980年、一般車ではFF、ラリーではFRが全盛の時代に、革新的な4WD車が発表されました。それが世界初のフルタイム4WD車、“Audi Quattro(アウディ クワトロ)”です。

アウディクワトロの登場は、レースシーンやその後の自動車業界に大きな影響を与えました。今回は、アウディ初の四輪駆動、しかも世界初のフルタイム4WDとなるアウディクワトロは、なぜ開発されたのか、どんな点で革新的だったのかについて、当時の自動車事情と合わせてご紹介します。

アウディ初の四輪駆動システムを搭載した “Audi Quattro”の歴史

1970年代から1980年代初頭は、自動車の性能向上において過渡期とも言える時期でした。

エンジン性能や車体の軽量化が進む一方で、タイヤ性能などまだ開発が追いつかない部分もあり、より高性能な車を開発するため、各メーカーが苦心していた時期でもあります。そんな中、革新的なフルタイム4WDとして誕生したのが、“Audi Quattro”です。

自動車性能向上の過渡期だった

“Audi Quattro”の登場した1980年当時、一般車の主流はFF(前輪駆動)でした。

その理由は、車重の軽量化は進んでいたものの、タイヤのグリップ力がまだ低かった時代。エンジンパワーを逃さず路面に伝えるには、フロントヘビーにして前輪をしっかりと接地させて駆動する必要がありました。また、センタートンネルを持たないFF車派スペース効率に優れ、車内空間を広くしやすいこともFFが重宝された要因のひとつです。

しかし、FFは優れたエンジンレイアウトであるものの、コーナリング性能ではFRに及ばず、向上しつつあったエンジン性能を活かし切ることはメーカーの課題の一つ。一方エンジンパワーを的確に路面に伝える四輪駆動は、オフロード目的のパートタイム4WDが主流で、一般車に装着するには大きく重たいことがネックで敬遠されていました。

向上したエンジン性能を「技術による先進」で活かす

1970年代以降、自動車エンジンの開発は日進月歩で進み、性能は格段に向上します。

高性能化したエンジンパワーを最大限活用する方法を各メーカーが模索する中、「技術による先進」をスローガンとしていたアウディは、四輪駆動の開発しかないと結論づけ、世界初のフルタイム4WDの開発に踏み切ったのです。そうして誕生したフルタイム4WD“Audi Quattro”は、当時としては革新的な車でした。

重量、大きさがネックとなっていた4WDシステムをコンパクトなボディに収め、増加した重量を補って余りあるハイパワーエンジンを搭載したのです。

WRCでの活躍

アウディクワトロが発売された1980年当時、4WDは一般的ではなく、大型化しがちな傾向から特にスポーツカーではネガティブなイメージさえありました。

アウディが新型車クワトロのプロモーションを成功させるには、レースシーンでその速さや信頼性をアピールするしかありません。そこで、特別仕様車を開発し、ラリーカー選手権の最高峰であるWRCに参戦することになります。

アウディクワトロのWRCでの成功は、車のプロモーションとしての成功だけではなく、ラリーに4WD車を使用するという現在まで続く歴史の礎となったのです。

ネガティブなイメージの4WDで参戦

1980年当時の4WDといえば、オフロード車に搭載されたパートタイム4WDがほとんどで、大きい、重いといったネガティブなイメージが先行。一般的な駆動方式ではなく、限られた場面で使う特殊な駆動方式というのが世間の認識でした。

WRCにおいても、当時は軽量で運動性能の高いミッドシップカーやFRが席巻。車重や大きさで不利な4WDでは勝負にならないと言われていました。しかし、アウディにとって初のフルタイム4WD車であるクワトロのプロモーションには、WRCに参戦し結果を残すことは必要不可欠だったのです。

短命だったが現代も続く4WDの歴史を作った

アウディ クワトロのWRCデビューは、1981年の開幕戦。新開発の直列5気筒+ターボエンジンというグループ4仕様で、デビュー戦こそ結果を残せなかったものの、2戦目で早くも初優勝を飾ります。

そして、参戦2年目となる1982年には、初期のメカニカルトラブルも解決し、念願のマニュファクチャラーズタイトルを獲得。アウディはその後も、マニュファクチャラーズタイトル1回(1984年)とドライバーズタイトル2回(1983年、1984年)を獲得するものの、1984年までのわずか3年の短命に終わります。

なぜなら、アウディ クワトロの成功によって、各メーカーがこぞって4WD車を投入してきたためです。しかも、より運動性能の高いミッドシップ4WDで武装し、グループBマシンであるランチア ラリー037が台頭してきたため、フロントエンジンのアウディクワトロでは対抗出来ませんでした。

しかし、「ラリーカーと言えば4WD」が常識となったのは、間違いなくアウディクワトロの成功によるもので、“Audi Quattro”の登場は、WRCの歴史上もっとも大きな出来事の一つです。

最新モデルにも受け継がれるクワトロシステム

1980年にアウディ初のフルタイム4WDとして登場した“Quattro”は、車種名の「クワトロ」から、アウディの4WDシステムの名称として、現在に至るまで使用されています。“Audi Quattro”は、それだけアウディにとって重要な車種だったのです。

特に、現在の上位モデルに搭載されているクワトロシステムは、車種によって前後のトルク配分を変えるなど、多少味付けに違いはありますが、当初のフルタイム4WDの設計思想を守っています。
最新モデルでは、1000分の数秒で前後のトルク配分を最適化や、横滑り防止機構との組み合わせなど、先進の技術を組み込んでさらに進化させ、「技術による先進」を掲げるアウディらしいところです。

ちなみに、ご紹介してきた1980年に登場した車種としての“Quattro”は、クワトロシステムとの違いを表現するため、現在では“Ur-Quattro”(Urはドイツ語で「オリジナル」という意味)と称されることもあります。

アウディの地位だけではなく、業界全体にも影響を与えた

現在のアウディの地位を確立したのは、間違いなく“Audi Quattro”です。

当時の常識を覆すフルタイム4WDの開発と、WRCでの成功は、「技術による先進」を掲げるアウディの技術力と信頼性を世の中に知らしめました。また、アウディクワトロの成功は、メーカーの地位確立だけではなく、WRC、自動車業界全体にも大きな影響を与える出来事となったのです。

現在WRCの主流が4WDであることはご存じの通り。高性能化するエンジンパワーを余すことなく路面に伝える駆動方式として、フルタイム4WDは多くの車種で採用され、高性能4WDスポーツカーというジャンルを生み出しました。

今やフルタイム4WDは軽自動車にも搭載されるほど一般化されています。“Audi Quattro”の登場が無ければ、ひょっとしたら4WDは特殊な駆動方式のままだったかも知れません。

[ライター/増田真吾]

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